都合の悪い地震動を採用しない規制庁に異議〜川内原発の耐震に関する政府交渉 2014.7.29

記事公開日:2014.7.31取材地: テキスト動画
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(IWJ・ぎぎまき)

 九州電力川内原発1、2号機の新規制基準適合性審査を優先的に進めてきた原子力規制委員会は7月16日、2基が新規制基準に適合しているとする審査書案を発表した。しかし、火山リスクや事故時の避難計画、1号機の高経年化など、川内原発が抱える課題はいまだ山積みだ。事実上の「合格」を与えた規制委の判断は「拙速すぎる」と、専門家や市民の間では批判の声が上がっている。

 規制委が川内原発の審査を優先した背景には、九電が基準地震動を540ガルから620ガルに引き上げ、安全対策への取り組みを積極的にアピールしたことにあったと、毎日新聞が報じていた。

■ハイライト

1340ガルを採用すれば川内原発は動かせない

 基準地震動を引き上げれば耐震化工事を要するため、消極的な電力会社が多いというが、その点で確かに九電の対応は評価に値するかもしれない。しかし、一方で620ガルは過小評価しすぎではないかと指摘するのは、大阪府立大学名誉教授の長沢啓行氏だ。

 「原子力安全基盤機構(JNES)は1340ガルという報告書を出している。なぜこれを無視するのか」

 長沢教授始め、若狭連帯行動ネットワークなどからなる市民団体は7月29日、原子力規制委および規制庁と政府交渉を行ない、過小評価した基準地震動を承認した規制庁の無責任さについて問いただした。

 基準地震動はどのように算定されるのか。方法は2つある。「敷地ごとに震源を特定して策定する地震動」と「震源を特定せず策定する地震動」をそれぞれ策定し、それに基づき、各サイトごとの基準地震動を導きだすのである。川内原発1、2号機に適応された620ガルという数値は、サイトの特性を鑑み、2004年の北海道留萌支庁南部地震をベースにしたものだ。

 しかし、JNESが2003年に出した報告書では、「震源を特定せず策定する地震動」において、1340ガルという数値を起こりうる地震動として算定しているのだ。JNESは2014年3月、原子力規制庁と統合した。JNESの報告書は今、規制庁の内部資料にあたり、新規制基準の審査ガイドでもJNESの報告書を参照するよう求めているという。

 しかし、規制委は今回、この数値を取り入れなかった。何故か。もし、1340ガルを取り入れた場合、耐震性の許容範囲を大きく上回り、川内原発を動かすことはできない。「都合の悪い報告書だから無視したのではないか」、市民側の厳しい追及は続いた。

 長沢教授「なぜ、自分たちの足元にある報告書を取り入れないのか。大きな地震が起きるまで放置して、起こってしまってすみませんでしたと謝るのか。福島の教訓はどこへいった」

 規制庁・渡辺氏「JNESのこの報告書は、ハザードスペクトルを出すために研究したものであり、これをそのまま川内原発に当てはめることができるのか。今後、地震学も進んでいき、記録も蓄積されていく。そうした結果を踏まえ、新しい知見が出れば、どんどん見直していくつもりだ」

 長沢教授「『新しい』知見ではない。すでにある知見をあなたたちは無視しようとしている。それを知りながら無視するという態度なのか」

過去10年で5回、予想を上回る地震が発生

 交渉に参加した社民党の福島みずほ参議院議員は、福井地裁が5月に出した大飯原発の差し止め判決について触れた。

(…会員ページにつづく)

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