2022年9月12日、午後2時より、東京都千代田区の参議院議員会館にて、「国際環境NGO FoE Japan」、「原子力規制を監視する市民の会」、「原子力資料情報室」の主催により、「原発推進政策の撤回を求める集会&政府交渉」が開催された。
8月24日、政府主催で「グリーン・トランスフォーメーション(GX)推進実行会議」が開催され、「原発7基の追加再稼働」、「今まで原則40年とされていた原発の運転期間の延長」、「原発の新設・リプレースメント」、そして、「次世代革新炉の使用」など、極めて前のめりな原発推進方針が打ち出された。
- GX実行会議(内閣官房)
この日のプログラムは、最初の1時間、一般の参加者から、この問題についての発言を募る集会が行われ、その後、経済産業省、および原子力規制庁の担当官らを招いて、政府交渉(質疑応答)が行われた。
FOE Japan事務局長の満田夏花氏は、この突然の方針決定について、次のように述べた。
「政府のこのたびの方針がどうやって出てきたのかというのも、ちょっと謎でもありますし、もちろん、全然、国民的な議論などもされていません。
そういった『プロセス』も問題ですし、藪から棒に、昨今のウクライナ情勢とか、電力の逼迫とか、そういうようなものに乗じたような形で、乱暴に原発推進方針を打ち出してきた。
これは本当に許せないなということで、急遽、(この集会を)企画しました。(中略)
いろいろな意味でとんでもない話ですし、そもそも必要性があるのか、というと、『原発というのは電力需給の逼迫に役に立たない』ということも専門家が指摘しています」
その後、「原子力規制を監視する市民の会」の阪上武氏が「原発7基追加再稼働の問題点」について、また、「原子力資料情報室」の松久保肇氏が「次世代革新炉のまやかし」について、それぞれ問題点や現状について説明を行った。
集会では、各地の原発周辺市民も発言した。
政府交渉では、「今回の方針ではじめて原発の新増設やリプレースの検討が明記された。公開の場での議論をつくすこともせず、このような重大な方針変更を、いきなり打ち出すこと自体、大きな問題である」とし、「原発推進方針の撤回」を求める、岸田首相、および、西村康稔経済産業大臣兼GX実行推進担当大臣あての要請書が、担当官へ手交された。
政府担当官との質疑応答では、「原発推進方針の検討」、「7基の追加再稼働」、「運転期間の延長」、そして「原発の新設・リプレース」について、主催側より、具体的な確認・質問が行われたが、政府担当官らは不明確・抽象的な不誠実答弁に終始した。
質疑応答の終わりに、菅野みずえさん(2011年の東京電力福島第1原発事故で福島県浪江町から兵庫県三木市に避難)が、発言を求められ、次のように述べた。
「皆さんの質問に対して、ちゃんと責任をもって返答できる立場の人が、本当に来られているのかな、というのが、よくわかりませんでした。
私たちの願いは、本当に、こんなにたくさんの人が原発事故で避難をしているのにもかかわらず、まだ元の暮らしを取り戻していないにもかかわらず、なぜ、原発政策を推進していくんだ、というような、避難している人々への配慮がないなっていうのを本当に思いました。
避難している人間だけじゃないです。今、本当に、汚染水を流そうとしてますよね? それがこの星に住むすべての人にとって、どんな影響があるのか。非常に無責任だって思っています。
そういうことも含めて、今、福一のことをしっかりやるべきなんじゃないですか?
そして、どうするかっていうのを、国として、ちゃんとやるべきなんじゃないかって思っています。
非常に、この政府の方針というのは、本当に、がっかりしてしまいました。そして、それを追及してくださっている皆さんがいる、ということに、本当に安堵します」
詳しくは、全編動画を御覧いただきたい。