2020年12月4日(金)午前10時45分から、東京都千代田区霞が関の外務省会見室にて、茂木敏充外務大臣の定例記者会見が行われた。
冒頭、茂木大臣から、来週に予定されているアフリカへの海外出張についての情報提供があった。訪問予定国は、チュニジア、モザンビーク、南アフリカ、及びモーリシャスとなっており、大臣は「自由で開かれたインド・太平洋の実現に向けた連携、そして、ポスト・コロナを見据えたビジネス関係の強化が目的であり、第8回アフリカ開発会議(TICAD8)に向けた連携を通じて、『包容力と力強さを兼ね備えた外交』をアフリカで力強く推進していきたい」と語った。
続いて、大臣と各社記者との質疑応答となった。他社記者から、12月2日、香港で3名の民主活動家、周庭氏、黄之鋒氏、林朗彦氏に実刑判決が言い渡された件についての見解を求められた茂木大臣は次のように語った。
「我が国として、昨今の香港情勢について、重大な懸念を強めていることは繰り返し伝えてきている。今回の周庭氏を含む3名への判決、そして、『りんご日報』創業者・黎智英氏の収監など、これまでの一連の事案が、香港が享受してきた民主的・安定的な発展の基盤となる『言論の自由』や『報道の自由』、そして『結社集会の自由』にもたらす影響などについて、重大な懸念をもっているとともに、その動向を注視している。
香港は我が国にとって、緊密な経済関係、および、人的交流を有する、極めて重要なパートナーであり、一国二制度のもとに、自由で開かれた体制が維持され、民主的・安定的に発展していくことが重要であるというのが、我が国の一貫した立場である。
こういった我が国の懸念と考え方については、先般の王毅(おうき)国務委員の訪日の際に、私からも、そしてもちろん、総理からも伝達したほか、これまでも様々な機会に中国側に伝達をしてきている。関係国とも連携しつつ適切に対応していきたい」
この質問の後、香港情勢について、IWJ記者より、茂木大臣に対し、次のような追加質問を投げかけた。
「今回実刑判決を下された3名の活動家の一人の周庭氏は、判決を下される前に、『もう一度日本に行きたい』という旨の発言をしていたと聞いています。日本政府、および外務省は、今後、今回の判決に対する正式な批難を表明する声明を発出する予定はあるでしょうか? また、3名の釈放に向けて、何か具合的な行動を取る予定はおありでしょうか?」
これに対して、茂木大臣は、「今回の3名への判決や収監などについては、先ほどの質問で丁寧に答えさせていただいたとおりであると考えている」とし、IWJ記者の質問への回答はなかった。