【特別寄稿】「強い野党」結集の「第1章」!? 統一会派を組んだ自由党・小沢一郎代表と国民民主党・玉木雄一郎代表の1.28有楽町街宣演説と玉木氏囲み取材を全文掲載!しかし続く「第2章」には橋下徹氏の姿が!? 2019.2.4

記事公開日:2019.2.4 テキスト
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(取材・文:フリージャーナリスト横田一 記事構成:IWJ編集部)

 国民民主党の玉木雄一郎代表と自由党の小沢一郎代表は、2019年1月24日、国会内で会談し、28日召集の通常国会で衆参両院での統一会派を組むことで合意した。将来的には両党の合流をめざし、政策協定を結ぶための協議に入ることも申し合わせした。

 国会が招集された1月28日、18時より東京・有楽町のイトシア前で小沢、玉木両氏が揃って街頭演説を行った。

▲有楽町街宣での小沢一郎・自由党代表(左)と玉木雄一郎・国民民主党代表(右)すっかり仲良しの二人。血色も良い。呼吸が合うのだろうか。(及川健二氏撮影・提供)

 以下に小沢一郎・自由党代表と玉木雄一郎・国民民主党代表の演説と、演説後の玉木氏への囲み取材の全文を掲載する。

【小沢一郎・自由党代表演説】

二人で共同して始める最初の試み、街頭演説!?

 まず最初にマイクを握った自由党の小沢代表は、国民民主党の玉木代表との共同の街頭演説を「これから二人で共同して始める最初の試み」と述べ、アベノミクスを弱肉強食の行き過ぎた自由競争と批判した。

 「皆さん、こんばんは。お寒い中、夕刻の忙しい中をお騒がせいたしましてすみません。ただいまご紹介をいただきました私、小沢一郎でございます。

 そして今、司会の方からお話がありましたように、今日から通常国会が始まりまして、今日から玉木代表の国民民主党と私ども自由党が国会の中で統一会派を組んで、そしてお互いに連携して結束して国会活動をやっていこう、そしてまた、いろいろと院内の活動もやっていこうということで合意してスタートいたしました。そして、これから二人で共同して始める最初の試み、街頭演説であります(拍手)。

 皆さん、私どもは本当に国民の皆様に応える政治を実現しようという思いでおります。国民の期待に応えることはどういうことだろうか。それは、政治の使命、政治の責任を考えれば、分かります。政治の使命は、政治の責任は、国民の暮らしを、政治を、生活を守ること。そして生命や財産をしっかりと守っていくことが政治の役割であります(拍手)。

 私どもはそういう観点に立って、今日の政治を見てみますと、まさに安倍内閣はその我々の考え方と、政治の使命と責任と真逆の政治を行っている。それが多くの国民の皆様の批判を、不満を浴びている最大の原因だと私は思います。

 皆さん、安倍さんはアベノミクス、いまや綻んでしまいましたが、アベノミクスとは何だったのか?いわゆる自由競争を最優先させる。競争させて強いものが、勝ったものが残ればいい。そういう考え方であります。

 しかし、それでは政治はいりません。政治家もいりません。なぜなら弱肉強食の社会でしかなくなってしまいます。

 今日のいろいろな格差、もちろん都会と地域の格差もありますが、都会の中でも所得の格差、あるいは雇用の身分の格差がどんどん広がっています。私たちは『これでは政治ではない』、『少なくとも国民の皆様が望む民主主義政治ではない』という思いの中で今日、玉木代表と共にこの街頭に立ったわけであります」

全野党が結集して、今の政治に代わる受け皿になるようにしないといけないのではないか

 小沢氏は自由党と国民民主党による統一会派結成を「全野党結集のきっかけ」として、国民のための政府・政権作りを訴えた。

 「もちろん、そのためには安倍自民党内閣に代わる、きちんとした受け皿がなければなりません。『安倍さんは嫌だ』、『安倍さんの政治は駄目だ』と。でも、それに代わる、投票する受け皿がなければ、国民の皆様も全く困ってしまいます。

 私たちはそういう意味で、今日からこの二党の統一会派、共同作業は、これのそのものが問題ではありません。これを一つのきっかけとして、一歩として、私も玉木代表もずっと主張しております、全野党が結集して、今の政治に代わる受け皿になるようにしないといけないのではないか。私たちは、そういう思いでいるわけであります。

 どうか皆さん、そういうことで、これから本当に二党が力をあせながら、全野党の結集のために、そして国民のための政府、政権を作るという大目標に向かって前進して参りたいと思います(拍手)。

 どうか皆様の温かい力強いご支援を賜りますように街頭より重ねてお願い申し上げまして、私のご挨拶と致します。ありがとうございます」

 演説後、小沢代表と玉木代表は、高らかにつないだ手を掲げて写真撮影に応じた。その後、公務があるとのことで、小沢代表は取材に応じることなく立ち去った。

【玉木雄一郎・国民民主党代表演説】

安倍政権に代わるもう一つの選択肢を示したい!

