【大義なき解散総選挙11】岩上安身が元米国防総省高官モートン・ハルペリン氏に緊急単独インタビュー「米国政府は安倍政権に懸念を抱いている」 2014.5.8

記事公開日:2014.5.8地域: テキスト 動画 独自
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(記事・佐々木隼也、記事構成・岩上安身)

 「21世紀に民主政府によって検討された秘密保護法の中で最悪なものだ」――。

 昨年末、安倍政権が国会で強行採決した「特定秘密保護法」について、痛烈に批判し話題となったモートン・ハルペリン元米NSC(国家安全保障会議)高官が、2014年5月8日に来日。岩上安身の緊急単独インタビューに応じた。

 ハルペリン氏は米国防総省の高官時代、1966年から69年にかけて沖縄返還交渉に関わり、核密約などで日本側との交渉にあたった、外交安全保障の専門家である。ハルペリン氏はまた、情報公開と安全保障のバランスを定めた国際指針「ツワネ原則」作成に関わった、キーパーソンの一人でもある。

 そんなハルペリン氏に岩上安身は、秘密保護法制定への「米国の関与」の有無、この法律を急いだ安倍政権の狙いと、そうした姿勢に対する米国の懸念、そして、日本と米国を含む民主主義国家が果たすべき情報公開の「責任」について、話を聞いた。

■イントロ

  • 日時 2014年5月8日(木)
  • 場所 衆議院第一議員会館(東京都千代田区)

米国の関与を超えた秘密保護法「安倍政権の独自の目的」

 秘密保護法の議論では、しばしば「米国の圧力」が持ちだされた。

 安倍政権は昨年末の国会審議でも、しばしば「台頭する中国の脅威」論を喧伝したが、それと対をなすかたちで「不朽の日米同盟」の必要性を訴え、この法律を正当化した。事実、この法律の審議前である昨年10月3日、ケリー米国務長官とヘーゲル米国防長官が来日し、岸田外務大臣と小野寺防衛大臣と会談し、「情報保全を一層確実なものとするための法的枠組みの構築における、日本の真剣な取組を歓迎する」と記された共同文書を発表している。

 ハルペリン氏は「確かに、米国政府内では厳しい秘密保護法制を作って欲しいと言っていた人間はいただろう」と、この法律制定への米国の関与について認めた。しかし、「今回制定された秘密保護法は広範囲。必要な秘密保護法はもっと狭い範囲に秘密を特定するものだ」と語り、この法律が米国の意図しないものへ変質したことを明かした。ハルペリン氏はそれを踏まえ、「日本は、何か独自の目的があってこのような法律の制定を急いだのだろう」と指摘した。

 岩上安身は、安倍政権が法律制定を急いだ狙いについて、日本で喧伝されている「中国の脅威」が背景にあるかを聞いたが、ハルペリン氏は、「オバマ政権はより多く情報を秘密の対象にしている。報道にも強い規制をかけたい。どんな政権でもできるだけ多くの事柄を特定秘密にしたいのは当然だと思います」とだけ語った。

「ツワネ原則」の検証なしの法律制定は「何が民主的政府かを理解していない」

 ハルペリン氏は自身が作成に関わった「ツワネ原則」について、「こうあるべきという理想と、すでに民主主義国家に存在する法律の両方を併せ持つもの」と説明した。

 安倍総理はこのツワネ原則について、昨年11月20日の参議院質疑で「特定の民間団体が示した一つの参考意見にすぎない」と一蹴し、その後はこの原則について無視し続けた。

 この安倍総理の発言について、ハルペリン氏は、「『市民社会を抜き取る』と表明する民主的政府は、何が民主的政府なのかを理解していない」と批判。この原則を利用し、実行している国が多くあることを紹介し、「まずそうした国の法律を検証すべき義務がある。その検証のうえで、今回の法律制定云々だったら理屈は通るが、検証なしに最初から無視するというのは、民主主義において『知る権利』と国家の秘密保護のバランスは取れない」と指摘した。

