2024年6月29日午後6時より、東京都新宿区の神宮外苑絵画館前広場にて、「SAVE 神宮外苑ミーティング実行委員会」の主催により、「0707GOVOTE! SAVE 神宮外苑ミーティング」が開催された。
このイベントは、現在進行中の神宮外苑における巨大な再開発事業の問題を、7月7日の東京都知事選挙の重要な争点とすることを訴えるもの。
大量の樹木伐採、景観破壊、膨大なCO2排出や、風害、騒音、長期の工事期間中の災害対策といった深刻な住民被害など、問題だらけの計画が、なぜ可能になってしまったのかを明らかにし、リセットするために、都知事選を大きなチャンスとしてとらえようという試みであった。
都知事選の結果は、現職の小池百合子氏が291万8015票を獲得し、3期目の当選を果たした。
一方、元広島県安芸高田市長の石丸伸二氏が165万8363票で次点、神宮外苑再開発の是非の民意を、「都民投票」で問いたいと訴えた蓮舫氏は、128万3262票で3位という結果となった。
登壇者は、「神宮外苑1000本の樹木を切らないで~再開発計画は見直しを!」オンライン署名発起人のロッシェル・カップ氏、経済思想家の斎藤幸平氏、アーティストのサエキけんぞう氏、マルチクリエイターのいとうせいこう氏、気候活動家の小野りりあん氏、タレントのラサール石井氏、建築家の竹内昌義氏と北山恒(こう)氏、杉並区長の岸本聡子氏。
- 神宮外苑1000本の樹木を切らないで~再開発計画は見直しを!(change.org)
登壇者のひとり、建築家の竹内昌義氏は、東北芸術工科大学デザイン工学部建築環境デザイン学科教授で、建築設計事務所株式会社みかんぐみの共同代表である。
竹内氏は、自身を「(本来なら)再開発をする側」と紹介した上で、次のようにスピーチした。
「ここ(神宮外苑)の再開発のやり方は、本当にひどいですよ。
さっきロッシェルさんがおっしゃったように、ここは風致地区なのに、(再開発を)勝手に決めて、『木を切っていい』という話にして、区長が『OK』と言ったから『切っていいんだよ』みたいな話になっているわけですね。
おかしいと思いませんか?
僕は建築家なので、いろいろな再開発を見ているんですけど、世界の再開発は今、気候変動で大変、どんどん暑くなっている時に、木を伐るなんてあり得ないんですよ。
木を伐るんじゃなくて、木陰を作って歩けるようにしないと、コンクリートジャングルだったら、暑くて暑くてたまらないじゃないですか。熱中症になったりするわけですよ。
だから、やっぱり、木を生やしていかなくちゃいけないんです。それこそ、ニューヨークとか、パリとか、かなり多くの木をどんどん生やしているんです。
これからオリンピックが始まります。パリの街を見ていただけるとわかります。シャンゼリゼが、2列ずつぐらいの森になってるんですよ。
そういうように変わっていきたいという風に、ニューヨーク、パリ、ロンドン、東京、やっぱり(この)4つは、世界のいい都市なんです。その都市の木が、『再開発』と『営業目的』だけで切られるのはおかしいと思いませんか?
なので、これは本当にみんなの問題、民主主義の問題だと思っています。再開発してもいいけど、ちゃんと方法論とか、みんなの意見を聞きながらやる事が必要だと思います。
蓮舫さんが、今度の(都知事選の)政策(公約)の中で、外苑の木を守るかどうかを、都民投票すると言ってます。だったら、みんなでこの木を切るか切らないか決められるようになるんですね。いろいろな意見があると思うので、それは投票で決めればいいと思います。
ですが、今みたいに、適当に水面下でやって、天下りとか、パーティー券とか、そういう問題の中で、ものが決まっていくようなのは、この成熟した日本の都市でおかしいと思います。
なので、そこを、きちっとした手続きをとる人を、都知事にしなきゃいけないし、木を守らなきゃいけないと思います。
ここだけじゃないです。他にもいろいろと東京中、いろいろなところで再開発をしている、しようとしているんですけども、そのこと自体は悪くない。だけど、この方法は間違っている。僕はそう思います」。
同じく建築家で、都市理論の専門家である法政大学江戸東京研究センター客員研究員の北山恒氏は、次のように語った。
「(前略)この国には都市計画がありません。都市の未来を考える政治もありません。
この都市は、政治経済の癒着によって、膨大な利益が得られる資本の乱獲場になっています。資本主義の原理である短期利益の最大化という、それを目指した巨大再開発が、いたるところで行われています。(中略)
建物は人工物ですから、時間がたつと維持管理にお金がかかり、単なる金儲けの道具であるタワーマンションやオフィスビルは、必ずスラム化して、都市の粗大ゴミになります。50年とか、100年先の話です。
現在は、未来に負債を残す都市破壊を行っていると考えた方がいいと思います。
未来の住人のために、自然や風景、そしてオープンスペース、そして大きな空・天空を守っていくこと、それが、今を生きる私たちの義務だと考えています。
都市の未来は、私たちが作るのです。
こんな当たり前のことを、こんなところで集まって話さなくちゃいけないというのは、情けない国だと思います」。
イベントの詳細については、ぜひ全編動画を御覧いただきたい。