2021年2月25日(木)18時半より、千代田区の都道府県会館にて、丸山達也島根県知事により、「新型コロナウイルス感染症に関する島根県知事の国等への要請活動に係る記者会見」が行われた。
この日、丸山知事は、「第三波の経験と検証を踏まえた新型コロナウイルス感染症対策の改善・強化について」と「緊急事態宣言の影響を受ける飲食店への支援について」の二通の要請書を国と島根選出国会議員に手渡している。
前者の「感染症対策の改善・強化について」を山本博司厚生労働副大臣に、後者の「飲食店への支援について」を経済産業省中小企業庁官房総務課の定光裕樹課長にそれぞれ手渡した。
さらに、要請書二通ともを、内閣府と、細田博之衆議院議員、竹下亘衆議院議員、青木一彦参議院議員、三浦靖参議院議員、舞立昇治参議院議員に手渡したという。会見ではその報告と、要請書の内容、今回の要請に至る経緯が語られた。
この要請書では、東京オリンピック・パラリンピックが「感染リスクが高まる大規模イベント」であることが指摘され、「感染症対策の改善・強化がなされないままでは、今夏、東京2020オリンピック・パラリンピックを開催すべきではなく、また、そのプレイベントである県内での聖火リレーについても、中止と判断せざるを得ない」と記されている。
要請書「飲食店への支援について」には、「飲食店等への公平な支援措置がなされないままの東京2020オリンピック・パラリンピックの開催には反対であります」と表明されている。その内容は以下の2項目である。
1 緊急事態宣言等地域と同様に厳しい経営環境にある飲食店に対して、飲食店向けの給付金制度(例えば緊急事態宣言発令期間1日あたり3万円相当)を創設すること。
2 緊急事態宣言地域の飲食店との取引に限定して実施する予定の「緊急事態宣言の影響緩和に係る一時支援金」を、緊急事態宣言地域以外の飲食店との取引も対象とした制度に拡充すること。
質疑応答では、国や議員の反応、ことに丸山知事の「聖火リレー中止検討案」に対し、「発言は不用意だ」「注意しようと思っている」と述べていた竹下亘議員との応接について、記者から質問があった。
IWJ記者は、以下4点について質問した。
IWJ記者「面会した島根選出の議員からこの要請の聖火リレー中止の部分に関して賛意はありましたか」
丸山知事「各議員とは故意に聖火リレーの話題を避けて話しませんでした。支援措置については賛意を得ました」
IWJ記者「竹下議員の『注意する』は上からの目線に感じられますが、自民党の国会議員と無所属の県知事は立場の上下があるのですか?どのような関係にあるのでしょうか?」
丸山知事「(竹下)議員と私の島根を思う気持ちに、上も下もないと考える。また仮にあちらが上だとしても、気にしない。『注意』とはたしなめることでなく、気づいていなかったことへの示唆も意味します。私は、オリンピック、聖火リレーと島根の窮状を結び付けて考え、竹下議員はそうしない、結びつけない考えも世にあるとしました」
IWJ記者「現状ではオリンピック開催を歓迎できない、ということは出てきて当然の、注目、共感を得る意見だと思われますが、地元や県会などでの賛同はどうでしょうか」
丸山知事「広く統計をとったわけではないので、賛同の多い少ないはわからない。逆に、聖火リレー中止という意見が、五輪と聖火リレーを心待ちにする多くの人に嫌われることは道理だし、覚悟しています」
IWJ記者「昨日丸川珠代五輪相は、オリンピック開催に関し、来日するアスリートや関係者にワクチン接種を義務づけないとし、本日昼、橋本聖子五輪組織委会長は、聖火リレーについて、観客数を抑制したり、ライブ中継の鑑賞を推奨するなどの方針を発表しましたが、これらの対応についてはどうお考えですか?」
丸山知事「オリンピックの中でのどのように行うか、感染対応についてどう想定しているかという問題で、東京都が考えるものであり、私には今それをどうこう言うことはできません」
東京五輪については、開催そのものの意味を問う声もある。丸山知事が感染症対策の改善と強化を求めたことには大きな意味がある。これに政府は、組織委員会はどう応えていくのか。
丸山知事の会見の詳細は、ぜひ会見の全編動画を御覧ください。