「21世紀最悪」の法律の問題点

 昨年12月、ハルペリン氏が上級顧問を務める「オープン・ガバメント・ソサエティ財団」は、日本の特定秘密保護法について、「21世紀に民主的政府によって検討された秘密保護法の中で最悪なものだ」と痛烈に批判した。ちなみに、この「オープン・ガバメント財団」は、オバマ大統領の肝入りで作られた財団である。加盟資格があるのは、各国の政府。現在60カ国が加盟しているが、日本政府は未加盟であるという。

 「21世紀最悪」とまで言わしめるこの法律の問題点とは何なのか。ハルペリン氏は「まず政府職員以外の一般人への罰則があるところ」「一般市民が信頼できる第三者機関がないこと」「情報が特定秘密に指定されるプロセスが曖昧であること」などを挙げた。

西山事件で「密約」を隠したかったのは「米国ではなく日本政府」

 日本において、情報公開(国家機密の漏えい)が裁かれた有名な事例として「西山事件」がある。当時毎日新聞記者だった西山太吉氏が、1971年の沖縄返還協定に際し、米国が支払うことになっていた地権者への400万ドルを、実際には日本が肩代わりするという「密約」を西山氏がつかみ、日本社会党議員に漏洩したというものだ。西山氏は一審判決で無罪を勝ち取るものの、最高裁で有罪が確定した。

 当時この密約の交渉に関わったハルペリン氏は、「日本政府からの基地負担の支払い(肩代わり)を隠したかったのは米国政府ではない」と断言した。

 ハルペリン氏は、日本政府がこの密約を秘密にしたがった理由について、「安全保障上の問題ではなく、それが明らかになった時に国民から批判されるのを恐れたため」と指摘した。

 この密約については、2000年にこれを裏付ける米国の公文書が見つかり、2010年3月12日、当時の岡田克也外相が政府として初めてその存在を認めた。

 「日本政府は『米国のせいで秘密にしている』という言い訳を多用しているように思うが」、という岩上の問いかけに対し、ハルペリン氏は「秘密保護法は日本政府が必要だと考えたから制定を急いだのでしょう。これまでも米国にとってより必要だと思うことを、いくつも拒否してきたにも関わらず。この法律は日本が責任を持たなければならないことだ」と語った。

米国政府で非常に多くの人間が安倍政権の「歴史修正主義」と「右傾化」に懸念を抱いている

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2件のコメント “【大義なき解散総選挙11】岩上安身が元米国防総省高官モートン・ハルペリン氏に緊急単独インタビュー「米国政府は安倍政権に懸念を抱いている」

  1. 1.ツワネ原則を遵守する新政権を樹立する,秘密保護法は廃案とし一票の格差を徹底是正し沖縄の基地を縮小する
    2.政権担当者は与党,野党を問わない
    3.中国,韓国近隣諸国の失った信用を回復し、天然ガスなど代替エネルギー源を検討する
    4.現在の安倍政権はすべて辞職し,全体主義者が二度と政府閣僚になることのないよう法的整備をおこなう
    1から4については終戦70周年の2015年までに完了する
    といいな。

  2. モートン・ハルペリン氏の講演及びインタビューの配信ありがとうございます。
    特定秘密保護法の制定に関して、米国からの強引な圧力はなかった。このことも日本政府は歪めてきたのですね。

    国民への監視を強化する一方で、政府の情報はさらに秘密にしていく。おかしなやり方です。
    311の過ちを繰り返さないためにやるべきこととは、真逆。
    ツワネ原則は官製犯罪を未然に防ぐ手立てにもなりそうなのに。

    ハルペリン氏への岩上さんのインタビューは、内容を理解するには私の頭では追いつきません。
    かつて米国がフセイン政権に要求したことのように聞こえもしますし。
    ウクライナの問題のようにご解説頂けるとありがたいです。

    ひとまず、明日は母の日なのでカリフラワー食べましょう。

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