【IWJ号外】ジャーナリスト、ロバート・パリー氏による旧統一教会追及の調査報道第2回(その2)! 文鮮明の元義理の娘らの目撃者が、文鮮明が広範なマネーロンダリングを行っていると主張!  2022.8.27

記事公開日:2022.8.27 テキスト
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(取材、文・IWJ編集部)

特集 自民党と癒着し日本を蝕む反日カルト、「統一教会」
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 文鮮明と北朝鮮とブッシュ家の関係に関するIWJ号外をお届けしますのでぜひ御覧ください。

 米国の著名な調査報道ジャーナリスト、ロバート・パリー氏による旧統一教会追及報道をご紹介する第2回は、4回連続シリーズでお伝えします。

 2000年10月11日に発表されたパリー氏の記事の総タイトルは、「文鮮明と北朝鮮とブッシュ家」です。

 今回は、「文鮮明と北朝鮮とブッシュ家」その2です。

 その1は、以下のURLから御覧いただけます。

 以下から「文鮮明と北朝鮮とブッシュ家」その2「文鮮明の右腕」の仮訳となります。

「文鮮明の右腕

 韓国のソウルで連絡を取った『ワシントン・タイムズ』の元出版人、朴普熙(パク・ポヒ)は、北朝鮮の個々の指導者に支払いが行われたことを否定し、金正日の利益になる300万ドル(約4億円)の土地売却に関するDIAの説明を『絶対に真実ではない』と述べた。

 しかし、朴普熙は、文鮮明が1990年代初期に北朝鮮の高官と会い、彼らとのビジネス取引について交渉したことを認めた。朴によれば、北朝鮮のビジネス投資は、韓国の企業を通して行われたとのことである。

 朴は、『文師は、自分の名前でこれをやっているわけではない』と述べた。

 朴は、金日成主席の死後、1994年に北朝鮮に行ったが、それは文鮮明と夫人に代わって金正日総書記に『弔意』を表すためだけだったと述べた。金正日総書記やその関係者に金を渡すことも目的だったということを、朴は否定した。

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 「反共主義」を公言している文鮮明が共産主義国家の指導者と親交を持つことは矛盾しているように見えるとの質問に対して、朴は『今こそ和解の時です。イデオロギーの違いにこだわりません。我々は食糧やその他の人道的なニーズで彼らを助けようとしているのです』と述べた。

 サムスンの関係者は、300万ドル(現在価値で約4億円)の支払いに関する情報は、ファイルに見当たらなかったと言う。

 北朝鮮当局者は、明らかに文鮮明との関係を重視している。ロイターは、今年2月、文鮮明80歳の誕生日に、金正日総書記が文鮮明に、薬用に使われる香りの良い珍しい野生の高麗人参を贈った、と報じている。

法的問題

 米国は北朝鮮に対して長期的な禁輸措置をとっており、それが緩和されたのは、ここ数カ月である。文鮮明が共産主義指導者に送金を行ったとされることは、韓国籍で米国永住権を持つ外国人の文にとって、法的問題になる可能性がある。

  国際犯罪を扱う元国務次官補のジョナサン・ワイナー氏は、『財務省の制裁体制では、米国内の誰ひとりも北朝鮮の誰かに資金提供することはできないことになっている』と述べた。

 米国の北朝鮮への禁輸措置は、朝鮮戦争までさかのぼる。人道的な物品に関するいくつかの例外を除いて、禁輸措置は北朝鮮と『どこに住んでいても、すべての米国市民と永住権保持者との、…そして世界中の米国組織のすべての支店、子会社、その支配下にある関連会社』との貿易と金融取引を禁止している。

 司法省の記録によると、文鮮明は1973年に米国の永住権を取得した。朴普熙によると、文鮮明は 『グリーンカード』のステータスを維持しているとのことである。韓国や南米にいることが多いが、文鮮明はニューヨーク市の北にあるタリータウンの近くに住居を維持し、何十もの関連する米国企業を支配している。

 また、取引に関して外国人指導者に直接支払いを行った場合、海外での贈収賄を禁じる米国汚職行為防止法(Corrupt Practices Act)に違反する可能性が指摘されている。

