【601号-604号】岩上安身のIWJ特報!背後に「暴力団」が関与し凶悪化する「特殊詐欺」を「高齢者差別」思想が後押し!高齢者に「集団自決」を求めた成田悠輔氏の発言はルフィ事件と同根の大問題!岩上安身による『ルポ特殊詐欺』著者・神奈川新聞報道部デスク田崎基氏インタビュー(その3) 2023.7.1

記事公開日:2023.7.1 テキスト独自
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(文・IWJ編集部)

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 フィリピンを拠点にした特殊詐欺事件で、警視庁捜査2課は2023年5月24日、同国から強制送還された男女4人を日本に移送する航空機内で逮捕した。

 4人は日本の高齢者らにうその電話をかける「かけ子」で、このグループの幹部は今年2月にフィリピンから移送された渡辺優樹容疑者ら4人とされる。彼らは「ルフィ」などと名乗って一連の広域強盗事件を指示していた疑いがある。

 警視庁は、同グループの約20人がフィリピンで「かけ子」などをしていたとみて行方を追っているが、1人が捕まると芋づる式に全員が逮捕できるような従来のグループ犯罪とは仕組みが違うため、全貌の解明には時間がかかりそうだ。

 岩上安身は2023年3月から、『ルポ特殊詐欺』の著者で神奈川新聞報道デスクの田崎基氏に連続インタビューを行なっている。ここでは、3月13日の後半部分と4月6日分から抜粋した内容をお届けする。

▲田崎基氏(IWJ撮影、2023年3月13日)

 変化を繰り返す特殊詐欺の複雑な仕組みの中で、なかなか浮かび上がってこない核心部分、「誰がこの仕組みに投資して、リターンを得ているのか」について、岩上安身と田崎氏が考察を重ねた。

 岩上安身が、「特殊詐欺の報道では実行犯と被害者しか見えないが、これは『闇の資本主義』の中の経済活動だ。上層部は逮捕されずにコスパ良く現金を騙し取り、収益の一部は出資者に還元されているのでは」ときくと、田崎氏は、実行犯の背後に「金主」と呼ばれる存在がいることは聞いているが、「実態はわからない」と答えて、こう続けた。

 「ただ、(お金の持ち逃げなど)何か変なことをすると『さらっちゃうよ』と言うんです。そういう時に、出て来る方々はいる。(警察は)何らかのかたちで、暴力団等を追及していかないといけないでしょう」

 そして、暴力団対策法や少子化の影響で暴力団構成員も減っていること、かつての任侠の世界では一般人に詐欺を働くのは恥であったが、一方で伝統的なシノギでは収益が上がらない現実もあること、非合法に荒稼ぎできる新しい分野があれば暴力団は入り込んでくることなどを紹介し、法整備の重要性にも言及した。

 田崎氏は、「特殊詐欺という犯罪が、社会に与える害悪はとんでもない」と強調する。ギャンブル依存などで借金を作った人が、返済のために闇バイトに応募、一度だけのつもりで受け子や出し子をやったら、辞めたくても抜けられない仕組み。高齢者から奪ったお金は、暗号資産や闇カジノに流して追跡不可能に。反社会的な構造の中で、お金と人間が高速回転しているのだという。

 そのような反社会的な空気を反映したような出来事が、5月8日夕刻、銀座のメインストリートで起こった。

 老舗の百貨店や海外ハイブランドの旗艦店が立ち並ぶ銀座中央通りで、高級時計店に仮面強盗が押し入り、衆人環視の中でショーケースを叩き割って、50万~2200万円のロレックスを大量に奪って逃げた事件である。通行人にスマホで動画を撮られ、乗り捨てた車を警察に発見されて、数時間もたたず逮捕された犯人たちは、全員10代の少年だったのである。

 特殊詐欺の加害者の7割が、10~30代だという。日本は、毎日のように若者が高齢者を騙してお金を奪っている国なのである。もし、仮面強盗の少年たちが「一等地に店を構えて高級時計を並べているんだから、多少、盗んでもいいだろう」と思ったのだとしたら、このインタビューの中で語られている、困窮する若者には、普通の高齢者がお金持ちに見えて、「俺が持ってない金を、持ってるんだ。ふざけるな!」という気分が犯行を後押ししたのではないだろうか。

 最後に岩上安身と田崎氏は、特殊詐欺の被害に遭わないための対策をいくつか列挙した。電話は留守電にしておいてかけ直す、親族間で日常的に連絡を取り合うなど基本的な事に加えて、もし、被害にあってしまったら隠したりせずに、警察に被害届を出すことが重要だと改めて訴えた。

 また、高収入バイトに騙された若者が加害者になってしまう事例として、14歳の中学生がネットで見つけた「物を取りに行くバイト」に応募し、詐欺未遂で逮捕されたケースを紹介して警鐘を鳴らした。

記事目次

ミイラ取りがミイラに!? 現職警察官が特殊詐欺に加担! 首謀者は『俺たちは警察とつながってる。チクった奴はすぐわかる」と受け子たちを脅す!

▲現役警察官も詐欺グループに関与!?

▲詐欺グループ指示役「俺たちは警察とつながっている」

岩上安身(以下、岩上)「ショッキングなことがあります。『現役警察官も詐欺グループに関与!?』。これがね、実は、ご本の中に出てくるんですけれども。『詐欺グループ指示役「俺たちは警察とつながっている」』。

 川上さんという人が詐欺に関わったんですよね。で、『出し子』として関わると。この話を、お話していただければなと思うんですけど」

田崎基氏(以下、田崎氏)「この川上っていう20代前半の男がですね、知人に誘われる形で、特殊詐欺に関与し始めるんです。お金がなかった、というのが(理由に)あるんですけども。

 で、『出し子』をやるんですけども、これ、詐欺でヤバいと。こんなこと続けてたら、俺はもう、いつか逮捕されてしまうということで、辞めたいということで、ある時、指示役に言うんですね。そうすると、『俺たちは警察の内部につながってるんだ』と。『逃げられると思うな』と。例のごとく脅されるわけですね」

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岩上「このやり取りは、対面してるわけでもない、箱詰め(監禁)にしてもいない、ただの…」

田崎氏「テレグラム上で、やり取りをしてる指示役の男と」

岩上「逃げようと思えば、飛べるだろうと思えるけれども、『お前のことは、もう全部わかってるんだよ、いざとなると俺たちは何でもできるよ』と、脅すんですね?」

田崎氏「そうです。で、お前が今までやったのは全部、詐欺だから、これで、警察の中に駆け込んだ日には、お前もう、逮捕されるぞと」

岩上「『お前だけが』ってことですよね?」

田崎氏「それプラス、お前が駆け込めば、警察内部に俺たちつながってるんだからバレるぞ、と。どうなっても知らねえぞ、ということで、脅されるわけですね。

 で、ある時、2020年、現金を引き出して、『出し子』ですね、銀行に訪れたところですね、その通帳がですね、(ATMに)飲み込まれちゃって返ってこなかったんです」

岩上「ありますね、そういうことが」

田崎氏「それが、なぜ飲まれちゃって、出てこなかったのかというのは、この通帳の口座が止められちゃって。要は、紛失だとか、盗まれましたとか、被害届が出ていたとかということで、(ATMの機械に通帳が)飲み込まれちゃって、どっかにアラートがいくと。

 で、右往左往、ああ、飲まれた、ヤバいって言ってるうちに、肩叩かれて、『これ、君のじゃないよね?』って、こういう職務質問されるんですね。

 ところが、川上は、ちょっと、これ拾ったのを使えるかなと思ってやったんです、みたいなかたちで言い逃れをして、その場は何とか始末書みたいな、変なことするなよって形で放逐されるわけですね。

 ところが、もう辞めたいですから、川上は」

岩上「目を付けられてるし」

田崎氏「そう、もう警察から目を付けられてるんであれば、それが、詐欺をやめる口実にもなるということで、『お前はもう、この詐欺グループで使えない』と切ってもらえるんじゃないか、っていう風に考えて」

岩上「辞めるチャンス」

田崎氏「このストーリーを指示役に伝えた、っていう事案ですね」

岩上「そうしたら?」

▲指示役は警察官の名前を知っていた!?

田崎氏「すると、詐欺グループからいったん連絡が途絶えてたんです。ところが数日後に、再び電話があって、指示役は、詐欺グループの引っ越し費用に1000万円かかったんだと。これ、詐欺の費用だという」

岩上「いろいろ拠点を変えたとか、そういうことですね?」

田崎氏「要は、警察にお前が聴取を受けたせいで、追加のコストがかかったんだと。たとえば、飛ばしの他人名義の携帯を全部入れ替えなきゃいけなかったとか、そういう、『かけ子』の拠点を引っ越さなきゃいけなかったんだと。

 本当か嘘か、わからないんですけども、1000万円の損害が出たと。で、この1000万円、お前、払えるのかと。払えませんと。だったら、詐欺を続けて返済するしかないだろうと言って、どんどんどんどん、畳み掛けるんですね。

 で、この指示役が、電話で口にした警察官の名前があるんですね。とある警察官の名前を、川上に言うわけです。お前に聴取した警察官は何某だろう、と。銀行で川上に声をかけた警察官の名前と一致したわけですよ、川上にとって」

岩上「川上は、警察官の名前、相手(指示役)に言ってなかったんですね?」

田崎氏「そうです。あ、指示役たちは警察とつながってるというのは本当なんだ、と」

岩上「しかも、その警察官が所属する警察署、お前、何々署の何々だろうと。わかってるんだよ、あいつはって」

田崎氏「そうです。で、全部わかってるっていうのを、信じてしまったっていう事案があったんですね」

岩上「こんなのね、もう本当、言いがかりもいいところじゃないですか」

田崎氏「もう、本当です(笑)」

岩上「1000万円払えとか、ふざけんじゃねえよって、お前の勝手だろって言って、踏み倒すのが普通のところなんだけど。

 まず、(大前提として)悪いことをしちゃいけないんですね。まず、しちゃいけない。その微罪のところからつけ込まれて、かつ、こういう脅しを受ける。でも、これ(警察官の名前)を言われたのは、いまだに、ミステリーですよね」

田崎氏「うん。わかんない」

岩上「川上さんとは会って、取材までしてるんですよね?」

田崎氏「はい」

岩上「でも結果、これはわからないんですよね?」

田崎氏「わからない。川上さんはこう言ってた、というだけですから、私に」

(中略)

岩上「これと似た場面ね、僕、実はね、知人から聞いたことがあるんですよ。(IWJの事務所近辺の)麻布って、やっぱりお金持ちも多いじゃないですか。おじいさんがですね、(銀行のATMで)何か振り込みをやってたわけですよ。それで、ずいぶん何か時間かかるなと思って。(後ろに)列ができていたんですって。で、知人はその列の後ろにいたんです。

 で、『待て!』って突然ね、何銀行支店かは言わないけど、銀行の支店に男3人がパッと現れて、『待て!』って。『それは振り込み詐欺だ!』って言って、『警察だ』って言って。それで、『ちょっと待て』って言って、全部ストップさせて。

 それで、ちょっと事情聴取があるからと、任意で同行してくれって言われて、『えー、俺は言われた通りやってただけだ』と、そのおじいさんは言いつつ、いや、あなたはね、振り込み詐欺に、今、関わってるって」

田崎氏「被害者だってことね」

岩上「被害者。だけど、見てる分には、それ『待て!』って。だから、何か振り込みをし始めると、何かしらのおかしいサインが行って、早く(警察官が)急行できる」

田崎氏「止めに行けと」

岩上「止めに行ける(らしい)。こういう風に警察官が、偶然すぎるじゃないですか。こういうことができるシステムになってるのか、何かわからないですが、急行してきたんですね。そして多額の預金が、送金されるところをストップして、それで、ちょっと待てと。

 で、『私は(あなたが)騙されたんだとわかってると。あなたの話を詳しく聞きたいから、事情聴取に同行してください』って、その3人に連れて行かれたんだけど。なんか、やっぱり怖いじゃないですか。『待て!』ってパッと来るから」

田崎氏「そうですよね」

岩上「だからその場面を目撃した知人は、おじいさんが怖い人に拉致されていったように見えたって(笑)」

田崎氏「いや、そうですよね」

岩上「あれが偽警官グループじゃないことを祈りますけど」

田崎氏「偽警察官だっていう可能性は、ゼロじゃないような気もしますもんね」

岩上「この時代だから、怖いですよね」

田崎氏「偽の警察官を騙った犯罪って、もう、たくさんあるんで」

岩上「ありますものね。で、すごく巧妙にやるわけですよね」

田崎氏「巧妙にやるわけですからね。怖いですね。だって、どこの銀行で振り込んでるかわかってるはずだから、その犯人はね」

岩上「いやぁ、だからね、あれは何なんだろうという風に。それはそこで、さすがに『警察だ!』って名乗ってる人を、銀行の人も周りの人も止めることもできないんで」

田崎氏「できないですよね」

岩上「できません、できません」

田崎氏「ちょっと待って、何々署にあんたたちが本当に警察官かどうか確認するからって言って止めて、確認できないですよね」

岩上「できないですよ、やっぱり、こうやって代紋(警察手帳)出してるんですから」

田崎氏「怖いなー」

岩上「怖いでしょう? 白昼堂々で、それでこうやって、みんなに(警察手帳を)かざして、『はい、皆さん、この人保護しますから』って言って連れて行かれたんだけど、これは本当だったんだろうかって、知人から言われて、えっ、違うかもしれないと、僕…」

田崎氏「こういう話を取材してると、本当、思いますよ」

岩上「怖いですよね。しかもですよ、こういうこと(川上の例)だって、これは本当じゃなくて、何かで知ってて、たまたま。何かでうまく知って、ごまかしただけで」

田崎氏「あるいは、見張りがいた可能性も、あるんですよね。この現場に、川上がちゃんと『出し子』をやってるか、っていうのを見張りに行ってる時に」

岩上「見張りが、(話の内容を)聞いた?」

田崎氏「警察官います、って言ってる時に」

岩上「なるほどね。それは、あり得ますね」

田崎氏「名前を察知した可能性は、ゼロじゃないとは思う」

岩上「私は何々署のヤマダタロウだけど」

田崎氏「(その会話内容を見張りが)聞いているという可能性はあり得る」

岩上「それは、あり得ますよね。さも(警察)内部に(協力者が)いるかのように」

▲現役警察官が特殊詐欺に手を染めるケースは実際にある!

岩上「ところが、警察は、潔白だから、(特殊詐欺グループと共謀するような)馬鹿な奴が(警察官に)いるわけない、と思えなくなっちゃったケースがあると。『現役警察官が特殊詐欺に』、現役のまま、内緒で、『手を染めるケースは実際にある!』。しかも、全国で、と。

 神奈川新聞は、全国紙ではないじゃないですか(神奈川県の地方紙)。しかし、神奈川県に限ってでも、(特殊詐欺に関与していた現役警察官が)いた、ということですよね。全国に広げたら、他にもあるかもしれない。この話、教えていただきたいんですけれど」

田崎氏「これ、そうですね、普通の現職の巡査、当時24歳が」

岩上「第1交通機動隊所属の」

田崎氏「高齢者宅を訪問して。さっきの、キャッシュカード詐欺盗の手口」

岩上「警察官だから、(手口については)けっこう詳しいわけですよね」

田崎氏「そうです」

岩上「やり方をちゃんと知ってる」

田崎氏「例の、封筒をすり替えるっていう手口ですから。で、『窃盗罪で逮捕された』と。『ギャンブルの借金があり、闇サイトで犯行グループと接点を持ったという』」

岩上「じゃあ、自分で思い付いたのじゃなくて、ちゃんとプロから教えられたってことですよね」

田崎氏「そうですね。で、神奈川県内の男女7人から盗んだカード27枚。けっこう、これ多いですよね」

岩上「すごいですよ。総被害額のことを考えると」

田崎氏「『総額1600万円を引き出したとして起訴され、懲役5年の実刑判決(横浜地裁)を受けた』ということですね。この巡査自身が、すべて引き出したとは限らないですね。要は、共謀共同正犯ですから。いろいろな役割の中の一端を担っただけなんだけど、全部、これを背負わされてる可能性もあります。

 けれども、そういった窃盗罪で起訴されて5年。詐欺とか窃盗で5年の実刑って、けっこう重たい。初犯でしょうから重たいと思いますけども。実際に、警察官が、特殊詐欺に関与していると。関与しているってか、実行犯として」

岩上「やっちゃった?」

田崎氏「やっているという事案が、ゼロじゃないんですよ。

 ゼロじゃないってなると、先ほどの川上さんが、俺たちの仲間が(警察の)内部にいるんだから、お前がどこで何をやろうが全部バレてるんだと。逃げられっこないんだぞ、っていう脅しというのが、まことしやかな信憑性を帯びてしまうということですね」

岩上「過去の特殊犯罪の研究というようなものに照らし合わせるって、とても大事なことで。警察っていう組織は、組織犯罪に対抗していくんですけど、組織犯罪に対抗していく時に、接点になっていく人間ってのは、とても重要なんですが、これが、ミイラ取りがミイラになるっていう話は、珍しくない。たとえば、マル暴(暴力団担当刑事)で、うまく馴れ合いしながら。今、拳銃の取り締まり期間だから、チャカ出せよと」

田崎氏「ありましたね」

岩上「そういうようなことをやって、実は、さらには食い込まれていって、シャブや…」

田崎氏「見逃したりっていうの、ありましたね」

岩上「見逃して、自分までシャブ中にまでなっていくような警官がいる。いろいろなところで現実に発覚してますし、それは関西でもそうですし、北海道でもありましたし、いろいろなところであった。

 そうすると、この詐欺団の中で、犯行グループと接点持った時、一番最初、とにかく人と会わないんだから、(自分の)名前、(犯行グループに)送っちゃうでしょ?」

田崎氏「うん、送っちゃう」

岩上「送っちゃうって、神奈川県警第1交通機動隊所属という(個人情報)を送って、(警察官から連絡を受けた犯行グループの方も)お前、大丈夫なのか? っていう話になりますよね。いえ、(金に)困ってるんですと言っても。お前、チクらないかとか、いろいろ不安になるじゃないですか、犯行グループの方も。でも、それを堂々、使ったと」

田崎氏「現職の警察官であるって、犯行グループに言ったかどうかはわかんないですけどね。免許証だけかもしれないですけどね」

岩上「免許証だけ」

田崎氏「だから、名前とか住所は割れてるでしょうけどね」

岩上「じゃあ、(警察官と)わからなかった可能性もある?」

田崎氏「あるんじゃないですかね。ちょっと、わかんないですけど」

岩上「で、ものすごく実入りがいいですよね。ものすごく実入りがいいことを、捜査しているうちに(知ると)。やっぱり自分はカツカツだったりする人間もいるじゃないですか、お金使っちゃったりして。コロッと、そっちの方に。

 ある人はね、あんまり偏差値の良くない学校(出身)で。(そのOBの話では)学校を出るとですね、捕まえる側(警察官)と捕まる側(犯罪者)とに二分される学校っていうのがあって。その同級生同士で会うと、捕まえてる側だった人が、捕まる側の席に座ってて、それを『華麗なる転身』とね、言ったりしてるっていうんですけど。そんなことがないとも限らないですよね、これだけね、いろいろあれば。という風に、ちょっと不安はありますね」

田崎氏「本当に不安ですよね」

岩上「情報さえあればいいんですから。だから、(組織)内部の中に(足を踏み込んで)、それほどどっぷりとね、ヤクザと付き合う必要があるわけじゃない。警察の持っている情報をヒョイと流すだけで、こっち(犯罪者)側サイドにとっては、ものすごいメリットになるわけじゃないですか。そういうことを考えたら、ちょっと、これは怖いですよね」

犯罪収益のあるところに必ずいる「強い組織」、闇の資本主義の世界で犯罪に出資する「金主」の存在!「そういう人たち、表面には出てきません」

▲詐欺組織の隆盛の背後には「日本の闇」が見える!

