2022年1月14日、東京都千代田区の参議院議員会館で、東電刑事裁判の控訴審第2回公判期日を前にして、被害者代理人の海渡雄一弁護士らが公判の性格や争点について解説を行った。
東電刑事裁判は、2012年6月、福島県の住民グループなどが、東京電力福島第一原発事故について、東電旧経営陣などの刑事責任を問い、検察に告訴したことに始まった。
告訴を受けた東京地検は、2013年9月に全員(当時40人余り)不起訴処分とした。住民グループは改めて旧経営陣6人に絞り、検察審査会に審査申し立てをした結果、2014年7月、検察審査会は勝俣恒久元会長ら3人を「起訴すべき」と議決。2015年1月に東京地検は改めて3人を不起訴処分にした。
これに対し検察審査会は2015年7月、3人を「起訴すべき」と2回目の議決を行い、翌8月に裁判所は久保内浩嗣弁護士ら指定弁護士を選任。2016年2月、指定弁護士は3人を業務上過失致死傷罪で起訴し、2017年6月、東京地裁で初公判が開かれ、2019年9月に旧経営陣3人全員に無罪判決が下された。
判決を受けて、久保内弁護士らは2019年9月に控訴を決定し、無罪判決から約2年後の2021年11月、第一回公判が開かれた。
海渡弁護士は、「東京高裁は証人尋問と現場検証をすべき」と主張し、一般論として「刑事事件の控訴審では新たな証拠調べは行わない」としながらも、最高裁に係属している4つの民事訴訟では、3対1で国が負けていること、東京地裁で7月に東電株主代表訴訟の判決が控えており、高裁は証拠調べも現場検証も行わないで判決を出すことに慎重なはずであることを指摘し、「市民とメディアの声が強ければ、裁判所は証拠調べをするだろう」と抱負を語った。
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