2021年4月12日(月)、午後5時頃より、東京都千代田区の東京電力臨時会見場にて、東京電力の定例会見が行われた。
冒頭、東電側から、4月12日現在の福島第一原子力発電所の状況についての報告があった。
まず、日報にもとづく説明が行われ、従来からの変更点として、「サブドレイン他水処理施設の状況」について、一時貯水タンクF、H、Jのすべてで運用目標値が満足されたとして、Fは4月11日午後4時10分に排水(810㎥)終了、HとJについては、それぞれ4月12日午前10時26分と4月13日に排水開始予定であるとした。
次に、福島第一原子力発電所1号機原子炉格納容器内の水位について、4月12日午前11時現在で、変動等は確認されていない旨の報告があった。
続いて、2号機の原子炉建屋オペレーションフロアの調査についての報告が行われた。廃炉作業の知見拡充と自己分析を目的に、規制庁と共同で、東電ロボットチームによる原子炉ウェル内汚染の定量化のための調査を、4月13日から15日にかけて実施する予定であるとのこと。調査結果と評価については、とりまとめが終わり次第、報告するとのことである。
また、建屋への地下水ドレイン総量、地下水流入量等の推移、廃炉等積立金制度にもとづく「廃炉等積立金の取戻しに関する計画」の承認等に関して定例の報告が行われた。
その後、東電側と各社記者との質疑応答となった。
この日、東京電力の会見に先立ち、午後2時から、東京都千代田区の参議院議員会館にて、国際環境NGO FoE Japan、原子力資料情報室、そして、No Nukes Asia Forum Japanの主催で、政府が、福島第一原発の敷地にためられているALPS処理汚染水(トリチウム水)を海洋放出しようとしていることに反対する「国際署名」の提出と記者会見が開催され、その後、官邸前では反対アクションも行われた。
この記者会見では、海洋放出をするにあたって、政府が、技術者や研究者が参加する「原子力市民委員」による「モルタル固化処分」などの代替案の提案について検討すらしておらず、決定における民主的な手続きも無視され、海洋放出される水に何が含まれているのかについての説明すらもなされていないことが大きな問題として取り上げられた。
この日の東京電力の定例会見は、約2時間40分の長い会見となったが、この「海洋放出」という重大問題については、一度も触れられることはなかった。
東京電力の記者会見、および質疑応答の一部始終については、全編動画を御覧いただきたい。