岩上「で、『詐欺組織の隆盛の背後には「日本の真の闇」が見える! 裏経済では、<金主=ヤクザ>』、これも、おおむねヤクザ、すごく潤ったヤクザが、『「老人殺し」という犯罪活動に投資する!』という姿が見えてくると。

 あんまり、この『金主』が見えないんですね、事件報道を見ていると。実行犯と被害者しか見えなくて、本当はこれは、実はひとつの経済活動なんだと。『闇の資本主義』と言ってもいい」

▲振り込め詐欺の正体は、裏の金融ビジネスとしてフランチャイズ化された「犯罪結社」

岩上「これは、田崎さんも参照した、鈴木大介さんの『振り込め詐欺結社』などから、引用させていただきました。

 振り込め詐欺の正体は、裏の金融ビジネスとしてフランチャイズ化された『犯罪結社』だと。前述の『老人喰い』の著者・鈴木大介氏による『振り込め犯罪結社』(宝島社、2013年11月)では、暴力制裁、関東連合やヤクザとの関係、資金洗浄と詐欺マネーの行方を追う」

▲高度に発達した「詐欺店舗」は、合理化を遂げまるで「会社」のように運営されている

岩上「で、『高度に発達した「詐欺店舗」は、合理化を遂げまるで「会社」のように運営されている』と。

 これも、すでに話しましたね。『振り込め詐欺実行犯の正体は、裏の金融ビジネスとしてフランチャイズ化された「犯罪結社」。主要業務は』、主要業務ですよ、会社みたいに、『高齢者から』と、(標的が)もうはっきりしている。高齢者を狙ってるんです。『できるだけ効率的に』、コスパ良く、『できるだけ多くの現金を騙し取る』。

 本当に、生産性を上げろっていう、今の表社会の価値観を、裏側でも今の若い人たちが実行してるという風にも言える。『その経営理念は最大限社員や上層部が逮捕されずに大きな収益を上げるということになる』と。

 だから、トップは守られて、下はパクられると。これは企業の事件とか、それから政治家の事件とかもそうですよね。秘書はパクられるけれど、政治家の大物はパクられない、みたいなことがよくありますから、非常によく似てる」

▲詐欺によって得た収益の一部は出資者「金主」に「配当」のように還元される

岩上「で、ここからです。『詐欺によって得た収益の一部は出資者「金主」に「配当」のように還元される』『詐欺店舗の開業資金を供出する「金主(きんしゅ)」「オーナー」がいる(※ヤクザを含む)』と。

 ヤクザばっかりじゃない、ヤクザの周辺、アングラマネーの持ち主が多いと思うんですけど。『複数の金主がいて、筆頭株主的に最も大きな資本金を提供する金主に、別の金主が乗る形で複数の資本』が形成されると。

 これは、多くの場合、アングラマネーだろうと思うんですね。表に出せないから、ロンダリングが必要だと。投資目的はロンダリング。これで洗浄していったりとか、あるいは、とにかく高利回りのものが表業界には少ないと。それから脱税ですね。税逃れっていうことですよね。

 で、利回りの良いことに投資したいと。だから、ここで非常にひどい犯罪が起こるということは、もう全然関係ないと。俺たちを守ることであれば、金は出すよと。絶対にパクられるなよと。

 この末端で、ひどいことが行われて、人が死んでも知らないと。ただ、出した(金額に対する)リターンが、たとえば1000万円だったら、いったい、1500万が戻るのか、わかりませんけれども。こんな関係になっているということなんですけど、これ、どうでしょうか?」

田崎氏「いや、私、この分野は、直接、この辺りの裏が取れてないので。会ったこともないですし。

 ただ、そういった存在がいるんだよっていうことは、下の方の方々からは聞いたりはしてますけど、実態がつかめない。だから、ここでは『(※ヤクザを含む)』っていう風に書かれてますけども、それが果たしてどういう存在なのかっていうのは、ちょっと、明らかではないとは思いますね。ちょっとわかんない、正直」

岩上「なるほど。でも、ヤクザは、こういうこと(高齢者相手の特殊詐欺)をやるのはご法度だったはずなんですよ、表向きは。(弱気を助け、強気をくじく)任侠道っていうことでね。で、ヤクザは博徒系かテキ屋系にわかれますけれども、テキ屋も博徒もね、たとえば、シンナーだとか覚醒剤、シャブというのはご法度。山口組三代目の田岡さんなんかは、国民運動を立ち上げたり(※1)なんかしてたはずで。だけど、表と裏は違う、っていうのが現実だったわけじゃないですか。

 それと同じように、市民の皆さんに対して強盗殺人を働くなんて、そんなことはあっちゃいけないと。そういうことがあったら許せないと。それが、関連してると。だから今、ルフィグループと関連してるんじゃないかと、言われてるようなところというのは、戦々恐々として、うちは関係ないって言ってるんですけど。

 表沙汰になったら、その業界の中で恥さらしになっていくわけじゃないですか。それで、破門か何かになって。で、破門された奴が、また同じことやるのかもしれませんけど。

 犯罪収益のあるところというのは、結局、ケツ持ちを持たなきゃいけないという話がある。というのは、たとえば蛇の道は蛇で、やっぱり情報が流れますよね。そうすると、その情報が、たとえば、金庫はここにあるよってことがわかれば、一般の人の金庫のありかを狙って叩き(強盗)に入るのと同じように、不良グループが、また、そこを叩きに入るというようなことがあるわけじゃないですか。

 そうなった時に、ケツ持ち、まったくいなかったら、取り返すこともできないということになりますよね。そういう関係で、みかじめ(※2)を払ってないと、強い組織がバックにいないと、こういうことはできないんじゃないか、という話もあります。

 どうでしょうか、その辺は。これは直接、取材はできてないけれども、傍証とか、今まで出ている話から」

田崎氏「ひとつ言えることは、特殊詐欺と、そこから凶悪化した、粗暴化した、強盗とか窃盗とか、押し込み強盗みたいなことの一連の構図の中に、暴力団等、これは『等』ということで、いろんな周辺者を含むわけですけども、何らかの形で関与しているということは、私の取材の中でもわかってます。

 それが、たとえば、金主という形で資金源を出しているのか。あるいは、他人名義のSIMカードを調達してきて、それを供給してるのか。あるいは、先ほどから何回も出てくる、名簿を統括して、それをきれいに、もう一回洗って精度を高めたものを供給するとか。そういった、何らかの形で全体像、特殊詐欺プラス粗暴化しているもののどこかに、暴力団等が関与している」

岩上「用心棒役っていうのも、ありますからね」

田崎氏「用心棒役。ただ、実際に暴力行為に出てる…、まあ、出てるね。それは、私の取材の中でも」

岩上「あるいは、暴力行為の抑止力っていうことも、あるじゃないですか。叩きをされないっていうことでね」

田崎氏「というのもありますけど、結局、でも、たとえば特殊詐欺で得たお金を、本当は上納しなきゃいけないのに」

岩上「そうですね」

田崎氏「それを持って帰ってしまう人」

岩上「『飛び』ってやつですか?」

田崎氏「持って帰ってしまう人が、暴力団等の方々にボコボコにされてしまうと」

岩上「そうですよね」

田崎氏「ということは起きてるので、そういった形で。それを『ケツ持ち』と呼ぶのか、何て呼ぶのかはさておき、そういった役割を担っているっていうのは聞いてます」

岩上「主人と奴隷と言ってもいい。大変ですよね、指詰められなきゃいけないかもしれないしね、そんな。ヘタしたら」

田崎氏「だから、よくそこで指示役とかが、飛ばれないために、『変なことしたら、さらっちゃうよ』っていう風によく言うんですけど。その『さらっちゃう』っていうのは、まさに、(車の)バンとかでさらってしまう。さらってしまって、持ってる金、全部取られちゃうっていうことが、実際にこの本の中にも出てきますけども、起きてます、事案としては。

 ですから、要は、特殊詐欺で、ここで総括したいのは、暴力団等を何らかの形で追及していかなきゃいけないでしょう、ってこと」

岩上「必要ですよね」

田崎氏「プラス、SNSとかで闇バイト、グレーバイトだって言ってですね、ちょっと腰掛けでね、ちょこっとやって、少しお金が欲しいんだ、なんていう甘い世界じゃないということを、やっぱり、20代30代が実行役やらされますから、よく考えないと」

岩上「これ、本当にね、見てる人たちに伝えてほしいですよね」

田崎氏「表には、そんな人たち(背後にいる金主や暴力団等)は出てこないですよ」

岩上「ヤクザがね」

田崎氏「うん。指示役だ何だっていうところ、リクルーターという人にも、暴力団等はいないですよ。だけど、何か変なことをしたり、あるいは変なことをしそうになった時に、出てくる方々はおられるっていうことですよね。

 だから、そこはちょっと腰掛けでね、少し数万円欲しい、50万円借金したからこれ半分でも返したい、なんていう甘い考えで(闇バイトに関わり)、SNSだ、DMだ、テレグラムだって移行していくのは非常にリスキーだし、もう、逮捕されるどころでは済まないことになる可能性もあるっていうことですよね」

岩上「出てくるのが、ちょっと不良が出てきて、お前、さらっちゃうぞと。それを聞いて、こっちでやる方も少しやんちゃを慣れてたりしてたら、なぁに、と思って『飛び』をやったりとか、バックれたりとか。

 そういうことをした時に、いやいやいや、そんな、やんちゃ同士の揉め事レベルではなくて、突然ね、動いてる金、でかいですから、億が動いてますから、突然そこから、本ちゃん(暴力団関係者)が出てきて大変なことになるっていう。なめていたら大間違いですよ、っていうことですよね。

 で、それを助けてもらえるところって言ったら、もう警察に駆け込む以外ないんで、その覚悟ができてないといけないし。できるなら、ちょっと携わっちゃったけれども、早めに出たいんだったら、もう警察行ってください、自首してくださいと言うしかないですよね」

(中略)


※1)山口組三代目の田岡さんなんかは、国民運動を立ち上げたり:
 田岡一雄は山口組三代目組長。1913年3月28日、徳島県生まれ。
 類い稀なカリスマ性を持ち、神戸のローカル組織だった山口組を、日本最大規模の暴力団に押し上げることに成功した。

 幼少時に父母を亡くして、神戸市に住む叔父に引き取られ、継子として暴力を受けて育つ。尋常小学校卒業後、旋盤工見習いとなるが、現場主任を殴打して解雇される。その頃、神戸の街で小学校の同級生だった二代目山口組・山口登組長の実弟・秀雄と再会。秀雄の誘いで二代目山口組のゴンゾウ部屋(港湾労働者が集団で寝起きする宿舎)に寄宿する。

 喧嘩が強かったことから、山口登組長の舎弟に預けられて修行を積み、1936年、24歳で山口組の組員となる。翌年、ヤクザ同士の決闘で相手を日本刀で斬殺し、殺人罪で服役。1943年に出所した時には山口登組長は病死しており、2年後に日本は敗戦。戦後の混乱期に治安が悪化した神戸の街で自警団を率いて名前を知られるようになり、1946年、山口組三代目組長に就任した。

 田岡三代目は、伝統的なシノギである賭場の運営に見切りをつけて興行に力を入れ、「神戸芸能社」を立ち上げて美空ひばりをマネージメント、一気に勢力を伸ばした。この興行面の収益と既存の港湾荷役業で得た莫大な収益を元に、山口組は1950年代から全国侵攻作戦を展開。各地で抗争事件を引き起こした。

 田岡は組員に「これからのヤクザは経済新聞を読め」「正業につけ」と合法的な収入源を持つように勧め、合法事業を持つ舎弟と若衆には非合法な事業を扱わせず、組織の分業化を進めた。組の運営を合法事業と非合法事業に分けることにより、安定した資金源と非合法な力を維持していった。

 1963年4月、麻薬・覚醒剤撲滅を目的とした「麻薬追放国土浄化同盟」を結成。右翼の大物である田中清玄、麻薬審議会の菅原通済会長、参議院議員の市川房枝、作家の山岡荘八、評論家・劇作家の福田恆存ららとともに麻薬撲滅運動を展開した。

 これは「麻薬や覚醒剤の密売は大半が不良外国人によるもの」との認識からだが、一方では山口組の東京進出を偽装する目的があったとも考えられている。1964年に警察庁が第一次暴力団壊滅頂上作戦を始めると、この麻薬撲滅運動は自然消滅している。
 1981年7月23日、田岡は急性心不全により68歳で死去。

参照:
・田岡一雄(ウィキペディア)
【URL】https://bit.ly/43qX6sb

・麻薬追放国土浄化同盟(ウィキペディア)
【URL】https://bit.ly/45yX0R2

・山口組の礎をつくり、美空ひばりを芸能界に送り出す…伝説的「カリスマヤクザ」の正体とは(文春オンライン、2021年2月13日)
【URL】https://bit.ly/43vdt7h

※2)みかじめ:
 みかじめ料のこと。暴力団が縄張内で営業する飲食店や遊技場などに対し、地代(ショバ代)や用心棒代として要求するもの。暴力団の資金源となっている。

 店側は現金を渡すほか、暴力団の関係企業から飲料水や植木を法外な金額で買わされるケースが多い。
 指定暴力団等の暴力団員が縄張内で営業を営む者に対し、みかじめ料の支払を要求することは暴力団対策法により禁止されており、違反した場合は公安委員会より中止命令等を受けることがある。

 また、一定の地域(暴力団排除特別強化地域)において、一定の事業者(特定営業者)が、相手が暴力団員であることを知りながら、用心棒役務の提供を受けて利益供与を行った場合、利益供与を受けた者だけでなく、行った者も刑事罰の対象とされる。

 「みかじめ」は漢字で「見ヶ〆」と書くことから、「み」が見張る、見守る、「じめ」は取り締まる、ということになる。よって「みかじめ料」は守り、取り締まりに対して支払う料金という意味であるが、俗説として、毎月3日にお金を払わせる、3日以内に払わなければ締め上げるなど、日数の3日(みっか)に関連付けた「3日締め(みっかじめ)料」が、「みかじめ料」に転じたとする説もある。

参照:
・みかじめ料/みかじめりょう(語源由来辞典)
【URL】https://bit.ly/3MCi8x7

・みかじめ料(東京弁護士会)
【URL】https://bit.ly/436626I

・半世紀払い続けたみかじめ料 コロナがきっかけで辞めた(朝日新聞DIGITAL、2021年5月12日)
【URL】https://bit.ly/4392z7p

特殊詐欺の現場を仕切る「番頭」は「金主」を守って絶対に口を割らない! 一方、使用者責任の追及など犯罪への投資を抑制する法整備は不十分!

▲番頭が現場「店舗」を展開し、収益は金主らに還元されるビジネス

岩上「『番頭が現場「店舗」を展開し、収益は金主らに還元されるビジネス』という。『取締役社長のポジションが「番頭」と呼ばれ、現場店舗を展開する。店舗の収益の一部は「出資に応じた配当」という形で金主たちに還元していく』。

 これって、ちょっと古いモデルだと、さっき言った株式会社モデルだという感じではありますか?」

田崎氏「私は、ここまでかっちりした状況っていうのは」

岩上「昔はあったけど」

田崎氏「もう、ちょっと終わってるというか、あるのかもしれないですけども、もっと流動的というか、この店舗がこの辺りにあったりとか、この配当金がこの辺りにあったりとかって、こう、ぐるぐるぐるぐる回っていって円環構造になってるんだなっていう風に思いますけどね」

岩上「この辺り(現場~番頭)ぐらいは流動化してる。ただ、ここ(金主)と直接、接することのできる人間っていうのは非常に限られていて。で、この、金っていうのは一番大事で、この金と出資者を守るためには、自分たちは絶対、口を割らないという。今のところ、口を割ってる人ってのは非常に少ないじゃないですか」

田崎氏「ひとつ思うのは、結局、ここ(現場)が行なってる犯罪行為を(金主は)指示してないわけですよ、まったく具体的には」

岩上「そうですね」

田崎氏「何をやってるかは知らない、っていう体(てい)なわけじゃないですか」

岩上「体はね」

田崎氏「うん。で、指示もしてないわけですよ。要は、仮にこれ、存在するとしてですよ。Aさんという方が存在するとして、『じゃあ、これ、1億円出すから、1年後に2億にして返してね』って言ってるだけの可能性もあるわけですよね。で、これを、何をして2億にして返すかは、お前に全部任せると」

岩上「そしたら使用者責任は、ここ(番頭)から下までは、ここ(番頭)にはある」

田崎氏「ここ(現場)か、ここか(番頭)、わかりませんけども。どこまで具体的な指示を出してる人間なのかっていうのがわかんないというか、少なくとも、ここ(金主)は知らないことになってるはずですから。(番頭が)言おうとしても、聞かない方がいいと思うんですよね」

岩上「なるほど。この人(金主)が摘発されることがあった時に問われるのは、故意であっても犯罪収益をね、稼ぎ出すために、犯罪行為の資金源になったことについての問題と、それからあと、おそらくは、こういうのはアングラマネーで、ロンダリングの」

田崎氏「何の罪状で行けるんですか?」

岩上「まず、脱税から入るのが早い。まず、脱税でしょ」

田崎氏「お金には行けますよね」

岩上「脱税で、そこから入って、この人間(金主)っていうのも、きれいな体じゃないだろうから、じゃあ、こことここの関係はどうだったろうって。こっち(金主)は現役のヤクザで、こっち(番頭)は偽装破門(※3)みたいな奴で。偽装破門だって、ザラにあるじゃないですか」

