2020年10月4日、小金井市市民会館「萌え木ホール」にて、「女性と労働 ~コロナ災害のもとで働く現場はどうなっているの?~ 第2回 官製ワーキングプア研究会の調査と休業補償問題などの報告」が行われた。
この報告会は、コロナ災害下で、特に非正規労働者の女性たちが、休業に追い込まれるなどの声が寄せられるようになった、と地方自治体の議員が中心となって、「女性の労働問題を考える小金井の会」が企画した。
講師はNPO法人官製ワーキングプア研究会理事長の白石孝氏。「反貧困ネットワーク」の世話人もつとめる白石氏によると、新型コロナ感染拡大にともなって職や住まいを失ったり、大学に通えなくなったという相談が急増した。その状況を踏まえて、同団体は貧困問題に取り組む団体に横のネットワークを立ち上げようと呼びかけ、35団体から構成する「新型コロナ緊急アクション」を3月下旬に立ち上げた。9千万円の寄付金が寄せられ、生活困窮者への緊急宿泊費や生活給付など、経済支援にあてられているという。
そうした活動を続ける中、「菅政権の掲げる『自助・共助・公助』において、当事者に『自助』を迫り、我々が『共助』の視点でひたすら支え、結局『公助』がスルーされていくというのは、根本的な問題の解決とならない」という問題点が明らかになった。
この、日本社会の構造ともいえる格差と貧困の地続きにある問題が、コロナ禍で浮き彫りになった。それは、社会的公的サービスを支える労働者、いわゆるエッセンシャルワーカーの、非正規雇用の多さとその待遇の低さだ。
エッセンシャルワーカーとは、医療・教育・介護・保育など直接的に他者をケアする仕事をする人々のことであり、自治体に直接雇用されている公務員だけでなく、公共サービスで働く、株式会社、社会福祉法人、NPO法人、財団法人、社団法人などで非正規雇用で働く人々も含まれる。
そこで、官製ワーキングプア研究会では、実態を把握するべく、「新型コロナウイルスによる公共サービスを担う労働者への影響調査」を2020年5月に実施した。回答者235人のうち、女性が約80%、女性・非正規が62%となった。回答からは公務公共サービスのエッセンシャルワーカーは女性・非正規が多いことが改めて確認された。
住民のいのちと暮らしを支える、公共機関の各種相談員の非正規化が進んでいることも報告された。コロナ禍で、同じ職務内容だったとしても正規職員との給与の割合が3:1である例が挙げられ、短時間労働であっても正規公務員である北欧やドイツなどが引き合いに出された。
これまで自民党政権と財界が結託して壊されてきた「公共サービス」をいかに取り戻していくか。「非正規の大半が女性労働者であり、なおかつ住民に必要不可欠な各種相談員であり、現場の第一線のサービスを守っている。構造的な問題であり、ジェンダーの視点からみると日本社会の場合は、構造的差別そのものである」と白石氏は語り、「これを機会に真剣に政府や自治体に訴えていかないと、新たな犠牲者、生活困窮者が生まれてくる」と最後に閉めくくった。
詳しくは、動画をご覧いただきたい。