【特別寄稿】合流新党のマイナスイメージのために事実歪曲発信を連発!? 前原誠司氏の民進解体・希望合流に二重写しの玉木新党は「共産党を含む野党共闘」に足並みを揃えるのか!? 維新に軸足を移すのか!? 2020.9.14

記事公開日:2020.9.14 テキスト
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(取材・文:フリージャーナリスト横田一)

 合流新党に参加せずに新党結成を表明した玉木雄一郎・国民民主党代表への批判が相次いでいる。維新のような「政権補完勢力」と疑われても仕方がない問題発言を連発、「大きな塊」を作って政権交代を目指す気運に水を差す役割をしているのだ。

▲国民民主党・玉木雄一郎代表(横田一氏提供)

「事実歪曲記事」!? 枝野代表との会談後にインタビューに答え、玉木氏が「サシの党首会談を提唱した」と断言、枝野氏が応じなかったかのごとく報道!

 合流新党に対するネガテイブキャンペーンで玉木氏が足並みをそろえているのが、安倍政権(首相)を評価する記事をよく書くジャーナリストのA氏。A氏が聞き手のインタビュー記事(8月28日配信の「夕刊フジ」)で玉木氏は、枝野幸男代表が消費税減税に関する政策論議を拒否しているかのように印象づける発言をした。これは事実と異なるものだ。

 以下はその記事からの引用である。

玉木氏「(消費税減税について)コロナ禍で経済、家計が痛んでいる今こそ、追加給付と消費税減税は不可欠だ。政党にとって大事なのは、国民に大義を示すこと。だから、立憲民主党の枝野幸男代表にサシの党首会談を提唱した」

--枝野氏は応じない

玉木氏「我々が目指すのは『国民目線の政治』で、これまでも一律10万円の特別定額給付や家賃補助など、実効的な政策を提案してきた」

 この記事を読めば、誰もが、枝野代表が党首会談を拒否したと受け取るが、事実は違う。両代表の会談は8月17日に実現しており、8月18日のTBSニュースは「枝野・玉木両代表が会談」と銘打って、次のように報じていた。

 「会談は17日、都内で行われ、立憲民主党の枝野代表、国民民主党の玉木代表に加えて連合の相原事務局長が同席しました。両党の合流に向け、今後の対応などを協議したものとみられます」

夕刊フジの記事は、事実と異なる玉木氏の発言も、事実確認も確証もなしに載せたものだといわれても仕方がないのではないか。

玉木氏は党首会談翌々日の会見でも「公的なものではない」と「党首会談」を否定! 「減税論議を拒否する枝野代表」のイメージ作りか!?

玉木氏が同じ主旨の事実歪曲発言をしたのは、この時が初めてではない。党首会談が報じられた翌8月19日の両院議員総会後の会見でも、読売新聞記者の政策議論不足を指摘する質問に対して玉木氏は「党首会談もできず(消費税減税について)一致点が見出せなかったことは非常に悔やまれる」と述べていたのだ。

 「事実とは違うことをまた発言している」と思いながら私は、前日の報道内容をぶつけてみた。

 「先日、『連合事務局の方の立会いのもと、枝野代表と面談をした』という報道があるが、その時にその話(消費税に関する政策論議)は出なかったのか? 『合流後、消費減税を議論を通して実現する』という道もあったと思うが、それを選ばなかった理由についてうかがいたい」

 しかし玉木氏は、党首会談が行われたのか否かの事実関係すら答えなかった。

 「連合の方が同席した3者会談ですが、これは行われたかどうかについてもコメントは差し控えたいと思います」。

 既に報じられたことでもあったので、「(枝野代表と)会ったことは、党首会談ではないのか?」と私は、重ねて質問をしたが、それでも玉木氏は「そこはどういうふうな形で連合さんもご説明されているのか知りませんが、少なくとも公的なものではないので、こういった政策的な協議をギリギリやったという事実はありません」と答えるにとどまった。非公式でも枝野代表と面談すれば、「党首会談」に該当すると私は思っていたが、玉木氏は非公式で協議不十分なので「党首会談に応じなかった」と解釈しているらしい。