田崎氏「偽装破門は詳しく知らないですけども。ここを、きちっと摘発する法制度って」

岩上「ちょっと、弱いかもしれないですね」

田崎氏「特にここがやってるのが、たとえば組織的詐欺犯罪で、強盗までやる犯罪集団だとしますよね。ただ、その罪状をここまで」

岩上「つまり、使用者責任として問えるのか、ということですよね」

田崎氏「いや、使用者責任は結局、民事でしかないんで、お金にしか行けないわけじゃないですか。で、お金を叩くのが一番つらいとこかもしれませんけども」

岩上「つらいとこだと思いますよ。この人たちからお金を取り返すって、すごくでかいことだから」

田崎氏「そうですね」

岩上「でも、その判決が、今のところ出てるわけですよ」

田崎氏「民事ではね」

岩上「民事で。しかもここが、山口組だとかですね、住吉会だとか稲川会とかがお金を返してるんですよ。これは大きいですよね」

田崎氏「それはそうなんだけど、その場合って、この詐欺の指示命令系統の背負いじゃないわけですよ」

岩上「使用者責任で」

田崎氏「あくまで使用者責任であって、お金が、ここの売り上げがここに行ったよね、だから返しなさい、っていうだけなんですよね。だから、この犯罪全体の責めを負わせられてるわけじゃないんですよね、刑事上の」

岩上「ここ(金主)が、たとえば、1億を2億にしてこいって言われただけ、それだけって言うんですけど、実は、お前、わかってるだろうな、詐欺が一番いいんだからな、それを言うなよっていうことを、言われましたって言えば、それは成り立ちますよね。

 だから、警察とか検察が、これからやらなきゃいけない。ここを徹底的にどうにかするってことと、それから、たとえば法制度が十分じゃないんだったら、こいつ(金主)がいなければ、こういうことってできないんですから、犯罪に使われるとわかっていて投資したものは、使用者責任とはまた別に、投資責任が発生する、っていうのはどうですかね?」

田崎氏「ちょっと誤解があったら困るんで、あれなんですけど、今、ここ(金主)を使用者責任として追及されてる事案はあります。で、これ民事で、実際に何億円っていう額を払わされてて、被害者にそのお金の一部が戻ってるわけです。

 ただ、その訴訟では、この人が金主だっていう話がないので、そこだけは、ちょっと誤解がないようにしたいんですよね。金主で、ここが資金源になって、その資金を使って詐欺を働いてたっていう構図ではなくて、あくまで、ここの収益金が番頭に入ってたよね、と。だから、この使用者責任は背負わせますよって」

岩上「これ、一家だったからですね。ひとつの、ヤクザの」

田崎氏「そうです。これが某暴力団の、これがもう、本当に最高幹部ですよ。最高幹部を民事で提訴したケースがあったわけですけども、そのケースでは、これは金主では別にないんで。そこで認定されてる事実としては。

 で、この方々は、俺たちは『詐欺をやめろ』と言ってます、という通知文を各店舗に出してるわけです。そこは、だから金主っていうのは、ちょっと、もしかすると別なんじゃないかなって、私は思ってましたね」

岩上「ということは、金主については、新たな新法が必要なのか、それとも既存の…」

田崎氏「出資法違反とかね、そういう法律しか使えないんですよ」

岩上「出資法違反ね。でも、やっぱり出資する時に、犯罪に使われると思って知っていて、高利回りのリターンを、ということだったらば、やっぱり、その人のモラルって問われると思うんですよ」

田崎氏「モラルというか、それは、犯罪収益なんとかっていう法律(※4)があるんで」

岩上「そういうところで、きちんと(法律を)使わないと、この人たちは、たとえば、さっきのは現役のヤクザの構成だったから、使用者責任が問われたんですけど、今、現役じゃないけど金はたっぷり持ってる、いわゆる現役ではないんですよって言いながら、金をたっぷり持っていて、プカプカ浮いててですね、おいしい話があったらいつでも俺に声かけてくれよ、っていう立場の人がいるじゃないですか。

 高齢者が金を持ってるって言ってもですね、普通の堅気の高齢者、そんなに金を持ってないですよ。ところが、こんなようなこと(特殊詐欺)やって、人生、相当荒っぽい世渡りして、最後『引退したから』といって、引退で逃げ切り人生送ったワルっているわけで。そういう人が、とんでもないお金、持ってたりするわけですよね。

 そういうのが(投資に)回って。で、かつ、良い方向の生産に投資するんではなくて、アングラに、投資していって、犯罪に向かって投資すれば、それはやっぱり、犯罪止まんないですよね」

田崎氏「だと思います」

岩上「これも、ひとつの資本主義ですからね。犯罪の資本主義とも言うべき状態ですから。何十名から、たとえば、ルフィ事件で70名とかって言われてますけど、今、わかってるだけで。あんなもん、初めの、まとまった金なかったらできないですもんね」

田崎氏「うん」

(後略)

(3月13日インタビュー終了)


※3)偽装破門:
 破門とは、その組織から追放処分とする制裁。一般的には師弟関係を断つ、あるいは信仰共同体からの除外などを意味しているが、暴力団社会では、親分の顔に泥を塗り、親分や組織への造反、抵抗と判断されるような行為があった場合に行われる。

 また、組織防衛のため、捜査機関から目を付けられた者をわざと破門処分とし、組織とは無関係を装って別の仕事をさせることがあり、これを「偽装破門」と呼ぶ。

 暴力団の破門の種類には「口頭破門」と「破門回状」の2つがあり、地域を限定した追放処分の「所払い」もある。「口頭破門」は期限を切って破門を宣告するもので、最近では「謹慎」の形をとることが多い。「破門回状」は破門状という回状を作って各組織に広く通知するもの。これは当該組織からの追放と、全暴力団社会からの除外という二重性を持つ厳しい制裁。破門状を受け取った組織は、破門された者を客分としたり、結縁、商談、交際などを一切、行ってはならない。

参照:
・破門(コトバンク)
【URL】https://bit.ly/3qcvkS0

・破門、絶縁、除名、除籍(松江地区建設業暴力追放対策協議会 暴力団ミニ講座)
【URL】https://bit.ly/3IIfPrd

・逮捕の男は山口組を偽装破門か 神戸山口組幹部射殺、現場には実弾28発(神戸新聞NEXT、2019年11月28日)
【URL】https://bit.ly/3MzULEz

※4)犯罪収益なんとかっていう法律:
 犯罪による収益の移転防止に関する法律。通称、犯罪収益移転防止法、犯収法。
 資金洗浄(マネー・ロンダリング)やテロ資金供与対策のため、金融機関等の取引時の確認、取引記録等の保存、疑わしい取引の届出の義務などの規制を定めている。

 同法は、犯罪による収益が組織的な犯罪を助長するために使用されること、犯罪による収益が移転して事業活動に用いられることにより、健全な経済活動に重大な悪影響を与えること、また、犯罪による収益の移転が被害回復に充てることを困難にすることから、その防止を図り、国民生活の安全と平穏を確保し、経済活動の健全な発展に寄与することを目的として制定された。

 従来、日本における資金洗浄対策の柱となる法律は「本人確認法」と「組織的犯罪処罰法」の2つ。これにもとづき、主に金融機関が規制対象であったが、2003年に改訂されたFATF「40の勧告」によって、非金融業者(不動産・貴金属・宝石等取扱業者等)、職業的専門家(弁護士・公認会計士等)が追加された。

 政府の国際組織犯罪等・国際テロ対策推進本部は「本人確認法」と「組織的犯罪処罰法」第5章を一本化し、対象業種を拡大する法案を作成すること、FIUを金融庁から国家公安委員会に移管することなどを決定。2007年4月1日に一部が施行され、2008年3月1日の全面施行により「本人確認法」と「組織的犯罪処罰法」を置き換える形となった。

 2013年4月1日、2016年10月1日、2018年11月30日に改正法が施行され、確認が必要となる取引や、取引者の個人特定情報のほか、職業や事業内容、取引目的、支配的株主などが確認事項に追加された。また、本人確認がオンラインで完結する方法(eKYC)も新設された。

参照:
・犯罪収益移転防止法の概要(JAFIC、2023年2月1日)
【URL】https://bit.ly/43ucK5Y

・平成十九年法律第二十二号 犯罪による収益の移転防止に関する法律(e-GOV)
【URL】https://bit.ly/3oxji5b

・犯罪による収益の移転防止に関する法律(ウィキペディア)
【URL】https://bit.ly/3IIEEU9

「黒幕は反社」!? 暴対法ができて伝統的なシノギで稼げなくなった暴力団。トクサギやドラッグが最後の資金源になっている?

(ここから4月6日インタビュー)

岩上「皆さん、こんにちは。ジャーナリストの岩上安身です。本日3回目になります、『ルポ特殊詐欺』の著者・神奈川新聞報道デスク、田崎さん」

(中略)

▲トクサギと暴力団の関係

岩上「『トクサギと暴力団の関係』に入っていきます。(従来、暴力団は)『弱きを助ける』とね、そんなこと言ってるんですけど。『弱きを助け強きをくじく』とか言っている、そういうこと言ってきた『「任侠」の精神はどこへ行った』んだと。

 『非合法に荒稼ぎできる手法があれば、どんどん暴力団が入り込んでくる!』。もう『任侠』っていう気持ちがなくなってしまったら、これはただのマフィアですから、看板上げてどうのこうのなんていうことは、もう許されない。

 日本の社会の(暴力団との)変な共生の仕方があるじゃないですか。他国で『マフィアです』って看板上げてるところはないわけですよ、常習暴力犯罪集団って。そんなの、日本のある種の伝統で許されてるけど、もう、こういうところまでね、行くんだったらば、殺人強盗集団ですから、そこからのアガリを吸っているようなのは、事実であれば、そこはもう、組解散命令だけじゃ済まない。これまでの暴対法、全部変えて、もう完全に解体に追い込んで、全員捕まえてゲロさせなきゃいけないんじゃないかな、と思うんですよね」

▲犯罪ジャーナリスト・小川泰平氏によるインタビュー 特殊詐欺に関わった元暴力団幹部X氏

岩上「それで、ちょっとね、面白い話をしてくださってる方、小川泰平さん。犯罪ジャーナリストと言ってますが、元国際捜査刑事ということでね、刑事さんなんですよね。で、小川泰平さん。

 『小川泰平氏によるインタビュー 特殊詐欺に関わった元暴力団幹部X氏』っていうのが、これ、結構ね、いろいろなものを見てきた中では、肉薄してるんじゃないかなと。

 『2月28日、自身のユーチューブ番組で、「ルフィ事件」について、元暴力団幹部 X氏にインタビューを実施。X氏は60代、元暴力団幹部』、今、足洗ってると。『15年ほど前に暴力団を辞めた人物。特殊詐欺に関わったことがあり、逮捕もされた』と。だから、よく知ってるわけです」

▲首謀者の上の黒幕は「反社(暴力団)」

岩上「『小川氏「(ルフィの)上の首謀者はいるのか?」X氏「当然いると思います」「(首謀者は、)おそらくフィリピンにいる」。本人は暴力団ではないが、その周辺関係者』。

 これ、フィリピンに、本人は暴力団ではなくて、親父が暴力団員で、それですごいブローカーみたいなこともやり、コーディネーターなこともやってるっていう人間がいる(※5)ってことは、もう、これずっと言われてますね。もう名前も特定されてるんだと思いますけど、お聞きになってます?」

田崎氏「週刊誌とかの界隈では、そういう話になってますよね」

岩上「なってますよね。これは、あげそうなんですか、警察は」

田崎氏「結局、物証がないっていうところなんじゃないですか。要は、実際にルフィとされる人たちの、逮捕した、いろいろ携帯何十台押収した、やり取り、資金の動き、洗ってるんだけども、こことの、この方とのつながりの、資金の動きが途中で途切れたものとして、入金しかないと。物証がないと逮捕できない、令状が出ないっていうことなんじゃないですかね」

岩上「ということは、非常に巧妙に立ち回ってるってことですよね」

田崎氏「もちろん、そうですね」

岩上「プロ中のプロ、ってことですよね」

田崎氏「うん」

岩上「ヤクザが、いろんなことがあって、フィリピンだとか、カンボジアだとか、タイだとか、いろいろ行く。カンボジアに行ったのは後藤忠政(※6)ぐらいかもしれませんが。向こうで、こっち側で荒稼ぎしていった現役時代のね、金、持っていって。大実業家になって、国王に会えるような身分になっちゃってるんですよね。

 そういう、とんでもないね、金の稼ぎ方するんですよ。でもそれ、一人ひとりの、普通の人たちからとってきた、カスリじゃないですか。やっぱり犯罪収益ですからね、それ、没収しないとね。

 『「さらに首謀者の上の黒幕は?」X氏「反社でしょう」』と。ほら、出てきましたよね。この辺の首謀者ってのは、ルフィとかを指してたのかもしれませんけど、『反社でしょう』と。

 『小川氏は、首謀者らが暴力団に潰されていないことから、首謀者には、暴力団(黒幕)とのかかわりがあるとみる』と。刑事らしい見方ですよね。反社組織といっても、弱い組織であれば、必ず暴力団はね、潰しにかかると。あるいは、締め上げにかかると。で、そこで荒事をやっても、こういう人間は警察行かないから、結局、力のある者に従うというかたちになると。それはやっぱり、アングラ世界で一番強いのは暴力団ですから」

▲小川氏は「福島連合」の名前をあげる

岩上「それから『福島連合』の名前が出ました、具体的にですね。『札幌を拠点とする「福島連合」』という、これは暴力団ですが、『(福島連合はルフィ・渡辺容疑者らとの関係を否定している)福島連合は、6代目山口組(1次団体)』、山口組は、今、(神戸山口組と6代目山口組とに)一応分裂してるとはいっても、こっち(6代目山口組)が圧倒的な主流派です。

 今まで関西に拠点を置いてたんですが、(本部が)名古屋の方に移りました。これの、すぐ直系団体というのは、今の司忍親分というのを出している弘道会が2次団体で、これが、だから今の山口組の保守本流で、それの3次団体が福島連合と。

 だからつまり、6代目山口組って、ほぼ分裂闘争にも勝利を、事実上収めた日本一巨大な組織なんです。その6代目の直系団体が福島連合、と。これ結構ね、大変な話だと思いますよ。6代目がどのような姿勢を示すかって。

 3代目(山口組組長の田岡一雄氏)だって、『シャブやるな』って言った時に、やっぱり隠れてやってる奴もいたんだけど、『うちはシャブやらない』という風にした人たちだっていたわけですし。これが甘いと、ここがね。だから、ここの意思も知りたいですよね。うちは反社ではありませんと。そういう回状を回してるらしいんですけどね。この辺は、どう思います?」

田崎氏「だから結局、使用者責任とか、そういった暴対法上の訴求を受けないようなことを、一生懸命やってるんだと思うんですよね。ただ結局、下にいくにつれて、お金納めなきゃいけませんから、じゃあ、それどうすんだってなった時には、どうすりゃいいんですか? って聞くわけにはいきませんからね。

 そうすると結局、じゃあ、何するんだって話になると、この後ろの方のパワポにありますけども、暴対法が、この間ずっと強化されていって、要は、そういうシノギとされるものが」

岩上「伝統的なシノギがね」

田崎氏「伝統的なシノギが、もう、ほとんど稼げなくなってきて、トクサギを中心とした、あるいは薬物ですよね、あるいは銃器あたりしか、もうほとんど利益っていうか、お金が稼げなくなってるよっていう現実があるとすればですよ、もう、それしかないよねって話になっちゃうわけですから」

岩上「だからヤクザを追い込んでったのは良いことですが、数十年前っていうの考えると、街にいるゴロツキの数が多すぎて、道歩くのも怖いと、盛り場をね。そういうこと、本当に減りましたもんね」

田崎氏「4分の1ぐらいになってる、ってことですからね」

岩上「ですよね。まず人数もそうだし、あと、それが堅気に接触して、迷惑をかけて、自分が代紋を名乗ったら、それは脅迫になってしまいますもんね」

田崎氏「うん」

(中略)

岩上「『小川氏によれば、この特殊詐欺事件が起きた時、福島連合に「ガサ」が入ったが、逮捕者はなし。仮に関係があれば福島連合と上部団体の6代目山口組組長の「使用者責任」が問われることもありうる!?』と。

 ここはね、興味深いですね。これ、6代目の組長の司忍も、若頭の高山清司も入ってますからね。(2人とも)かなり高齢なので、ここで(刑務所に)入るということになっちゃうと、もう指揮ができなくなってくると思うんで、山口組弱体化には、すごく重要なポイントになるかなと思うんですけれども」

▲トクサギ(特殊詐欺)は暴力団最後の資金源!?

