東京五輪の最上位スポンサーであるトヨタが国内での五輪CMを中止すると発表した。同時に開会式などの公式行事に社長ら同社関係者が出席しないことが報じられた。
トヨタは、2017年から10年間の五輪のスポンサー料として2000億円超を支払って手に入れた、五輪マークを使用するCM放映の特権を、国内では放棄したのである。
同じく大口スポンサーのブリヂストン、富士通はもともとテレビCMを予定しておらず、パナソニック、アサヒビール、NEC、NTT、富士通、明治、野村ホールディングスなどが続々と開会式への社長欠席を表明。スポンサー企業の約3分の2が欠席となった。
東京五輪をめぐっては、森喜朗前組織委会長の女性差別発言や、開会式をめぐる佐々木宏氏の女性タレントの容姿差別企画、小山田圭吾氏の障害者への差別・虐待、小林賢太郎氏のユダヤ人への差別・大量虐殺(ホロコースト)のお笑い化など、差別をめぐる倫理なき不祥事が続出した。五輪組織委員会への信頼性、社会的評価は地に堕ち、スポンサー企業は巻き添えによるイメージダウンを嫌ったと思われる。
しかしこうした差別問題だけではなく、コロナ禍の「第5波」のタイミングで、国民の命や健康をあと回しにして、五輪を強行する、その判断自体が、企業イメージ上「きわめてまずい」と各企業が認識し始めたとも思われる。
▲豊田章男トヨタ自動車株式会社代表取締役執行役員社長兼CEO。(画像:Wikipedia、Moto@Club4AG)
最上位スポンサーのトヨタが国内で五輪CM中止、開会式に社長欠席!
東京五輪で最上位スポンサーである「ワールドワイドオリンピックパートナー」であるトヨタについて、2021年7月19日に広報担当の長田准執行役員が、国内で五輪関連のCMを放映しないことや、開会式などの公式行事に社長ら同社関係者が出席しないことを明らかにした。
7月19日付け朝日新聞は「新型コロナウイルスの感染拡大が終息せず、大会がほぼ無観客開催となった状況を考慮したという。トヨタの長田准・執行役員が報道陣の取材にこたえた」と報じた。
トヨタのホームページによると、「トヨタがサポートするアスリートは世界中に233人いる。そのうち、オリンピックには123人が、パラリンピックには57人が出場することになった。(7月14日時点。いまだパラリンピック代表候補14人が選考中)」とのことで、豊田章男社長の応援メッセージ動画も公開されているが、サイトのトップページでも五輪は目立った扱いをされていない。
聖火リレーでは、トヨタはコカ・コーラ、日本生命、NTTなどとコンボイを組んで聖火ランナーを先導し、批判を集めたが、今度は率先して五輪悪評リスクの巻き添え回避に切り換えたようだ。これも企業のブランドイメージを守るためのリスクマネジメントということなのだろう。
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