2022年8月23日、午後1時30分より、東京都千代田区の司法記者クラブにて、「311子ども甲状腺がん裁判事務局」の主催により、「311子ども甲状腺がん裁判」署名提出後の記者会見が開催された。
福島第一原発事故により、大量放出された放射線によって被曝し、甲状腺がんを発症した若者ら6人が、東京電力に損害賠償と救済を求める「311子ども甲状腺がん裁判」は、来月9月7日に第2回口頭弁論を迎える。
それに先立ち、「原告本人の意見陳述」と「大法廷での裁判」を求める署名を提出することになった。このたびは、その報告のための記者会見である。
会見冒頭、弁護団・事務局長の北村賢二郎 弁護士は、署名提出の経緯を以下のように説明した。
「我々弁護団も、法廷の中では、『原告本人の意見陳述を聞いて欲しい』というのは、もう初回から伝えていることです。
この問題は、被害者本人、原告本人の苦しみ、どういう思いをしてきたのかということは、本人の声を直接聞くのが、我々としては、極めて重要なことだと考えています。(中略)
我々弁護団とは別に、原告とその支援団体の皆さまが呼びかけをして、今回、『原告本人の意見陳述』と『大法廷での裁判』を求める署名が、全部で6395筆(※)、集まりました。今日これを提出しに行く予定です。
- 311子ども甲状腺がん裁判の原告全員の「意見陳述」と「大法廷」での弁論を求めます!(change.org)
『大法廷』というものも、第1回目の弁論については、112席ある法廷で裁判が行われました。この『311子ども甲状腺がん裁判』は社会的にも非常に関心が高いものなんですけれども、第2回以降は52席の806号法廷で行われる予定です。
で、弁護団・原告としても、やはり、できるだけ多くの方に関心をもっていただく必要があるし、メディアの方にも聞いてもらいたいので、『大法廷での裁判』も求めていくところです」。
北村弁護士の報告を受けて、会見に出席した原告(原告3)の女性が今回の署名活動についてコメントした。
「このたびはお集まりいただき、ありがとうございました。北村弁護士から説明があったように、『大法廷での原告全員の意見陳述』を認める署名を集めています。
原告6人それぞれが、自分の言葉、そして声で、裁判官にしっかりと気持ちを伝えたいというふうに願っています。原告6人の被害の実情は、本当にそれぞれあります。
大学をあきらめたりとか、仕事をあきらめたり、夢をあきらめたりしている子たちもたくさんいます。
そして、再発したり、転移をして、今もなお苦しんでいる人たちがたくさんいます。
なので、この署名に参加してくださった人たちの力を借りて、大法廷での意見陳述をお願いしたいと思っております」。
原告女性は、質疑応答の中でも、次のように発言した。
「この裁判に参加する頃は、自分の辛かった経験だったりとか気持ちを他の人に話すことはほとんどない状況でした。
で、最初、原告6人と顔を合わせてから、期日までの2カ月の間で、その間でも原告同士で自分の苦しかった話だとか、つらい気持ちを話すことは正直なかった状況でした。
ですが、今回、原告2番さんの意見陳述を2カ月かけて原告2番さんが自分の苦しみとしっかり向き合って言葉にして、今回裁判官に直接声を届けたことをきっかけに、同じような境遇の人たちの気持ちを知ることができて、原告同士も自分の気持ちを語れるようになってきました。そういうことがありました」。
裁判の今後の日程については以下のとおり。
・第2回口頭弁論 2022年9月7日(水)14:00~ 東京地裁
(日比谷コンベンションセンター大ホールで報告集会[予定])
・第3回口頭弁論 2022年11月9日(水)11:30~ 東京地裁
・第4回口頭弁論 2023年1月25日(水)11:30~ 東京地裁
記者会見の詳細についてはぜひ、全編動画をご視聴ください。