岩上「『トクサギ(特殊詐欺)は暴力団最後の資金源!?』。ここは、ちょっと田崎さん、ご説明いただきたいなと思うんです。これも貴重な証言であり、傍証だと思うんですね」

田崎氏「はい。暴力団対策を担当している捜査関係者への取材で、結局これ、誰がやってんですかね? って話をしていくわけですけども。結局、暴対法が施行されて、いろんな古典的なシノギができなくなっていったと。たとえば、要は競争入札妨害だとか、総会屋みたいな話であるとか、ノミ行為とか、そういうところが、どんどんどんどん駆逐されていったわけですね。

 ネットの普及とか、そういうことも、外的なものもあるんですけども、要は資金源が結局、暴力団の構成員を食べさせていくというかですね、そういったことをする資金源が、どんどんどんどん削り取られていったと。その手法がですね」

岩上「そうですね」

田崎氏「そうすると、じゃあ、どうなってんですか、今、って言うと、その捜査関係者は、ここしかないんだという言い方をして、私のノートを指差したと。その指差した先に『トクサギ』って書いてあった、っていうことなんですね」

岩上「なるほど」

田崎氏「で、実際に白書とか、そういった統計のデータを見ると、もう結局、そのメインとなる資金源になり得るようなものは、薬物と詐欺のアガリとしか考えられないような状態になってるので」

岩上「この場合の詐欺っていうのは、トクサギもありますけれども。『トクサギ』っていうのは、主に高齢者を狙う、オレオレ詐欺みたいなものですけど。それ以外の、これは、わりと1対1でやるから『特殊詐欺』って言うのか、何なのかわかりませんけどね。『特殊詐欺』の由来、何でしたっけ。前聞きましたけどね。何で『特殊』って言うんでしたっけ?」

田崎氏「いっぺんに、面と向かわずに、詐欺行為を不特定多数に対して働く、っていう部分ですね」

岩上「対面しないでね。で、対面して、昔よくやったような、1ヵ所に集めてやって、これがいかに高級かと言って高い布団を売りつけるような催眠商法とか、あるいは、それ以外だと(儲けになるのは)投資詐欺ですよね」

田崎氏「はい。セミナーとかやって。そういうのもありましたけども。今でも行われてますけど。もちろん、そういうところも含んでですけどね」

岩上「こう、広い意味で」

田崎氏「広い意味での詐欺」

岩上「が、もうすごく蔓延してるんですよね」

田崎氏「そうなんですね。っていうところですよね」


※5)フィリピンに、本人は暴力団ではなくて、親父が暴力団員で、それですごいブローカーみたいなこともやり、コーディネーターなこともやってるっていう人間がいる:

 「ルフィ事件」の指示役と見られている渡邊優樹容疑者ら、フィリピンから強制送還された4人の背後にいた「キーパーソン」について、元山口組三次団体義竜会会長で、現在はカタギとなり、暴力団組員の更生を支援するNPO法人『五仁會』を主宰し、「極道YouTuber」としても活動している竹垣悟氏が、自身のYouTubeチャンネル『竹垣悟チャンネル』の中で繰り返し取り上げ、暴力団との関係も含めて詳細を明らかにしている。

 竹垣氏は、渡邊容疑者らが強制送還された直後の、2月13日の動画配信で、「フィリピンの裏社会を牛耳っている」人物として、五代目山口組元若頭補佐で、三代目山健組の桑田兼吉組長の「若い衆」だった元暴力団の息子で、通称「JPドラゴン」、吉岡リュウジ(吉岡は母方の姓)53歳の名前をあげた。
 竹垣氏は、吉岡リュウジが20代でフィリピンに渡航していることや、「(吉岡の)姉の家にガサ(捜索)が入ったので、逮捕間近だ」との見方を示した。

 また、「渡邊容疑者ら4人の上に、山本好孝、通称アラマキがいたらしい」とも語った。
 4月10日配信の動画では、竹垣氏は、2019年の大規模摘発の際に、「JPドラゴン(吉岡リュウジ)が、『俺の手伝いをするなら逃してやる』と言って、山本好孝とふたりで『箱』(グループ)を奪った」と述べ、摘発を逃れた逃走中の20人ほどが、今も特殊詐欺をやっていると語った。

 さらに竹垣氏は、「ルフィ」事件の黒幕である、JPドラゴンのグループについて、「吉岡リュウジがトップ、山本好孝がナンバー2。小山トモヒロはナンバー3の立ち位置」だと指摘し、「金を持っているのは、山本好孝だけ。吉岡リュウジはバクチが好きだから、持ってる金を全部溶かしてしまった」とも語っている。

 小山トモヒロについては、北海道出身の40代後半、渡邊容疑者の友人で、通称「イタイ」、2019年のフィリピンでの大規模な特殊詐欺グループ摘発で、フィリピンの捜査当局に日本人36人が逮捕されるまでは「小山トモヒロが親方だった」と語っている。

 竹垣氏は、「私の情報提供者は、『そういう(吉岡らが近いうちに逮捕されるという)噂が流れているが、まだどうなるか。日本とフィリピンは近いようで遠い』と言っていた」と明らかにし、2月13日の動画で「逮捕間近」としていた情報に対して、不透明な見方があることも指摘した。

 一方、小山トモヒロと暴力団との関係について、竹垣氏は、「福島連合(6代目山口組の三次団体・札幌)の舎弟頭補佐で、統括委員長をしている淀屋潤(淀屋組・札幌)組長と、ものすごく仲がいいと言っていた」と明らかにしている。

 竹垣氏はさらに、淀屋組の「若い衆」の相川健太と、企業舎弟の白川ケントが、地元(札幌)の暴走族のトップで、小山トモヒロと交流があったとした上で「相川健太は現在、(2020年にフィリピンを拠点とする特殊詐欺グループから金を受け取ったとして逮捕され)破門になっている」と語った。

 竹垣氏は「その相川健太の人脈がまだ、福島連合に残っているということ」と述べ、「特殊詐欺をしている、していないは別にして、人間関係というのは、そう簡単に切れない」と指摘した。

 福島連合について、竹垣氏は、「膿を出さないといけない時期が来ている」と述べた一方、「(福島連合は)オレオレ詐欺(特殊詐欺)には関係していないと言ったから、私は関係ないと思う」と述べた。

 4月10日の配信で竹垣氏は、吉岡リュウジについて「吉岡(今倉)竜司」と漢字表記にあらため、写真も掲載している。日本国内の暴力団とのつながりについては、「4~5年前に、井上邦雄(神戸山口組)組長と、盃してる」と述べて、その時の写真も掲載している。

 その上で竹垣氏は、井上邦雄組長が、フィリピンの特殊詐欺グループからの金が流れていることは「一切ないと言っていた。吉岡竜司が井上邦雄組長の名前を利用しているだけ」だと述べ、「逆に、(日本でダメになったらフィリピンに住む準備をしていたと考えられる)井上邦雄組長の資金が、フィリピンに行っている可能性もある」と語った。

 さらに竹垣氏は、「ルフィ」事件で、現地の取材で弘道会(6代目山口組の司忍組長と高山清司若頭の出身母体)の名前ばかりが出ていたことについて、「(吉岡側は)井上邦雄組長の方(6代目山口組と分裂した神戸山口組)の肩をもつわな。盃を受けてるんだから。組員にはたぶんなってないと思う。裏盃というやつ」だと語っている。

 竹垣氏は「オレオレ詐欺(特殊詐欺)に関わっていたら、使用者責任が来る。6代目(山口組・司忍組長)が大きなダメージを受けるように、それで神戸山口組がちょっとでも浮上するように、弘道会の名前ばかり出していたのではないか」との見方を示した。

 続いて竹垣氏が4月14日に配信した動画では、竹垣氏に情報を提供している人物が、日本の警察とフィリピンの警察に対し、「ルフィ」事件について洗いざらい全部情報を提供しており、今後、事件関係者から命を狙われる危険性があるため、竹垣氏の独占取材に応じて、情報を広く公開してもらいたいと求められたと述べた。このため、竹垣氏が明らかにしている情報の内容は、すべて警察も把握しているということである。

 この動画で竹垣氏は、「JPドラゴン」のナンバー2、山本好孝の兄弟分が「金の運び役をしていたらしい」と述べ、情報提供者がこの「山本好孝の兄弟分」について、「今回は伏せてくれ」と言ったので名前は出せないとした上で、次のように語っている。

 「福岡の安倍組(IWJ注:神戸山口組の二次団体)の、元若い衆だった。それで、事件を起こして、不起訴になって、フィリピンに出国している」

 また、竹垣氏は山本好孝について、写真を掲示しながら、「ケソンシティで『やまたつ』という日本食レストランを経営している。『やま』は山本の『やま』、『たつ』は吉岡竜司の竜から取っている」と述べ、次のように語っている。

 「フィリピンで、あちこちに子どもを作っているらしい。50歳で、手首まで刺青を入れて、まるっきりヤクザ気取りだという。それで、自分が乗っている高級車に『DRAGON YAMAMOTO』と入れているらしい」

 さらに竹垣氏は、山本好孝について、「ナンバー2だから、金を一手に握っていたんだろう」と述べ、ヤクザもそうだが、こういった事件の組織では、トップというのは「ナンバー2から金が行く仕組み」だと明らかにした。

 また、竹垣氏によると、「JPドラゴン」のメンバーは、「左手の親指と人差し指の間に『Jp Dragon』と刺青(タトゥー)を入れているらしい」とのこと。

 竹垣氏は、吉岡竜司と神戸山口組の井上邦雄組長が盃を交わした時に、山本好孝も同行していたと明らかにした上で、写真を掲示して「神戸山口組側から、侠友会の寺岡修会長(IWJ注:兵庫県淡路市が本部。神戸山口組の元最高幹部。2022年に解散)、黒誠会の剣政和会長(IWJ注:大阪市が本部。元神戸山口組若頭補佐。2020年に解散)、それと二代目英組藤田恭道組長(IWJ注:大阪市が本部。神戸山口組若頭補佐)が、集合写真に写っていた」と明らかにした。

 竹垣氏は「私、その写真を見てびっくりした」と述べ、「神戸山口組あげて、吉岡竜司との盃をしているんだろう。さしずめ、フィリピン支部というところじゃないか。それか、裏部隊」との見方を示している。

 その一方で、竹垣氏は「普通、稼いだ金を、井上邦雄組長にいくらか上納するんだが、それを一切していないと言っていた」と述べ、「吉岡竜司というのは、したたか」だと語っている。

参照:
・「極道YouTuber」で元山口組三次団体組員の竹垣悟氏が「ルフィ」事件の「キーパーソン」として、フィリピンの裏社会を牛耳るJPドラゴン(吉岡リュウジ)のナンバー3、小山トモヒロの名前を明らかに! 小山トモヒロは「福島連合(六代目山口組の三次団体・札幌)の舎弟頭補佐で、統括委員長をしている淀屋潤(淀屋組・札幌)組長と、ものすごく仲がいいと言っていた」とする一方、福島連合は「ルフィ」事件に「関係ないと思う」とも断言!(日刊IWJガイド、2023年4月12日)
【URL】https://bit.ly/3N04FAP

・<ニュースフラッシュ 2>「極道YouTuber」竹垣悟氏が「フィリピンの裏社会を牛耳っている、『ルフィ』事件の黒幕」と指摘する「JPドラゴン・吉岡(今倉)竜司」の写真をYouTubeにアップ! さらに吉岡竜司が神戸山口組の井上邦雄組長と盃を交わす場面の写真も公表! 一方で神戸山口組にフィリピンの特殊詐欺グループの金が流れていたことは「一切ない」とも断言! 暴力団が関与していた場合、上部団体の「使用者責任」が問われる!(日刊IWJガイド、2023年4月14日)
【URL】https://bit.ly/3NcLkwx

・<ニュースフラッシュ>「ルフィ」事件の黒幕、フィリピンの「JPドラゴン」吉岡竜司と神戸山口組・井上邦雄組長の盃に同席していたのは「JPドラゴン」ナンバー2の山本好孝、神戸山口組側は、侠友会の寺岡修会長、黒誠会の剣政和会長、英組藤田恭道組長!「極道YouTuber」竹垣悟氏は「神戸山口組あげての盃、さしずめフィリピン支部」と指摘!(日刊IWJガイド、2023年4月19日)
【URL】https://bit.ly/43aFoJZ

・マニラで日本人36人拘束 特殊詐欺「かけ子」の疑い(朝日新聞デジタル、2019年11月14日)
【URL】https://bit.ly/3owwnvI

・強制送還 ルフィ 渡辺一味4人組と総指揮を執った山本好孝 黒幕 JPドラゴン ヨシオカ リュウジ 札幌 福島連合の関与について問い糺す(竹垣悟チャンネル、2023年2月13日)
【URL】https://bit.ly/3MHQMWn

・全てを知る男に独占取材!! 連続強盗ルフィ一味のトップは元々 イタイこと 小山トモヒロ その箱を奪ったのが現在の黒幕 吉岡リュウジと山本好孝 福島連合 淀屋潤 統括委員長との関係(竹垣悟チャンネル、2023年4月10日)
【URL】https://bit.ly/43zeJX4

・独占取材第二弾!! ルフィ一味の黒幕 JPドラゴン 今倉こと 吉岡竜司は神戸山口組 井上邦雄組長と舎弟盃を交わし 記念写真を撮っていた(竹垣悟チャンネル、2023年4月12日)
【URL】https://bit.ly/42bY9LB

・ルフィ事件 独占取材第三弾!! JPドラゴン 山本好孝と吉岡竜司 それに神戸山口組 侠友会 寺岡修会長 黒誠会 剣政和会長 二代目英組 藤田恭道組長との記念写真を公開(竹垣悟チャンネル、2023年4月14日)
【URL】https://bit.ly/3N1OnHt

※6)後藤忠政:
 カンボジアの実業家で、元後藤組組長。本名は後藤忠正。指定暴力団・山口組の幹部構成員として活動し、2008年に引退後、カンボジアで実業家に転身。日本航空(JAL)の個人筆頭株主でもあった。

 1942年、東京市荏原区(現・品川区)に4人兄弟の末っ子として出生。祖父は富士川発電や伊豆箱根鉄道を興した実業家の後藤幸太郎。母を踏切事故で失い、戦争の激化により、2歳の時に父の実家がある静岡県富士宮市に疎開して以降、同地で育った。後藤家は没落しており、小学生時代の忠政は納豆売りをして学習用ノートを買うなど、貧しい生活を送った。

 地元の富士宮を拠点に愚連隊として活動後、17歳で正式にヤクザとなる。20歳で松葉会系組織に移籍し、トラブルを抱えていた稲川会系組員を日本刀で襲撃。殺人未遂容疑で起訴され、2年10ヶ月を甲府刑務所で過ごす。出所時の1965年は、警察当局の第一次頂上作戦による影響で、全国的に暴力団組織が壊滅・弱体化していた時期であるが、後藤はその情勢下で勢力を保ち続けた山口組傘下川内組に移籍する。

 1969年、富士宮市で川内組内に後藤組を設立する。上部団体の川内組は、山口組菅谷組の傘下であり組長の川内弘は菅谷組舎弟を務めていた。1977年に川内が殺害され、川内組が実質的に壊滅すると、後藤は浜松市を拠点とする山口組傘下伊堂組(組長・伊堂敏雄)に舎弟として移籍した。1984年7月、竹中正久を組長とする四代目山口組が発足すると伊堂は引退し、後藤が山口組の直参へ昇格、後藤組も内部昇格の形で山口組の二次団体となった。

 後藤は武闘派として、同年に勃発した一和会との山一抗争で積極的に働いた他、 渡辺芳則を組長とする五代目山口組の東京進出に際しては、その先駆けとなって勢力の拡大に寄与した。

 1992年には後藤組組員5人が、暴力団を描いた映画『ミンボーの女』の監督伊丹十三を襲撃した。この時は伊丹十三氏は、全治3ヶ月のケガを負っただけですんだが、この5年後、1997年12月20日に、伊丹十三氏はビルの屋上から転落死。警察は自殺と認定したが、他殺説もささやかれた。

 2001年4月、肝臓が悪化し、適合する肝臓を移植できるアメリカへ入国するため、連邦捜査局との間で山口組内部情報(山口組がアメリカで利用する金融機関や弘道会の幹部リストなど)を提供するなどの取引を行った。同年7月にカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)付属病院で手術を受け、その際同院へ10万ドルを寄付、病院側が謝意を表明したプレートを院内に掲示したが、問題となり直後に撤去された。

 アメリカの捜査当局は上記の後藤からの情報を元に、2003年11月、山口組系五菱会の最高幹部だった梶山進の資金200万ドル(約2億円)を発見し、警察庁に連絡する。この資金は全額没収された。さらにアメリカはスイスの捜査当局と連携し新たに50億円を没収した。山口組の損失は約54億円に上ったが、後藤組の損失は0であった。

 2002年7月、山口組若頭補佐に就任し、これにより後藤は山口組執行部の一員となる。その後、六代目山口組が発足した2005年7月に舎弟に直った。

 2006年5月8日、東京都渋谷区のビル所有権を菱和ライフクリエイト(現・クレアスライフ)の社長らと共謀し、不正変更した電磁的公正証書原本不実記録の容疑で、組関係者などとともに警視庁に逮捕された。

 翌年6月14日、病気を理由に弁護人が勾留の執行停止を申し立て、保釈金7000万円を払い保釈されたが、2012年2月13日に懲役2年執行猶予4年の有罪判決が確定した。

 2008年10月、後藤の9月の誕生日を祝って開かれたゴルフコンペに細川たかし、小林旭、角川博、松原のぶえ、中条きよし、須之内美帆子、益子梨恵らが参加していたことが報じられた。

 これを受けNHKが細川、小林、角川、松原、中条の5人(残りの2名はNHK出演はない)の番組への出演を数ヶ月間見合わせた。また、6代目山口組執行部も事態を重くとらえ、病気を理由に本部の定例会を欠席しながら祝宴を開いたとして後藤を除籍処分にした。これを機に後藤はヤクザを引退した。

 2009年4月8日、神奈川県伊勢原市の天台宗の寺院・無常山浄発願寺で得度、法名・忠叡を名乗る。

 かねてからの念願だった映画作りで、地元で起こった事件だったために気にかけていた袴田事件を題材として企画した2010年公開の映画『BOX 袴田事件 命とは』に私費3億円を投じ、救援活動に取り組んだ。

 同年に自らの半生を語り下ろした自叙伝『憚りながら』(宝島社)を出版、後藤組と創価学会の関係について明らかにしたことなどが話題を呼び、ベストセラーになった。本書の印税は、2010年10月20日に「アンコール障害者協会」(Angkor Association for the Disabled=AAD)ならびにミャンマーのチャイカロット・パリヤティセンター&モゴック・ビパサーナ僧院に全額寄付された。2011年には新章「東日本大震災と日本人」を加えて文庫化。この文庫版の印税でボランティア組織を設立し、福島第一原子力発電所事故で陸の孤島と化した地域へ支援物質を運搬した。この支援活動には村井秀夫刺殺事件の実行犯だった徐裕行が副代表として参加している。

 2011年頃よりカンボジアに移住し、プノンペンの高級マンションに居住。カンボジアでは養鶏場経営などの実業を手掛けるとともに学校建設などボランティア活動も行っており、2012年末にはカンボジア国籍を取得し、伯爵に相当する『オンニャー』の称号を授与され、オンニャー忠叡を名乗る。カンボジア政府高官に人脈を築いて、国会議員を目指すことも考えているという。

 2015年12月9日、アメリカ財務省外国資産管理室(OFAC)は、後藤を国際緊急経済権限法・大統領令13581号にもとづき、金融制裁の対象としたと発表した。

 同日発表のプレスリリースでは、資金洗浄などを通して日本の暴力団関係者の世界的な非合法的活動を支援していると指摘し、後藤の本名並びに法名・「忠叡」や、カンボジアでの称号を冠した「アジャ忠叡」の呼称が掲載された。

 2016年3月、日本に帰国する。目的は検査入院であると見られ、関西国際空港から入国して東海道新幹線で東京へ向かい、渋谷区内の病院に入院したと報じられている。

参照:
・後藤忠政(ウィキペディア)
【URL】https://bit.ly/3IHZ4fJ

「任侠」の世界では高齢者を標的にした特殊詐欺をやるのは恥! 使用者責任を問われた暴力団が、被害者との和解に応じたケースも。被害に遭ったら、恐れずに被害届を出すことが大事!

