【特別寄稿】参院選最大の争点は「米国忖度のロシア制裁インフレ」!「安倍忖度の岸田インフレ」!! 金融緩和政策の継続は「物価は上がってもいいから、資金をじゃぶじゃぶにする大企業・金持ち優遇」! (フリーランスジャーナリスト・横田一) 2022.7.5

記事公開日:2022.7.5 テキスト動画
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(フリーランスジャーナリスト・横田一)

 「参院選(7月10日投開票)」で一大争点に急浮上したのが物価高だ。「物価高と戦う」を掲げる立憲民主党は「岸田インフレ」と命名してアベノミクス(異次元金融緩和が柱)見直しを求め、5%への消費減税でも四野党(立民・共産・れいわ・社民)で足並みをそろえている。

 これに対して岸田文雄総理は、「世界規模の物価高はウクライナ侵攻が原因」「有事における物価高」と強調するばかりで、アベノミクス見直しを進めようとしない。

 アベノミクスの最大の売り物だった日銀黒田総裁のもとでの低金利と金融緩和は今も継続中で、そのために猛スピードで円安が進行しつつある。円が安くなれば、あらゆる資源、エネルギー、食糧を輸入に頼らざるをえない日本で輸入インフレが進むのは当然である。岸田内閣が安倍内閣のアベノミクスを継承しているからこそ、このインフレは起きているのであり、「岸田インフレ」の命名は決して間違っていない!

▲岸田文雄総理(2022年6月18日、山形市で、横田一氏提供)

 また、早期停戦に無関心な米国に追随(忖度)するだけで、ロシア制裁によるエネルギー資源高とも重なり「ロシア制裁インフレ」の様相も呈しており、しかもバイデン大統領に防衛費倍増の方針も伝えたことから、今後は「軍事インフレ」となる恐れも出てきた。

 先の太平洋戦争では「欲しがりません、勝つまでは」という標語が国民に押し付けられるほど、国民の大半は貧窮に耐えなければならなかった。

 その一方で、軍拡は巨大戦艦大和など、実戦で何も役に立たないシロモノを建造するなど、軍事費が急増して対戦末期には、インフレが国民生活を襲うことになったが、今、似たような状況が戦争の前からすでに起こりつつある。これで、戦艦大和の代わりに敵基地攻撃用の中距離ミサイルを導入し、実際の戦争に突入したら、日本へ向かう資源や食糧を載せる商船は沈没させられ、インフレは激化し、石油のない日本は社会活動が停止し、飢餓が押しよせることだろう。実際、太平洋戦争には、日本の商船はことごとく沈められてモノ不足が決定的となっていたのだ。

 「有事(戦争)」を振りかざすことで、国民を黙らせる手法は、岸田総理の街宣にはっきりと盛り込まれていた。「有事の物価高に国民は耐えて当然」と言わんばかりの上から目線の姿勢も見て取れた。

 6月18日の山形駅前の街宣で岸田総理は、エネルギーと食料に特化した物価高対策をして効果を上げていると自信たっぷりに語った後、こう続けたのだ。

 「例えばアフリカにおいては、食料の不足にも耐えながら、平和を守るためにしっかりと(ロシアへの経済制裁に)協力をしている。

 ヨーロッパではエネルギーのとんでもない価格高騰の中でも平和を守るために多くの国民が協力をしている」

 「何でこんな物価高騰が起こっているのかに思いを巡らせていただき、平和を守るために日本も力を合わせていかないといけない」。

 有事(戦争)を理由に、国民に我慢を強いて事足れりと考えている問題発言といえる。

 「世界規模の有事の物価高騰」に、海外の国々も経済制裁で足並みをそろえているのだから、日本国民も我慢しようと呼びかけているに等しい。

 実際には、ロシア制裁に参加しているのは世界の約3分の1の国々に過ぎない。3分の2は制裁に参加せず、禁輸していないのである。インドのように、安全保障で米豪とクアッドを築きながら、ロシア制裁には加わらず、逆にロシアから3割引きという格安の値段で昨年以上に石油を輸入し、ロシア製の武器も輸入し、国内で精製して余ったディーゼルオイルをロシア制裁で、エネルギー不足に陥り、日本と同様自分の首を苦しめている欧州のNATO諸国に売りつけて儲けている国もあるのである。そのインドのような国は、何の制裁も受けていない。

 日本も自国の国益を考えたら、インドのように制裁に参加しない道もあるはずだ。

 岸田外交が安倍外交以上の対米追随外交になってしまっていることのマイナスが我が国の国民生活を直撃していると言っていい。

 外的要因を強調することで、アベノミクス見直しをしない自らの職務怠慢から目をそらそうとする魂胆が見え見えなのである。

記事目次

「金融緩和を見直さないのか?」との直撃質問に、無言で立ち去る岸田総理! 円安・物価高は「米国忖度のロシア制裁インフレ」!!

