2021年7月9日(金)11時より、内閣府中央合同庁舎にて、丸川珠代東京オリンピック・パラリンピック大臣による定例記者会見が行われた。
まず、丸川大臣より2件の報告があった。
1件目は、この日7月9日に、不妊予防に向けた取り組みを推進するための「不妊予防支援パッケージ」が、内閣府、文部科学省、厚生労働省の三省連名で取りまとめられたことが述べられた。
このパッケージは、三原じゅん子厚生労働副大臣を中心に検討された。月経痛、月経異常など、女性特有の健康問題が女性の活躍を阻害するとともに、不妊につながるリスクもあるということ、またその早期発見、治療を行うことは、男女共同参画の推進や不妊に悩む方々への支援という観点から重要であるという考えのもと、「男女共同参画の重点方針2021」において策定する予定だったものである。具体的な取り組みとして、女性の健康に関する情報発信、保健医療分野での取り組み、全国の学校等における体制や取り組みの強化、学校アスリート分野での取り組み、職場における相談体制の拡充などを盛り込んでいるという。
2件目の報告は、東京五輪のホストタウンの第32次登録として、7月7日に茨城県潮来市の相手国に、ナミビアとノルウェーが追加され、これで登録件数は458件、自治体数は530、相手国と地域は184となることであった。
続いて参加メディア記者との質疑応答が行われた。
産経新聞記者が、「昨日政府が四度目の緊急事態宣言を発令しました。あらためて、緊急事態宣言下でオリンピックを開催する意味と、反対意見も多くある中で、どのように理解を得ていくのか、大臣のお考えをお聞かせください」と質問した。
これに対して丸川大臣は、以下のように回答した。
「昨日、東京都に4回目となる緊急事態宣言が12日より適用され、埼玉県、千葉県、神奈川県にはまん延防止等重点措置が継続して適用されることになりました。国としては引き続き国内の感染拡大防止に全力を尽くす決意です。
昨日の5者協議の合意では、東京都に緊急事態宣言が発令されることとなったことを受け、人流を抑制するとともに、感染拡大防止等に向けた、より厳しい措置として、無観客とすることとされました。また緊急事態措置が講じられていない埼玉県、千葉県、神奈川県についても無観客とされたところです。
加えて私からは大会運営関係者について、真に必要な人数に限ることとし、より一層の縮減を図るよう強くお願いするとともに、緊急事態宣言の発令に伴い、対象となる地域では日中も含めた不要不急の外出、移動の自粛等が求められることとなったことを踏まえ、海外から入国する全てのアスリート、大会関係者が、緊急事態宣言下で行われる大会であるということを認識した上で、プレイブックに示された水際対策の強化などについてしっかり理解をし、遵守されるよう、周知徹底をお願いいたしました。
政府としては、引き続き新型コロナ対策に全力を挙げる中でより多くの方々に安全安心な東京大会の開催が可能であるという思いを強くしていただけるよう関係者と緊密に連携しつつ、大会に向けた準備を着実に進めてまいります」
質問した産経新聞記者の「緊急事態宣言下でオリンピックを開催する意味と、反対意見も多くある中で、どのように理解を得ていくのか」という質問意図にまったく答えていない。
そのほか、参加メディア各社から、五輪会場の観客数の上限や、チケットの取り扱いについて、選手や大会関係者の移動はどのようになるのか、などの質問がなされた。
IWJ記者は挙手し続けたが、指名されることはなかった。IWJ記者が用意していた質問は、以下の通り。
「無観客という方針であるにも関わらず、IOC関係者やスポンサーの『五輪ファミリー』だけに『特別枠』を設けるのでは、選手のことを第一に考えている『アスリートファースト』の東京五輪とは言えず、感染拡大を防ぐための無観客の方針に、大きな穴をあけてしまうことになります。
また、特権を与えられるIOC関係者ら『五輪ファミリー』の側も、感染リスクを冒してまで会場に足を運び、観戦する優遇を当然のことと考えているのだとすれば、もはや『五輪マフィア』と言わざるを得ません。
今大会は、特権的地位にある者だけが優遇される『五輪マフィアファースト』の大会であるとの批判が出てもしかたがないのではないでしょうか? 丸川大臣はIOC関係者らに特別的な措置を与えることに問題がないとお考えでしょうか?」
多くの質問希望があり、参加記者が挙手していたが、会見運営と丸川大臣はそれに応じず、会見を切り上げた。退出しようとする丸川大臣に、TBSキャスター金平茂紀氏が、「なぜ質問に答えないんですか」と声をかける一幕もあった。
会見の詳細は、ぜひ全編動画を御覧いただきたい。