「突破力」「発信力」に秀でていると報じられ、「次の総理1位」(9月18日の毎日新聞)にもなった河野太郎デジタル相(消費者庁担当も兼任)だが、旧統一教会問題では「客寄せパンダ大臣」「パフォーマンス見守り大臣」と呼びたくなるほど見かけ倒し状態が続いている。
紀藤正樹弁護士らがメンバーの「霊感商法等悪質商法への被害対策検討会」を立ち上げ、8月29日の初回会合から新規立法を求める声が出たのに、「臨時国会でのカルト規制法案成立に全力を尽くす」といった意気込みを、河野大臣がいまだに口にすることはない。
河野大臣会見で何度も新規立法(消費者契約法改正など)の日程について聞いても、「検討会の議論を見守りたい」という回答を繰り返すだけ。
10月11日の会見でも、私(横田一)が質問をしたところ、同じ答えが返ってきたので、やや詰問調で「政権担当能力を疑われる」「本気度不足ではないか」と再質問をすると、河野大臣は「記者会見ですから個人の誹謗中傷をするなら次回からご遠慮下さい」と記者排除(会見参加拒否)を予告してきた。
消費者契約法改正をめぐり、統一教会問題への岸田政権の「本気度」を問うと、河野大臣は「誹謗中傷するなら会見から排除」を予告!!「次の総理1位」河野氏は、岸田政権の「やっている感」演出のための「客寄せパンダ大臣」!?
横田一「消費者契約法改正の時期だが、岸田総理から『加速』の指示があった時に日程感、スケジュールについては特に言及はなかったのか?『臨時国会中に何としても成立させる』というような決意表明等は岸田総理からはなかったのか?」
河野大臣「検討会の議論を注視して欲しいと思う」
横田「(臨時国会で成立しないと)『銃撃事件から半年も経って法改正がなされない』という事態だと、政権担当能力を疑われるのではないかと。『統一教会とのズブズブの関係を断ち切ろうとする本気度不足ではないか』と言われると思うが、それでもいいのか?」
河野大臣「記者会見ですから、個人の誹謗中傷をするなら次回からご遠慮下さい」
横田「誹謗中傷ではなくて、(新規立法実現は)元信者の方とか、検討会でも臨時国会に提出するべきだという声が出ているのを受けて聞いているが、それでも『(検討会の議論を)見守る』としか言えないのか?」
河野大臣「検討会が議論をしているのはご存じの通りです」
横田「(検討会で)もうすぐ結論が出るわけだから、スケジュール感、臨時国会で成立させるのかどうかの考えについては?」
河野大臣は無言のまま。司会者が「ここで終わらせて欲しいと思う」と言って会見を打ち切った。
河野大臣会見で同主旨の質問を繰り返したのは、世間の高評価と実態の落差を何度も目の当たりにしてきたからだ。昨年の総裁選では、持論だった脱原発を封印し続け、行革担当大臣(沖縄担当も兼務)として沖縄入りした時も、莫大な血税をドブ(軟弱地盤)に捨てているに等しい辺野古新基地建設に異論を唱えなかった。
河野大臣は、今回も見せかけだけの「突破力」で終わるのか否かを見極めようとしたのだが、この時点では「『検討使』総理が『やっている感』演出のために抜擢した『客寄せパンダ大臣』」にしか見えなかった。
岸田総理が、統一教会の高額献金被害者救済に向けた今国会で消費者契約法改正案の提出を目指すと表明! それでも日程については、河野大臣は「国会のことは国会にお聞きください」と他人事!?
事態が動いたのは、排除予告会見から7日後の10月18日。岸田総理が衆院予算委員会で、高額献金の被害者救済に向けた消費者契約法改正案の提出を目指す考えを初めて述べた。
国会召集時には提出予定法案に入っていないため、岸田政権が方針変更をしたのは明白だ。岸田総理は「通常国会の提出では遅すぎる。前倒しをして批判を和らげよう」と考えたのは明らかである。
▲岸田文雄内閣総理大臣(総理官邸HPより)
これに呼応するように、新規立法を加速させる動きも始まった。自民と公明と立民と維新の与野党四党は10月21日、被害者救済法案を検討する協議会の初会合を開き、臨時国会での成立を目指すことを確認した。「法案提出」からさらに「成立」へとさらに踏み込んだのだ。
それでも河野大臣の言動には、大きな変化はなかった。10月25日の会見でも新規立法について聞いたのだが、「臨時国会を延長してでも法案成立をすべき」といった踏み込んだ発言が出ることはなかったのだ。
横田「旧統一教会問題について、消費者契約法の改正や被害者救済の新規立法について今国会で提出・成立させるべきという考えでしょうか? 日程感に対する考えを聞きたいのですが」
河野大臣「準備ができたものから、この国会に提出しようと思っています」
横田「与野党四党で『(新規立法について)今国会で提出・成立を目指す』という合意がされていますが、これと同じ考えではないのでしょうか?」
河野大臣「国会のことは、国会にお聞きください」
横田「今国会で成立しないと(安倍元総理銃撃事件から)半年以上、法案が成立しないことになるが、それでもいいという考えなのでしょうか?」
河野大臣「国会のことは国会にお聞きください」
横田「大臣の考えを聞いているのですが」
河野大臣は無言。司会者が質疑を打ち切った。
正直言って唖然とした。「政権の閣僚と政権与党との間で新規立法の日程が共有されているに違いない」と思って確認の質問をしたのだが、他人事のような回答しか返ってこなかった。「突破力で定評の河野大臣が、新規立法の牽引車役を買って出る可能性は十分にある」という私の期待まじりの予測は、見事に外れた。
野党は「統一教会の被害者救済のための新規立法と、解散命令請求が不可欠、年内がリミット」を明言!「反日カルト」統一教会にすっかり侵食されてしまった与党・自民党の反応は!?
対象的だったのが野党国会議員。立憲民主党の柚木道義衆院議員は10月21日、復活した国対ヒアリング(野党合同ヒアリング)の終了後、新規立法と解散命令請求が不可欠と強調した上で、「年内がリミット」と次のように明言したのだ。
▲柚木道義衆議院議員(立憲民主党HPより)
「旧統一教会の被害者救済のために、まず悪質献金救済法案を今国会で成立させることが一つ。
もう一つが、(統一教会への)解散命令請求。岸田総理が初めての質問権行使を表明したが、解散命令請求までやらなかったら、国民は岸田政権を許さない。30年間放置してきたのだから、年内がリミットだ。岸田政権の本気度を示す試金石になると思う。本気で被害者救済をやる気があるのかどうか。もう『ミスター検討』というのは返上していただかないと」(柚木氏)