洗脳疑惑

 文鮮明の信者は、文鮮明を第2のメシアとみなし、自分たちの生活に関する広い権限を彼に与え、配偶者さえも選ばせている。元統一教会信者を含む批評家たちは、文鮮明が若い信者を洗脳し、信者がわずかな収入しかないのに、贅沢な暮らしをしていると非難している。

 世界中で、文鮮明のビジネス関係は長い間、秘密に包まれてきた。彼の元義理の娘などの目撃者が近年名乗り出、組織内で広範なマネーロンダリングが行われていると主張しているが、彼の資金源も謎に包まれている。

 文鮮明は、『海外から持ち込まれた追跡不可能な未申告の現金を紙袋いっぱいに受け取るたびに、米国の法律を軽蔑していた』と、元義理の娘の、洪蘭淑(Nansoon Hong)は1998年の著書『文家の影(In the Shadows of the Moons)』で書いている。

 文鮮明は、1970年代に国際舞台に出てきて以来、その財産で政治同盟を築き、メディア、学術、政治団体に資金を供給してきた。

 1978年、米議会の『コリアゲート』調査(フレイザー委員会による調査)によって、文鮮明はKCIAの工作員であり、米国政府を狙った影響力買収計画の一部であると指摘された。しかし、文鮮明はその容疑を否認した。

 その後、脱税容疑で有罪判決を受けたが、1982年に『ワシントン・タイムズ』紙を創刊し、政治的影響力を拡大し続けた。この新聞は、レーガン、ブッシュ両大統領の政策を支持し、その反対派を叩くことで、保守的な新聞として支持された。

 1988年、ブッシュ(父)が大統領選でリードしていた時、『(ワシントン・)タイムズ』紙は、民主党大統領候補のマイケル・デューカキスが精神科の治療を受けているという根拠のない噂を流した。また、文鮮明の関連団体の全米自由連合(American Freedom Coalition)は、ブッシュ支持のビラを何百万枚も配った。

 ブッシュは個人的に感謝の意を表した。1991年にウェスリー・プルーデンが『ワシントン・タイムズ』の編集長に就任した時、ブッシュはプルーデンをホワイトハウスのプライベート・ランチに招待した。『我々がタイムズを毎日読んでいるワシントンで、タイムズがいかに貴重な存在になったかを伝えるためだけに』。[WT, May 17, 1992]」

 以上が、「文鮮明と北朝鮮とブッシュ家」その2「文鮮明の右腕」の全文仮訳になります。

 朴普熙が北朝鮮と文鮮明との交渉の文側代理人だったことが明らかにされています。

 そして、北朝鮮は、外貨獲得という点で、文鮮明との関係を重視していたと述べられています。

 現在の金正恩総書記も、2012年に文鮮明が亡くなったときに、弔電を打ち、その1周忌にも打っています。

※サンデー毎日2022年8月14日号25頁

 これは、北朝鮮にとって、旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)の関係が、現在もなお、ビジネスや外貨獲得の手段として重要であることを示唆しています。

 パリー氏は、文の北朝鮮への送金が、北朝鮮に対して長期的な禁輸措置を取る米国において、法的問題になる可能性を指摘しています。

 さらに、取引に関して外国人指導者に直接支払いを行った場合、海外での贈収賄を禁じる米国汚職行為防止法(Corrupt Practices Act)に違反する可能性が指摘されています。

 注目すべきは、文鮮明の元義理の娘などの目撃者が、組織内で広範なマネーロンダリングが行われていると証言している点です。

 麻薬密輸などで得たダーティーな資金を広範なマネーロンダリングで洗浄しているとすれば、南米での文鮮明の活動とつじつまが合います。

 さらには、ブッシュ(父)の大統領選で、『ワシントン・タイムズ』や関連団体の全米自由連合を使って文鮮明がいかにこの選挙に介入していたのか、そして、その見返りに、ブッシュ(父)元大統領がホワイトハウスのプライベート・ランチに、『ワシントン・タイムズ』編集長のウェスリー・プルーデン(当時)を招待したとパリー氏は述べています。

