2023年10月2日、ジャニーズ事務所が記者会見を開き、事務所の名称変更と、新会社の設立を発表した。会見には東山紀之社長、関連会社「ジャニーズアイランド」の井ノ原快彦社長と、弁護士2人が出席し、藤島ジュリー景子氏は出席しなかった。
従来のジャニーズ事務所は、10月17日付けで社名を「SMILE-UP(スマイルアップ)」に変更し、ジャニー喜多川元社長による性加害の補償と救済に専念するとのこと。現社長の東山紀之氏がそのまま社長を続け、前社長の藤島ジュリー景子氏は、代表権を返上して株式を100%保有したまま取締役となり、この株を補償の原資とするとのことである。
また、「SMILE-UP」は、被害者への対応終了後に廃業する方針であることも発表された。
一方、マネジメント業務を行う新会社は、1ヶ月以内に設立し、社名はファンクラブを通じて公募するとのこと。社長には東山氏が、副社長には井ノ原快彦氏が就任するとのことである。
新会社は、従来のようにタレントを自社に所属させるのではなく、欧米で主流のように、タレント個人やグループの主体的な活動をサポートするエージェント契約を結ぶことになる、ということも発表された。
さらに、現在「ジャニーズ」の名前を冠したグループも改名するとのことで、東山氏は「ジャニー喜多川氏と完全に決別する」と表明した。
会見では、事務所が設置した被害者救済委員会に、9月30日時点で478人から連絡があり、このうち325人が補償を求めていることが報告された。
会見に参加したIWJ記者は、「ジャニー氏の性加害行為が、ジャニーズ事務所のタレント支配力の源泉になっていたのではないか、そのために事務所側は、黙認したというより、必要不可欠な手法として、利用してきたのではないか」と質問した。
IWJ記者「少し、振り返りの内容が含まれますけれども、先ほど東山さんが、『ジャニー氏に、少年たちは弱いところを掴まれていた』というようなことをおっしゃいました。
ジャニー喜多川氏の未年者に対する性加害行為というのは、口淫から肛門性交まで、そしてジャニーさんは、少年たちの全裸の写真や肛門の写真、性器の写真なども撮っていたとか、あるいは、女性ホルモンを注射していたんじゃないか、といったような疑いが、元ジャニーズJr.の方の証言や暴露本などで取り上げられています。
ペンネーム木山将吾(本名:山崎正人)氏は『スマップへ―そして、すべてのジャニーズタレントへ』の中で、『ジャニーズ帝国は、恐怖政治で僕を飼犬にしていた』と述べています。
ジャニー氏による性加害行為というのは、少年たちの人格を毀損し、何か奴隷化する支配の手法であったような印象を受けます。
ジャニー氏の性加害行為が、ジャニーズ事務所のタレント支配力の源泉になっていたのではないか、そして、そのために事務所側は、黙認したというより、必要不可欠な手法として、利用してきたのではないか、という風にも感じられます。
証拠は何もありませんが、『和製エプスタインだ』という人もいます。
東山さんは、ジャニー氏の右腕として、被害と加害の両面を見てこられたと思います。こうしたジャニー氏の性加害の及ぼしていた影響について、ご見解をおうかがいできればと思います」。
東山氏「様々なジュニアの子たちが、やはり被害を受けたということなので、僕は1タレントとして、合宿所にはいましたけど、やはりそこは、何か触れてはならない部分みたいな、立ち入ってはいけないような感じがありました。
ただやっぱり、先ほども言ったように、僕個人の力が及ばないという年齢でもありましたし、それは本当に、『見て見ぬふり』だと言われたら、それまでだなと思うんですね。
なのでやはり、今できることをちゃんとしなければいけないと思ってます。本当に、心に負った傷というのは、癒すことはできないと思いますし、補償だけでは、それはもちろん、済む問題でもないと。
なので、やはり、その名前がついたものは、すべて捨て去ると。で、できることはやはり、癒していくことなのかなと、感じています」。
井ノ原氏「絶対的な支配の中にいたんだと思います。それは、巧妙な手口だと思います。だから僕らが、子どもたちが、気づかぬうちに、そういう支配下にあり、その当時いた大人たちも、そういう人もたくさんいたのかもしれません。
その、本当に得体の知れない恐ろしい空気感というものを、僕は知ってます。きっと東山さんも知ってると思います。
だからこうなったら、どんどんおかしなことになっていくっていうのを、肌で感じてると思います。
そして、やっぱり被害者の皆さんが、先ほども何度も申し上げましたけれども、いわれのない誹謗中傷、それは今まで、やはり声を上げられなかった、それぐらい強いものだったと、僕は思います。
だから先ほど『me too』の話もありましたけども、1人が勇気を出してくれたおかげで、何人もの人たちが、告白できたんだと思いますし、それを無駄にしてはいけないと、僕も思っております。
そして、タレントたちみんなが、ジュリーも申し上げてましたけれども、そういう支配の中で、被害を受けたから、彼らが活躍して生き残ってきたとは、やっぱり僕は思えない。本当に、共に死ぬ気で頑張ってきたし、やっぱりすごいやつは本当にすごいなって思います。それは、横で見てて思います。
だから生き残ってる、だから芸能界で頑張ってるんだってのは、それは、先ほどファンの皆さんの話もありましたけども、誰もがやっぱり実力を認めてる部分は、大きくあると思います。
やっぱり遅かれ早かれ、そこに向いてない、他の世界ではいいかもしれないけど、その世界で向いてない人は、やっぱり長くは活躍できなかった。それは悪いことではなくて、他の世界できちんと活躍してる人もいるし、そこは皆さん、今きっとわかってくださってると思います。
でも世の中の人に、そこは強く言いたいところではあります」。
東山氏「たくさんのタレントたちの、汗と涙と血を見てきましたから、そういったものを信じてあげるというのが、大事なのかなとは感じていますし、実際、僕らも真剣に仕事には取り組んできました。その中で見えるものもありますし、その真剣さみたいなものを、やはり汲んであげなければいけませんので、まさにそういうことをきちっと向き合える、まずは体制を整えなければいけないなと思い、今回、このような、(新会社)設立ということになりました」。
このIWJ記者の質問に対する、井ノ原氏の「絶対的な支配の中にいたんだと思います。それは、巧妙な手口だと思います。だから僕らが、子どもたちが、気づかぬうちに、そういう支配下にあり、その当時いた大人たちも、そういう人もたくさんいたのかもしれません」という答えは、他の多くの大手メディアでも、切り抜かれて取り上げられた。