このブログにおける政治資金問題から見える「維新の正体」の連載「その45」では、「日本維新の会」に当時所属していた丸山穂高衆議院議員の「文書通信交通滞在費」の27カ月間約2017万円「ちょろまかし疑惑」を投稿した(http://blog.livedoor.jp/nihonkokukenpou/archives/51915930.html)。
そこでは、以下のようにまとめた。
①丸山穂高議員が2015年10月~2017年12月まで(27カ月間)に、
「文書通信交通滞在費」から資金管理団体「穂高会」に
「繰入(寄附)」をしている金額の合計額は2195万1676円になる。
「複合機リース費」2016万9676円
「事務所賃料」135万円
「駐車場代」43万2000円
合計 2195万1676円
②そのうちの「複合機リース費」2016万9676円が
資金管理団体では実際に支出がないのに、
「文書通信交通滞在費」の使途の自主報告では「資金管理団体で支出した」旨、
虚偽の記載をし
資金管理団体に寄付していたのである。
(2)以上の問題点は複数ある。
まず、2つの問題点を指摘する。
第一は、資金管理団体「穂高会」においては
「複合機リース費」名目の支出の実態がないのに
まるで支出の実態があるかのように虚偽の理由で支出した、ということである。
これについては、後述の違法支出以外に
例えば詐欺罪に該当するかどうか検討を要するが、
私は刑事法が専門ではないので、これ以上は論述しない。
(3)第二の問題点。
虚偽だった架空の「複合機リース費」名目の支出だけではなく、
資金管理団体の「事務所賃料」・「駐車場代」名目の支出を補填するために
「文書通信交通滞在費」から支出したことそのものが、
その目的を逸脱する違法支出である、ということだ。
国会法第38条:「議員は、公の書類を発送し及び公の性質を有する通信をなす等のため、別に定めるところにより手当を受ける。」
「国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律」第9条:
「各議院の議長、副議長及び議員は、公の書類を発送し及び公の性質を有する通信をなす等のため、文書通信交通滞在費として月額百万円を受ける。
2 前項の文書通信交通滞在費については、その支給を受ける金額を標準として、租税その他の公課を課することができない。」
そもそも「文書通信交通滞在費」は、上記両法律の各規定により
「公の書類を発送し及び公の性質を有する通信をなす等のため」に
衆参の国会議員に交付されている公金であり、
使途の制限のない歳費とは全く違う。
したがって、「文書通信交通滞在費」をその目的以外のために支出すれば違法になる。
丸山穂高議員は、地元の資金管理団体の
「事務所賃料」・「駐車場代」等を補填するために
「文書通信交通滞在費」から支出しているが、
それは、その目的の範囲内の支出とはいえない。
つまり、「文書通信交通滞在費」から支出してはならないものに
「文書通信交通滞在費」を支出したのだから、その支出は違法である。
(4)以上では、「日本維新の会」が所属議員全員の「文書通信交通滞在費」の使途
をネット公表している2015年10月以降、資金管理団体「穂高会」の政治資金収支報告書
が公表されている2017年12月までの寄附額等を紹介したが、
そもそも丸山穂高議員は、いつから当該寄附を行っていたのであろうか?
この点は、現在ネットで入手できる資金管理団体「穂高会」
の2014年分以降の政治資金収支報告書で確認できる。
2014年分(http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/11318/00201637/26hk0059.pdf)
2015年分(http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/11318/00228557/27hk0059.pdf)
2016年分(http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/11318/00260092/28hk0059.pdf)
2017年分(http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/11318/00307373/29hk0059.pdf)
以上によると、
丸山穂高議員が「文書通信交通滞在費」から「穂高会」に寄付し始めたのは、
2014年10月からのようだと推測できる(ただし、2013年以前は不明である)。
もっとも、当初は金額が少ない。
丸山穂高 39万0260円 2014年10月20日
丸山穂高 53万9531円 2014年11月20日
丸山穂高 89万0260円 2014年12月20日
計 182万0051円
12月の89万円超は
「穂高会」の「事務所賃料」「駐車場代」及び架空の「複合機リース費」
の3つに相当すると推定できるが、
10月と11月は、なかなか推定できない。
なお、
2014年は、「穂高会」の「前年(2013年)からの繰越額」は
わずか59万1412円しかなく、
「穂高会」は、丸山穂高議員から計500万円を借り入れているほどである。
この借入金と「文書通信交通滞在費」からの寄付のお陰で、
同年の「翌年への繰越額」は374万7498円へと6倍に増えている。
(5)また、「文書通信交通滞在費」から「穂高会」への寄附は、
2015年は9月以前も行われているようだ。
2014年以降の毎年の当該寄付額は以下である。
2014年 182万0051円(10月~12月)
2015年 986万7676円
2016年 981万0612円
2017年 961万4521円
以上のうち2015年以降の、
「事務所賃料」(月5万円、年60万円)・「駐車場代」(月1・6万円、年19・2万円)、
年間計79・2万円を差し引いた「複合機リース費」は、以下のようになる。
2015年 907万5676円
2016年 901万8612円
2017年 882万2521円
計 2691万6809円
(6)「日刊ゲンダイ」は、「丸山議員が辞めない理由か…政治資金“不正蓄財”疑惑が浮上」
(2019/05/18 06:00)の記事の中で、以下の趣旨の指摘をした(https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/254092/2)。
①「穂高会」の2015年分の政治資金収支報告書を見ると、
「前年からの繰越額」には約374万円と記され
「翌年への繰越額」には約1709万円と記載されていた。
②その「翌年への繰越額」は2016年末には約2989万円となり、
2017年末は約3701万円になっている。
3年間で10倍近くに膨れ上がっている。
(7)「翌年への繰越額」については、「前年からの繰越額」を差し引いて
実質的な「翌年への繰越額」を算出すると、以下のようになる。
なお、上記(5)で紹介した架空の「複合機リース費」を括弧書きする。
2015年 1335万1047円(907万5676円)
2016年 1279万2481円(901万8612円)
2017年 712万0001円(882万2521円)
また、
2017年分の政治資金収支報告書に記載されている「翌年への繰越額」は
3701万1027円であるが、
ここから2014年分の政治資金収支報告書に記載されている「翌年への繰越額」
374万7498円を差し引くと、3326万3529円になる。
2015年から2017年までの架空の「複合機リース費」は
計2691万6809円だった。
(8)この数字から判断すると、
上記の架空・虚偽の「複合機リース費」が実質的な「翌年への繰越額」を
生み出していることがわかる。
つまり、「穂高会」は政治資金の集金力はないので、
丸山穂高議員は、税金が原資の「文書通信交通滞在費」から
架空の「複合機リース費」の補填と嘘の理由で「穂高会」に寄附し、
「穂高会」は、それを実質的には支出せず貯め込んでいるに等しいのである。
これが第3の問題点である。
(9)なお、2017年は
架空・虚偽の「複合機リース費」よりも実質的な「翌年への繰越額」が少ないのは、
すでに「その44」で指摘したように、
丸山穂高議員が代表の政党支部「日本維新の会衆議院大阪府第19選挙区支部」
が赤字支出(つまり裏金による支出)していたことを隠蔽するために
「穂高会」が同支部に400万円を貸付したからである(http://blog.livedoor.jp/nihonkokukenpou/archives/51915131.html)。
(つづく)