 しかし、文鮮明への見返りがプルーデン編集長のランチ招待だけだったはずはないのです。この点、パリー氏も「just to tell you how valuable the Times has become in Washington, where we read it every day」と述べてそれを言外に示唆しています。このランチの席で語られたことこそがさらに重要でしょう。

 このロバート・パリー氏の記事で名指しされている文鮮明の右腕、朴普熙(パク・ポヒ)は、Wikipediaによると、1930年大日本帝国の併合下にあった朝鮮忠清南道で誕生。1950年に韓国陸軍師範学校に入学し、朝鮮戦争に参戦。1957年に統一教会に入信しています。

  • 朴普熙(Wikipedia、2022年8月26日閲覧)

 キャリアを見ると、軍人としてスタートしており、しかも、1952年と1955年の2回にわたり、米国の陸軍歩兵学校に留学しています。

 米国との結びつきは、その後も強く、1956年には、国連軍司令部内の米軍事顧問団長専属副官に就任しています。

 つまり、統一教会(現・世界平和統一家庭連合)に入信する前から、米国とのパイプがあったということです。

 1965年には、統一教会(当時)の世界宣教師として渡米し、1972年には、文鮮明の米国での講演会で特別補佐役兼通訳を務めています。

 文鮮明が一家そろって渡米し拠点をニューヨークに構えたのが1971年ですから、朴普熙は文鮮明の米国進出、ひいては、旧統一教会の世界戦略のキーパーソンだったと言えます。

 朴のキャリアで注目すべき点の一つが、1982年に、統一教会のプロパガンダ新聞『ワシントン・タイムズ』社の初代社長に就任したということがあります。

 音楽家・作家である八木啓代さんは、自身のブログ『八木啓代のひとりごと』の中で、旧統一教会のウルグアイでの暗躍を報じたウルグアイの新聞『ラ・ディアリア』の2020年11月14日の記事を翻訳紹介しています。

 八木さんの翻訳紹介するこの記事の中に、朴普熙の名前が出てきます。

「中南米地域での統一教会の主な政治団体は、アメリカ社会統一協会連合 CAUSA (Confederacion de Asociaciones para la Unificacion de las Sociedades Americanas)で、『アメリカ大陸における共産主義と戦う』ことを名目にしている。

 カトリック司祭フリオ・セサル・エリサガの著書『ウルグアイを侵食するカルトと新宗教 (Las sectas y nuevas religiones a la conquista del Uruguay)』によると、CAUSAは1964年、元CIAの韓国諜報員だった朴普煕がCIAを退職し、統一教会の政治活動に専念して、設立されたとされている。1970年代から1980年代にかけては、この地域の政治と宗教をつなげるものとして影響力を持つようになった」

 朴普煕は、CIAのエージェントだったのです。

 1964年に、CIAの韓国諜報員を退職しています。1965年に統一教会(当時)の世界宣教師として渡米する直前まで、朴はCIAのエージェントだったのです。朴は1957年に統一教会に入信していますから、7年も信者であり、かつCIAエージェントを兼務していたことになります。言いかえると、統一教会の幹部信者のまま、CIAに入り、「兼職」を開始したのです。文鮮明氏が、その事実を「知らなかった」とは考えにくいでしょう。

 1964年に朴はCIAを退職しても、その後の南米での行動や、CIAにとっての利用価値などを考えると、その後も連絡はあったと見るのが自然です。

 朴普煕が、どの時点でCIAエージェントとなったのか、不明ですが、キャリアの初めから米国との関連性が深いことを考えると、1950年の朝鮮戦争の時期だった可能性が考えられます。

 いずれにしても、南米でも北朝鮮でも、朴普煕は文鮮明の代理人的な立場でキーパーソンとして、活動しているのです。

 米国の著名な調査報道ジャーナリスト、ロバート・パリー氏による旧統一教会と南米の麻薬問題の関係を追及した第1回の前後編は以下から御覧いただけます。

 ぜひ、あわせて御覧ください。

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