世界で最もワクチン接種進むイスラエルがワクチン有効性著しく低下と警鐘! 楽観論で規制撤廃の英国! デルタ株にワクチン有効か!? 英巨大空母で2回接種済の乗組員約100人感染! 9月に10隻が日本各地寄港のリスク!! 日本は8月デルタ株9割予測! 2021.7.21

記事公開日:2021.7.21 テキスト
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(文・六反田千恵、文責・岩上安身)

 イスラエルは世界で最もワクチン接種が進んでいる国のひとつだが、そのイスラエル保健省は、新型コロナのワクチンの有効性が、感染予防効果等に関して著しく下がっていると、2021年7月5日に報告した。

 一方、英国政府は、デルタ株の感染拡大を受けて、6月21日に予定していた国民の行動制限の解除を1ヶ月延期した。しかし7月も感染者が急増中にもかかわらず、死者数の増加率が低いこと等から、ワクチンの効果を期待して、7月19日に行動制限の全面的解除に踏み切った。国民の多くがマスクを外し、自由に行動し始めている。7月5日に制限解除予定を発表した際、ジョンソン英首相は「ウイルスとの共存」と語っている。

 しかし現在、英国では変異種のデルタ株が9割を占める状態であり、英国の措置は楽観的すぎると判断する国々も出ている。

 ドイツは6月下旬、他の国に認めたワクチン接種済み旅行者の隔離免除を英国からの旅行者に対しては認めず、香港、ポルトガルも同様に英国の旅行者を制限した。

 ドイツはさらに英国の旅行者の入国禁止まで求める意向を示したが、7月7日には一転して、ワクチン接種完了者の隔離を免除するなど、その対応は大きく揺れ動いている。

 また、100人余りの科学者が医学専門誌『ランセット』誌への寄稿で、英国の行動規制全面解除を「危険で時期尚早」、高水準の感染者数容認は「反倫理的かつ非合理的」と批判したことも報じられている。

 一方、英国海軍の誇る世界最大級の空母クイーン・エリザベスの乗組員の中から約100人の患者が発生した、というニュースを、BBCが7月6日に報じた。この巨大空母は、「中国包囲網」のために、米軍・自衛隊と共同訓練を行うために、東アジア、とりわけ日本を目指して航行中だった。

 問題は、この空母の全乗組員がワクチンを2回接種済みだったという事実である。

 英国から極東へ向けて出航したこの空母打撃群の感染者の多くが、デルタ株に感染していた可能性は否定できない。だとすれば、デルタ株は、ワクチン接種を済ませた者にも感染してしまうことになる。

 そして、空母クイーン・エリザベスを中心とする10隻の「空母打撃群」と、その乗員3700人は、2021年9月に横須賀をはじめ日本各地に分散寄港する予定だ。7月21日時点では、空母打撃群全体の寄港の具体的な期日と場所が明らかにされず、乗員の下船等に関する扱いも不明である。彼らが自衛隊と共同訓練を行ない、日本各地で下船する場合の感染リスクを、真剣に考える必要がある。

 本文で詳しく述べるが、日本も五輪開催を前に、デルタ株への置き換わりが進み始め、五輪が終了する頃にはデルタ株が主流になると予測されている。五輪の「バブル」施設内で外界と隔離されている選手・関係者らが、仮にワクチンの2回接種完了者ばかりだったとしても、デルタ株の感染者が紛れ込めば、感染は拡大してしまう可能性がある。

 こうした点から、デルタ株(今後新たに登場するであろう新しい変異株も含め)の感染状況と、ワクチンの有効性に関する情報に、楽観せず、注意を払う必要がある。

記事目次

  • ワクチン接種先進国・イスラエルで、ワクチンの感染予防効果等が著しく低下の報告!! デルタ株の拡大が要因か!?
  • 英国は、ワクチン接種の進捗に伴い下がった感染者数が、5月下旬から再び急増! デルタ株急増の時期と重なる! ただし死者数の増加は緩やか!
  • 英国は制限解除を1ヶ月延期後に、感染増加にもかかわらず、ワクチン効果を期待して全制限解除!! ジョンソン英首相は「ウイルスとの共存」発言!
  • 「英国は楽観的すぎる」と、ドイツは英国からの旅行者を6月下旬に制限! その後、入国禁止まで求めるも、一転して7月7日にワクチン接種完了者の隔離免除! 揺れ動くドイツの対応!
  • 日本では、東京五輪開会式の7月23日時点で、デルタ株が全体の約7割、終了後の8月中旬には、ほとんどデルタ株におきかわるとの予測も!
  • 英海軍の空母でワクチン2回接種済の乗組員約100人感染! デルタ株にワクチン無効!? 計10隻が9月に日本各地に寄港、3700人下船の感染リスクは!?

▲イスラエルの中心都市、テルアビブ(画像:Wikipedia、Shmuliko)

ワクチン接種先進国・イスラエルで、ワクチンの感染予防効果等が著しく低下の報告!! デルタ株の拡大が要因か!?

 イスラエルは、世界で最もワクチン接種が進んでいることで知られている。7月17日時点で人口10万人あたり6万3800人が2回接種済みである。

 「Our World in Data」によれば、新型コロナウイルスのワクチン接種では、5月22日に「少なくとも1回はワクチンを接種した人」の割合が60%を超え、世界のトップを走っていた。

 イスラエル保健省の公衆衛生サービスによる疫学的分析によると、新型コロナウイルスに対するワクチンの有効性が、2021年6月6日以降、ワクチンの感染予防効果(64%)および症候性疾患予防効果(64%)に関して著しく低下していると発表した。

 イスラエル保健省は、この低下はデルタ株の拡大と同時に観察されていると指摘している。ただし、重症化や入院を防ぐ有効率は約93%と、高い水準を維持しているということだ。

 イスラエルでは、その後はワクチン接種のペースが落ちたとはいうものの、1回でも接種した人は7月17日現在66.34%(「完全に接種した人」の割合は60.38%)と、ワクチン接種をした国民は過半数を超えている。

 主要国の間では、イスラエル並みに高いのは、アラブ首長国連邦77.60%(「完全に接種した人」の割合は68.10%)、カナダが70.14%(49.17%)、チリが70.66%(61.28%)、英国が68.10%(52.64%)、ウルグアイが70.93%(58.97%)とイスラエルを追い越している。

 ちなみに我が日本は32.38%(20.37%)である。発展途上国並みの数字だ。

 ちなみに、日本はPCR検査数が相変わらず低い。

 医療ガバナンス研究所理事長の上昌広医師は、「日本の検査体制はインドにも及ばない。6月23日現在、人口1000人当たりの日本のPCR検査数は0.44件で、インドの同1.31件を大きく下回る」と批判した。

 ワクチン接種率も低く、PCR検査数も「異常」」なまでに低いまま、世界中から人を集めて東京五輪開催を強行するというのだから無謀極まる。

 「worldometer」によれば、イスラエルでは、新規感染者数が3月7日時点では3681人(7日間移動平均)だったが、1回でも接種した人が国民の6割に近づくにつれて急減し(60%到達は3月22日)、3月12日に2819人、3月19日に1487人、3月26日は682人と、1週間毎に半減するペースだった。

 さらに4月29日には86人(7日間移動平均)と100人を切り、5月30日には19人と、20人を切り、6月18日まで20人以下を維持していた。

 しかし、6月19日に24人と、20人を超えてから増加傾向に転じ、26日142人、7月2日には247人、7月6日343人、7月13日519人、7月17日には737人に増加している。

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