総務省は、3月26日付で、株式会社東北新社メディアサービスに対する放送法第93条第1項の認定(平成29年10月14日付けで株式会社東北新社から認定基幹放送事業者の地位を承継。認定番号BS第125号 ザ・シネマ4K)について、2021年5月1日付けで取り消すと発表した。
- 株式会社東北新社メディアサービスの放送法第93条第1項の認定(BS第125号)の取消し(総務省、2021年3月26日)
これに先立つ3月23日、IWJ記者は、武田良太総務大臣に対して大手メディアがこれまで「アンタッチャブル」としてきた「放送事業者の外資規制違反問題」を追及する質問を行った。
- <IWJ取材報告>IWJ記者が「外資規制問題」で武田良太総務大臣に、東北新社だけでなく、日本テレビ、フジテレビも規制オーバーしている件を問いただすも「事実関係をよく確認した上で適切に対処してまいりたい」との一言で回答を回避! 質問に即答できない理由は何か!?(日刊IWJガイド、2021年3月25日)
放送事業者の外資規制違反問題に関して、なぜ東北新社だけが処分されるのか、地上波キー局で同様に外資規制違反している局があるのに処分されないにはなぜか、IWJ記者は問い質した。
「外資規制違反を理由に、東北新社が衛星放送事業の認定を取り消されることになりました。しかし、都の放送事業者の実態を見ると、外国人直接保有比率が規制をオーバーしているところが2社あります。
1つは株式会社フジ・メディア・ホールディングスで32.11%。もう1社は日本テレビホールディングス株式会社で23.78%となっています。東北新社は認定を取り消され、他方、フジテレビと日本テレビが見逃されているのはどういうわけでしょうか?法の下の平等や公平性、公正性に反するように思われます。理由をお聞かせください」
この質問を聴いている間、武田大臣は眉間に皺を寄せて顔をしかめていたが、回答は一言次のように述べただけだった。
「事実関係をよく確認した上で、適切に対処してまいりたい」
我々の質問に対して、総務大臣が、即座に、「それはかくかくしかじかで、東北新社の場合と違い、日テレとフジは規制違反には当たりません」と明瞭に回答できなかったのである。
この問題がデリケートであり、大臣としては、回答するに当たり慎重でなければならないと判断した、ということをこれは意味している。
この外資規制違反は、かねてより知られていたことで、にもかかわらず、記者クラブメディアは、ずっと素通りしてきた。フジ・産経、日テレ・読売以外の媒体の記者からも質問はなかったし、問題視する声は記者クラブ村の内部からは出てこなかったのである。
地上波のキー局の外資規制違反問題を総務大臣に直接追及したのは、独立メディアのIWJ以外にはなかった。
このIWJの質問が「アンタッチャブルな質問」として、ネットやSNSで話題になりつつある。
3月24日付けの財経新聞は、フジテレビと日本テレビがともに外資枠20%を越えている点をIWJが武田総務大臣への質問で追及した点を伝えている。
- フジ、日テレも外資20%超 総務相「確認する」(財経新聞、2021年3月24日)
IWJ記者の武田大臣への質問は、実は、続きがある。
「一説には、(フジテレビも日本テレビも外資には)『議決権を与えていない』からいいのだとも聞きますが、それでは『国民に対する放送事業の影響力の大きさを勘案し、外国人による放送事業への介入をできるだけ避ける』という外資規制法の理念は、この抜け穴によって、骨抜きになっていると言わざるを得ません。どうして、こうしたことがまかり通るのか、お教えください」
この重要な問いかけにも、武田大臣は即答できなかったということである。
岩上安身は、この重要な大臣会見を総括して次のように述べている。
「ここで、この話は終わらないだろう、と予測されるのです。まだ、問題の入り口にたどり着いたに過ぎません」
IWJは、前出の岩上の言葉に応えて、総務省、日本テレビ(日本テレビホールディングス株式会社)、フジテレビ(株式会社フジ・メディア・ホールディングス)の3者に緊急取材を行った。
さらに4月2日、武田大臣にも再質問を行った。