岩上「とりあえず、トクサギはそんな金融の知識なくてもやれますが、ちょっと金融の知識のある奴が、しかも堅気のゾーンと、それから違法ゾーンの中間ぐらいにいて、本気でね、出資金返せるかどうかわからないようなこと、やってるようなことがあったら、(暴力団関係者は)近づいてきますよね」

田崎氏「そうでしょうね。何やってんですか、おたく、っていうね」

岩上「で、儲かってんの、と。じゃあ、うちにも、ちゃんとカスリ(上納金)あげてね、とかやっていく。儲かるんだったら、(違法事業を)どんどん拡大していくとか、そういうことが。

 暴力がすべてだった時代があったじゃないですか。戦後直後から高度成長期にかけての(全国制覇をめざした)山口組。それから、山口組頂上作戦(※7)があって、あと、バブル期にも、(暴力団が)すごく広がりましたよね。

 で、今は、ずーっと小ちゃくなったって言われてるんですけど、『暴力団』という言葉じゃなくて、もはや『詐欺団』になってるかもしれないと。『詐欺』、あるいは『ドラッグ団』みたいな。そこに、もしかしたら暴行傷害が(付随してくる)かもしれないですけれども。

 だから、何か男性的な暴力から、非常に知的な、頭を使って、ひとひねりしてっていうところに、犯罪界全体が移行していると。プロの犯罪者の人たちも動いていくと。だから、思いつきでやってる人たちだけではない、ということですよね」

田崎氏「そうですね」

岩上「そこを、やっぱり深く掘らないと駄目ですよね。

 僕は、(被害にあった方は)絶対に、被害届出した方がいいと思うと言いました。どうですか、田崎さんも同じご意見ですか?」

田崎氏「そうですね。実際、結局、被害届を出すのが怖いみたいな話が、当然あると思うんですけど、お金のためにやってる犯罪なので」

岩上「そうですね」

田崎氏「それを、お前、被害届出しただろ、この野郎って言いに行ったところで、お金、出てこないわけじゃないですか、別に。だから、そういうことは実際には多分、(お礼参りのようなことは)ほとんどないのかな、とは思うんですよね」

岩上「『出したんだろ、この野郎』ってきたら、これ完全な恐喝とか脅迫ですよね」

田崎氏「もちろん、そうなんですけど」

▲2021年、稲川会トップが使用者責任を問われ 損害賠償金を支払い!

岩上「(恐喝や脅迫にきたら、その言動を)録音しておいたら、もう、そこから確実に捜査がね、進展しますけどね。実はね、被害届を出しましょうって言ってるのは、これを取材していくうちに、ますますそう思ったんですけれども、出さないと、最終的に勝利を得られないと。

 で、ヤクザ側はですね、自分たちのところまで使用者責任が問われるところまでの件は、払ってるんですよ。だから、枝(末端)の方がやったんだったら払わないのかもしれないですけど、『2021年、稲川会トップが使用者責任を問われ損害賠償金を支払い! 稲川会がからんだ事件(ヤミ金事件)の被害者約10人が訴えた民事訴訟で、稲川会トップが使用者責任を問われ、損害賠償金を払った』と。

 これは、(田崎氏の)ご本の中の125~134(ページ)に出てくるところですが、『他の組織も賠償金の支払いや示談に応じる。民事で判例が積み重ねられている! 被害者は泣き寝入りしてはダメ』と。やっぱり、田崎さんは、こういう思いでいらっしゃるってことですよね」

田崎氏「そうですね、結局これ、3億とか4億とか、そういう規模で使用者責任で問われて、判決の前に和解をするわけですけども、実際に払われて賠償されてるっていうことがあるので。ただ、結局、発生している被害額が1日1億ですから」

岩上「1日1億円、本当に」

田崎氏「そういう意味では、1日1億ですから、3億円の賠償金を取ったところで本当に微々たるもの。年間の、本当に0.1%以下だと思いますけども、要は結局、トクサギの被害にあうと、ほぼほぼ戻ってこないわけですよ。

 ただ、結局、被害届を出して、民事訴訟で集団提訴するわけですけども、そういった状況になると戻ってくるケースも、中には0.1パーセントぐらいあるということですよね。それをやっぱり、積み上げていかないと抑制効果にならないので」

岩上「なるほどね。300億っていう金が奪われている、これは、一人ひとりの被害を考えると胸が痛むんですけど、国富として考えてみても、これは大変な国富の流出ですよね」

田崎氏「そうですね」

岩上「そして、そこから税金を取ることもできなくて。で、税金を取られない奴が、裕福になっていってしまうじゃないですか」

田崎氏「しかも、それがまた、反社会的な用途に使われる可能性がきわめて高いところに流れていきますから」

岩上「そうですね。変な話ですけど、金のない奴が、詐欺すごろくをやって。一番はじめは金主から金借りて、そして、オレオレ詐欺やって。ある程度、成功したら、今度は、もうちょっと大掛かりな投資詐欺とかをやっていくとかね、そんなことだって、あり得る話ですよね」

田崎氏「はい」

岩上「投資詐欺ってなると、犯罪の被害額が桁違いになってきて、何百億とかいうようなことにもなってくる。(現代は)とにかく詐欺が横行している社会なんだと。ネット社会というかね、ネットだけの問題じゃないと思うけど、とにかく高度情報化社会は、実は詐欺社会ですよっていうことを、やっぱり(注意喚起のために)言っておきたいですよね。

 で、『稲川会への東京高裁判決と同時期に』、他にも和解に応じると。住吉とか、それから神戸山口組。これ、ちょっと説明していただけますか」

▲稲川会への東京高裁判決と同時期に、暴力団側が和解に応じるように!

田崎氏「そうですね、52人の被害者が集団提訴した、ということなんですけども」

岩上「まとめたのはすごいですね、52人ね」

田崎氏「そうです。だからこれ、弁護団が非常に頑張ったケースで」

岩上「そうですね」

田崎氏「6億5200万と。で、実際の被害額よりも上積むかたちで、和解が成立してるんですよね。だから結局、確定判決が出ちゃうと、強制執行とかされちゃって、実際に入り込んできちゃうっていうことを(暴力団側は)やめてほしいから、おそらく、上積んで早期の和解を目指したのかなという風には思うんですけども。

 この和解では、結局、(賠償金の)振込みを確認するまでは和解しない、という念の入れようだったので、実際に、本当に振込みを確認されたということで」

岩上「向こう側からのね」

田崎氏「そうです。向こう側からの振込みが確認された段階で、和解に応じてるっていう、用意周到にやったわけですけども。こういうケースを積み上げていくことで(状況が好転していく)」

岩上「大きいですよ、でも、住吉会が。つまり、住吉会の枝の枝じゃないでしょう、これ。住吉会が」

田崎氏「そうそう、もうトップです」

岩上「トップです。で、さっきのもトップでしょ」

田崎氏「はい」

岩上「稲川会トップとか、住吉会トップって言ったらば、やっぱり東京、それから神奈川にいるヤクザにとっては一番上の上ですから。そうすると、ウジャウジャやってるような者がいたら、『住吉会トップがこういうことを言ってんだぞ』っていう、そういうこともね、これ、知っといてもらいたいですよね。

 それから西日本、今、6代目山口組の本部は名古屋ですけれども、これ、(分裂した)神戸山口組のケースですが、こっちの方も、ちょっと説明していただけないですか?」

田崎氏「同じですよ。これ、半年から7~8ヵ月後のものですけども、こういった大規模な暴力団に対して、そういった和解金が支払われてるっていうことですよね」

岩上「これ、6人だから、和解金が318万と低いと」

田崎氏「そうですね」

岩上「これは、和解金は値切られたんですか。それとも、まあまあ?」

田崎氏「いや、これも、まあまあ…」

岩上「とられた額が、元々、小さいから?」

田崎氏「ただ、結局これ、今、例示であがってますけども、全国規模で数百万から数千万円規模の、同種の民事訴訟が起きてるので。で、これ、ついこの間も横浜地裁で提訴がありましたけども、断続的に行われてるんですよね」

岩上「これは、(判決という形で)答えが出た事例?」

田崎氏「そうですね」

岩上「一番最初に答えが出て、ギブアップして、もういいから、和解でいいですから、上積みもしますからと言って。しかも、3大暴力団である、要するに6代目山口組、住吉会、稲川会っていうのが、このようにしてると」

田崎氏「そうですね」

岩上「トップの姿勢がこのようなものであるということ。これはやっぱり、住吉会にしても、稲川会にしても、山口組にしても、弱い高齢の人からね、詐欺でお金をとるというのは、『これは破門だ』とか、『いかん』という」

田崎氏「そういう通達を出してますからね」

岩上「出してますよね。で、建前でも、それを出してるわけですから、だから、彼らとしては、これが表沙汰になったら、速やかに上乗せしてでも払いますよ、という。だからこれ以上、この件で騒がれたくないっていう」

田崎氏「そういうことはあると思いますね」

岩上「ですよね」

田崎氏「あと、やっぱり、先ほど『任侠』の話ありましたけども、いわゆる看板を立ててやってる組織からすると、詐欺に加担するというのは、もう恥ずかしいことという、建前と言うかですね、そういった常識が、やっぱりその業界にはあるようなので。

 そういう意味では、バレること自体も恥ずかしいことだし、それに対しては、本当の本当の上層部は、下部組織に、先ほど2次団体、3次団体ありましたけども、すべての傘下のところに通達は出してるんですよね。

 ただ、先ほどの薬物の話で、岩上さん、おっしゃってたように、じゃあ、本当に蛇口閉めてね、やったら本当に駄目なんだということをやると、その全体の、食べさせていくっていう話ができるのかっていうとね、ちょっと、疑問ではあるところだと思いますけどね」

岩上「ですよね。だから、おそらく麻薬とですね、覚醒剤。それから、こういった詐欺。これを大きく徹底的にやったら、あるいは伝統的なシノギの中の、たとえば債権の取り立てとか、強面で顔が利くところのシノギ、一部のみかじめとかいうようなところに落ち着いていくのかもしれない。そしたら、全国団体(広域暴力団)なんていらなくなってくるんで。これ、山口組が(全国制覇に向けて広域化を)やり出したために、日本史上、初めてこんなものができちゃったわけですよ。

 だけども、分割されて、街の顔役程度に落ち着いて、で、何かあったら用心棒するよっていう程度に落ち着いてね。それ以上のこと、やらないようなものになっていくんだったらば、犯罪を組織化して、ウロウロしている若者たちをロボットのように使って、コマのように使って、そして、殺しをやらせたり、傷害をやらせたりとか、そういうことはできなくなると思うんですよね。

 なぜならば、懲役に行くのも、抗争もそうですけど、今、(かつての山一抗争のような激しい)抗争が起きないのは、(鉄砲玉やヒットマンに)懲役に、行かせられないからですよね、『ロング』(殺人などの長期服役)というやつ。『ロング』になると、ひとり1億とか最低かかるじゃないですか。

 だから、それはしたくないとなっているので。だから、懲役に行かすようなリスク、懲役のリスクをハイリスクにすればいいと思うんですけれども。それを出して、なおかつ『組に貢献するなんていうことはできないね』っていう状態にまで持っていくっていうのが、プロ集団を追い詰めていく方法なんじゃないかな、と思ったりしますね」

田崎氏「はい」


※7)山口組頂上作戦:
 警視庁および各県警本部が、1964年2月から1969年4月まで行った暴力団壊滅作戦を「第一次頂上作戦」という。本項では、「第一次頂上作戦」の概要と、特に山口組を対象とする頂上作戦の経緯を紹介する。

 「第一次頂上作戦」は、暴力団取締要綱に基づき、暴力団の凶器を押収、抗争を早期に終結させ、違法な資金獲得を断ち、暴力団のトップや最高幹部の検挙を徹底的に行い、暴力団の解散を目的とした。本来は上記のように首領、幹部の検挙という暴力団取締要綱の一つにすぎないが、活動の総体として認識されている。

 1961年2月21日、池田勇人首相は、「暴力犯罪防止対策要綱」を閣議決定した。1964年10月10日から東京オリンピックの開催を控えており、治安強化を図る必要に迫られていたためだった。しかし、その後も暴力団抗争事件は頻発する。その中で、1964年1月、「暴力取締対策要綱」が作られた。

 同年2月、警視庁が「組織暴力犯罪取締本部」を設置し、暴力団全国一斉取締り(いわゆる「第一次頂上作戦」)を開始した。同年3月26日、警察庁は改めて広域10大暴力団を指定した。10大暴力団は、神戸・山口組、神戸・本多会、大阪・柳川組、熱海・錦政会、東京・松葉会、東京・住吉会、東京・日本国粋会、東京・東声会、川崎・日本義人党、東京・北星会だった。

 以下は、山口組を対象とする頂上作戦の経緯である。

 1965年5月、山口組三代目組長の田岡一雄が、東京での「全国港荷役振興協会」の会議出席後に、狭心症で入院した。

 これを機に、兵庫県警は、まず山口組舎弟筆頭格だった岡精義に狙いを定め、山口組解散と田岡一雄の引退を目指すことにした。

 同年9月、兵庫港が台風23号に襲われ、横浜海運倉庫と築港興業の2社のドラム缶1485本が流失、それが山口組舎弟の岡精義が社長・工業取締役だった神戸生コン運輸と神戸生コン工業の機械を破損したとして、岡精義は両社から現金150万円と約束手形2200万円を受け取った。これが、現金と約束手形を脅し取ったと判断された。

 同年10月、岡山県警は、岡山市の竹中組・竹中武(後の四代目山口組若頭補佐。四代目山口組・竹中正久組長の弟)組長を野球賭博容疑で逮捕。1966年2月、兵庫県警は、山口組竹中組・竹中正久組長(後の山口組四代目)を野球賭博容疑で逮捕。

 1966年3月、金堀一男が兵庫県警本部長に就任。金堀は田岡との全面対決姿勢を明確にした。

 1966年4月19日、岡精義は兵庫県警に逮捕された。岡精義は容疑を認め、田岡一雄は兵庫県警捜査四課から、岡精義の引退届けを受け取った。

 同年5月2日、田岡一雄は、岡精義の引退を認めた。同日、田岡一雄は、入院中の病室に、山口組若頭・地道行雄を呼び、地道行雄に「港湾荷役関係者は、全員山口組から脱退し、事業に専念するように」と伝えた。

 同年5月3日、田岡一雄の舎弟・安原武夫(安原運輸社長)や青井照日出(住井運輸社長)らは、神戸市海岸通の全国港湾荷役振興協会事務所で、山口組からの脱退を決議した。

 同年5月5日、岡精義は兵庫県警捜査四課長に、山口組との絶縁を伝える文書を送った。

 同日、岡精義をはじめとする田岡一雄の舎弟10人と若衆9人が、山口組から脱退した。彼らは、港湾事業関係の社長などを務めていた。

 これにより、田岡は港湾事業からのしのぎの大部分を失った。

 同年5月以降、翌1967年にかけて、山口組井志組、山口組西岡組、山口組長谷組、山口組渋谷組、山口組一心会、山口組山博組、東声会、山口組鹿島組、十九組、山口組坂口組、石井組、極東愛桜連合会、山口組小塚組、安原会等が次々に解散していった。幹部クラスの肝臓疾患等の病気による死亡も相次ぐ。

 同月、地道行雄は、田岡一雄に山口組解散を直訴し、若頭辞任を願い出た。田岡は、地道の若頭辞任を留意した。地道は、地道組若頭・佐々木道雄に、地道組傘下組織の解散奨励を伝えた。

 同年6月2日、兵庫県警は、神戸市の21官庁の協力を得て「山口組壊滅対策官公庁連絡協議会」を発足させ、2日後に「広域暴力団山口組幹部による企業暴力事件捜査本部」を設置。

 同年6月7日、田岡一雄は甲陽運輸社長を辞任。

 これにより、田岡は港湾事業からのすべてのしのぎを失った。

 同年6月下旬頃から、1963年に神戸市三ノ宮駅前に建設が決定されていた「さんちか」の建設をめぐり、恐喝容疑で吉川勇次と地道行雄が指名手配され、岡精義や山口組舎弟頭・松本一美ら数人が逮捕された。兵庫県警須磨警察署の取調べで、岡精義は「田岡一雄も恐喝に参加している」ことを供述した。

 同年6月、吉川勇次が逮捕。野球賭博で竹中組若頭や幹部、組員、賭博客が逮捕。

 同年7月1日、地道行雄が、警察に出頭、逮捕。

 同年7月9日、岡精義は、兵庫県警須磨警察署の取調べで「田岡一雄が、さんちかタウン建設での恐喝に介入していた。自分は恐喝して500万円を手に入れた。そのうちの300万円を田岡一雄に渡した。自分が田岡一雄に300万円を渡す際に、地道行雄が同席していた」と供述。

 同年7月15日、山口組舎弟頭・松本一美が入院中の病院で検挙。

 同年7月21日、地道行雄は、さんちかタウン建設での恐喝を認め、「岡精義が、恐喝で手に入れた300万円を、田岡一雄に渡した。その現場に立ち会った」と供述した。

 8月28日、山口組企業暴力事件の第2回公判が、神戸地裁で行われた。検察側は、冒頭陳述で、「さんちかタウン建設の際に恐喝で奪った500万円のうちの300万円が田岡一雄に渡った」と公表した。

 9月、兵庫県警は、神戸市灘区篠原本町の田岡一雄の自宅を家宅捜索。12月、田岡一雄は、甲陽運輸の脱税で起訴された。

 1967年1月、田岡一雄の舎弟・菅安次郎が山口組から脱退。

 同年4月、山口組山健組・山本健一組長(凶器準備集合罪で服役)が出所。すぐに警察に起訴された。山本健一は肝臓病により病院で加療中だった。同年、山本健一は、地道行雄の供述(「さんちかタウン建設の際に恐喝で奪った500万円のうちの300万円が田岡一雄に渡った」)に立腹し、竹中正久と二代目細田組・細田利明とともに、地道行雄暗殺を謀議。竹中と細田は、地道暗殺の実行犯役を買って出た。

 同年5月1日、竹中組組員・北村孝一を、姫路警察署が傷害容疑で逮捕。5月2日、姫路警察署の小林幸三暴力犯係長は、北村孝一の逮捕にからみ、強い抵抗にあいながら、竹中組事務所を強制捜査。

 同年5月初旬、田岡一雄邸の2階大広間で、山口組直系組長70人弱が集まり、山口組直系組長会が開かれ、山口組解散について議論された。

 地道行雄は山口組解散を主張。中山美一が地道に「山口組の解散は、田岡一雄の了承を得ているのか」と訪ねた。地道は「自分の独断だが、田岡から承認を受ける自信はある」と答えた。

 採決では、50人が山口組解散に賛成し、山本健一、竹中正久ら20人弱が、解散に反対した。解散反対派が、田岡の意向を聞くように食い下がり、山口組直系組長会では結論が出なかった。入院中の田岡一雄に、山口組解散の意思を確認すると、田岡一雄は、山口組解散を否定した。

 同月、関西労災病院で、山本健一は、田岡一雄に、地道暗殺を謀議したことを告白。田岡は、竹中正久と細田利明を呼び、地道暗殺を止めさせた。

 同年11月、兵庫県警は、さんちかタウン建設をめぐる恐喝で、田岡一雄を、関西労災病院で、臨床尋問。

 1968年1月29日、兵庫県警は、さんちかタウン建設をめぐる恐喝・威力業務妨害・港湾法違反など4つの共犯容疑で、田岡一雄を神戸地裁に書類送検。

 同年2月7日、田岡一雄は、地道行雄を若頭から解任。

 同年6月、田岡一雄に、兵庫県警が、神戸芸能社の無許可営業について臨床尋問。

 1969年3月、山本健一ら山健組組員5人が銃砲刀剣類所持等取締法違反で逮捕。

 同年4月14日から17日まで、神戸地裁は、関西労災病院で、田岡一雄を取り調べ。

 同年4月25日、梶原清晴が恐喝容疑で逮捕。

 同日、神戸地裁は、田岡一雄を、恐喝や威力業務妨害容疑で在宅起訴。しかし、兵庫県警は、田岡一雄を刑務所に送ることはできなかった。

 なお、その後も「第二次頂上作戦」、「第三次頂上作戦」が行われている。

 「第二次頂上作戦」は、第一次頂上作戦によって服役していた暴力団の首領、幹部が相次いで出所し、第一次頂上作戦により解散させた組織の復活、再編が図られたことから、1970年から実施された。1970年12月4日、警視総監が都内の取り締まりの徹底を指示、警視庁内に3000人からなるプロジェクトチームが結成された。

 「第三次頂上作戦」は、3代目山口組と、2代目松田組の対立抗争事件(大阪戦争、1975年7月26日から1978年11月1日まで)を契機に1975年に開始された。

 警察庁は、「3次にわたる頂上作戦をはじめとする徹底的な取締りにより、暴力団の構成員及び準構成員の総数が大幅に減少するなど、一定の成果がみられた」が、一方で、「取締りの強化を受け、民事介入暴力事案等の多発にみられるように、暴力団の不当な行為は、その多様化、巧妙化の傾向を強めていった」と『警察白書』で総括している。

 その他の頂上作戦としては、福岡県警が2014年に、野村悟(2000年に4代目就任、2011年以降は総裁)逮捕を皮切りに行った徹底的な取り締まり作戦がある。工藤會壊滅作戦とも呼ばれた。工藤會は、極めて好戦的で反警察思考が強く、「カタギ」である一般市民への攻撃も行うことから、暴力団の中でも特に危険・悪質な組織と見られていた。

参照:
・平成11年 警察白書(警察庁)
【URL】https://bit.ly/3lPV1py

・第一次頂上作戦(ウィキペディア)
【URL】https://bit.ly/3WFbVoM

稲川会最高幹部は「老人を狙い撃ちにする特殊詐欺への関与は厳禁」と通達! だが、その後も暴力団関係者が絡む詐欺事案は続出! ねじれる本音と建前!

