外資規制違反で処分されるのはなぜ東北新社だけ!? 地上波キー局は外資規制をオーバーしてもなぜとがめられない!? IWJは総務省、日本テレビ、フジテレビに直撃取材! 「李下に冠を正さず」との姿勢はどこに!? 2021.4.4

記事公開日:2021.4.4 テキスト
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(取材、文・尾内達也 文責・岩上安身)

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 総務省は、3月26日付で、株式会社東北新社メディアサービスに対する放送法第93条第1項の認定(平成29年10月14日付けで株式会社東北新社から認定基幹放送事業者の地位を承継。認定番号BS第125号 ザ・シネマ4K)について、2021年5月1日付けで取り消すと発表した。

 これに先立つ3月23日、IWJ記者は、武田良太総務大臣に対して大手メディアがこれまで「アンタッチャブル」としてきた「放送事業者の外資規制違反問題」を追及する質問を行った。

▲東北新社(Wikipediaより)

 放送事業者の外資規制違反問題に関して、なぜ東北新社だけが処分されるのか、地上波キー局で同様に外資規制違反している局があるのに処分されないにはなぜか、IWJ記者は問い質した。

 「外資規制違反を理由に、東北新社が衛星放送事業の認定を取り消されることになりました。しかし、都の放送事業者の実態を見ると、外国人直接保有比率が規制をオーバーしているところが2社あります。

1つは株式会社フジ・メディア・ホールディングスで32.11%。もう1社は日本テレビホールディングス株式会社で23.78%となっています。東北新社は認定を取り消され、他方、フジテレビと日本テレビが見逃されているのはどういうわけでしょうか?法の下の平等や公平性、公正性に反するように思われます。理由をお聞かせください」

 この質問を聴いている間、武田大臣は眉間に皺を寄せて顔をしかめていたが、回答は一言次のように述べただけだった。

 「事実関係をよく確認した上で、適切に対処してまいりたい」

▲IWJ記者の質問を険しい顔つきで聞く武田良太総務大臣(IWJ撮影 2021年3月23日)

 我々の質問に対して、総務大臣が、即座に、「それはかくかくしかじかで、東北新社の場合と違い、日テレとフジは規制違反には当たりません」と明瞭に回答できなかったのである。

 この問題がデリケートであり、大臣としては、回答するに当たり慎重でなければならないと判断した、ということをこれは意味している。

 この外資規制違反は、かねてより知られていたことで、にもかかわらず、記者クラブメディアは、ずっと素通りしてきた。フジ・産経、日テレ・読売以外の媒体の記者からも質問はなかったし、問題視する声は記者クラブ村の内部からは出てこなかったのである。

 地上波のキー局の外資規制違反問題を総務大臣に直接追及したのは、独立メディアのIWJ以外にはなかった。

 このIWJの質問が「アンタッチャブルな質問」として、ネットやSNSで話題になりつつある。

 3月24日付けの財経新聞は、フジテレビと日本テレビがともに外資枠20%を越えている点をIWJが武田総務大臣への質問で追及した点を伝えている。

 IWJ記者の武田大臣への質問は、実は、続きがある。

 「一説には、(フジテレビも日本テレビも外資には)『議決権を与えていない』からいいのだとも聞きますが、それでは『国民に対する放送事業の影響力の大きさを勘案し、外国人による放送事業への介入をできるだけ避ける』という外資規制法の理念は、この抜け穴によって、骨抜きになっていると言わざるを得ません。どうして、こうしたことがまかり通るのか、お教えください」

 この重要な問いかけにも、武田大臣は即答できなかったということである。

 岩上安身は、この重要な大臣会見を総括して次のように述べている。

 「ここで、この話は終わらないだろう、と予測されるのです。まだ、問題の入り口にたどり着いたに過ぎません」

 IWJは、前出の岩上の言葉に応えて、総務省、日本テレビ(日本テレビホールディングス株式会社)、フジテレビ(株式会社フジ・メディア・ホールディングス)の3者に緊急取材を行った。

 さらに4月2日、武田大臣にも再質問を行った。

記事目次

  • 日本テレビの回答「株式を公開している会社は自らの意思によりその株主を選択することはできません」!
  • フジテレビの回答「上場企業である放送事業者の株主構成に差が生じるのは当然」!
  • 「名義書換の拒否権」が「外資による事業者支配阻止の防御手段」となるには、監督官庁と事業者の緊張関係が前提!! 会食の事実をたずねるのは、なれあいになってないか確認のためだが!?
  • 議決権は書面だけ見ればわかる!? 市場の自由に任せるべきというが、合法な「抜け道」で外資が80%株を買い占めたら? 疑問だらけの総務省の回答は最後に「(放送局関係者と)会食とかはないです。ほかの人のことはわかりませんが、私はないです」! しかし、一方のテレビ局は会食の事実について否定を明言せず!!
  • IWJが武田総務大臣に改めて「適切な対処とはどのようなものとなりました?」と問いただすも、大臣の回答の主旨は日本テレビやフジテレビ、総務省担当者の回答と同様であり、関連質問にも答えず!!

日本テレビの回答「株式を公開している会社は自らの意思によりその株主を選択することはできません」!

 IWJは当事者である日本テレビ(日本テレビホールディングス株式会社)とフジテレビ(株式会社フジ・メディア・ホールディングス)に質問を送り、回答を得ている。その質問と回答を、以下ご紹介する。

IWJの質問1「3月22日時点での御社の外国人直接保有比率は、23.58%となっています。ご承知のように、放送事業のハード面を規制する電波法もソフト面を規制する放送法も、20%の外資規制をかけています。御社の外国人直接保有比率は20%を越えています。過去3年を遡り調べてみましたが、いずれも、20%を越えており(最大で25.48%)、法定どおりの外資保有率は1件もありませんでした。

 こうした電波法・放送法違反が常態化しているのはなぜでしょうか。国民に重要な情報を提供するメディアを外国人から守るという外資規制の趣旨から見て大変懸念されます。御社のご見識をお聞かせください」

日本テレビの回答「電波法・放送法に違反しているという事実はございません。法に則り対応しております。なお、法で定められているのは、保有比率ではなく、議決権比率です」

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