2025年1月24日午前9時45分頃より、東京都千代田区の総務省にて、村上誠一郎総務大臣の定例会見が行われた。
IWJ記者は、中居正広氏の女性問題をめぐるフジテレビの対応について、以下の通り質問した。
IWJ記者「フジ・メディア・ホールディングスの問題について質問します。
スポンサーなどの撤退により、フジ・メディア・ホールディングスが経営破綻に至れば、そこで働く人々は言うまでもなく、産経新聞などのグループ企業全体が大打撃を受け、また、出資を受けている地方メディアにも波及します。
総務省として、今後、フジ・メディア・ホールディングスを具体的にどのように指導・監督し、立て直していくのか。例えば、政府が救済案を提案することはあるのか、それとも潰れるに任せるのか。
また、山田真貴子氏や山川鉃郎(てつお)氏などの大物総務官僚が天下りしてきたフジ・メディア・ホールディングスに対して、『天下り先確保のために総務省の対応が甘くなっている』などの懸念について、具体的にどのように対応なされていく予定でしょうか?」
村上総務大臣は次のように答弁した。
村上大臣「昨日(1月23日)の第三者委員会の設置が決定されたことを受けて、同日、情報流通行政局長から、フジテレビ及びフジ・メディア・ホールディングスの嘉納代表取締役会長に対して、第三者委員会において早期に調査を進め、その結果を踏まえ、適切に判断、対応していただきたい旨を要請いたしました。
コマーシャルの差止めが相次いでいる事態は、広告によって成り立つ民間放送事業の存立基盤に影響を与えかねないばかりか、放送に対する国民の信頼を損ないかねない事態であると認識しております。
今後、具体的な調査が第三者委員会において行われるものと承知しておりますが、早急に事実関係が明らかにされ、視聴者やスポンサーの信頼が回復されることが必要だと考えております。
また、国家公務員の再就職に関しては、公務の公正性とそれに対する国民の信頼を確保することが重要であり、総務省としましても、職員の斡旋等を禁じた再就職規制の遵守を徹底しております。
御指摘の元総務省職員の再就職については、同社が自らの判断で採用したものと理解しております。府省庁が企業等を斡旋し再就職させる、いわゆる天下りという事実はありません。
今後も引き続き、法に則り、放送行政を適切に担ってまいりたいと考えております」。
上記のように、IWJが質問し、村上誠一郎総務大臣が、「天下りはない」と断言した発言が、多くの人々の反発を招き、SNSや『ヤフーニュース』コメント欄に怒りのコメントがあふれ、炎上している。
1月24日付『ヤフーニュース』は、総務官僚のフジ・メディア・ホールディングスへの天下りの事実に対するIWJ記者の質問を次のようにまとめて、短く報じている。
「総務官僚がフジテレビへの“天下り先”を確保するために対応が甘くなっているのではないか、という指摘には『国家公務員の再就職に関しては、公務の公正性とそれに対する国民の信頼を確保することが重要であり、総務省としても、職員の斡旋等を禁じた再就職規制の遵守を徹底している。総務省職員の再就職については、同社が自らの判断で採用したものと理解している。府省庁が企業等に斡旋し再就職させるいわゆる天下りという事実はない。今後も引き続き、法に則り、放送行政を適切に担って参りたい』と答えた」。
- 村上総務大臣「天下りという事実はない」「総務省職員の再就職については、フジテレビが自らの判断で採用した」 フジ第三者委員会設置の決定を受けコメント(Yahoo!ニュース、2025年1月25日)
この記事は、一時、『ヤフーニュース』のヘッドラインに表示され、多くの注目を集めた。
「ヤフコメ」の数も、25日6時0分時点で、3507件にも及んでいる。
『ヤフーニュース』のAIは、これらのコメントを分析・要約して、次の2つの論点にまとめている。
・フジテレビと総務省の関係について、天下り問題が存在すると感じています。
・規制や行政による認可監督が多い業界では天下りが必然的に発生するという意見もあります。
AIが要約した通り、これが、村上大臣の「府省庁が企業等に斡旋し再就職させるいわゆる天下りという事実はない」というコメントに対する、多くの市民の反応なのである。「天下りがない」という村上大臣の断定的な発言に同意したり、納得したりする声はほとんどない。
具体的にどのようなコメントがあったか、以下、いくつか引用する。
「フジテレビの問題と総務省の関与について、個人的には疑念が拭えません。
総務省がフジテレビへの天下りを完全に否定していますが、実際には再就職規制の抜け穴が存在するのではないかと感じます。
フジテレビの問題が深刻化する中で、総務省の対応が甘いようにも見え、放送業界全体の信頼性が問われている現状では、もっと透明で厳格な調査と対応が必要だと思います」。
「そもそもなのですが、監督される企業が監督官庁のOBを採用している時点で利益相反になるのではないでしょうか?
