米国の著名な調査報道ジャーナリスト、ロバート・パリー氏による旧統一教会追及報道をご紹介する第2回は、4回連続シリーズでお伝えします。
この2000年10月11日に発表された記事の総タイトルは、「文鮮明と北朝鮮とブッシュ家」です。
今回は、「文鮮明と北朝鮮とブッシュ家」その4です。
その1、その2、その3は以下のURLから御覧いただけます。
以下から「文鮮明と北朝鮮とブッシュ家」その4「ゴア攻撃」の仮訳となります。
「ゴア攻撃
2000年の選挙期間中、文鮮明の新聞『ワシントン・タイムズ』はブッシュの息子を取り上げ、そのライバルであるアル・ゴア副大統領に対して厳しい攻撃を展開した。
昨年(1999年)、『ワシントン・タイムズ』は有毒廃棄物問題への取り組みについて、ゴア氏のものとされるでっち上げの引用を広めるのに、重要な役割を果たした。ニューヨーク州コンコードでの講演で、ゴア氏はテネシー州トゥーンでの有毒廃棄物事件に言及し『あれがすべての始まりだった(that was the one that started it all)』と述べたのである。
『ニューヨーク・タイムズ』と『ワシントン・ポスト』は、この引用を間違って報道し、ゴア氏が『私がすべてを始めた(I was the one that started it all)』と言ったと主張した。
『ワシントン・タイムズ』はそれを引き継いで、ゴア氏を医学的に見て『妄想が入っている』と非難した。『ワシントン・タイムズ』は、副大統領を「自分自身と自分の業績について重大で明白な嘘をつくだけでなく、これらの妄言を実際に信じているように思える政治家」と呼んだ。[WT, Dec. 7, 1999]」
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「他の新聞社がこの誤った引用を訂正した後も、『ワシントン・タイムズ』はこの引用を使い続けた。ゴア氏をビッグマウスとする見方は、しばしばこの事件やその他の誤報に基づいており、ブッシュ・テキサス州知事が大統領選の世論調査でゴア氏を急追するにつれ、共和党の強力な『テーマ』になった。[他の事件の詳細はThe DailyHowlerを参照]。
『責任放棄』
共和党はまた、北朝鮮の脅威をクリントン・ゴア政権に対する課題だとしている。昨年、下院共和党の作業部会による報告書は、1990年代に北朝鮮とそのミサイル計画が、日本や、場合によっては米国の太平洋岸北西部に対する核の脅威として浮上したと警告している。
「この脅威は、特に北朝鮮のミサイル能力の強化によって、過去5年間にかなり進んだ」と共和党の作業部会は述べている。「5年前とは異なり、北朝鮮は今や、榴弾兵器、化学兵器、生物兵器、場合によっては核兵器を運搬できるミサイルで米国を攻撃することができる」
文鮮明の新聞は、北朝鮮やその他の「ならず者国家」のミサイルに対抗するための米国のミサイル防衛システムを延期した政権に対する非難に参戦した。ブッシュ知事はそのようなシステムに賛成している。
『ワシントン・タイムズ』の社説は、「クリントン・ゴア政権が失った機会のリストに、国家安全保障の責任放棄を加えることができる」と述べている。
「アラスカのレーダー建設を始めないという決定を行ったことで、クリントン氏は、北朝鮮が米国に対して大陸間弾道ミサイルを発射できると推定される2005年以降に、レーダーの最終的な配備を明らかに遅らせたのだ」。[WT、2000年9月5日〕。
『ワシントン・タイムズ』は、その創始者※文鮮明のこと。(年間数千万ドルを新聞に助成し続けている)が、北朝鮮の軍事的野心を封じ込めることを目的とした米国の禁輸措置に逆らったことを指摘しなかった。
文鮮明は、北朝鮮が外貨を必要としていた時期に資金を提供することで、共産主義国家が戦略的脅威を前進させる手段を提供した。そして、この脅威を阻止するのに、米国の税金を数十億ドルも必要とすることになるだろうと、今や『ワシントン・タイムズ』が書いているのである。
この金で、文鮮明は北朝鮮内部への影響力を買った。ブッシュ・ファミリーに対する文鮮明の長年の支援(あまり知られていないが)から見て、文とその関係者がG・W・ブッシュのホワイトハウスでどれほどの影響力を持つことになるかはあまり明らかではない」
以上が、「文鮮明と北朝鮮とブッシュ家」その4の全文仮訳となります。
その4では、文鮮明が1982年に創刊した『ワシントン・タイムズ』が、2000年の大統領選挙に際して、G・W・ブッシュを勝たせるために、有力な民主党の候補だったゴア副大統領(当時)を、どのように、攻撃したのか、具体的に描き出されています。
また、当時の文鮮明の敵が、クリントン・ゴア政権だったことも、明確にされています。
文鮮明が1991年の時点ですでに北朝鮮とビジネス取引を開始し、ミサイル開発や米国の禁輸措置で、外貨を必要としていた北朝鮮に、巨額の資金提供を行っていたことは、その1、その2、その3で明らかです。
にもかかわらず、クリントン・ゴア政権を攻撃する際のスタンスが「国家安全保障の責任放棄」なのですから、その欺瞞的なやり方に驚くほかありません。
こうして見ると、文鮮明は、民主党の攻撃ため、ブッシュ当選のためなら、手段を選ばなかったことが明らかです。
この「目的のためには手段を選ばない」という姿勢は、すべてに共通する文鮮明の行動原理なのかもしれません。
とくに、米国において、目的の実現のために、『ワシントン・タイムズ』が有効に使われてきました。そのことを、ブッシュ親子も認識していました。
そして、現在では、関連団体の『ワシントン・タイムズ』財団の「ドナー(寄付者)」には、アマゾンやグーグル、フェイスブック、ツイッター、マイクロソフトなど、米国の主要インターネット企業の創立者たちが、「ドナー」として名を連ねているのです。
アマゾン創立者のジェフ・ベソスが、102億ドル(約1兆4000億円)、ブルームバーグの創立者のマイケル・ブルームバーグが、16億ドル(2200億円)、ツイッターとスクエアの共同創立者でCEOのジャック・ドーシーが11億ドル(約1500億円)、前グーグルCEOのエリック・シュミットとウェンディ・シュミット夫妻が、4億6960万ドル(約649億円)、マイクロソフトの共同創立者ビル・ゲイツとメリンダ・ゲイツが、1億5700万ドル(約217億円)、フェイスブックの共同創立者マーク・ザッカーバーグと小児科医のプリシラ・チャンが、1億2000万ドル(約166億円)などとなっています。
個人としては、桁違いの寄付額です。
ビル・ゲイツの寄付活動を見ればわかるように、こうした人々は、目的と戦略を持って寄付しています。
こうした米国のインターネット企業は、文鮮明の極右的なプロパガンダ新聞の「共犯」であり、その結びつきに、経済的・社会的・政治的な利益があると見ているのは間違いないでしょう。
文鮮明の世界戦略は、米国社会において多くの有力な味方をつけて、しっかりと根を張ってきているのです。
旧統一教会の南米の麻薬密売への関与については以下のURLから御覧ください。