「日本はロシア、中国、北朝鮮に囲まれている。あっちが終わったらこっちじゃないか。ウクライナの人々のあの惨状を見れば、人ごとじゃないなと感じます」~8.15 靖国神社参拝者・千鳥ケ淵墓苑献花者へのインタビュー 2022.8.15

記事公開日:2022.8.19取材地: テキスト動画
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(取材、文・浜本信貴)

 2022年8月15日、日本の77回目の敗戦記念日。IWJは、東京都千代田区の千鳥ケ淵戦没者墓苑、および靖国神社にて、参拝者へのインタビューを行った。

 ウクライナ情勢の膠着や米国と中国の対立激化などにより、日本にとっても「戦争」というものがにわかに現実味を帯びてきている現状の中で、参拝者の方々はどんな気持ちで参拝に訪れているのか?

 初めて千鳥ケ淵へ参拝に来たという男性は、次のように答えた。

 「わかりやすくいえば、ウクライナの件ですとか、台湾の有事の話ですとか、あと自分の年がだんだんいってくるんでね、東京にいて、元気なうちにというところもちょっとあって、今年は(コロナによる)行動制限がなかったので、まだ来年どういう展開になるかわからないし、行けるときに行っておこうと思って」。

 IWJ記者はさらに続けて質問した。

 「ウクライナ問題もなかなか終結に至らず長引いて、米中関係の対立の激化で、日本も、いつアメリカのために戦争に行かなければならなくなるかもしれない日常の中で、『戦争』という言葉について考えることというのはありますか?」

 男性は、「今はウクライナはもうこれで6ヶ月ぐらいになるんですかね、つぶさにリアルタイムの情報が入る時代。映像も何も人の生活も含めて。だから、昨日まで静かだったところがああなっちゃうんだという感じですね」と述べ、次のように続けた。

 「ロシア、中国、北朝鮮に囲まれている日本としては、全然対岸の火事でも何でもなくて、隣国の話。こっちが終わったらこっちじゃないかという気持ちはあります。非常にありますね。ウクライナの方々のあの惨状を見れば見るほどね、それは人ごとじゃないなという感じはしますね」。

 IWJ記者が、政府・自民党が進めようとしている「憲法改正」について聞くと、男性は次のように語った。

 「世界で70年、80年も憲法を一文も変えてない国は多分ないんですよ。戦後、それこそ昭和20年から80年近く経つんだから、日本人もきっと考え方をいったんゼロに戻さなければいけないのだと思います」。

 また、靖国神社では毎年参拝に訪れるという若い男性が、参拝の理由について、次のように語った。

 「お国のためにご苦労された方々が集まっていらっしゃいますし、やはり、今日8月15日ですから、それは皆さん、日本人であれば特別な思いがありますので、そういった方々を忘れないっていうのと、戦った理由なり、なんなりがあって、ここへ亡くなられてお祀りされているわけですから、そういった方に素直に感謝の気持ちを申し上げたいっていうのがあるんで、できるだけ8月15日は、こちらへ来るようにしています」。

 IWJ記者は、本年9月27日に開催予定の安倍晋三元総理の国葬、そして、自民党と一部の野党が推し進めようとしている「憲法改正」について質問した。男性は自身の考えを次のように語った。

 「やってしまった人(山上徹也容疑者)にしても、亡くなった安倍さんにしても、みんなが不幸ですよね。誰しもが不幸なので、本当に残念な事件としか言いようがないです。

 安倍さんは、靖国に対しても理解がありましたしね。そういった意味では非常に残念ですし、我々は本当に追悼したいっていう気持ちは、もちろんあります。

 やっぱり『国葬』というものを決める、それは気持ちとしてはよくわかりますが、国民のお金も使われますね。もう少し皆さんに、国民ひとりひとりに聞いたりだとか、周知の仕方を工夫して何とかうまくやってほしい。

 (憲法改正については)細かい政治の話は、私はわかりません。けれども、そこはやっぱり同じだと思うんですよね。

 民主主義でやっているからには、それを決めた、例えば憲法9条であるとか、決めた時の世相と、やはり今とは少し違っていますし、いわゆる国防が関わってきますから(中略)。

 ただ、それをキャッチするのは、政治家の方であるとかの仕事です。そうですね、国防に関する自衛隊さんもそうですし、そういった方の知識は必要と思います。それをやはりシビリアンコントロールって言うんですかね。

 やはり、冷静に国民まで伝えて、文民の方でやはり決めるというのは、私は必要なんじゃないかなと思います。それは、一概に『憲法改正が悪い』とかではなくて、それも視野に入れてみんなが納得した状態で、だって、日本国が何か被害があってからでは遅いわけですから。

 そこは、もしそういう可能性があるなら、改憲してでもやるというのはそうです。そして、国が攻撃されてしまっては、元も子もありませんから、それをもうちょっとうまく、『改憲!改憲!』じゃなくて、もう少し皆さんに伝わるようにやって頂ければ、納得していただけるのではないかなと思いますね」。

 千鳥ケ淵戦没者墓苑、靖国神社での取材の詳細については、ぜひ全編動画をご確認いただきたい。

■全編動画

  • 日時 2022年8月15日(日)14:00頃~
  • 場所 靖国神社 敷地外、千鳥ケ淵戦没者墓苑 苑内(東京都千代田区)

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