2020年4月7日(火)午前11時より、東京都千代田区霞が関の外務省庁舎会見室にて、茂木敏充外務大臣の定例記者会見が行なわれた。
冒頭、茂木大臣より、3つの発表があった。1点目は、新型コロナウイルスの感染者が発生している国々に対するアビガンの供与のための緊急無償資金供与について、2点目は、緊急事態宣言が発出された場合の外務省の体制ととりくみについて、そして、3点目は、在外交館の支援によって実現した商用便および民間チャーター機等による邦人の出国・帰国についてであり、それぞれ、大臣より概要の説明がなされた。
その後、大臣からの発表の内容について、各社記者と大臣の間で質疑応答が行なわれた。
IWJ記者からは、新型コロナについて、2つの質問を大臣に投げかけた。
「在日米国大使館が『健康アラート』と題して『広く検査しないという日本政府の決定』は『COVID-19有病率を正確に評価することを困難にする』として、米国人に即時帰国を呼びかけています。日本政府は広く検査しないということを決定し、それを米国にだけ伝えたのでしょうか?事実でないなら、米国大使館に抗議したのでしょうか?また、これまでも、日本の検査数が少ないことは国内外から大きな批判を浴びています。日本は信用できない国だと同盟国に思われているのであれば、ひいては安全保障問題にも関わると思います。
直ちに検査数を諸外国並みに引き上げるべきだと思いますが、大臣のご見解をお聞かせください」という1つ目の質問に対し、茂木大臣より、「日本は、医師が必要と判断 する場合に、検査の実施を徹底し、濃厚接触者症状のある方はもちろん、感染が疑われる方にも検査を行うなど、WHOのガイドラインに沿って、しっかりと対応しております。日本ではPCRの検査の数は少ないわけでありますが、新型コロナウイルス感染症の死者数も多くはありません。肺炎になった方は必ずCTを とった上で、間質性肺炎の症状が出た方は、新型コロナウイルス感染症への感染の可能性を疑い、必ずPCR検査を行っております。こういった取り組みに関しては、米側にも、しっかりと丁寧に説明しております」との回答があった。
2つ目の質問「FAO、WHO、WTOの事務局長がコロナ危機の影響で世界的な食料不足を招く危険があると、声明を発表しました。日本の食料自給率はカロリーベースで37%ですが、TPP交渉や日米貿易交渉を通じ、米国の要求にしたがって食料安全保障をないがしろにしてきた責任の一旦は外務省にもあると思いますが、大臣のご見解をお聞かせください」に対しては、「そのように考えておりません」とのそっけない回答があったのみで、なぜ「そのように考えていない」のかについての説明もなく、その回答が短すぎて聞き取れなかったIWJ記者が「回答は?」と質すと、茂木大臣より「しました」との返答があった。