米軍による奪還はありえない――矢野絢也・元公明党委員長、安倍政権が想定する集団的自衛権の事例に苦言 2014.6.17

記事公開日:2014.6.20取材地: テキスト動画
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(IWJ・松井信篤)

 元公明党委員長を務めた矢野絢也氏を迎えて、6月17日(火)、村上正邦事務所で勉強会が行われた。矢野氏は冒頭、現在の安倍政権について「前の政権と比べれば天地雲泥の差」だと述べ、安倍政権に一定の評価をしていることを明かした。また、政策の良し悪しより前に、政局の安定がカギとなっており、「民意が反映された結果でなるようになってきている」と説明した。

■ハイライト

  • タイトル****
  • 日時 2014年6月17日(火)
  • 場所 村上正邦事務所(東京都内)

同盟の持つジレンマ

 集団的自衛権について、矢野氏は、「同盟国の敵を我が敵とするのが同盟の歴史、常識であって、仮想敵国が存在して同盟は成り立つ」という。しかし、同盟の持つジレンマが存在しており、「強国に巻き込まれる弱国」「弱国は強国に捨てられる」といった両立しない間を、座標軸を変えながら運営していくのが同盟のあるべき姿だと持論を展開した。アメリカが期待する集団的自衛権の行使があるとすれば、広大な海域における哨戒、連携であると矢野氏は考えているという。

アメリカ軍による奪還はありえない

 尖閣諸島について、オバマ米大統領が来日した際、「尖閣は日米安保条約の適応内である」と発言しているが、矢野氏は、日本の主権内の出来事であるから、集団的自衛権の問題ではないと断った上で、「中国漁船に尖閣を占拠された場合に、アメリカ軍が取り返しに行ってくれることは100%ありえない」と述べた。

 この状況を変えるには、「日本の自衛隊がどうするか?」であると矢野氏は指摘。安保条約の範囲内というのは、「抑止力としては意味があるが、実際に(有事に)遭遇したら、あてにするほうが間違っている」と語った。

 一方、南シナ海、ペルシャ湾、シーレーン全域において、日本に何が期待されているかについて、具体的な取り決めをするのは、窮屈だという持論も展開した。

政教一致ではない

 公明党と創価学会の関係については、政府の法制局見解によれば、政教一致ではないと認識されている。矢野氏は「政教一致とは、政治を通じて特定宗教が特定教義を押し付けること」だと述べ、創価学会の名誉会長である池田大作氏の発言を次のように紹介した。

 「1970年に池田大作氏は、『国立戒壇は考えません。政教分離します』と言ってるわけですから、今の学会と公明党の関係は、特定教義による国家支配という政教一致でも何でもない」

 宗教団体が選挙運動をすることについて、不満を示す人々は、宗教の名における政治活動の自由への差別だと矢野氏は考えている。なお、矢野氏自身は、2008年に創価学会を退会しているという。

自民党と公明党の関係

 自公連立については、安定しており、持続性があることから、「絶対に崩してはならない」と矢野氏は言う。

 6月10日、飯島勲内閣官房参与がワシントンで、「内閣によって法制局の答弁を一気に変えた場合、政教一致ということが出てきてもおかしくない」と、公明党を牽制する発言をしている。「なぜ安倍首相は解釈改憲による集団的自衛権の行使を容認する閣議決定を急いでいるのか?」という質問に、矢野氏は、「推測でしかない」と前置きした上で、「極めて意味深長だなとは思いますけど、それが安倍首相と連動しているかは分からない。公明党は与党の良きバランサーになっていて、自民党ですら創価学会の票がなければ選挙にならない欠陥的状況だ」と述べた。

これに対し、村上氏からは「自民党と公明党のどちらかが得するとか、損するとかではなく、別れられない状況にあるのだけは確か」との指摘があった。12月に行われる沖縄県知事選挙において、「自公の話がまとまらなければ、完璧に自民党は大惨敗する」と矢野氏が断言したことには、村上氏も同意した。

日米安保条約の調印時に・・・

 主催の村上正邦氏は、集団的自衛権を認めるというのは、日本の歴史的転換であるから憲法を改正するべきと主張し、「一内閣で、憲法の拡大解釈を安倍政権がやるのはとんでもない」と述べた。

 同席していた元衆議院議員で弁護士の早川忠孝氏は、集団的自衛権は攻撃することを制度化し、攻撃しても国際的に批判されない立場になることであって、「自衛権をいかにも権利と思い込んで、集団的自衛権があるから行使しようという発想がおかしい」と安倍政権を批判した。

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