金融庁によると、2025年12月末時点で、NISAの口座は、2821万口座に達した。今や、日本の成人人口の約3割が、NISA口座を保有していることになる。
「非常に激しい動き」だと述べた植草氏は、以下のような見方を示した。
「一番の理由は、『非課税』です。税のところを左右すると、世の中は動いてしまうわけです。
税というのは、本当は、簡素で公正公平でなければいけないんです。じゃあ、なぜ、この少額投資だけを非課税にするのか、といえば、それには裏があるわけです。
音頭を取っている金融庁の下には、証券会社、銀行、投資信託会社がありますよね。外資系の金融機関もある。一方で、産業界としては、必要とする資金を安定的に調達をしたい。
そこに税という餌をばらまけば、大量に人々が群がってくる。『投資の学校』を作れば、新たなビジネスも成り立ちます。
金融庁主導で、新たな、巨大な利権を作り出しているというこの側面は、見落とすことはできないですね」。
その一方で、植草氏は、「国民の視点からすれば、税で恩典があるのなら、それは利用しない手はない」とも指摘している。
続いて植草氏は、「投資信託とはどのような商品か」「投資信託の種類」などを説明した上で、次のように述べた。
「一番大事なことは、金融変動というのは特定されていくわけです。これから金利が上がるのか、金利が下がるのか、株が上がるのか、株が下がるのか。
株が上がるといっても、どのセクターの株が上がって、どのセクターの株が下がるのか。最近の日本の株式市場では、AI半導体は世界的に大暴騰したんですが、それ以外は、どちらかというと下落していたんです。最高値をつけた6月22日以降は、むしろAI半導体は下がり、その他がちょっと上がり始めています。日本の株式市場を、AI半導体市場とその他市場との2つに分けて見る必要があります。
そういう意味で、どのセクターが動くのか。金利は、上がる局面なのか、下がる局面なのか。不動産は、どうなるのか。
それを予測して、(購入する投資信託の種類を)選択しないと、天国と地獄になります。
ですから、そういうことを何も考えたくない人は、バランス型という、いろんなものを組み込んだ投資信託を選べばいい訳です。
ただ、いろんなものを組み込むと、利益と損とがありますから、だいたいゼロになるんじゃないかと考えられます
ですから、そこは安易に選ぶと、たまたま運良く大きなリターンが生まれる場合もあれば、期待に反して、『何でこんな、NISAで得するはずが、損した』みたいな話になると思います」。
また、証券口座は、証券会社によって、売買や保有にかかる各種手数料に開きがあることから、植草氏は「そんなに値上がりしないものであれば、高い信託報酬手数料が取られる場合は、それで(利益が)消えます。逆にマイナスになっちゃうこともあります」と注意をうながし、証券会社の広告や商品に書かれている細かい注意書きまで、「目を皿のようにして見る必要がある」と、強調した。
他方で、NISAのマイナス面について、植草氏は、次のように解説した。
「これ(通常の証券取引口座で投資した場合は、売却した利益や分配金に対して、原則20.315%が課税されるところ、NISAで購入した対象商品であれば、売却益や分配金は非課税)こそ、まさに、NISAのメリットなんです。金融分離課税が免除される。これで、みんな、集まってきているわけです。
ただ、気を付けなければいけないのは、これはあくまで、利益が出た場合の話です。損の場合は、関係ないですからね」。
NISAでは、非課税保有限度額が、年間最大360万円(積立投資枠120万円+成長投資枠240万円)、生涯1800万円と決められている。
これについても、植草氏は、「投資信託でも、下落するものもあれば、上がるものもあるので、下落した場合は、まったく関係ないですからね。利益が出た時に、利益の一部が税金で取られるのがなくなるだけなので、損した人には無関係の制度」だと、繰り返した。
最後に植草氏は、NISAについて「基本的には、短期売買を前提にした制度ではない」と指摘し、次のように語った。
「長期で考えた時に難しいのは、あらゆる金融商品が、総じて右肩上がりの局面では、何のトラブルも起きませんから、全員ハッピーなんです。
けど、そういう時代が13年半続いて、いよいよちょっと転換点というか、潮流変化の局面に差し掛かってきています。(中略)
私が提唱しているのは、むしろ、個別株式の短期の売買を積み重ねた方がいい、ということです」。
■【2】エッセンス版


