企業が自主的に採用したという主張ですが、OBは監督官庁の手の内を熟知しており、監督官庁への影響力があるからこそ、企業は採用するのではないでしょうか?
斡旋の有無に関わらず、利害関係企業への再就職は不可とすべきではないでしょうか?」
「結局、総務相の話しを聞いても、これに限らず天下り事実が他で見られるし、話しを聞いてあ、そうですね。と言う国民はいかほどいるのだろうか?
裏金問題にしろ、天下りにしろ、政治資金の不記載にしろ、今回の問題にしろ、解釈を自分らの言いように変えたら全て問題ありませんの判断になるんでしょう。
フジテレビもこのような問題が出ていて、天下りなんてありませんって言えるわけがない。
国は絶対に認めないも想定内、フジテレビ側が次の出直し会見でオープンにするとおっしゃるので聞いてみようとは」
「監督省庁から支配下の企業との間に人事的な流れがあってはならない。
個人として企業に再就職というのもあってはならない。
特に公務員と大手メディアなどはどのような形でも絶対にダメだ。
必ず癒着が生まれ、自らの既得権で利益を得る構図が出来る。
いままさにそれが横行しているのが法を逃れた天下りの実体である。
日本で一番天下り機関を持つのは警察組織。
今では国際勝共連合統一教会とも癒着構造を持つ。
公務員の多くが定年前に肩をたたかれ成績如何で良い天下り先を紹介される。
それは今でも平然と行われており、企業側はそれにより補助事業など一定数の公共事業を獲得する。
私のいたところも1人の天下りに対しての金額確約まで受けていましたから。
で、顧問や相談役とかいうポストで一日新聞見たりネット見たりして何もしないで定時で帰るw
まあ日本のこの制度があり、今の日本の体たらくがあるのは間違いない」。
「実際に、総務省退職後にフジテレビに就職しているので、いくらフジテレビの独自の判断で採用と言っても、国民は納得しないでしょう、フジテレビの会計も、国民の一般常識もかけ離れた内容で、フジテレビ職員からも指摘が有りましたが、官民共に上層部の感覚が随分と常識から離れている事は、否めない」。
「天下り先でないと言うのであれば総務省は忖度無しでフジテレビに対して厳しく罰して欲しいね。
今のままだとフジテレビは間違いなく放送免許の更新は無理だろうし、その前に放送免許が剥奪されてもおかしくない状況なんだから。
国民の財産でもある公共の電波を使ってる以上はきちんとしてくれないとスポンサーや株主だけでなく日本国民も納得しない」。
他方、Xでも、村上大臣の「天下りという事実はない」という記者会見での発言に対して多くの人がポストしている。
「知らなかった!
それを天下りというのだと思ってた!
へー! そうしたら天下りはゼロになりますね」。
紀藤正樹弁護士は、Xにこうポストした。
「重要報道。
フジテレビと疑惑が持たれている社外取締役 山田真貴子氏の説明が必要です。
接待された側が接待する側に就職することも問題があり丁寧な説明が求められる。
村上総務大臣『天下りという事実はない』『総務省職員の再就職についてはフジテレビが自らの判断で採用した』」。
「村上総務大臣『天下りという事実はない』『総務省職員の再就職については、フジテレビが自らの判断で採用した』(ABEMA TIMES)
それを天下りと言うんだよ」。
※@shop_kakiko(2025年1月24日)
立憲民主党の小沢一郎衆議院議員は、こうポストした。
「村上総務大臣『天下りという事実はない』『総務省職員の再就職についてはフジテレビが自らの判断で採用した』
誰がどう見ても200%天下り。
この人物がかつては一番批判していた権力の癒着。
政治家はこうあってはならないという最たる例。
大臣どころか政治家の資格すらない」。
「一般職員ならまだしも
いや、これで天下りじゃないは馬鹿にしてるだろ。
合法だからいいですじゃねえんだよ。
こう言う事を許すから腐敗し放題になるんだわ
村上総務大臣『天下りという事実はない』『総務省職員の再就職については、フジテレビが自らの判断で採用した』フジ第三者委員会設置の決定を受けコメント(ABEMA TIMES)」。
- @beYuMfreei5Qa(2025年1月24日)
このように、Xのユーザーの多くが、フジテレビに総務省の元キャリア官僚が高待遇で再就職している現実について、それを「天下り」というのだと断言しており、村上大臣の「天下りではない」という認識との間には、大きな溝がある。
この調子では、総務省が、フジ・メディア・ホールディングスを適正に指導監督することなど、到底、期待できない。