2020年10月26日、東京都千代田区内幸町の臨時会見場で、東京電力による定例の記者会見が行われた。
東京電力は、福島第一原子力発電所で、事故で発生した燃料デブリを冷却する際に出る高濃度汚染水を、ALPS(多核種除去設備)でろ過し、放射性物質の大部分を除去したとされる、処理済汚染水(処理済水)を貯留しているタンクが、2020年夏ごろに一杯になるとしている。
これを受けて、政府は経済産業省の多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会で、処理済汚染水の取り扱いについて議論していた。
東京電力の松本純一・福島第一廃炉推進カンパニー廃炉推進室長は2019年第14回の同委員会で、「現在、貯留水タンクエリアの効率化等を進めておりますが、効率化並びに廃棄物処理作業の進捗により空き地ができる可能性があります」とタンク増設の可能性に言及している。
この日の会見では、2020年1月の東電定例会見で、当時の八木秀樹・広報担当も「タンクの敷地が(タンクを)1つも作れない、全然その余地がないという状況になっているわけではない」と述べていたことが明らかになり、福島第一原発の敷地計画が具体化されてない状況では、処理済汚染水のタンクが増設不可能と断定することもできないことが明らかになった。