2025年5月13日午前9時30分より、東京都千代田区の財務省にて、加藤勝信財務大臣兼内閣府特命担当大臣(金融)の記者会見が開催された。
会見冒頭、加藤大臣からの報告事項はなく、そのまま各社記者と加藤大臣の質疑応答となった。
他社記者からは、森友学園の関連文書廃棄をめぐる問題、カナダ西部バンフで20日から開催予定のG7財務相・中銀総裁会議、米中の関税交渉、「財務省から中国政府に対して資本規制の緩和を要請した」という報道についての質問があった。
IWJ記者は、証券口座のインターネット取引サービスにおける不正アクセス・不正取引について、以下の通り質問した。
IWJ記者「証券会社の顧客口座への不正アクセスについて、質問します。
金融庁の発表によると、2025年1月から4月にかけて、証券会社の顧客口座への不正アクセスにより、6380件の口座乗っ取り、3505件の不正取引件が発生しており、取引金額は売却約1612億円、買付約1437億円にのぼっています。
日本政府は岸田政権以来、新NISAなど、国民に対して金融投資を大々的に奨励してきましたが、その結果、アマチュアレベルの個人投資家が急増し、詐欺集団のカモになっている可能性があると思われます。
この問題をめぐって、日本証券業協会と加盟10社が、約款に関わらず『一定』の被害補償をする方針を発表していますが、国民に対し、大々的に金融投資を推奨してきた政府・金融庁として、早急に対策チームなどを発足するなどして、不正アクセスが、国外から、または国内からのものなのかなどを調査・捜査し、『不正アクセスを許さない』という強い態度で事態に臨むべきであり、それが監督官庁の責任ではないかと考えますが、大臣のお考えをお聞かせください」
この質問に対し、加藤大臣は以下の通り、答弁した。
加藤大臣「証券口座のインターネット取引サービスに関して、今、お話がありましたように、不正アクセス・不正取引による被害が急増しております。
金融庁としては、ウェブサイトにおいて 投資家の皆さんに向けた注意喚起を複数回にわたって行っております。
また、インターネット取引におけるセキュリティの強化、顧客被害の補償の問題に関する顧客に応じた対応をとるよう、業界団体や各証券会社に求めてきたところであり、業界団体、及び各証券会社においては、ログイン時の『多要素認証』の必須化に向けた取り組み、また、先日2日には、日本証券業協会と証券会社10社が、本件における顧客被害について、一定の補償を行う方針を申し合わせた旨の公表などを行っております。
加えて、東京証券取引所を傘下に持つ日本取引所グループ(JPX)においても、不正取引への監視を強化しているものと承知をしております。
金融サービスに対する信頼の維持は、金融取引の前提となるものであります。
金融庁としては、投資家の皆さんが安心して株式の取引ができるよう、本件については、金融庁長官直轄のもとで、部局横断的な対応に当たっているところでありますが、引き続き、関係省庁や業界団体、各証券会社、日本取引所グループ(JPX)とも緊密に連携し、不正アクセス・不正取引の被害を防止する、そういう強い決意で取り組んでいきたいと考えています」
会見内容の詳細については、全編動画を御覧いただきたい。