お世話になっております。岩上安身です。文鮮明と北朝鮮とブッシュ家の関係に関する驚くべき内容のIWJ号外をお届けしますので、ぜひ御覧ください。
米国の著名な調査報道ジャーナリスト、ロバート・パリー氏による旧統一教会追及報道をご紹介する第2回は、4回連続シリーズでお伝えします。
この2000年10月11日に発表された記事の総タイトルは、「文鮮明と北朝鮮とブッシュ家」です。
今回は、「文鮮明と北朝鮮とブッシュ家」その3です。
その1とその2は、以下のURLから御覧いただけます。
以下から「文鮮明と北朝鮮とブッシュ家」その3「文鮮明のバチカン」の仮訳となります。
「文鮮明のバチカン
ブッシュ(父)がホワイトハウスでプルーデン(『ワシントン・タイムズ』の元編集長)を迎えている間、プルーデンの上司は北朝鮮に資金とビジネス・チャンネルを開いていた。DIA(米国防情報局)によると、文鮮明の北朝鮮との取引は野心的で高価なものであった。
『金剛山観光開発のための合弁会社設立、豆満江開発への投資、元山軽工業基地建設への投資など、金剛山経済復興のための経済協力に関する合意がなされた。文鮮明は会談で4500億円を寄付したとされる』とDIA報告書は述べている。
1991年末、日本円は1ドル130円程度で取引されていた。もし、この情報が正しければ、文鮮明の投資額は約35億ドルということになる。
文鮮明の側近の朴普煕(パク・ポヒ)は、文鮮明の投資がそのような規模に近づいたことはないと否定した。朴は、全体的な数字は言わなかったが、自動車工場の初期段階は300万ドルから600万ドル(1991年当時のレートで、約4億円から約8億円)の範囲であったと述べている。
DIAは、文鮮明の北朝鮮での事業計画をもっと壮大なものとして描いている。平壌のホテルと金剛山のリゾート施設の契約だけでも5億ドル(約650億円)と評価されている。この計画は、文鮮明の生家を囲むバチカン市国のようなものを創ることも要求している」
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「DIAは『金日成は文鮮明の経済協力の対価として、朝鮮半島の平安北道・定州にある9平方キロメートルの土地を99年間、文鮮明に賃貸することを許可した。定州は文鮮明の生家であり、この土地は統一教会のセンターとして使用される予定である。統一教会の信者はこの土地を聖地と呼んでおり、文鮮明は賃貸期間中、治外法権を認められている』と述べている。
北朝鮮は文鮮明に小さな便宜も図った。文鮮明が金日成主席と会談した4ヶ月後、『ワシントン・タイムズ』の編集者たちは『金日成主席が米国の新聞社に行った戦後初のインタビュー』と称して、北朝鮮の隠遁した共産主義者にインタビューすることを許された。
1992年の終わりには、『ワシントン・タイムズ』は再びブッシュ大統領(父)の擁護に回った。イランコントラ事件特別検察官ローレンス・ウォルシュの捜査がブッシュとその側近に集中したため、同紙はウォルシュに対する攻撃を強化した。ウォルシュは、『ワシントン・タイムズ』の執拗な批判を犯罪捜査の妨げと考えていたと、彼の著書『ファイアウォール』には書かれている。
1992年の秋の選挙戦では、『ワシントン・タイムズ』はブッシュの新しいライバル、ビル・クリントンに社説の矛先を向けた。反クリントンの記事の中には、クリントンの愛国心に疑問を投げかけ、ローズ奨学生が大学時代のモスクワ旅行でKGBの工作員にスカウトされた可能性を示唆するものさえあった。
ブッシュの敬意
ブッシュはホワイトハウスを失った後も、文鮮明の組織との関係を絶つことはなかった。ブッシュは、米国やアジア、南米の文鮮明が支援する団体で有料のスピーチをすることに同意した。バーバラ・ブッシュが参加することもあった。
この時期、文鮮明は米国とその理念の多くに対して憎しみを強めていた。
1996年8月4日の信者に対するスピーチで、文鮮明は米国の個性を消滅させることを誓い、自分の運動が『米国全体を飲み込む』ことを宣言した。文は、『プライバシーと極端な個人主義を主張する米国人は…消化されるだろう』と述べた。