 そんな「解釈」は詭弁としか思えなかったので、1週間後の8月26日の玉木代表会見でも再度、私はこう問い質した。

 「消費減税の党首会談がなされなかったことを(合流拒否の)理由にあげているが、非公式では党首会談をしている。その場で『合流後に消費減税の話をしよう』という約束を取り付ければ、それが(合流拒否の)理由にはならないと思うが、一体、非公式な党首会談で消費減税についてどんな話をされたのか?」

 この再質問に対して玉木氏は、「(非公式な党首会談で)消費減税については合意を得ることができませんでした」と答えるだけで、党首会談の内容について具体的に語ることを拒んだが、今度は、党首会談が行われていたこと自体を否定することはなかった。

 それなのに会見3日後の8月29日配信の夕刊フジには、前述の通り党首会談自体が開かれなかったという事実歪曲記事が掲載されたのだ。読者に事実と異なる印象を与える記事によって、「減税論議を拒否する枝野代表」というマイナスイメージを与えようとする狙いが透けて見えるではないか。玉木氏は「敵対する合流新党のイメージを悪くするためなら事実歪曲発言もOK」と考えているのだろうか?

恫喝交渉!? 「国民民主党の財産の多くを受け継ぐ」とのニュースの事実確認に玉木氏は「内ゲバするなら全額国庫に返納したほうがまし」と暴言!

 「事実歪曲発信に抵抗感が少ないのではないか」と疑いたくなるのは、玉木氏だけでなく、A氏も同じだ。8月12日公開のヤフーニュース「いよいよ国民民主党分党を決断! 玉木雄一郎の最も暑い日」にはこんな指摘があった。

 「玉木代表が主張する分党方式は、『希望の党方式』だ。これによると、国民民主党は立憲民主党との合流組と非合流組に分かれるが、非合流組が事実上の国民民主党の後継政党となる余地が出てくる。すなわち国民民主党の財産の多くを受け継ぐことになる」

 常識的に考えて、少数派の玉木新党が党資金の多くを受け継ぐのはあり得ないと思い、19日の両院議員総会後の会見で、「『合流しない残留新党のほうが大半を引き継ぐ』という報道もあるが、こういうことが実際にあり得るのかどうか。普通に考えれば『合流組のほうが大半、ほぼ人数割りに資金を引き継ぐ』という理解だと思うが」と玉木氏に聞いてみた。

 すると、A氏が書いた記事中に出てくる「党資金の大半継承」の可能性を、玉木氏は明確に否定しなかった。

 「そこは全くまだ未定で、ここ(提案事項文書)に書いてある『円満かつ友好的に諸手続を進めていく』ということに尽きていると思う。どれだけの人数が合流の方に行くのか、そうではないのかというところが確定されることが先だと思っている」(玉木氏)。

▲国民民主党・玉木雄一郎代表(横田一氏提供)

 曖昧な回答だったので、「『少数派でも大半の党資金を引き継ぐ』ということは常識的に考えるとないと思うが、それは『ない』と理解してよろしいか」と再質問すると、玉木氏から「国庫返納」の可能性を示唆する問題発言が飛び出したのだ。

 「そこは常識的な範囲で決まっていくことだと思っているので、まさにもう何かお金をめぐって内ゲバするようなことがあれば、そんなのはもう国民から見放される。そんなことをするのだったら全額国庫に返したほうがいい。やはり共に歩んできた仲間なので、分かれても円満かつ友好的にやることが大事で、お金のことで何か揉めるようなことをやっていたらそれこそ見放される。国庫に返納したほうがましだ、そんなのだったら」

 野党党首失格と見なされかねない暴言ではないか。今秋の解散・総選挙が取り沙汰される中で、貴重な選挙資金となる党資金を国庫返納してしまえば、喜ぶのは与党の自公政権側であるのは明らかであるからだ。

 安倍政権を評価する記事が多い夕刊フジが、8月20日、「国民・玉木代表がド正論! 『内ゲバするなら全額国庫返納』 50億円総取り狙う合流にチクリ」と銘打って玉木氏に拍手喝采を送ったのは、政権を利する反党行為であることを示すものである。「国庫返納」と口にすること自体、「野党党首として軽率」と批判されても仕方がないのだろう。

