【IWJ号外】シーモア・ハーシュ氏がノルドストリーム爆破事件の「続報」を公開!「一部の関係者が大きく離反しない限り、バイデンとその側近はおそらく真実を認めることはないだろう」!<後編> 2023.3.18

記事公開日:2023.3.18 テキスト
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 IWJ代表の岩上安身です。

 米国のバイデン政権によるノルドストリーム爆破を暴露したシーモア・ハーシュ氏が、3月15日、自身のホームページで、このノルドストリーム爆破事件に関連する「続報」として、新しい記事を公開しました。

 記事のタイトルは「あなたのジョージ・ボールは誰ですか」です。

 このタイトルになっているジョージ・ボール(George Ball、1909-1994)氏は、米国の外交官、弁護士で、1961年から1966年まで国務次官を務めました。ボール氏は、ベトナム戦争のエスカレーションに反対した唯一の主要な反対派として記憶されています。

 記事の副題は「すべての大統領には反対意見が必要だが、ジョー・バイデンにはそれがあるのだろうか?」となっており、ケネディ政権のときにはベトナム戦争に反対したジョージ・ボールが国務次官にいたが、ウクライナ戦争にのめり込むジョー・バイデン政権の「ジョージ・ボール」に値する人物は誰なのか、そんな人物はあなたの政権にいるのか!? とシーモア・ハーシュは、バイデン大統領自身に問いかけているのです。

 これは、上院公聴会で「ノルドストリーム2が海の底の金属の塊になって嬉しい」と他国の惨事を喜んだビクトリア・ヌーランド国務次官とジョージ・ボール国務次官を対照させているのは間違いありません。

 前編では、ハーシュ氏の全テクストのうち公開された最初の3段落を全訳し、残りの有料部分は、論旨を抄訳する形で、ご紹介しました。

 今回は、その後編です。後編は、すべて、有料部分になりますので、論旨を抄訳する形で、ご紹介します。

 昨日お伝えした前編は、以下のURLから御覧いただけます。

 ご興味を持たれた方はぜひ、ハーシュ氏のサイトへ飛んで、有料記事をご購読ください。

  • Seymour Hersh(シーモア・ハーシュ氏のホームページ)

 ハーシュ氏は、ケネディ政権にロシアのパイプライン建設の妨害の起源があることを指摘し、その後80年代に、旧ソ連を「悪の帝国」と呼び、対決姿勢を強めた共和党のレーガン政権において、パイプライン建設の妨害が同盟国を巻き込んで深化していったと、歴史的な経緯を述べています。

 そして、後編では、いよいよ、ジョー・バイデン氏の登場です。

 「それ(レーガン政権)から30年後の2014年、ジョー・バイデン副大統領は、イスタンブールで開催された大西洋評議会エネルギー・経済サミットでのスピーチで、レーガンの言葉やロシアのガス・石油の埋蔵量に対するレーガンの恐怖を再現する。ロシアのエネルギー利用は『各国の安全保障を損なう武器』だと警告したのである。

 『ここ欧州では、エネルギー安全保障は特に重要な地域安全保障上の関心事であり、それはロシアがエネルギー供給を外交政策の武器として利用してきた実績があるからです』

 『今日の私のメッセージは』とバイデンは続けた。『欧州がロシアからの輸入品を排除できる、あるいは排除すべきだということではありません。

 そのようなことでは全くありません。ロシアが欧州と世界にとって主要なエネルギー供給源であり続けることは間違いないし、そうあるべきですが、ロシアはゲームのルールに従わなければなりません。エネルギー政策を使ってゲームをもてあそぶことはできないはずです』

 バイデンはロシアに、米国のルールに従わなければならないと警告したのだ。そこに、8年後のノルド・ストリーム・パイプライン爆破の種がある」

 このハーシュ氏の指摘は、決定的です。

 いかにも、リベラルで物分かりのいいように、「ロシアが欧州と世界にとって主要なエネルギー供給源であり続けることは間違いないし、そうあるべきだ」と述べておきながら、その直後に、そのエネルギー供給のありかたは、米国ルールに沿って行えと言うのです。そうしなければならない根拠を示すこともなく、米国一国だけは特別な国であるという、米国例外主義の王様気取りでロシアに押し付けているのです。

 その米国ルールとは、結局のところ、「ロシアはエネルギー供給を外交政策の武器として利用してきた」という、極端な善悪2元論のマニ教的な決めつけなのです。

 要するに、ロシアが、パイプラインを通じたエネルギー供給によって、供給国である欧州をコントロール下に置いてしまうのではないか、欧州にとって米国は不要となるのではないか、という疑心暗鬼なのです。

 これは、意図的かどうかは別にしても、米国の認識は間違っています。

 3月13日に行なわれた、JOGMEC(独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構)調査課長原田大輔氏への3回目のインタビューの中で、インタビュアーの岩上安身は注目すべき発言を原田氏から引き出しています。

原田氏「(エネルギーを武器として使うということが)去年起きたわけですけど、武器として使えば買わなくなるんです。これは『ホールドアップ問題』と呼ばれるものなんですけど、パイプラインで結ばれた国と国は、稼働し始めると生産国の方が弱くなるという性質を持つんです。

 なぜかというと、生産国側はパイプラインのコストを回収するために、お金が欲しいので、流さざるを得なくなる。ところが、買い手の方は、他にも買うことができるので、(パイプラインの下流の)買い手の方が強くなる。つまり欧州の方が強くなっていくんですね。

 冷戦期というのは、もし一度でも止めてしまった場合には、欧州はもう買わないんですね。今、それが起きているんです。去年初めて起きたことなんです」

岩上「にもかかわらず、こうしたノルドストリーム問題のプロパガンダっていうのは、アメリカがずっと言っていることですけど、ロシアが安定的に石油なり天然ガスを供給することによって、川下の国がコントロールされ続けているという言い方をするわけです。これ、逆じゃないですか」

 エネルギーの武器化における「ホールドアップ問題」が存在する以上、ロシアが欧州をエネルギー供給でコントロールすることはありえないのです。

 それを米国が知らないはずがなく、当時のバイデン副大統領のように、「ロシアはエネルギー供給を外交政策の武器として利用してきた実績がある」と一貫して言いつのってきたのです。

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