それでも、ブッシュ元大統領は文鮮明の組織のために働き続けた。1996年11月、ブッシュ元大統領はアルゼンチンのブエノスアイレスで開かれた晩餐会で、文鮮明の南米の新聞『ティエンポス・デル・ムンド(世界の時代)』の創刊を祝って演説した。
教会内のニューズレター『統一ニュース』に掲載されたスピーチの記録によると、『私は文鮮明師に敬意を表したい』とブッシュは宣言したという。
『南米の友人の多くは「ワシントン・タイムズ」のことを知らないが、それは独立した声である』とブッシュは言った。「ワシントン・タイムズ」の編集者たちから聞いたところでは、私見ではワシントンに正気をもたらす新聞である「ワシントン・タイムズ」の運営に、ビジョンを持つこの男(文鮮明)が干渉したことは一度もないといいます』
ブッシュの主張とは逆に、文鮮明の工作員の編集への干渉に抗議して、多くの上級編集者や特派員が辞職している。ブッシュは、ブエノスアイレスでの演説やアジアや米国での他の演説にいくら支払われたかを言うことを拒否している」
以上が、「文鮮明と北朝鮮とブッシュ家」その3の全文仮訳となります。
ここでは、文鮮明の北朝鮮ビジネスとブッシュ(父)との関係が報道されています。
文鮮明の北朝鮮投資額が約35億ドルと具体的に記述されており注目されます。
驚くのは、北朝鮮への投資の見返りとして、文鮮明の生地である定州にある9平方キロメートルの土地を99年間、文鮮明に賃貸することを金日成主席が許可したということです。
しかも、この土地は、バチカン市国と同様に、北朝鮮の権限が及ばない治外法権の土地なのです。文鮮明の帝国が北朝鮮の領土内に99年間も存在するということです。
ここをどのように旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)が使用しているのか不明ですが、表向きは信者の聖地として、旧統一教会のセンターが現在も置かれているはずです。
2004年に脱北し、現在、韓国で、人気ドラマ『愛の不時着』の補助作家などを始め、脚本家として活動している郭文完(クァク・ムンワン)氏は、この旧統一教会の聖地化事業について次のように述べています。
「統一教会は文鮮明総裁の故郷である平安北道中州にも、文鮮明総裁生家コースと世界平和公園を造成した。
現在では平安北道定州市徳彦面圓峯里という住所になっているこの場所に、文鮮明総裁が生まれた生家を修復。生家周辺に約30万坪規模の世界平和公園を造成して、訪問者を迎えるプロジェクトを立ち上げたのだ。この場所を、統一教会信者の聖地にする、聖地化事業である。
文鮮明総裁の故郷の村に統一教会が平和公園を造成した目的は、創設者である文鮮明総裁の存在を北朝鮮住民に知らしめ、国内外の統一教会信者と訪問者の教育の拠点として活用することにあった」
文鮮明の生家は、現在、世界平和公園として造成され、信者の聖地となっていることがわかります。
ジギルとハイドのように、文鮮明は、朝鮮半島と日本で行っていることが180度、真逆です。日本では「勝共」「反共」を叫び、共産主義国家である北朝鮮では金一族にとりいって大金を送り、統一教会の「聖地」を建設しているのです。
他方で、このパリー氏の記事では、ブッシュ(父)元大統領と文鮮明の異様な結びつきも述べられています。
文鮮明が米国の個人主義的な価値観に嫌悪感を表明していた時期でも、ブッシュ元大統領は文鮮明を称賛して憚らないのです。
ブッシュ(父)にとって、『ワシントン・タイムズ』を所有し、資金力も潤沢で、南米にもネットワークを持つ、文鮮明の利用価値が、相当に高かったことがうかがえます。
こうした旧統一教会との関係は、ブッシュ(父)とって、息子のG・W・ブッシュの2000年の大統領での当選および2004年の再選という大きな成果となって実を結びます。
米国の著名な調査報道ジャーナリスト、ロバート・パリー氏による旧統一教会と南米の麻薬問題の関係を追及した第1回の前後編は以下から御覧いただけます。
ぜひ、あわせて御覧ください。