岩上安身は2026年9月22日、拓殖大学海外事情研究所教授でジャーナリストの富坂聰氏にインタビューを行った。
富坂氏は、今年5月29日に小学館より『おそるべき「中国一強」時代』を上梓した。
インタビューでは、「戦争をしない大国」である中国が、いかにして最先端の科学技術を急激に発展させているのかを、富坂氏に詳しく解説していただいた。
9月24日、ワシントンで米中首脳会談が行われた。これに先立ち、9月23日には、トランプ大統領自らが、ワシントン近郊のアンドルーズ空軍基地に出向き、レッドカーペットを敷いて、習近平国家主席を出迎えた。
外国首脳が訪米した際には、国務長官などの閣僚が空港に出迎え、大統領はホワイトハウスで待つのが通例であるため、今回、トランプ大統領が習近平主席を空軍基地で出迎えたことは、異例の厚遇として報じられている。
この点について富坂氏は、次のように解説した。
「外交儀礼上の答礼ということですが、(今年5月にトランプ大統領が訪中した際には)習近平主席は、空港まで出迎えるということはやっていません。
ですからこれは、メディアも驚く歓待ぶりだということになります。国賓として迎える段階も非常に高いので、現地では大騒ぎになっているということですね。
この歓待ぶりというのが、結局、今の米中関係をすごく表している、ということになるんです」。
一方、泥沼化するイラン戦争について、米外交誌『フォーリン・ポリシー」が9月12日付で、「イラン戦争を終わらせることができるのは、中国、インド、ロシアだけ」という論考記事を掲載した。
- Only China, India, and Russia Can End the Iran War(Foreign Policy、2026年9月12日)
https://foreignpolicy.com/2026/09/15/only-china-india-and-russia-can-end-the-iran-war/
富坂氏は、「その中でも、キープレイヤーは、どう考えても中国になる」と述べた。
岩上安身が「ロシアやイランをこれだけ敵視しておきながら、その背後にいる中国をこれだけ歓待するというのは、いかがなものなのか」と疑問を呈すると、富坂氏は「(トランプ大統領は)利益に対する嗅覚が働く」と、以下のような考えを示した。
「大統領の頭の中にあるのは、自分が大統領でい続けることだと思いますから、そういう意味では有権者しか見ていないわけですよね。
有権者に対して自分をアピールするためにも、中国というのは不可欠です。
日本の視点で米中対立というものを見ると、何か決着をつけなきゃいけない両雄みたいな言い方をしますが、アメリカは、何が何でも決着をつけるということではなくて、自国にどう利益をもってくるか、ということを考えている。
そこが(日本人には)ちょっと見えていない感じがあるんです」。
その上で富坂氏は、「アメリカがどういう利益を欲しがっているか、中国はよくわかっている」「トランプのツールである関税や輸出規制は、中国にはもう効かないことがわかっている」から、「中国は泰然自若としていられる」のだと指摘した。
富坂氏は、自著の中で、コロンビア大学のアダム・トゥース教授の「中国は今日の国際舞台において、残された唯一の『大人』だという言葉を耳にする」という発言を紹介し、「国際社会の期待は、安定感のある中国に集まっている」と論じている。
富坂氏は、「日本では、中国は怖いというイメージが作られていますが、どこに対して戦争をやっていますか?」と問いかけ、次のように語った。
「中国は、実は戦争とは非常に遠い国。なぜかというと、自国を発展させるということを非常に重視しているからです。
トップは、発展したいというプレッシャーにいつもさらされ、国民もおとなしい人達じゃないので、国民を食わせるという要求に応えようとすると、よほどのことがない限り、戦争という選択は、相当遠い話なんです」。
富坂氏は、「静かに(中国と)ビジネスをしたい人達は、実は中国に日参しているんです」と明らかにし、こう続けた。
「イラン戦争の真っ只中に、世界のCEOは、北京に集まっているわけです。
これが、彼(アダム・トゥース教授)が言っている、つまり唯一、そういうことができる場所が、今、中国なんだということです。だから、『大人』だと表現している。
ただ、そう言われても、今の(プロパガンダで洗脳された)日本人には、たぶん受け付けられないんじゃないでしょうか」。
米中首脳会談に先駆けて行われた高市総理との日米首脳会談について、富坂氏は「そんなものは、何か大勢に影響を与えるものではない」と指摘し、「それよりも、メインディッシュの24日の米中首脳会談が、どういう方向に向かうのかというのを、日本人は受け入れ難くても、ちゃんと見ていくしかない」のだと強調した。
■【3】エッセンス版






























