種子法廃止は違憲! 国を相手の裁判を通じて、日本の農業を支えてきた種子法復活の可能性が見えた!? 戦争による食糧不足、グローバル企業による寡占等、危機の時代の「食」をめぐって熱く議論~6.3 種子法廃止違憲確認訴訟 報告集会 2022.6.3

記事公開日:2022.6.13取材地: テキスト動画
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(取材・浜本信貴、文・IWJ編集部)

 6月3日金曜日は、「種子法廃止等に関する違憲確認訴訟」の第7回口頭弁論期日であった。午前中に3名の原告本人尋問が行われ、午後に3名の証人尋問が、東京地方裁判所で行われた。

 これを受けて、午後4時半頃から、衆議院第1議員会館・国際会議室で、報告集会が約1時間半にわたって開催された。

 TPP交渉差止・違憲訴訟の会代表の池住義憲・立教大学大学院キリスト教学研究科教授、弁護団共同代表幹事長の山田正彦・元農林水産大臣、弁護団共同代表の岩月浩二氏、弁護団共同代表の田井勝氏のほか、平岡秀夫弁護士・元法務大臣、古川(こがわ)健三弁護士らが出席した。

 約1時間半に及んだ報告集会では、憲法学者の土屋仁美・金沢星稜大学経済学部経済学科准教授による報告と、原告証人3名による報告、それぞれの担当弁護士による報告が行われた後、報告会参加者による質疑が行われた。

憲法学者 土屋仁美准教授について証人尋問を担当した古川弁護士は、土屋氏が国際法の視点から「食料への権利」を論理立てて歯切れよく説明していただいたと評価!

 憲法学者の土屋仁美・金沢星稜大学経済学部経済学科准教授は、金沢からこの日の証人尋問のために駆けつけた。土屋氏はすぐに金沢に戻るため、最初に証人として報告をした。

 土屋氏の証人尋問を担当した古川弁護士は、土屋氏が国際法の視点から「食料への権利」を論理立てて歯切れよく説明し、証言いただいたと報告した。

 土屋氏は「古川先生のご指導のもと、どうにか大役を(の責任を果たしました)。貢献できることがあったとするならば、とても嬉しいと思っております」と述べた。

田井弁護士による全体報告(その1)「今日は原告3人、証人3人の尋問期日で、この裁判にとっては大事な大事な日でした」。6名の証人がそれぞれ良い証言ができたと評価!

 続いて、田井弁護士から全体の報告が行われた。

田井弁護士「今日は原告3人、証人3人の尋問期日で、この裁判にとっては大事な大事な日でした。皆さんが証言いただいたことが、そのまま活字になり、そして証拠になる。判決の内容に使われる立派な証拠になります。ここでどういう発言を出せるか、そして裁判官に響かせるかという重要な1日だったと思います」。

 田井弁護士は、6名の証人がそれぞれ良い証言ができたと評価した。

 午前中の原告証人は菊池富夫氏(山形県、採種農家、山形県指定種子生産圃場)、舘野廣幸氏(栃木県、一般農家・有機農業、舘野かえる農場)、野々山理恵子氏(消費者、生活協同組合パルシステム東京顧問)3名であった。

 田井弁護士は、採取農家である菊池氏はどんな悪条件の年であっても、良好で安全な種子を採らなければならない苦労や手間隙を具体的にわかりやすく証言したと報告した。

田井弁護士「農家の人たち、あるいは消費者の人たちに良好で安全な種を与え続けられる。それがひいては、我が国の食料の安定供給である、食の安全に貢献しているという矜持を感じていたが、一方的に、審議過程も不十分なまま(種子法が廃止されたことに)、怒りを持って裁判に挑んだ、という話をしてもらいました」。

 田井氏はこの証言の中で「審議過程が不十分」であったことは、大きな争点の一つだと指摘した。

 田井弁護士は、一般農家・有機農家として証言した舘野氏は、有機農業にとっていかにタネが重要であるかを証言した、消費者代表として野々山さんは、良好で安全なタネと生産物の提供をうけることがいかに重要かを証言したと報告した。

田井弁護士による全体報告(その2)採種農家、有機農業、消費者、種子法のもとで農政に携わった元県職員、憲法学者、農政に詳しい専門家の証言が揃い、我々の主張のまとまりが全部出し切れたと報告!

