2022年8月5日(木)午後1時過ぎより、衆議院本館で、立憲民主党(野党合同) 国対ヒアリングが開催された。ヒアリング対象は、元文部科学事務次官の前川喜平氏と文部科学省職員で、統一教会と政治の関り、特に名称変更問題について聞いた。
前川氏は1997年7月から文化庁の宗務課長を1年間務めた。その間、統一教会から「名称変更のための規則変更を認証してほしい」と相談があり、前川氏の部下が応対、前川氏は報告を受けたという。
1995年のオウム真理教事件後、96年に宗教法人法が改正され、97年に宗務課長に就いた前川氏は「安易な認証をしてはいけない」と考えたという。
「認証」は、認可や許可と異なり、認証側の裁量はなく、実態に規則が合致すれば必ず認証しなければならないが、前川氏は「紙の上で規則に整合性があっても、実態とあっていなければならない」と判断。宗務課内で議論の結果、「実態が変わっていないのに、名前だけ変えることはできない」と教団側に伝えたとのこと。
「当時、(統一教会は)世界基督教統一神霊協会の名前で活動し、信者を獲得、社会的存在として認知され、訴訟の当事者にもなっており、この名前を安易に変えることはできない」。そのため、「認証できないので、認証の申請は出さないでください」と伝え、教団側に納得してもらったという。
前川氏によれば、その後も同様の受理しない状態が続いた。ところが2015年になって、当時の宗務課長が「名称変更の認証を行うことになりました」と、文部科学審議官となっていた前川氏に報告。前川氏は「『認証すべきではない』と意見を述べたが、結局認証された」とのこと。
前川氏は「ノーと言った(審議官の)私を上回る、イエスの判断ができるのは、事務次官と大臣しかいない」として、「下村(博文)大臣(当時)の意志が働いたことは100%間違いないと考える」と断言した。
さらに前川氏は、「18年間受理しない姿勢を貫いてきたのに、一転して180度違う態度に転じた。前例を踏襲する役所の仕事の仕方からいうと、外部の力が働いたとしか考えられない」「何らかの政治的力が働いていると思った」と述懐し、次のように語った。
「問題は、誰がそもそも圧力をかけたかだが、それは分からない。与党内の有力者か、官邸か、文科省内部か」。
前川氏の説明後、野党議員から様々な角度で質問が行われた。それらを踏まえて、文科省に対して以下の宿題が課された。
(1)1997年に宗教法人が文部省に相談した際の応接録
(2)1997年に宗務課で議論した際のメモ等
(3)その後18年間の空白期間で、相談等がどのように行われたか
(4)2015年、大臣に報告した時の応接録
(5)宗教法人法第29条が削除されている理由
(6)名称変更の理由が黒塗りにされているが、宗教法人側が了解しても出せないのかの確認
また、ヒアリング終了後、前川氏は記者の囲み取材に応じた。