日本平和委員会が憲法記念日の5月3日に、渋谷・ハチ公前広場と、大阪、愛知で、若者100人を対象に憲法アンケートを実施! IWJの独自取材に「憲法は権力者や公務員が守るもの」と正しく答えた若者はゼロ~「5・3若者100人に聞く憲法アンケート」の取材 2024.5.3

記事公開日:2024.5.11取材地: テキスト動画
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(取材、文・浜本信貴)

特集 憲法改正

 憲法記念日の2024年5月3日午前9時30分より、東京都渋谷区のハチ公前広場にて、日本平和委員会が、「5・3若者100人に聞く憲法アンケート」を実施した。

 日本平和委員会は、平和を創る活動をしているNGO(非政府組織)。地域や職場、学校などで、3人以上の会員で構成される「基礎組織」が、全国47都道府県に約500あり、現在、約1万8000の会員を有する。

 日本平和委員会の岩本悟(さとる)氏は、活動内容について、次のように語った。

 「(平和についての)色々な考え方の人を受け入れながら、それぞれ違う平和観の中で、平和という一致点にもとづいて進んでいくというところが最大の魅力。

 そういう場所って、今、日本にはなかなかありませんので」。

 この憲法アンケートは、愛知県平和委員会の青年・学生部がはじめたもので、愛知では今年で29回目の取り組みだ。あまり報じられることのない『若者たちの憲法観』について、自分達でその声を集め、マスメディアに訴え、報道してもらうことを目的として、継続して行っている。

 2015年から、全国各地の委員会でも取り組まれるようになった。

 東京では、コロナ禍のため、2019年を最後に実施されていなかったが、今年から再開されることになった。

 また、大阪と愛知の委員会でも、同時にアンケートが実施された。

 アンケートは、「5月3日は何の日ですか?」という単純なものから、「憲法9条(戦争放棄・戦力不保持)についてどう思うか?(変えるべきか、変えるべきではないか)」、「殺傷能力のある武器輸出の解禁についてどう思うか?」などの具体的なものまで、全部で7つの質問が設けられている。

 アンケートに応じた若者たちは、委員会スタッフと会話を交わしながら、質問に答えていった。

 渋谷ハチ公前広場では、開始時間の午前9時半から約3時間で、101人の若者からの回答を得た。

 また、愛知では104人、大阪でも107人からの回答があった。全国3ヶ所以上で、100人集められたのは、2019年以来5年ぶりとなった。

 4月29日に、すでにアンケート実施済みであった北海道を加えた全国の集計結果が、後日、日本平和委員会の機関紙「平和新聞」上で発表される予定となっている。

 IWJ記者は、アンケートを終えた若者たちに追加のインタビューを試み、3名の若者たち(男性2人、女性1人)から、憲法についての考えを聞くことができた。

 IWJ記者の質問は、以下の通り。このうちのいくつかを、ランダムに聞いた。

・今日は何をしに渋谷へ?

・今日が「憲法記念日」というのは知ってましたか?

・そもそも憲法って、誰が守らなければならないものだと思いますか?

・現在の日本国憲法は、第二次世界大戦後に、戦争放棄をうたった憲法です。現在、国の防衛や安全保障など、緊急時に関しての憲法改正の議論が国会の憲法審査会で行われていることはご存知ですか?

・緊急事態に備えて、各政党は、緊急事態条項を条文に入れよう、とか、それよりも国民生活の底上げのための経済政策をしっかりと行うべきだ、とか、自民党政権で軍拡がますます広がる中、戦争ができる足掛かりとなる憲法改正はすべきではない、とか、慎重に議論すべきだ、という談話も出ています。憲法改正について、どうすべきかの考えはありますか?

・自民党の裏金問題が出て、現職の国会議員が法律も守ってもいないではないか、と批判を浴びています。自公政権に政治を任せておいていいと思いますか?

・若い世代の立場で、将来について不安なことはありますか?

・国の政治には、どんなことに期待したいですか? どんな政策に力を注いで欲しいと思いますか?

 山形県からイベント参加のために渋谷を訪れたという、15歳の男子高校生は、今日が憲法記念日であることを「知っている」と答えた。

 「憲法は誰が守るもの?」との問いには「国民」、憲法改正について国会で議論されていることについては、「なんとなく知っている」と回答した。

 自民党の裏金問題については、「結構ニュースを見ている。国を動かしている人達なのだから、ちゃんとやってほしいと思う」と考えを述べた。

 将来への不安や期待を質問すると、「よくわからないけど、生活とか(が良くなればいいと思う)」、国の政治へ期待したいことは「日本がいい国になってくれればいい」と述べた。

 茨城県から友人と遊びに来たという、24歳の会社員の男性は、今日が憲法記念日だとは「知らない」、憲法を守るのは「国民」と回答。

 憲法改正の議論については、「ネットなどで議論を垣間見ることはあるが、見逃しがち」であると答えた。

 自民党の裏金問題については、「使われ方次第」と回答。

 国の政治に求めることとして、「景気が悪くならないようにしてほしい」と回答した。

 関東近郊からアート鑑賞のため来たという、18歳の女性は、憲法は「立法する人」が守るもの、と答えた。

 憲法改正の議論については、「割と進めていいのでは? 率先して戦争を進めたいという人間なんていないのでは。(戦争を)起こしたところで、国にとって利になることはない」と答える一方、「(改正の議論は)慎重にしていった方がいい」という考えを述べた。

 自民党の裏金など、政治とカネの問題については、「彼らもお金を集めたくて政治家になったわけではないと思う。できちゃった仕組みの上に乗っちゃったという人が多いのでは。事情がわからないので何とも言えないが、勉強して議員になっているわけだし、割と尊敬はあるので信じている」と回答した。

 将来への期待や不安、国の政治に期待することについては、「美術畑なので」と、文化系への予算が少ないことを口にし、「文化が栄えないと、国や政治も栄えていない印象なので大切にしてほしい」と述べた。

 詳しくは、ぜひ全編動画を御覧いただきたい。

■全編動画

  • 日時 2024年5月3日(金)9:30~
  • 場所 渋谷駅・ハチ公付近(東京都渋谷区)
  • 主催 日本平和委員会(詳細

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