野党か与党か曖昧で「ゆ党」と呼ばれる政権補完勢力「日本維新の会」とよく似た新党が誕生した。9月15日に設立大会を開いた「新国民民主党」のことだ。
野党よりも自民党に近い発言を口にしたのは、「原発ゼロ」の綱領に反発して、国民民主党から合流新党(新立憲民主党)に加わらなかった原発容認議員の浜野喜史(よしふみ)参院議員である。
関西電力出身で「全国電力関連産業労働組合総連合(電力総連)」の会長代理も務めた浜野議員は、設立大会のトークセッションで、同党のエネルギー政策について次のような説明をしたのだ。
司会の伊藤孝恵参院議員の「『現実的なエネルギー政策って一体何なの』という質問が来ています」との問いかけに、浜野氏はこう答えた。
「私は日本のエネルギーの実情をしっかりと踏まえたエネルギー政策が、現実的なエネルギー政策と考えています。一つ言えば、やはり資源小国、エネルギーの自給率は1割というところであります。石油とか石炭とか天然ガスがまさに数珠つなぎのような状態でタンカーで日本に運ばれて我が国は成り立っている。このことをしっかり押さえておかなければならない。これが私の立場でございます。
とすれば、できるだけ多様な選択肢を我々は保持しておかなければならない。『何何はゼロ(ここで語気を強める)』ではダメなのです。以上です」
周りの参加議員から笑いが起きる中、司会の伊藤氏も「ド直球で正直なお答えでありがとうございます」と褒め称えた。原発容認議員の本音丸出し発言が温かく受け入れられる異様な雰囲気に驚きながら、「『原子力ムラ』の住人とその仲間たち」という新国民民主党の異名さえ脳裏に浮んできた。エネルギー政策では、「原発ゼロ」を綱領に掲げる新立憲民主党よりも、原発再稼働を認める自民党や維新に近いのは間違いない。