 午後の証人は、山口正篤氏(元栃木県農業試験場)、鈴木宣弘東京大学教授(食料・農業・農村政策審議会委員)、土屋仁美准教授(憲法学・食品法ほか)であった。

 田井弁護士は、栃木県の農業試験場の職員であった山口氏が、奨励品種の選定、品種の育成、原種・原原種の生産、圃場審査など、種子法の体系にもとづいた県の業務を紹介したと報告した。

田井弁護士「種子法が廃止されることで、県がタネ生産に関与しなくなる、これも大事だけれども、やはり山口さんとして訴えたいのは、栃木県や各県がこれまで品種を育成してきたことが途絶えてしまう、ということに強い問題意識を持っておられました。

 農業試験場の職員の方が減っているとか、予算が減らされているということを証言いただいいた」。

 国は種子法が廃止されても、各都道府県が種子条例をつくって従来通りに活動しているから、種子法廃止の影響はないと主張している。しかし、都道府県の現場からは、国からの交付金が減って予算が取れなくなっているという実態が証言されたことになる。

 田井弁護士は、鈴木教授の証人尋問について「非常に痛快かつ明確に話していただいた」、種子法廃止の審議過程の問題を、農政審議会や農政の裏話まで、わかりやすくお話いただいた、と報告した。

田井弁護士「農政審議会ではなく、規制改革推進会議、竹中平蔵さん達がやっている内閣府管轄の会議体の下でつくらたのが種子法廃止が出た。その中で農政審、つまり農業に関わっている人たちの意見なんかまったく取り入れられることのないまま、廃止されたという問題。

 もし、農政審が関わっていたら、そんなことにはならなかっただろうというのは、以前農政審に入っておられた鈴木先生だからこそ言える発言だったかと思います」。

 鈴木教授の証言は、種子法廃止の審議過程の問題をずばりと指摘した。規制改革推進会議からのトップダウンで決定され、農政の現場や農家が排除された審議過程は、TPPに関連するさまざまな改革に共通する手法である。

 田井弁護士は、土屋准教授は「食糧への権利」について解説し、審議過程の問題についてどう対処すべきか、法の番人である司法がちゃんと審査すべきだと指摘した、と報告し、証人尋問で原告側と弁護団の主張全体を出すことができたと評価した。

田井弁護士「この6名の尋問で、私なりに、我々の主張の、一つの骨格、まとまりが全部出し切れたのかなと思っております」。

田井弁護士による全体報告(その3)国際法にもとづいて主張した「食料への権利」と種子法廃止にいたる審議過程の問題を司法として審査すべきだと主張

 一方で、今日の証人尋問が予定よりも1時間近く早く終了したことについて、田井弁護士は、被告である国側からの反対尋問が、証人の経歴確認が数件あったのみで、内容に踏み込んだ実質的な反対尋問がなかったためだと説明した。その理由について、田井弁護士は、安保法制やマイナンバーの訴訟と同じ手法だと指摘し、国はあえて内容に踏み込んで原告側の議論の土俵に乗ることを回避している、と説明した。

田井弁護士「私たちが『食料への権利』とか、様々なことを書いてることについて、あまりそこの議論に入ろうとしないと言うか、本当は入らせずに終わらせたいという姿勢があって、ああいう形(反対尋問が事実上ない形)になっているんだと思います

 本音を言えば、鈴木先生には反対尋問などできっこないよと、私は思っておりました。

 非常にけしからんとは思うのですが、その態度が今日見えたかなと思いました」。

 最後に、田井弁護士は今後のスケジュールについて、次回期日が10月7日午後2時に決まったこと、裁判官からは問題がなければそこで結審にしたいと告げられたこと、原告と弁護団側はそれまで(9月26日)までに「最終準備書面」を用意しなければならないことを報告した。

田井弁護士「裁判官は今日は、私の見立てでは本当に熱心に聞いてたとは思うんですけれども、だからといって、簡単にいい判決を書いてくれるとは思いません。裁判官は、本当に簡単に終わらせようとすれば、『食料への権利なんか認められない』、『皆さんの被害なんかない』と書いてしまえば簡単なんです。はっきり言って。

 しかし、そうさせてしまってはならない、というのが最後にやるべきことだと思います。今日は私たちの言い分を言い切りました。この内容をまとめたものを最終準備書面として出し切らないといけない、最後の期日も(傍聴席を)満杯にして、皆さんの熱を、いい判決を書いてほしいと、この審議過程の問題を中心に、やはりこれがおかしいということを、ちゃんと司法として審査してほしいという私たちの訴えを裁判所に届けることが大事かと思います」。

記事目次

■全編動画

  • 日時 2022年6月3日(金)17:30~
  • 場所 衆議院第一議員会館 国際会議室(東京都千代田区)
  • 告知 TPP交渉差止・違憲訴訟の会 サイト内告知

(…会員ページにつづく)

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