 しかもこの記事は、玉木氏の回答部分だけを切り取って質疑応答の流れを歪曲してもいた。「合流組は新党への『持参金』が減ると、合流後の影響力が低下するとして、『金を分け合う分党はダメだ』と総取りする構えだ」「これに対し、玉木氏は19日の記者会見で、不参加組の議員数に応じた資金配分を求める考えを示唆」と報じていたが、事実関係は全く正反対である。

 私の質問は、「合流組と不参加組の議員数に応じた資金配分ならば、不参加組が総取りに近い『党資金の大半継承(受継)』はあり得ないと理解していいのか」と確認するものだったのに対し玉木氏は、合流新党が大半を受け継ぐことになる人数割をこの時は明言しなかった。

 玉木氏は「議員数に応じた資金配分」を求める考えを示唆したのではなく、国庫返納をちらつかせる恫喝的交渉によって、少数派の玉木新党が党資金総取りに近い「大半継承」を狙う意思表示をしたように聞こえた。

 8月26日の玉木代表会見で私が再び同じ質問をすると、ようやく玉木新党が党資金の大半を継承することはないことを認めた。夕刊フジに寄稿したA氏の指摘「国民民主党の財産の多くを受け継ぐことになる」が、現実に起こらないことが確定した瞬間だった。

玉木氏の新党に残る前原誠司元民進党代表は維新との連携を示唆!? 民進解体・希望合流で「安倍政権倒す倒す詐欺」の前原氏と二重写しになる玉木氏は維新との連携に軸足を移すのか!?

 玉木氏の曖昧な発言は他にもある。自公との連立政権も取り沙汰される維新との将来的連携(選挙協力)を否定していないことだ。

 8月19日の代表会見で、「維新との連携について、先週(8月12日)の囲み取材で『今は選挙協力はない』とおっしゃったが、将来的にはあり得るのか? この(提案事項)文書を見ると、『政権交代に向けた“大きな塊”を目指し』という言葉があるので、『政権補完勢力の維新とは将来的にも組まない』と理解していいのか?」「玉木新党に残る前原さんは維新との連携を口にしているので、玉木新党が将来的に維新と組む可能性はあるのではないか?」と聞くと、玉木氏は次のように答えた。

 「今まだ政党ができるかどうかもわからない段階で、他党との連携についてはコメントは差し控えたいと思う。ただ今回新しく立憲民主党と合流する新党ができるが、そこには私たちの多くの仲間が加わると思うので、選挙協力を初め可能な限りの連携はしていきたいと思っている」「前原先生がどうされるかについてはまだ直接話していないので、今日の時点ではコメントは差し控えたいと思う」。

 すでに前原誠司・元民進党代表は15日の後援者との会合で「合流新党には行かず、国民民主党に残る」と玉木新党への参加を表明、報道されてもいた。

▲前原誠司・元民進党代表(横田一氏提供)

 しかも前原氏は維新と地方分権に関する勉強会を開催、吉村洋文・大阪府知事を講師に呼んでもいた。2017年総選挙でも民進党代表だった前原氏は、「政権交代のために大きな塊を作ろう」「排除されることはない」と説明して民進党解体と希望合流を進めたが、その直後に希望代表だった小池百合子知事が「排除します」と明言、憲法改正と安保法制容認を「踏み絵」にして全員公認を拒否したが、この時、すでに希望は維新との選挙協力を決めていた。

要するに小池氏と前原氏はリベラル派排除(公認拒否)で「共謀」、「共産党を含む野党共闘」から「維新との連携(選挙協力)」へと路線変更を進めたのだ(『安倍・小池政治の虚飾』『仮面 虚飾の女帝・小池百合子』で紹介)。

 「安倍政権倒す倒す詐欺」と呼んだのはこのためだが、維新との将来的な連携を否定しない玉木氏と当時の前原氏が二重写しになる。玉木新党が合流新党と足並みを揃えて「共産党を含む野党共闘(選挙協力)」を続けるのか、それとも維新に軸足を移していくのかが注目される。

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