強引すぎる東京地検特捜部! ゴーン容疑者の最初の逮捕容疑は受け取ってもいない報酬の過少申告!「ゴーン氏対日本の刑事司法の問題が本格的なステージに入った」! 岩上安身による第975回 ゲスト郷原信郎弁護士 1/5 2020.1.9

記事公開日:2020.1.30取材地: テキスト動画
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(文・奥松由利子)

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 「これまで日本の狭い土俵に閉じ込められていた問題が、国際社会という舞台に大きく広がった。最終的には日本の刑事司法を問うものになるのではないか」

 保釈中に国外脱出したカルロス・ゴーン氏のベイルートでの記者会見を受けて、2020月1月9日、岩上安身は東京都港区の郷原総合コンプライアンス法律事務所にて、郷原信郎弁護士へ緊急インタビューを行った。

▲郷原信郎弁護士(2020年1月9日、IWJ撮影)

 郷原氏は、この事件は最初の逮捕から不自然で、検察や日産からのリークによって世論が誘導されてきたとし、「日産のクーデターに、検察が乗った」との見方を示した。

 その上で、ゴーン氏が自由に発言できる状況になったことで、日本の人質司法の問題が改めて世界に注目されるだろうと語った。

 2018年11月、当時の日産会長のゴーン氏が逮捕されると、日本の国内メディアは一斉にバッシングを開始した。逮捕容疑の詳細より、ゴーン氏の巨額の資産やベルサイユ宮殿での誕生会などについて連日のように伝え、「強欲で独裁的な権力者」のイメージを印象付けた。

 一方で、長時間にわたる取り調べについてはともかく、国内メディアでも拘置所の狭い部屋の間取りや質素な食事が紹介され、最初の保釈の際にゴーン氏が変装していたことも冷笑的に報じられた。日本社会は、この「堕ちたカリスマ」の姿を存分に消費したと言えるが、具体的には何が違法だったのか――。

 郷原氏は、岩上安身の問いに答え、ゴーン氏が過少に見せかけたという報酬は、退任後に受け取る予定のお金であり、「実際にはもらっていない。(多すぎるなら)日産の社内で話し合って訂正すればいいこと」と述べ、金融商品取引法違反も特別背任も形式犯であって、実質的に誰に損害を与えているわけではないと述べた。

 1月8日のゴーン氏のベイルートでの記者会見は第1回目であり、本人も今後さまざまなかたちで発信していくことを示唆している。これから、ゴーン氏がどのような隠し球を投げてくるのか、その時、日本の検察や日産の関係者たちがどう対応するのか。世界から注目されることになる。

■Youtube動画 1/5

  • 日時 2020月1月9日(木)16:30~
  • 場所 郷原総合コンプライアンス法律事務所(東京都港区)

ベイルートの記者会見で「ゴーン氏 vs 日本の刑事司法」はグローバル・イシューとして新たな局面に突入!

岩上安身(以下、岩上)「皆さん、こんばんは。ジャーナリストの岩上安身です。

 昨日、レバノンに逃亡したカルロス・ゴーン被告が、ベイルートにおいて記者会見を行いました。全世界に中継され、各国から非常に多くの記者が集まり、大変な数の方が全世界でご覧になったのではないかと思います。本当に各国から注視されているということが、非常に実感されました。

 本日は郷原弁護士にお話をうかがいながら、この記者会見を振り返りつつ……。日本の司法当局というのは、ずっと容疑者が不当な扱いを受けていると、『人質司法』だと、こういう風に批判されてきた。また、ゴーンさんも批判したんですけど、『これに対して堂々と本当に反論できるのか』というテーマを主軸に、お話をうかがって参りたいと思います。ということで、郷原さん、よろしくお願いします」

郷原信郎弁護士(以下、郷原氏)「よろしくお願いします」

▲カルロス・ゴーン氏(Wikipediaより)