 そこで街宣後、聴衆とのグータッチをほぼ終えた岸田総理に声かけ質問をした。

横田一「『岸田インフレ』と言われていますよ。金融緩和、見直さないのか? 円安加速で物価高になるのではないか?」

岸田総理、無言のままエスカレーターに乗る。階段を駆け上がって再び声掛け質問。

横田「金融緩和、見直さないのか? 円安加速で物価高が加速するのではないか?『岸田インフレ』『資本家の犬』と言われていますよ」

 岸田総理、無言のまま改札口へ。

■2022.6.18 自民党山形県連大会で挨拶・大内予定候補の応援演説の岸田首相にジャーナリスト横田一氏が声かけ

 「安倍忖度政権」ともいえる岸田政権(総理)の実態が、露わになった。去年の総裁選でも、森友再調査を急に言わなくなった忖度ぶりが話題になったが、経済政策でも、安倍元総理の怒りを買うアベノミクス見直しをしない弱腰が露呈したように見えた。

 「安倍忖度」だけでなく、米国にも忖度する岸田総理には、早期停戦を進めて「ロシア制裁インフレ」を一日でも早く終わらせようとする姿勢も皆無だ。

 4月6日の寄稿記事「元外務官僚で作家の佐藤優氏は『核を持って内にこもるロシア』を懸念!」で紹介したが、元外務官僚で作家の佐藤優氏は「私は今のアメリカに戦略があるとは思えない。できるだけ、この戦争を長引かせて、ロシア人ができるだけ残虐なことをするということを示すことによって、ロシアの立ち位置を弱くする。それ以上の戦略は今ないと思う」と3月23日の東京大地塾で語っていた。

 3ヶ月前の発言だが、この見方通りの展開となっている。米国はウクライナに武器を供与して戦争を長引かせ、各国に経済制裁で足並みをそろえることも求めている。ロシアの弱体化を最大の目的にしているようにしか見えないのだ。

 しかし欧米の軍需産業は儲かっても、世界各国の国民は「ロシア制裁インフレ」に苦しみ続けている。中でも円が独歩安の日本の国民には、「輸入インフレ」が円安とともにはなはだしくなり、さらに深刻な事態に陥る。

 本来なら岸田総理は、米国に異論を唱え早期停戦を提案すべきなのだが、その気配はまったく感じられない。「米国忖度のロシア制裁インフレ」と呼んでもおかしくないのだ。

 しかも、皮肉なことに、制裁されているロシアはしぶとく、通貨危機も乗り越え、エネルギー資源の高騰によって石油輸出収入は制裁前より増えているという。

 これではいったい何のための制裁なのか!? 佐藤優氏が言った通り、今の米国には何の戦略もないのではないか!? そんな馬鹿な国の馬鹿な戦略に、岸田政権がホイホイとついていくのは、もっと大馬鹿ではないか?

岸田総理は異例の選挙中外遊で「岸田インフレ」隠し!「消費税減税はしないのか?」との直撃質問に、またも無言を貫く!

 自らの職務怠慢を棚にあげる、姑息な世論誘導は他にもあった。岸田総理は26日未明からG7サミットに加えてNATO首脳会議にも出席、国政選挙中に5日間の外遊をすることを決定した。6月25日の読売新聞は「異例の選挙中外遊」という見出しで報じたが、その狙いを読み解くコメントも紹介されていた。

 「『国際舞台で活躍する姿を有権者に発信できれば、物価高ばかりに注目がいく雰囲気は変わる』(ベテラン)と期待する向きもある」。

 争点ずらしとはこのことだ。物価高が一大争点となった世論の目を、外遊中の岸田総理に向けさせるというわけだが、あまりにセコイと思って岸田総理への再直撃を試みた。

 外遊直前の25日、自民党公認の永井学候補への応援演説(甲府駅前)を終えた総理に、再び大声を張り上げて、素朴な疑問をぶつけたのだ。

▲岸田文雄総理(左、2022年6月25日、甲府市で、横田一氏提供)

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