2022年3月11日(金)午前9時30分過ぎより、岸信夫防衛大臣の定例会見が、防衛省にて開催され、IWJが生中継した。
質疑応答で、IWJ記者は岸防衛大臣に以下のように質問した。
IWJ記者「米国のブリンケン国務長官は6日、ポーランドを通じてウクライナへのミグ29戦闘機の供与を検討していると明らかにしました。
しかし、ポーランド政府はこの米国のプランに反発し、ヤブロンスキ外務副大臣は『ポーランドだけがリスクを負い、他のNATO加盟国がリスクを共有したり埋め合わせたりしないのはあり得ない』と公言しました。
その上で、ポーランド政府は8日、同戦闘機をドイツにある米空軍のラムシュタイン空軍基地に直ちに無償で送るので、米国の管理下でウクライナに供与したらどうかと発表したが、米国は、ポーランドの提案を受け入れない意向を示しています。ロシアの報復リスクを考えると、米国は戦闘機をウクライナに送れないというのです。これはブリンケン長官が8日に明かしました。
米国は、自身では戦闘機を送るのはイヤなのでポーランドにやらせようとしていたことが明らかになってしまっています。NATOの集団的自衛権は幻想だったのではないかという疑心暗鬼が広がっています。
EUのボレル外交安全保障上級代表(外相)が4日、米欧は今や仲裁役としては無力だと認め、『仲裁役は中国であるべきだ』という見解を表明し、実際に中国の王毅外相に連続して仲裁役の提案を行っています。実現したら、米国から中国に覇権が移動するのではないかとすら思わせられます。
米国のこうした態度や同盟国からの信頼が低下する模様を目の当たりにすると、日本が、中国やロシアと対立を深めた時、米国が本当に『同盟国』である日本のために体を張って守ってくれるかどうか、疑わしく思えてきます。
岸大臣は、米国は日本のためにロシアや中国と戦うとお思いでしょうか。解釈改憲までして集団的自衛権行使容認に踏み切った日本ですが、日本は日米同盟を『神聖化』しすぎではないでしょうか。
また仮に、日本がポーランドのような立場に立たされ、米国から戦争リスクとなる要求を押し付けられたような時、日本は『国益を最優先』して、ポーランドのように米国の要求をはっきり拒否できるでしょうか。
大臣のお考えをご教示ください」
岸防衛大臣「ヨーロッパやNATO諸国は、ウクライナに対する連帯あるいは支援を示すために、様々な工夫、努力を行っていると承知をしております。
我が国は、まず、そういった努力を評価したいと思いますが、我が国としてできることをやってまいりたいと考えております」
岸大臣は冒頭発言では、北朝鮮が発射した弾道ミサイルの分析、ウクライナへの防弾チョッキ・鉄帽引き渡しの完了、ロシア海軍艦艇の津軽海峡通過、F15戦闘機墜落事故後の対策と訓練飛行再開について報告した。
他社からは、北朝鮮のミサイル、防衛装備品供与、北方領土でのロシアのミサイル訓練、自衛隊の災害派遣の考え方などについて質問があった。
会見内容について詳しくは、全編動画を御覧いただきたい。