岩上「まず、最初にひと言。昨夜、(記者会見の中継を)ご覧になりました?」

郷原氏「はい、見ました」

岩上「総じて、どんな感じを受けました?」

郷原氏「記者会見自体については、われわれからすると、あまりインパクトのある内容ではなかった」

岩上「そうですか。『われわれ』というのは、専門家として?」

郷原氏「というのは、私はずっとこの問題を追ってきたし、日本では相当マスコミが、検察リークとか、日産リークの報道だけれども、ずっと報じてきたから。そういう一連の流れの中で、(会見内容は)ある程度知られていること、ゴーン氏の主張として想定できる範囲内の内容だったんで、それほどのインパクトではなかった。

 しかし、やはり海外の反応を見ると、今回ゴーン氏が、久しぶりのゴーン節っていうんですか……」

岩上「そうですね」

郷原氏「身振り手振りを交えて、4ヵ国語で、各国のメディアに対して堂々とした受け答えをし、しかも感情を交えながら、日本で自分がいかに不当な扱いを受けてきたのか、日本の刑事司法がいかに酷かったのか(を語った)。

 で、元々問題にされた事実が、いかに犯罪でも何でもなかったのか、ということを訴えたことが、おそらく国際社会に対しては、かなり驚きを持って受け止められたんじゃないかという気がしますね。

 そういう意味では、この問題、まさに『ゴーン氏対日本の刑事司法』の対立の局面に、初めて入ったと言えるんじゃないか」

岩上「なるほど。しかも、これまでだったら、『人質司法』について詳報されているのは日本国内が多くて、他国には要旨程度のものだったけれども、今回は、オーディエンスが一挙に国際社会になったってことですよね」

郷原氏「これまでは日本の刑事司法っていう狭い土俵、しかも、土俵はみんな検察と癒着したメディアが取り巻いていて、そういう所に閉じ込められていたんですよ、ゴーン氏は。

 通常、日本の『人質司法』ってのは、拘置所に閉じ込めるんですよ、被疑者、被告を。そこから無罪主張を断念しないと、自白しないと、出してもらえない。これが日本の刑事司法なんですけども、ゴーン氏にとっての人質司法は、日本という、検察、裁判所、メディアに、完全にもう、一方的に有罪の方向に支配されてしまっている。そういうところに、そういう日本という国に、人質になっていた、というような印象だろうと思うんですね。

 その中にいる限りは奥さんとも会えないし、国際的な経営者として仕事もできないわけですよ。何年も、裁判に対応するだけの日々を送らないといけない」

岩上「そうですね。しかも、それが遅延されているということも、不満を言ってましたね」

郷原氏「その主張をしようと思っても、記者会見をやろうと思ったら、再逮捕(※1)して口封じされるわけですから」

岩上「そうですね。あれは酷かった」

郷原氏「こういう世界から、この問題は、国際社会という舞台に大きく土俵が広がった(と私は訴えたい)。そういう場で、ゴーン氏と日本の刑事司法とが戦う場になったということを、私はやはり、このカルロス・ゴーン氏の事件というのは、最終的には日本の刑事司法を問うものになるんじゃないか、ということも思って、ずーっと逮捕の直後から、いろんなかたちで発信をしてきた。

 ようやく、それが本格的なステージに立ったということじゃないかと思いますね。

 最近、いろいろネットを見てると、舛添要一さん、橋下徹さんなど、全然違う考え方の人が、ここの部分に関して一致してますよね。この問題は、ゴーン氏対日本の刑事司法の問題だと。このとらえ方が一致してるんですよ。やはり、これはちょっと、本格的なステージに入ったなという感じがしますね」

岩上「なるほど。ここからですね。大体、その元の土俵がグローバル企業で起こってることですから、グローバルなイシューって言いますか、問題であり、そういう土俵に持っていくべきことではあったのかもしれませんね」

郷原氏「そういうことですね」


(※1)記者会見をやろうと思ったら、再逮捕
 2019年4月4日早朝、保釈中のカルロス・ゴーン氏は東京地検特捜部によって特別背任容疑で再逮捕された。保釈が認められた被告を特捜部が再逮捕するのは異例。ゴーン氏は逮捕前日、「4月11日に記者会見をする」と予告しており、会見ができなかった場合に備えて用意されていた動画が4月9日に公開された。その後、ゴーン氏は4月25日に再び保釈されている。
参照:
カルロス・ゴーン氏のツイート(2019年4月3日)
https://twitter.com/carlosghosn/status/1113306621298352135
Carlos Ghosn Video Message カルロス・ゴーン 動画メッセージ 2019/4/9
https://www.youtube.com/watch?v=s1kE2ovnMU0


支払われていない報酬を「少なく見せかけた」としてゴーン氏は逮捕! 一方、不正な報酬を実際にもらった西川前社長は辞任でOKの謎!