▲暴力団対策法(暴対法)から30年「伝統的ヤクザ」は縮小スパイラル

岩上「『暴力団対策法(暴対法)から30年。「伝統的ヤクザ」は縮小スパイラル』。今、お話ししたようなことですけどね。『(1)暴力団が減少。暴力団構成員も減少(2005年8万7000人から、2021年末は2万4100人へ)』。激減ですね。

 これは、少子化も原因としてあると思いますけどね。今のヤクザのね、本職って言われてる人、みんな、おじいさんですよ。で、あれ、ヤクザなのかな? と思う若い人は半グレ(※8)だったりしますよね。

 『(2)暴力団が関係する犯罪全体も減少』に見えると。『(3)「ノミ行為」「占有屋」「総会屋」などの伝統的シノギが法改正で排除され、減少』。バブル崩壊の時には大きかったですよね。不動産とか、そういうの占有とかね、散々やりたい放題やった」

田崎氏「うまみが大きかったでしょうね」

▲資金源を絶たれた暴力団は、「トクサギ」へ

岩上「ですよね。あれが取り締まられたのが大きい。

 で、『資金源を絶たれた』から、トクサギに行っちゃうと。(田崎さんは)はっきりと、警察のね、証言をちゃんと取って来られてるから、間違いのない話だと思いますけど、『資金源を絶たれた暴力団は「特殊詐欺(トクサギ)」に注目、参入』してると。彼らに聞くとね、やってないって言うんですけど、それは信用できない」

田崎氏「それは、聞いてる先ですよね。結局、上層部、先ほど言った、まさにトップとか2次団体ぐらいは『やってないよ』って話なんでしょうけども、ダーッと追っていった下の方の方々は、何らかの形で、コミットしてる可能性がきわめて高いということですよね」

岩上「ですよね。

 『2021年に検挙された「中枢被疑者」の4割は暴力団員であった』と。だから、こういうトクサギの中で、検挙したのは、一番は下っ端だったんですけど、その中の『中枢被疑者』というのが、数が少ないんだと」

田崎氏「指示者役ですよね、主に言うとね」

岩上「それの『4割は暴力団』と」

田崎氏「約半分ぐらいは、そうってことです」

岩上「だから、やっぱり暴力団が真ん中にいて、頭を回しているということだし、それから、あと、飛ぶ奴が出てくるのを『お前、飛ぶんじゃねえぞ。どこまでも追っかけて、親殺すぞ』っていうセリフを堅気が言えるか。あるいは、堅気が(脅して)説得力を持つのかって話ですよね。だから、それは暴力団の、やっぱり『威光』というのが効いたんじゃないか。

 『2019年11月、京都でキャッシュカード詐欺事件では、2021年6月までに指定暴力団・神戸山口組参加組織幹部を含むメンバー33人が逮捕された。直近5年、暴力団員らの詐欺事件への関与は』、でも、ほら『増加』してるんです。さっきも言ったように、(構成員は)ものすごく減ってるって言ったじゃないですか。これ、こんなに減って」

田崎氏「そうですね、(暴力団の)人数が減ってるのに、件数が増えてるということは、関与してる人間の割合が高まってるってことですね」

岩上「そうですよね。暴力団犯罪全体も減少してるのに、これ(特殊詐欺の件数)が増えてるってことは、これは、いかに、(暴力団が収入源として)トクサギに頼ってるかということですよね」

田崎氏「そうですね」

岩上「だからもう、反社問題として社会もこれ(特殊詐欺問題)を、とらえてほしいし、与野党の議員、あるいは政府の人たちも、そういう目で、これ(特殊詐欺の広がり)を、見ていただきたいなという風に思いますね」

▲指定暴力団の勢力を含めた一覧(25団体)

岩上「『指定暴力団の勢力を含めた一覧(25団体)』ていうのを見ると、一番が6代目山口組。神戸に本拠があったのが、今は(名古屋が地盤の)弘道会がトップですので、弘道会の本部がある(名古屋)に…。

(中略)

 今、山口組は、今までの神戸(に「主たる本務部の所在地」があることにまだなっていて)、代表する者は『篠田建市』って書いてありますけど、この人は司忍6代目山口組組長。通り名が『司忍』ですね(本名は篠田建市)。(構成員が)約4000人。稲川会は1900人。住吉会は2500人。

 という、これが3大組織。工藤会というのは、全国唯一の特別指定危険暴力団という指定を(※9)、普通の一般市民を殺したりしてる事件によって受けています。このトップ中のトップの野村悟は死刑判決が出されて、控訴か上告っていう段階ですね。等々があります。

 25団体ぐらいあるんですけれども、警察庁も各地の県警も含めて、(特殊詐欺は)やっぱり暴力団が関与してるんじゃないかという厳しい目で、真剣に追ってもらいたいという思いがしますね」

▲「弱気を助け」を旨とする「任侠」の精神はどこへ? この通知を出すに至った事件

岩上「『「任侠」の精神はどこへ?』行ったんだと。さっきの通知の話ですけど、『2020年5月、稲川会最高幹部は同会会員に対し、特殊詐欺を「何ら落ち度なく判断能力が低下している老人等を狙い撃ち」にするものとして「関与を厳禁する」と通知。指定暴力団の多くはこうした通知を発出し、特殊詐欺への関与をやめるよう求めているという。だが、暴力団関係者が特殊詐欺に関与する事案はその後も続出している』。

 これは、こういう風にしたいんだけれども、いたし方なくなってると見るべきなのか。これのアガリって、結局、この一番上まで絶対上がりますからね。どこかで、この途中でアガリを止めてたら大変な目に遭いますから。金でつながってますから。これが嘘なのか。どう思いますか?」

田崎氏「何とも言えないですけどね。ここの話を、実際に聞きに行ったわけじゃないので」

岩上「でも、あの回状は見たでしょう?」

田崎氏「そうそう、そうですね。だから実際には、ただ、結局、具体的に何で稼ぎなさいっていうことは、言ってないわけじゃないですか」

岩上「そうですね。それは言わない(笑)」

田崎氏「ただ、だから、君んとこ(上納金が)少ないねって話になるということですよね。でも結局、それ(上納金の金額)が、そこの組織の中における発言力であったり、人を送り込む、ポストに当てる時の重要なファクターになるわけで」

岩上「そうですよね」


※8)半グレ:
 半グレとは、日本において暴力団に所属せずに犯罪を行う集団。半グレ集団ともいう。暴力団に詳しいジャーナリストの溝口敦の命名(溝口敦著『ヤクザ崩壊』2011年・講談社)とされるが、「半グレ」という言葉自体は溝口以前から存在する。

 2020年11月時点での半グレの人数とグループ数は、警察が把握しただけで約4,000人(約60グループ)もいると推定されており、2019年末時点の六代目山口組の構成員数に匹敵する。

 ノンフィクションライターの小野登志郎は、1991年の暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(暴力団対策法)施行ならびにその後の暴力団排除条例施行が“半グレ集団”勃興の誘因であったものと推測する。日本の各地にその例が見られ、様々な局面において暴力団と対峙する勢力となり、時に暴力団を圧倒してきた。東京の「関東連合」がそうした“半グレ集団”の典型とされている。ほか、中国残留孤児の2世ならびに3世を中核構成員とする「怒羅権」や、大阪の繁華街・ミナミで傷害事件などを繰り返しているアマチュア格闘技団体(「強者 つわもの」)などが“半グレ集団”の例に挙げられてきた。

 犯罪社会学者の廣末登は、暴力団離脱者の研究や福岡県更生保護就労支援事業所の所長の経験などから、溝口が紹介した当時の半グレの姿から時代の流れとともに変化していることを指摘している。廣末によると半グレのパターンは、(1)旧関東連合や怒羅権に代表される筋金入りの半グレ(現在は30代から40代の年齢で溝口敦のいう「半グレ」) (2)オレオレ詐欺の実行犯 (3)正業を持つ半グレグループ (4)元暴アウトロー といった4パターンに分けられるという。

 メンバーには1980年代をルーツとする暴走族上がりの者が多く、特殊詐欺や闇金融などといった独自のビジネスを展開する集団もあると見られているものの、実態は定かとなっておらず、社会問題化するに至った。「暴走族の元メンバーやその知人らが離合集散しながら緩やかなネットワークで行動を共にするグループ」。特殊詐欺や闇金融のほか、貧困ビジネス、解体工事や産廃の運搬業、クラブや芸能プロダクションの経営、ならびに出会い系サイトの運営などが大抵のメンバーのいわゆる「シノギ」(資金獲得活動)となっている。

 また半グレが特殊詐欺や、屋根リフォーム詐欺・屋根破壊などで得た資金を、暴力団に上納しているのではないかとの疑惑も根強く存在する。

 暴力団との顕著な違いとして、暴力団に籍を置いていないがゆえに暴力団対策法の適用を受けないこと、活動の匿名性や隠密性、メンバーの年齢層の若さ(年長でも40歳代まで)、ならびに人員供給の拡大傾向が挙げられる。

 少数ながら暴力団系のグループも存在してはいるものの、大半は暴力団と距離を置いているため、暴力団対策法の規制を受ける暴力団とは違い、有効な法規制を受けない状況となっている。

 資金源として、特殊詐欺、屋根リフォーム詐欺、コロナ禍でのマスク買い占め、違法なスカウト業務、さらに強盗、脱法ドラッグの売買等があげられる。

 特殊詐欺に関しては、2012年の時点の特殊詐欺グループのトップにいた半グレ実業家は、関東連合OBや五菱会メンバー(初期は彼らも下積みにいたことから「第二世代」と呼ばれる)がオーナーをしていた時代に下積みをして成り上がり、自らもオーナーとなった「第三世代」であり、その下にいるのは「番頭格」と呼ばれる企業の中間管理職に相当する幹部がいて、特殊詐欺を実際に行う「プレーヤー」、被害者や銀行から金を受け取る「出し子(取り子とも)」を行うアルバイトの不良少年やワーキングプアといった者達を統括していたと言われる。

 暴力団との関係では、大半のメンバーが暴力団組織に所属しない特徴のある半グレであるが、シノギなどにおいては組織として暴力団と共存関係を築き、上納金を収める場合もある。大阪を地盤としていた半グレ集団・アビスの場合では、任侠山口組系組織に月30-50万円を上納していたほか、同じく半グレ集団のO7(アウトセブン)との対立時には暴力団による仲裁で沈静化が図られている。このため半グレ集団に対し警察側は、暴力団捜査を担当する大阪府警捜査4課が捜査を実施し、2018年9月以降、多数の関係者が逮捕され「アビス」、「O7」ともに2018年に解散している。

 また、暴力団側も近年は新人や下部メンバーを組員として登録せず、傘下の半グレ集団の一員として活動させているとも言われる。

 2016年、大阪から沖縄県石垣島へ半グレ集団が進出、強引な客引きやボッタクリに近い請求をする店が現れた。この進出に当たっては、山口組系幹部が石垣島を縄張りにしていた地場の暴力団に口利きをしたとされる。この半グレ集団は沖縄県警察に徹底的にマークされ、2020年11月には解散宣言を出した。

 2013年には「関東連合」や「怒羅権」などの“半グレ集団”が警察庁によって新たに“準暴力団”と規定され、その実態解明を企図した取り組みが同庁の号令のもとで始動するに至っている。定義は「暴力団と同程度の明確な組織性はないものの、構成メンバーが集団で常習的に暴力的な不法行為をしているグループ」。先立つ2012年に東京で発生した関東連合関係事案「六本木クラブ殺人事件」がそのきっかけであったという。

 東京の8団体と2017年に大阪府警が指定した2団体の計10団体が準暴力団と見なされている。

 2017年から2018年にかけて、大阪府警は半グレ集団アビスが経営していたガールズバーの経営者ら55人を傷害や恐喝未遂などの疑いで逮捕・送検、もしくは書類送検・家裁送致とし、組織を解散に追い込んだ。

 2023年前後から全国の警察で専従班を設ける動きが出ており、2022年12月、警視庁が庁内の情報を部門横断的に集約して分析し、摘発につなげる特命班を発足させ、2023年1月、福岡県警が半グレ対策を専門にした取締本部を全国で初めて設置した。

参照:
・半グレ(ウィキペディア)
【URL】https://bit.ly/3MGV00K

※9)工藤会というのは、全国唯一の特別指定危険暴力団という指定を:
 工藤會(別表記・工藤会)は、福岡県北九州市小倉北区に本部を置く指定暴力団。2012年に、改正暴対法に基づく「特定危険指定暴力団」に初めて指定された。2022年末時点の勢力は約410人(構成員・約230人、準構成員等・約180人)。

 主たる活動地域は福岡県、山口県及び長崎県の3県だが、近年では東京都や千葉県といった首都圏だけでなく、大阪府や沖縄県にも進出している事が確認されている。九州地方最大規模の暴力団組織である。

 「指定暴力団」は、都道府県公安委員会が、暴力団対策法第3条に定める3要件(「組織の威力を使って資金を獲得」「一定割合の構成員に暴力団特有の前科」「階層的に組織を構成」)の全てに該当する暴力団を、関係者の聴聞を経た上で、「その暴力団員が集団的に又は常習的に暴力的不法行為等を行うことを助長するおそれが大きい暴力団」として指定する。

 工藤会が指定された「特定危険指定暴力団」は、指定暴力団の中でも「特に凶悪と見なされる組織」として、「銃撃や火炎瓶を投げ込むなどの危険行為を繰り返す恐れのある組織」とされる。また、同じく指定暴力団の中で「抗争で住民の生命や身体に危険が及ぶ恐れがある組織」は「特定抗争指定暴力団」に指定できる。これらを定めた暴対法改正案は2012年10月より施行された。

 これらの指定により、全国の警察が集中的に両暴力団を取り締まれるだけでなく、警戒区域内の組事務所には出入りができなくなり、構成員がおおむね5人以上集まるだけで逮捕できるようになる。また、「特定危険指定暴力団」が暴力的不法行為を行った場合であれば、中止命令を経ることなく逮捕できる。

 2023年4月13日に配信した、岩上安身による田崎基氏へのインタビュー第4回の冒頭で、4月11日にカンボジアを拠点としていた特殊詐欺グループの「かけ子」役ら19人が逮捕され、そのうち中心人物とみられる38歳の男は、特定危険指定暴力団工藤會(会)系の関係者だというニュースを取り上げた。

 4月12日付け『東スポWEB』は、「ルフィ」事件のグループと今回のカンボジアのグループとを比較して、「今回は暴力団関係者が直接関わっている点で決定的に異なると(警視庁は)いう」と報じている。

 この『東スポWEB』の記事は、「(強制送還に)数千万円の費用がかかるチャーター機を使ったのも、捜査関係者と容疑者の人数が多かったこともあるが、何より工藤会関係者がいるからとみられる」とした上で、工藤會について「市民相手に銃や手りゅう弾を使う事件を起こした」「米財務省が『世界最大の犯罪組織であるヤクザの中でも最も凶暴な団体』として経済制裁の対象にした」と解説。「今回は万が一、工藤会が捜査員を襲撃した際に民間人を巻き込まないよう、チャーター機を使った」と報じていまる。

参照:
・工藤會(ウィキペディア)
【URL】https://bit.ly/3oDJ6wA

・暴力団(ウィキペディア)
【URL】https://bit.ly/42d9k6U

・<ニュースフラッシュ 3>逮捕されたカンボジアの特殊詐欺グループの中心人物は「ヤクザの中でも最も凶暴な」工藤會関係者! 警察は襲撃に備え、民間人を巻き込まないよう、強制送還にチャーター機を使用!?(日刊IWJガイド、2023年4月14日)
【URL】https://bit.ly/3oDjuQu

・「特殊詐欺の背景と経緯、それを盤石とさせている者の言説が浮かび上がった」!~岩上安身によるインタビュー第1119回 ゲスト 神奈川新聞報道部デスク・田崎基氏 第4回 2023.4.11
【URL】https://bit.ly/3oDjwYC

・全国の75件に関与か カンボジア拠点の特殊詐欺―中心人物、1年半前に入国・警視庁(MAG2NEWS、2023年4月12日)
【URL】https://bit.ly/43zjK1K

・カンボジア特殊詐欺犯19人逮捕 ”最凶”工藤会が直接指揮の恐ろしさ(東スポWEB、2023年4月12日)
【URL】https://bit.ly/42eSZhZ

非合法的に荒稼ぎできるところには暴力団が入り込む! 始まりは訪問型のリフォーム詐欺。ターゲットは在宅の高齢者。訪問から電話、電話からネットへと形態を変えていく!

