2021年1月20日、東京港区の原子力規制委員会で、更田豊志(ふけたとよし)委員長による定例の記者会見が行われた。
今年2021年は政府のエネルギー基本計画について、3年毎の改定の時期となる。
昨年末には、経済産業省の有識者会議、総合資源エネルギー調査会基本政策分科会で、原子力発電所の新設や建て替えが議論された、との報道があった。
- 経産省有識者会議、原発支持続々 段階的廃止求める世論と溝 エネルギー基本計画改定論議(東京新聞、2021年1月20日)
IWJ記者が見解を問うと、更田委員長は、「新規制基準の議論の入り口のところで、とりあえず新設の議論は置いておきましょう、既設炉を対象に考えましょう」となったとの経緯を述べた。また、米英のように「長年に渡って新設がなくて、ある時新設の議論が始まったときには、規制当局はそれに備える準備をしている」と話した。
また、更田委員長は「既設と新設の炉型が著しく異なる場合は、予め備えておかなければ、申請に対応できない」、「既設に求める要求のしかたと新設に求める要求が異なる場合などがあり、簡単ではない」と述べ、「まだ議論されているだけでもあり、今新設についてはまったく視野にないし、準備をしなければならないとは考えていない」との見解を示した。
更田委員長が述べたとおりであるならば、新設の議論は始まっていることになり、規制当局もその対応について準備を始めることは時間の問題だろう。
菅総理が、エネルギー政策について原発の必要性を打ち出している以上、今後の議論の行方を注視する必要がある。