岩上「はい。『カルロス・ゴーンさんとは?』ということなんですけど、昨日、本当に何ヵ国語も喋れることに、改めて驚いたかもしれません。

 なぜ、レバノンに彼は行ったのかっていったら、両親がレバノン人であると。しかも、生まれたのがブラジルてあると。で、高等教育はフランスで受けたと。だから、レバノンとブラジルとフランスの国籍を持つと。

 自分の人権、あるいは言論の自由というものが守られ、公正な裁判を受けられるんだったら、レバノンに限らず、ブラジルでもフランスでも、他の国でも行くっていうようなことも言っていました、昨日。

 大学卒業後、フランス大手メーカーのミシュランに入って18年間在籍し、評価されて、フランスの自動車会社のルノーの上席副社長としてスカウトされて、その再建にも貢献し、1999年、経営と財政危機に瀕していた日産がルノーと資本提携を結んだと。そのルノーの上席副社長の職にあったゴーン氏は、ルノーにおけるポジションを維持しつつ、日産自動車の最高執行責任者(COO)に就任。その後、ルノー・日産、そこに三菱も加わっての、3社アライアンスの社長兼最高経営責任者(CEO)に就任したと。

 この『ルノー・日産・三菱連合』というのは、世界の自動車業界が再編される中で、大変大きなアライアンスである。さらに、ここに新たな自動車会社が加わるという話もあった。それが(この逮捕騒動で)御破算になったということを、昨日、(ゴーン氏は)怒っていました。

 ずっと、自分がこんな逮捕などをされてる間に、業績が全部下がったじゃないか、株価が下がったじゃないか、前へ進んでないじゃないかということを、強く経営者として主張していました。

 『コストキラー』『ミスター調整』などの異名をとり、日産再建に向け、社員とともに『日産リバイバルプラン(※2)』を作り、短期間で日産の経営の立て直しを果たしてきた。もちろん、片方でゴーン流のリストラの強行ということで、批判を受けた部分もあると。

 一応、ゴーン氏逮捕をめぐる流れなんですけど、2018年11月19日、ちょうど2年前になりますね。『ゴーン氏は、日産において開示される自身の役員報酬を少なくするため、2010~2014年度にわたって、実際よりも少なく見せかけた額を有価証券報告書に記載していたとして、東京地検特捜部により金融商品取引法違反の容疑で逮捕される』と。

 まず、ちょっと、ひと言いただきたいんですけれども。ゴーン氏も昨日言っていたように、支払われた報酬ではなくて、支払われてない、これからの報酬であり、その金額の決定も役員会で未定の、まだ払われてないものを『過少申告した』と。馬鹿げていると。こんなことがあり得ますか、という風に世界に訴えてましたね。これについては……」

郷原氏「最初、逮捕された段階では、まさか未払いの報酬だなんてことは誰も思わなかったわけですよ。ですから、これだけの多額の報酬を隠してたということで」

岩上「もう、受け取って隠したと(思った)」

郷原氏「受け取って隠してたと思ったから、まったく中身がわからないメディアが、税務申告のもので出てくるとか、税金まで隠しているとかいうようなことを、勝手に書き立てたところもあったぐらいなんですね」

岩上「脱税だ、ってね」

郷原氏「それが逮捕から5日目に、朝日新聞の一面で『実は退任後の支払いの話だったんだ』ということがわかって。もう、衝撃でしたよね。逮捕の衝撃と同等の衝撃。そんなことで逮捕したのかと」

岩上「郷原さん、この点を強調されてましたよね、当時も」

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