暴力団対策法(※10)と暴力団排除条例(※11)によって、暴力団の従来のシノギ(資金調達方法)が排除された結果、シノギが複雑化・多様化したため、暴力団が特殊詐欺に目を付けた可能性が指摘された。

▲非合法に荒稼ぎできる手法があれば、どんどん暴力団が入り込んでくる!

岩上「『非合法に荒稼ぎできる手法があれば、どんどん暴力団が入り込んでくる!』と。これも、本の中にあるものの引用なんで、ちょっとご説明、直接していただければね」

田崎氏「要はですね、これは、そういうちょっと若干、裏の社会?『裏の社会』って言っても、その辺、たとえば歓楽街でもそうだと思いますけども、儲かるような、若干グレーゾーンの。完全に非合法じゃなくてもそうだと思いますけども。

 たとえば、女性が横について酒を飲ませる店みたいなところの営業もそうかもしれませんけども、要は素人がやって、半非合法的に荒稼ぎできるようなものの商売があればですね、そこに入ってくると。

 素人がやれば、どこの組の者だと脅されて、言うことを聞かなければ拉致監禁されたりするということが起きるわけですね。これが暴力団等、『等』っていうのはいろいろ、その周辺者も含めてですけども、暴力団等がやってきたことであると。

 結局、じゃあ、トクサギが、最初のうちはですね、リフォーム詐欺であるとか、そういったところから派生してきてるんですね。30年前、40年前とかからあるわけですよ」

岩上「スタートは、リフォーム詐欺?」

田崎氏「とか、そういったところ」

岩上「訪問ですよね?」

田崎氏「訪問です。これは、そういった組織があったんですよ。で、それが直接、いわゆる暴力団等が発案したものではないわけです」

岩上「そうですよね」

田崎氏「ところが、それが、だんだん派生していって、訪問から電話にかわり、電話からネットにかわるみたいな形で、形態を変えていく。

 で、2004年から、トクサギというものが本格的に捜査の対象になってきたというところで、当初はですね、そういった、ある種スピンアウトしたような詐欺集団、独立系のところがポコポコとたくさんあったという中で、その後に、これはもう、かなり荒稼ぎできてるよね、というところに、暴力団等が入っていってるという構図なんですね」

岩上「暴力団が優位なのは、詐欺集団のノウハウやテクニックは、そいつらを1人捕まえれば、全部考えてくれていると。彼らと自分たちが違うのは、自分たちはお金があるのと、それから、暴力があると」

田崎氏「そうですね」

岩上「圧倒的に、そこに差があって。で、一緒にやるっていって、収益は折半なとか、それを渋るようなことがあったら、お前、消しちゃうぞみたいなことを言って。埋めちゃうよ、みたいなこと言った時に、相手もね、犯罪をしてるから警察に訴え出るわけにもいかず。

 その、警察に訴え出るわけにもいかずの時点から、暴力団支配っていうのは続いちゃうわけですよね」

田崎氏「結局、それでですね、先ほどの暴力団のいくつかの組織ありましたけども、ここの詐欺グループはどこどこの組がついてますよ、つまり…」

岩上「ケツ持ちですよね」

田崎氏「いわゆる、括弧付きの『ケツ持ち』ですけども。『ケツ持ち』がいないグループに、どんどんどんどんいろんな暴力団等が入ってくるという形で、グルーピングされていったという経緯があると。

 結局、素人がやると、どこの組の者だと言って(接触し)、そこが『いや、うちはちょっと、組とは関係ないんです』ってなると、『じゃあ、うちが面倒見るよ』みたいな形になる、ということが起きてきたと。過去にですね。

 で、プラス、他人名義の飛ばし携帯調達したり、さっきの、名簿の売買ですね」

岩上「これは、大きいですよね」

田崎氏「(それ)を仕切ったりしている場合もあり得る。

 ところが、暴力団等がトクサギに関与する関与の仕方なんですけども、アガリを直接吸収するということをやると、先ほどの使用者責任だとか、そういう話になりますし」

岩上「なるほど」

田崎氏「実際に、逮捕される人間が『受け子』とか『出し子』とかやってるケースも当然あるんですけども、それをやっちゃうと、逮捕された時に上に上がってしまうわけですね。

 実際に、先ほど何億円っていう賠償があったケースも、暴力団の2次団体、3次団体、その傘下みたいなところの構成員が『受け子』をやっていて、そのお金を横浜市内の事務所に持っていって、計数機にかけて計算をしたと。これが、使用者責任の訴求理由になってるんですね。

 で、それは困るわけですよ。それをやっちゃうと、ダーッと訴求されて、結局、奪い取られて損害賠償請求で払わなきゃいけなくなってしまいますよね。

 ですから関与の方法としては、飛ばしの携帯の提供であるとか、名簿の売買にコミットする。実際に売買しなくても、それを仲介するだけでも、そこでお金が発生してくるという形で、非合法に荒稼ぎできる手法に関して、どんどんどんどん暴力団が入り込んでくると思った方がいい」

岩上「なるほど」

田崎氏「と、捜査関係者は言ってました、っていうことですね」

岩上「こういう連中(詐欺集団)はフリーとして、彼らも暴力団になりたいわけじゃないんだと。暴力団って面倒くさいですからね。面子ひとつでね、殺しあいしなきゃいけないかもしれないし、組ごとでね、カチコミ行かなきゃいけないかもしれない。

 そういうことは平和に、『平和』と言ったらおかしいですけど、『平和』に生きていて、で、(弱い高齢者相手に)コソコソコソコソ(と詐欺を)やっていると。

 でも、ちゃんと暴力団のケツ持ちがいて、その名簿をいっぱい集めてきましたよーとか、それをお互いに手に入れたら、それをまた転売、転売、繰り返すと。そんなようにして儲けている連中がいる、ということですよね」

田崎氏「そうですね」

岩上「で、『実行犯による売上の持ち逃げを許さないために、暴力団が力を発揮することも』、ここが暴力ですよね」

田崎氏「そうですね」

岩上「だから、今までいくつか普通の、何か、ベタ記事のようにして流れていってしまった中に、犯罪グループの中でトクサギみたいなことやってたのが(あって)、その中のひとり、元暴力団。たいがい『元』にしてたりするんですけど、ヤクザですよ。ヤクザによって、リンチにあって殺されたとか、そういう事件ありましたよね。

 だから、こういう見えないところで1日1億円荒稼ぎしてるということは、激しく罵倒されながら、ノルマが飛びかい、(電話をかけまくり)だいたい話を聞いてくれるのは、100軒かけて1軒ですよ」

田崎氏「100軒で1軒あったら、いい方なんじゃないですかね、おそらく」

岩上「ええ、そう。話を聞いてくれるっていうだけでね。で、それがもっと、ややこしい嘘くさいこと言うじゃないですか。『お母さん、僕は今…、僕だよ、僕だよ』なんていうね、芝居をやるわけですから、それは刺さらないですよね、簡単にはね」

▲暴力団の多様化が捜査を難しくする

岩上「で、『暴力団の多様化が捜査を難しくする。上層部の「暴力団」が単純な構図ではなくなった点も、捜査を難しくした。組員だけでなく、準暴力団(準暴)や、半グレと呼ばれる暴力団とは直接の関係がないものの反社会的な犯罪行為を厭わない集団など、多様化しているからだ』と。

 準暴とね、準構成員とね、それから半グレっていうのって、これって別物ですけど、重なり合うって考えた方がいいですよね」

田崎氏「そうです、そうです。結局、警察庁の、先ほどの、人数減ってますよって話は、全部ここ含んでますので。準暴も半グレも含めた上でのメンバー、8万何千人が2万何千人になってるって話なので、純粋な、ちゃんとした登録されてる組員ってなると、もう、さらに少ないんですよね。

 ただ、この辺りも、結局はどこの組と密接な関係があるとかっていう形に認定されてるので。あと、周辺者とかですね、そういった形で認定されてるんですけども。

 問題は結局、先ほどの稲川会の通達が出ましたと。通達出たんですけども、結局、どこまでそれが届いてるのかも、ちょっとよくわからないですよね、こうなると」

岩上「そうですよね」

田崎氏「で、事務所もなかったりするわけですね、この辺りになってくると。警察が把握できない組織がいくつもある状態に、今、なっているんだと思うんですよね。

 結局、かつての、要は暴排、暴排やってきた中で、組に所属しちゃうと、もう本当に自由がなくなっちゃって、口座も作れないから嫌だよって言ってる人たち」

岩上「ETCも作れないという話もありますよ」

田崎氏「ETCも作れない」

岩上「あと、スーパー。ポイントカードまで」

田崎氏「だからもう、携帯は自分で契約できない、お金も借りられない、キャッシュカードも持てないっていって。それ、憲法上の人権侵害なんじゃないかって議論もあるけども」

岩上「ありますね」

田崎氏「それは、当然そうだと思いますけども。というのが嫌で、特定の組に所属しない。

 だけども結局、ここに書いてあるように、反社会的な犯罪行為を厭わない集団というのが、この10年ですごく増えてきたってことが言われてるわけですよね。そうすると、捜査をするのが非常に難しくなっているということですね」

岩上「見た目の人数は減ってるけれども、これは(特殊詐欺の件数と、それを行う人間が)増えている。ということは、そこに落差があって、前はヤクザは全部名前を明らかにして、事務所行けば木札があってね、で、かつ(警察に)登録をするんですよね。『あいつ、構成員になりましたよ』といって」

田崎氏「そうです、そうです」

岩上「ヤクザの所轄の警察署に行って、登録しますって。登録がなければ正式な組員じゃないっていうことで。そうすると何か、その管轄で犯罪事件が起きたと。お前んとこの組かって(警察の暴力団担当者から問い合わせが)来た時に、うちには、その人間は登録してないよって(返事ができないと困る)。(警察と暴力団は)かなり持ちつ持たれつやってきて、誰が誰であるか明らかだったんですけどね」

田崎氏「そうそう。だから、一方でそうやって明確化されてたわけですよ、組員はこのリストだと」

岩上「そうですね」

田崎氏「で、地元の所轄に関しては、ここの事務所のここは、彼はここに入ったよねってことで把握したわけですよね。それ、良いか悪いかはさて置き、捜査は楽というか、捜査しやすかったわけですよ。

 ところが、そういう形ではないけれども、反社的な行動を行う人たちというのが、ポコポコ出てきたということですね」


※10)暴力団対策法:
 市民生活や経済活動を侵食する暴力団の封じ込めを目的とする法律で、1992年3月施行。正式名称は「暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律」(平成3年法律第77号)。「暴対法」とも略される。

 特徴は暴力団の指定制度。構成員の犯罪前歴者割合が政令で定める比率以上であることなどの規定に該当する暴力団を、公安委員会が「指定暴力団」または「指定暴力団連合」に指定する。指定された暴力団の組員らは、寄付金や物品購入の強要などを、暴力的要求行為として禁止される。

 その後さらに証券スキャンダルなどで、暴力団の「経済ヤクザ化」が表面化すると、損失補填(ほてん)や不当な株の買い取りの要求、競売妨害などを禁ずる改正が行われ、1993年8月に施行された。

 山口組、稲川会、住吉会の指定暴力団の「寡占化」がみられると、1997年5月に内部抗争時の事務所使用制限が盛り込まれた。

 2008年8月には、それまで対立抗争で市民が巻き込まれたケースに限られていた指定暴力団のトップの「使用者責任」の範囲を広げ、末端の組員の恐喝などの経済的な被害でも、組長に賠償を求めることができるようにする改正法が完全施行された。また、行政に対する暴力も規制の対象となった。本法の施行後、暴力団関係者は8万人台で推移していた。

 2012年10月、不当要求行為を繰り返す指定暴力団を「特定危険指定暴力団」、危険な対立抗争事件を繰り返す指定暴力団を「特定抗争指定暴力団」に指定し、警戒区域を定めるなどの改正がなされた。2010年以降、暴力団関係者は8万人を割るようになり、2015年時点では4万6900人となっている。

参照:
・暴力団対策法(コトバンク、日本大百科全書(ニッポニカ) )
【URL】https://bit.ly/42dKuDN

※11)暴力団排除条例:
 「暴力団排除条例」とは、暴力団を自治体の事務・事業や住民・事業者の経済取引や事業活動から排除することについて、その基本理念、自治体・住民・事業者の責務・役割等を定めるとともに、暴力団排除の措置等について規定する条例である。

 都道府県では47のすべての都道府県、市区町村では46都道府県内の全市区町村で制定されている(警察庁組織犯罪対策部「令和4年における組織犯罪の情勢」(令和5年3月)30頁)。

 暴力団排除の措置に関する規定としては、都道府県の条例では、都道府県の事務・事業からの暴力団排除の措置、青少年の暴力団からの保護措置、事業者の暴力団員等に対する利益供与の禁止、不動産の譲渡等をしようとする者の講ずべき措置等が定められ、市区町村の条例では市区町村の事務・事業からの暴力団排除の措置等が定められている。

 なお、都道府県や市区町村は、暴力団排除に関して総合的な内容を有する暴力団排除条例とは別に、公営住宅条例や個別の公の施設の設置・運営条例において暴力団排除の規定を置いている。

 また、一部の都道府県や市町村では、「公共施設の暴力団排除に関する条例」や「暴力団の利益となる公の施設の使用等の制限に関する条例」等の名称の公共施設等における暴力団排除を包括的に規定する条例を制定している。

 「暴力団」とは、法令上「その団体の構成員(その団体の構成団体の構成員を含む。)が集団的に又は常習的に暴力的不法行為等を行うことを助長するおそれがある団体」(「暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律」(以下「暴力団対策法」という。)2条2号)と定義づけられている。

 一方、「暴力団対策法」は「暴力団排除条例」に先立って1991年制定された。暴力団を反社会的な団体として法的に位置づけ、暴力団員が国民に対して不当な要求行為等を行うことを禁止している。暴力団対策法等により、警察は暴力団の犯罪行為に対する取締りを実施してきている。

 しかし、暴力団対策法制定後も、暴力団は様々な経済取引に介入して多額の資金を獲得し、その勢力を維持してきているとされ、警察による暴力団に対する取締りとともに、社会が一体となって暴力団を排除する活動を行うことが不可欠であるとされている。

 そのため、「暴力団を利用しない、暴力団を恐れない、暴力団に金を出さない」等のスローガンのもと、暴力追放運動推進センター等により暴力団排除のための運動が展開され、また、2007年には、企業に対して「反社会的勢力とは、取引関係を含めて、一切の関係をもたない」、「反社会的勢力による不当要求は拒絶する」、「反社会的勢力への資金提供は、絶対に行わない」等の対応を求める内容の「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針」(犯罪対策閣僚会議幹事会申合せ)が取りまとめられた。

 こうしたことを背景にして、制定されたのが「暴力団排除条例」である。「それまでの対策は、暴力団を専ら対象とし、事業者は暴力団の支配が及んでいたり、暴力団と密接な関係にある場合に限って問題視してきた。暴力団の側にない一般の事業者を、被害者としてではなく、規制の対象とするのは、暴力団対策における新たな枠組みである。」(田村正博「暴力団排除条例と今後の組織犯罪法制」(産大法学48巻1・2号 平成27年1月)97頁)とされ、「警察対暴力団という構図から、社会対暴力団という構図に変えたもの」(後藤啓二「企業・自治体・警察関係者のための暴力団排除条例入門」(東洋経済新報社 平成24年5月)43頁)とされる。

 「暴力団排除条例」の具体的内容は自治体によって異なるが、共通する事項としては、「青少年の暴力団からの保護措置」(学校等の周辺200m以内の区域における暴力団事務所の開設・運営の禁止等)「事業者の暴力団員等に対する利益供与の禁止等」(事業者が暴力団員等に対して利益供与を行うことを禁止、事業者が暴力団の威力を利用することを禁止等)や「不動産の譲渡等をしようとする者の講ずべき措置等」(不動産が暴力団事務所に利用されることを知って取引することを禁止等)等が定められている。

参照:
・暴力団排除条例(地方自治研究機構)
【URL】https://bit.ly/3Ca7jxr

暴力団対策法により進んだ「暴排」によって、暴力団のシノギが複雑化・多様化!

▲暴力団対策法により進んだ「暴排」が、暴力団を複雑化・多様化させた

岩上「『暴力団対策法により進んだ「暴排」』。これ、暴排をね、決して批判する意図はないんです。この方向は正しいと思うんですけれども、法律を見て、相手(暴力団側)もアメーバのように形を変えてきていますから、新しく、こっちもリニューアルしていかなきゃいけないんじゃないかなと。

 で、『複雑化・多様化』してるんだから、その現状をまず、我々メディアも、この現状の報告レポートもしてますし、議員なんかもね、野党議員なんかも、どんどんどんどん、国会でこういう問題を取り上げていただいて、国法も、それから、あと地方自治体の条例とかも、どんどん変化させていってほしいなと思うんですけど。

 ある『別の制作関係者は』ということで、これ、ちょっと田崎さんの取材なんで、お話しいただければと思います」

田崎氏「先ほどのつながりのところですけども、結局、暴対やっていったことによって、ひとつの功罪があるんだよと。光と影があるんだよと。で、結局、暴対がしっかりしてきたことで、ノミ行為だとか占有屋、総会屋、あるいはこの間、5年ぐらい前でしたっけ、芸能人の裏営業(※12)でしたっけ?」

岩上「ありました。宮迫(博之)さんですね」

田崎氏「でしたっけ? 他にもあったと思いますけど、何件かあったと思いますけど」

岩上「あります、あります。あの時、要するに矢面に立って、一番叩かれたのは、宮迫さんみたいな人だと思いますね(※13)」

田崎氏「で、結局、ああいうことが起きると、暴力団と関わったら、もう本当に社会的な…、いや、自分が組員になるとか、全然、もっての外ですけども、関わっただけで社会的な生命を失うんだという常識が、かなり一般化してきたっていうことがあると思うんですね。それによって、結局、どんどんどんどん暴排はさらに進んでいく。

 で、結局そういう飲み屋みたいな所、『のみや』って、この『ノミ屋』じゃないですけども、いわゆる居酒屋みたいなところも、そういう風にコミットして、たとえばお金を借りるの手助けしますよとかってやってしまったとか、あとアパート借りてあげたとかっていうことも、もう名前が出ちゃって。新聞に名前が出るわけですよ。やめなさいと、中止命令みたいなものが出てくるわけですよね、警察から、その堅気の業者に対して。そうすると、もう」

岩上「利益供与になっちゃうよ、ってことですよね(※14)」

田崎氏「そうそう。で、うちも、もうそれ、できませんよっていうことを言う口実が、どんどんどんどん増えていったわけですね」

岩上「そうですよね」

田崎氏「そうすると、どんどん法改正が進み、徹底排除されていったということで、(そこで追い詰められた暴力団側は)トクサギに目を付けた、ということになってるという構図ですよね、長い流れからすると」

岩上「逆に、昔からの賭場とかね、それから」

田崎氏「ノミ行為(※15)ですよね、それから」

岩上「ノミ行為。これ、『ノミ行為』って、今どきの人は、競馬やなんかの、あれを場外馬券場で買うんじゃなくて、ある特定のね、場所でね、それで多額なレートでやるんだって、わからないかもしれません。だって今は、オンラインベッティング(※16)ってあって」

田崎氏「そうですよ、もう、スマホでできるんですよね、リアルなあれ(ギャンブル)がですよね」

岩上「そう。世界中で賭けられるじゃないですか。で、あれ、今、政府は、これ違法とも合法とも言ってない段階なんです。法不在みたいな状態なんですよね。オンラインベッティングは今、パーッと伸びてるとはいえ、これが全部、健全な企業によって運営されてるかどうかわからない。元々はヤクザのシノギであったものを、デジタル化して、(シェアを)取っていってるわけですから、ヤクザとしては相当面白くないと思ってる部分があると思いますよね」

田崎氏「そうだと思いますね。だから、いわゆる博徒とテキ屋っていうと、この博徒の部分としては、どうなってんだということだと思いますよ。政府が結局、ノミ屋行為認めてやってんじゃねぇかって話になりますからね」

岩上「ですね」

田崎氏「公営競馬とか、公営のもの(ギャンブル)が、たくさんありますから」

岩上「それと同じで、やっぱりそういうことがあると、何でもいいんですよね、ヤクザが言いがかりをつけるっていうのは。ちょっと、お前のところどうなんだと。そういうようなところから入り込んできた時に、関係をもう、すぐ断ち切って、警察に行って、警察に話してもらうというようなことも、すごく大事ですよ」

田崎氏「それができるようになったのも、この暴対法の功の部分だと思いますよ」

岩上「確かに、確かに」

田崎氏「これがちゃんと普及していって、先ほどの芸能人の話じゃないですけども、もう関わったらアウトなんだっていうことが一般化したおかげで、ちょっと接触をされた段階で言える(※17)っていう、これ、言った方がいいって、みんな思うっていうのは、暴対法のおかげなんだろうなと思います。だから、一方でこういう話が出てきちゃうっていうことですよね」

岩上「そうですね。だから、本音と建前が今ね、ねじれてる段階ですね。暴力団というのも、構成というのは一枚岩ではないから、この中でいつも下克上が起こっているわけですよね。

 グジャグジャ下剋上が起こってて、どこか、すごく金を貯めたっていう(とトラブルになる)。金を貯めたら抗争にも有利じゃないですか。そうすると、それがトップになってくると、もう気が付いたらシャブやるの当たり前、手つけるの当たり前って組ができちゃったり、今度、詐欺やるの当たり前みたいな組ができちゃったりとか。

 だからやっぱり、ここのプロのね、ワルどもは、それは個々人がね、一般市民では対抗できないので、警察当局とかね、検察当局に頑張っていただくしかないですよね」


※12)芸能人の裏営業:
 2014年12月、振り込め詐欺グループが東京都内のホテルで開いたパーティーに、吉本興業所属のタレントたちが会社を通さない闇営業で出席していたことを、2019年6月7日発売の雑誌「FRIDAY」が報じた。

 そこから、さらに別の闇営業も発覚し、芸能界、テレビ番組、広告業界などに激震が走った。

 パーティーに参加していたのは、雨上がり決死隊の宮迫博之、ロンドンブーツ1号2号の田村亮、カラテカの入江慎也、レイザーラモンHG、ガリットチュウの福島善成、くまだまさし、天津の木村卓寛、ムーディ勝山、ザ・パンチのパンチ浜崎、2700の八十島弘行と常道啓史、ストロベビーのディエゴ。

 人気芸人と反社会的勢力のメンバーとの親しげな写真も公開されて大きな問題となり、闇営業を仲介したカラテカの入江は、6月4日に吉本興業から契約解除処分を受けている。

 宮迫らはツイッターで謝罪し、反社会的勢力とは知らず、ギャラは受け取ってないと説明したが、その後の調査で別の闇営業と金銭授受が確認され、吉本興業は6月24日、11人を謹慎処分とした。

 同年8月から処分が解かれていくが、田村は2020年1月10日まで活動停止。宮迫は契約解除となり、2021年8月に雨上がり決死隊は解散した。

 本来、闇営業とは事務所を通さないすべての営業活動のことだが、この事件以降、「芸能事務所に所属する芸能人が、事務所を通さず、反社会的勢力を相手に仕事をすること」を闇営業と呼ぶようになった。

参照:
・宮迫にスリムクラブ 反社と交流で注目“闇営業芸人”記事トップ5(FRIDAY DIGITAL、2019年12月29日)
【URL】https://bit.ly/42bNAbr

・吉本、宮迫ら11人を闇営業の金銭授受で活動停止(日刊スポーツ、2019年6月24日)
【URL】https://bit.ly/3ooyIc4

・お笑い芸人による闇営業問題(ウィキペディア)
【URL】https://bit.ly/3IH46ZX

※13)一番叩かれたのは、宮迫さんみたいな人だと思いますね:
 前出(※12)で説明している「闇営業」問題が2019年発覚すると、お笑いタレントの宮迫博之氏は、雨上がり決死隊として人気が高かったこともあり、厳しい批判の対象となった。

 2019年6月、闇営業が報道されると、6月11日放送のラジオ番組『アッパレやってまーす!』(MBSラジオ)に生出演時に謝罪し、反社会勢力の会とは知らなかった旨を述べた。その後もTwitterで謝罪の文章を掲載し、金銭の受領はなかった旨を綴っていた。

 しかし吉本興業が、参加した芸人へのヒアリングを行った結果、反社会勢力という認識は無かったものの、一定の金銭の受領があったことが認められた。このため、6月24日より当面の間活動を停止する謹慎処分が下された。

 7月19日に、吉本興業から契約を解消された事が発表された。その後、吉本興業の仕切りで引退会見をする予定を、直前でキャンセル。7月20日、田村亮氏(ロンドンブーツ1号2号)とともに独自の記者会見を実施。

 その中で吉本興業側からも「口止め」や「静観」といった指示があったことが明らかとなり、代表取締役社長の岡本昭彦氏によるパワハラ疑惑にも注目が集まった。

 一方、「在京5社、在阪5社のテレビ局は吉本の株主だから大丈夫」と吉本興業側が発言したことが問題視される。吉本興業側も、タレントとの契約問題などから岡本社長自身が会見を行うまでの騒動となる。

 2021年8月に、雨上がり決死隊は解散した。

 闇営業問題は、吉本興業と安倍政権との密接な関係が問題視される契機になった。第二次安倍政権発足後に設立された官民ファンドのクールジャパン機構が、吉本興業に計22億円を事業出資。さらに、吉本興業とNTTが那覇市に設立した新会社の教育コンテンツ等を発信する国産プラットフォーム事業にも、最大100億円を出資することなどが指摘された。その際、安倍政権側のメリットとして浮かび上がったのが、吉本興業によるメディアコントロール力だった。

参照:
・宮迫博之(ウィキペディア)
【URL】https://bit.ly/45vCwJb

・吉本興業の本当の闇は芸能と権力とメディアの結びつきにある!吉本興業とNTTが沖縄県那覇市に立ち上げた国産プラットフォーム事業に対して、官民ファンドのクールジャパン機構が最大100億円も出資! 2019.7.22(IWJ)
【URL】https://bit.ly/43fUCgE

※14)利益供与になっちゃうよ、ってことですよね:
 全都道府県で暴力団排除条例(暴排条例)が施行され、共通条項として「利益供与の禁止」が挙げられる。

 利益供与とは、金品その他財産上の利益を与えることをいい、事業者が商品を販売し、相手方がそれに見合った適正な料金を支払うような場合でも該当する。

 そのため、事業者が暴力団や暴力団組員と契約を締結した場合でも形式的には利益供与に該当し、警視庁ホームページに、東京都暴力団排除条例の例が挙げられている。

 「条例第24条第1項」は、事業者が暴力団員等に対して、その威力を利用する対価として利益を供与することを禁止。金融業者が「恐喝をしてでも債権の取立てをしてほしい」と依頼し、金銭を支払った場合などとされる。

 さらに一見、通常の事業のように見える以下の例も、「第24条第3項の利益供与違反になる主なケース」とされる。
(1)内装業者が、暴力団事務所であることを認識した上で、対立抗争に備えて壁に鉄板を補強するなどの工事を行う行為
(2)ホテルが、暴力団組長の襲名披露パーティーに使われることを知って、ホテルの宴会場を貸し出す行為
(3)警備会社が、暴力団事務所であることを知った上で、その事務所の警備サービスを提供する行為
(4)不動産業者が、暴力団事務所として使われることを知った上で、不動産を売却、賃貸する行為
(5)ゴルフ場が、暴力団が主催していることを知って、ゴルフコンペ等を開催させる行為
(6)興行を行う事業者が、相手方が暴力団組織を誇示することを目的としていることを知った上で、その暴力団員らに対し、特別に観覧席を用意する行為
(7)飲食店が、暴力団員から、組の運営資金になることを知りながら、進んで物品を購入したり、サービスを受けて、その者に料金を支払う行為

 また、暴力団員から、ホテルの宴会場を借りてくれと頼まれ、相手方の立場(暴力団員)であれば予約ができない(困難である)ことを知っていながら、代わりに自分の名前で、宴会場の予約をした場合は、名義貸し違反(第25条第2項)となる。また、このような場合、詐欺等の刑法上の罪に問われることもある。

 利益供与の禁止に違反した場合の一般的ペナルティは、調査・勧告・公表が規定されている。

参照:
・暴排条例における利益供与(ひかり弁護法人 アイリス法律事務所)
【URL】https://bit.ly/43vtHNr

・東京都暴力団排除条例 Q&A(警視庁)
【URL】https://bit.ly/3OLsT36

※15)ノミ行為:
 ノミ屋とは、日本に於ける公営競技などを利用して、私設の投票所を開設している者のこと。また、その行為をノミ行為と言う。

 たとえば知人からお金を渡され、ある馬の馬券を買ってくれと頼まれたとする。頼まれた側が正規の馬券を購入すれば問題ないが、万一的中したら配当金を自腹で払うことにし、渡されたお金を馬券購入にあてず飲食などに消費することもできる。この行為を「馬券を飲む」と表現し、これが業として常態化したのが「ノミ屋」である。

 なお、金融業における先物取引等相場性を有する取引きの委託または委託の取り次ぎを受けた者が、それをせず自分が取引きの当事者となって、取引きを成立させる違法行為も「ノミ行為」と呼ばれる。

参照:
・ノミ屋(ウィキペディア)
【URL】https://bit.ly/3WBRidj

・ノミ行為(ウィキペディア)
【URL】https://bit.ly/3q6pq4H

※16)オンラインベッティング;
 オンラインで行うギャンブル(オンラインカジノ)やスポーツベッティング(スポーツ賭博)のこと。

 オンラインカジノは、コンピュータネットワーク上で仮想的に開帳される賭博場(カジノ)。日本のアクセス数は2021年世界三位、2022年世界4位。日本国内からの利用は賭博罪違反で犯罪であり、利用者が摘発された例もある。

 インターネット上のギャンブルゲームは通常のカジノよりも意識せずに負債が増えやすく、借金苦による家庭崩壊や自殺に繋がる可能性を指摘されるが、国や警察による取り締まりが十分に行われていない事が指摘されている。

 スポーツベッティングは、スポーツを対象とした賭博。日本では競馬法、自転車競技法、モーターボート競走法、スポーツ振興投票の実施等に関する法律(サッカーくじ法)などにより正当業務行為(刑法35条)として運営が許容されているものを除き、賭博罪(刑法185条)にあたり違法とされる。

 オンラインベッティングは法の狭間にある状態と見られ、2022年1月28日にIWJ記者が、古川禎久法務大臣に「海外サイト運営のオンラインギャンブルは合法か非合法か、判断基準を示していただきたい」と質問した際、大臣は「犯罪の成否は個別に判断されるので、コメントできません」と回答した。

参照:
・オンラインカジノ(ウィキペディア)
【URL】https://bit.ly/3qcyoNT

・スポーツベッティングの未来(新日本法規、冨田英司)
【URL】https://bit.ly/43uTUvN

・「海外サイト運営のオンラインギャンブルは合法か非合法か、判断基準を示していただきたい」IWJ記者の質問に「犯罪の成否は個別に判断されるので、コメントできません」~1.28 古川禎久法務大臣 定例会見 2022.1.28(IWJ)
【URL】https://bit.ly/3OTzVCG

※17)ちょっと接触をされた段階で言える:
 「暴力団対策法」第9条には、「指定暴力団員がその所属する指定暴力団等の威力を示して行う27類型の不当な行為」が細かくあげられている。

 たとえば、寄付金等の名目での金品等の要求。「縄張」内での営業の対償としての金品等の要求。物品や興行の入場券の購入、用心棒の役務等を有償で受けることの要求などである。

 この際の「暴力団の脅しのテクニック」として、大阪府暴力追放推進センターは「『おれは○○組の者や』などと暴力団を前面に出して脅せば、恐喝罪、強要罪等により逮捕されるおそれ」があるとしている。また、「以前は、名刺もよく使われた」という。

 最近は、暴力団員がこの点を意識し、「『おれの面子も立ててくれ』『血の気の多い若い衆が黙っていない』などと、口調を荒げた言葉遣いで、暗に自分が暴力団員であることを誇示するケース」が増えているという。

参照:
・暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(e-GOVE 法令検索)
【URL】https://bit.ly/3oAN350

・暴力団の脅しのテクニック(公益財団法人大阪府暴力追放推進センター)
【URL】https://bit.ly/3C2JZC0

トクサギが社会に与える害悪は計り知れない! 奪われた金は闇カジノ資金に! ギャンブルで借金を負った人間は闇バイトに手を出す!「反社会的な構造の中で人と金がグルグル回る」

▲「詐欺」という財産犯の余波が社会に与えている害悪は計り知れない!

岩上「で、『「詐欺」という財産犯の余波が社会に与えている害悪は計り知れない!』という。ここも、ぜひ」

田崎氏「だから、まさに、ここが私の言いたいところ」

岩上「だと思うんですよ」

田崎氏「ですよね。だからやっぱり、結局1日1億円、年間で360億円以上の被害というものが出てるよ、と。その被害を受けた人は本当に悲しいし、胸が痛むんだけども、そのお金は、じゃあ、どこに行ってしまうのかっていうと、ほぼほぼ戻ってこない、っていう風に言いました。で、実際、戻ってこない。

 結局、その詐欺事件を完成するために費やしてるお金が、おそらく被害額の30%~40%ぐらい費やしてる。ただ、残りの60%~70%ぐらいは、反社会的な組織の資金に流れていってるよ、ということなんですよね。結局、そこはもう、追えないわけです。実際に、仮想通貨にされたりですね」

岩上「そういうロンダリングの手口もあるの?」

田崎氏「もう、すぐに仮想通貨にされてるっていう話と、もう一個はですね、闇カジノに流れていってると」

岩上「なるほどね」

田崎氏「結局、ギャンブルをすごくやってしまう人が、この特殊詐欺に関与してるケースがきわめて多い」

岩上「すごく多いですよね」

田崎氏「うん。私が取材した中で言うと、何でそんなことしちゃったんですか? っていう問いに関して」

岩上「特に、末端の『受け子』だとか、『かけ子』とか」

田崎氏「うん。闇カジノとか。最初はパチンコとか、競馬とかやってるんだけども、だんだんだんだんレートが高いものがほしくなってきて、闇カジノに行ってしまう。

 で、闇カジノで、そこはもう、お金を貸す人とセットになってますから、借金がかさんできて、『手っ取り早く返すんだったら、お前、これしかない』という形でコミットして、ツイッターで検索してしまってるっていうケースもある。

 という風に考えるとですね、グルグルグルグル、ここが、反社会的な構造の中で、お金と人が回り続けてる、しかも、高速回転していってるっていうことが浮かび上がってくるんですね。ですので、この特殊詐欺という犯罪が、社会に与えてる害悪っていうものは、とんでもないところに行っている。

 プラス、さらにですね、ここの、先ほどおっしゃっていた、『関わった人間たちがさらなる凶悪犯罪へと突き進ん』でいるという問題が、『ルフィ事件』でも明らかになってるし、その前から散々、私、書いてますけども、プラス、『グループ内や対立グループによる拉致・監禁や傷害の被害者となるケースもある』と。先ほど言っていた、『さらっちゃうよ』ってやつですよね」

岩上「そうですね」

田崎氏「実際に、これは起きてる事案なので、抜けようとしたり、あるいは被害金を掠め取って飛んでしまう、持ち逃げしてしまうという人が追い込まれる。追い込まれて、さらわれちゃうっていうことが起きてるので、本当に、こうスパイラル的に起きたこの回転が、すさまじい勢いで害悪をまき散らしているということが、一番やっぱり、問題の本質かなという風に思いますね」

岩上「暴力団としてヤクザやって、はじめから組に、部屋住みでね、入ってたと。で、行儀を覚えさせられて3年っていう、何か、道場で言えば内弟子みたいな。

 そういうような伝統的なヤクザでしごかれてきた人たちが、いわゆる彼らの言葉で言えば、密告を『チンコロ』とか言いますけど、チンコロするなんていうのは絶対、例外中の例外っていうか、あり得ない。自分が何か、今すぐ命を取られるというような時には、そうじゃないかもしれませんけど。

 ところが、この闇バイトで集めたような、訳ありの金がほしくてしょうがないような奴なんて、何しゃべるかわからないし、抜け出すとか言い出すかもしれないし。お前、そしたらどういう目にあうかっていうの、体で教えてやるよ、みたいな形で、実際のケースいっぱいあるわけですよね。行方不明になってる人も多いじゃないですか、これ」

田崎氏「ちょっと、私は知りませんけど。行方不明になった人は聞いたことがないので」

岩上「そうですか。今回じゃないですけど、以前、何かの記事でですね、こういう捕まった人たちが、無職で行方不明の届けが出てた人がいたっていうのを、見たことがあるんですよね。いろんな事情があって、もう戸籍だとか住民票、自分を消しちゃって、それで居場所わからなくしてる人、っていうことだと思うんですけど。そういう人が流れ着いちゃうっていうね。それを巧妙に利用して、使い捨てるっていうことですよね」

田崎氏「そうですね」

岩上「で、この人たちが、いろんな情報を持ってるから下剋上できるかって、できないようになってる。これは、気を付けなきゃいけない」

(続く)

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