 続いて玉木氏がマイクを握り、議会制民主主義が壊れていると、大上段に構えて訴えた。

 「先ほど自由党の小沢代表から話があったように、私たち国民民主党と自由党は統一会派を組んで、力を合わせて通常国会に臨むことを合意いたしました。

 いろいろな思いがありました。いろいろな思いを乗り越えて合意に至った一番の思いは、やっぱり安倍政権に代わるもう一つの選択肢を、国民の皆様に示したい。

 いま全国を回って言われることは二つです。安倍さんを何とかしてくれ。野党はまとまってくれ。この二つです。同じことをコインの表と裏で言われているのだと思います。

 私はいま、日本で大切なことが、ガラガラと音を立てて崩れていると思います。

 まず一つ目は、議会制民主主義が音を立てて崩れつつあると思います。国会という場はいろいろな意見を持ち寄って、議論をしてより良い答えを見つけていくのが国会の仕事ではないですか。

 しかし安倍さんは聞いたことには答えない。聞いていないことをいっぱい話す。しかも議論の前提となる資料を出してくれと言ったら、間違った、改竄されていたじゃないですか。これで、国民のための議論が、あの国会でできると思いますか?

 まともなことがまともにできなくなっている。こんなおかしな国会を変えていかないと、長い間、先輩たちが育んできた議会制民主主義が壊れてしまう。野党は力を合わせて戦わなければならない。負けてはならないのです」

生活保護受給者は増える一方なのに自画自賛の安倍政治!?

 玉木代表は二つ目に国民の暮らしが壊れている、と訴えた。

 「そして二つ目。壊れて行っているのは国民の暮らしです。

 今日、総理の演説を聞いていました。いいことばかり言っているのです。でも、本当に暮らしは良くなっていますか。将来の不安は聞いていますか。年を取ることの不安、子供を産むことの不安、結婚することの不安、家族を持つことの不安。みんな、不安を抱えながら一生懸命頑張っているのではないですか。

▲演説を行う玉木雄一郎・国民民主党代表(横田一氏提供)

 今日の安倍総理の演説からは、本当の国民の思いが少しも感じ取ることができませんでした。いいところだけをつまみ食いをして、安倍政権の成果は素晴らしいと自画自賛ですよ、皆さん。

 でも例えば、生活保護を受けている、働く世帯の数は6万人。「何万人か減った」と言っていましたが、この数年間で生活保護を受けている人は30万世帯、増えているのです。でも、そもそも働く世帯だけ取り上げて、「生活保護は減りました」と言っている。でも、今、生活保護を受けている半分以上は65歳以上。一人暮らしの方の生活保護受給者は増える一方なのです。

 そういう、政治が向き合わないといけないところに向き合わず、語りもせず、いいところだけの数字を取上げて、さも上手くいっているかのように言う。こんなことは許してはならないのです」

21年ぶりの賃金上昇率!? 調べてみたらマイナスの可能性!何を信じればいいのか!?

 たたみかけるように、安倍総理が発表していた、経済が好調とのデータがことごとくデタラメであったとの指摘が続いた。

 「そして、この国会で一番問題になっているのは、皆様の給与の問題ですよ。『ずっと給料は上がっていた。アベノミクスは成功した』(と安倍首相は言っていた)。

 例えば、去年の6月、『21年ぶりの賃金の上昇率だ』と言っていたのですよ。『21年ぶり』と。でも、そのデータが取り方がおかしくて、よく調べて見たら、3.3%プラスではなくて、よく調べたら2.8%でした。でも、もっともっと調べたら1.4%でした。しかも一年間にならしてみて、物価上昇を勘案してみたら、何と、マイナスになるかも知れない。

 皆さん、よく考えてみて下さい。『21年ぶりにプラスだ』と言っていたものが、全く逆のマイナスになっていたら、一体、何の数字を信じればいいのですか。そんなことが今、平気で起こっているのです。だから、暮らしに向合う政治ができないのです!

 昨日も言われました。『なぜ安倍さんは世界中に行ってお金ばかりばら撒いて来ているのか!? あのお金を日本国民の私たちの暮らしに使ってくれないのか!?』と。悲痛な叫びを、私はいただきました」

自由党との統一会派は新しい政治を作っていくための第一歩!

 だからこそ「強い野党」が必要なのだと。玉木氏は自由党との統一会派に踏み切った理由を述べる。しかも、これは「第一章」に過ぎないという。「第二章」以降が待っているというのだ。それは何か!?

 「景気を変えましょう。皆様の暮らしを変えていきましょう。そのためには、私たち野党が強くなって力を合わせて、『強い野党』となって安倍政権にしっかりと向き合っていかなければなりません。

 今回の小沢一郎代表の自由党との統一会派は、そんな大きな新しい政治を作っていくための第一歩です!

 皆さん!ここで第一章では終わりません。第二章、第三章、第四章と。そして働く皆さんのために、普通に頑張る皆様のために、一生懸命働く政府を作っていきましょう、皆さん。皆さんの力を結集して、本当に国民のための、国民の生活が第一の、そんな政治を作るために、私たち力を合わせて頑張っていきますので、どうかこれからも私たち国民民主党、そして自由党にご期待をいただきたいと思います。必ず変えていきます。どうか、よろしくお願いします!」

【玉木雄一郎代表の囲み取材】

ビールケースかみかん箱を持って(小沢氏と)二人で地方の政治に届きにくい声を拾いに行きたい

 玉木代表の演説が終了したあと、その場で記者たちの囲み取材が始まった。

日本テレビ「自由党小沢代表と街頭演説会、初めての試みだったと思うのですが、感想をお願いします」

玉木代表「手応えを感じました。今日は、ビールケースに二人で乗りましたけれども、都会でやるのはこれが最後で、これから地方に回ってビールケースかみかん箱を持って、二人で地方の本当の声を聞いて、なかなか政治に届きにくい声を二人で拾いに行きたいと思います。その声をしっかりと反映する、国民の生活を大切にする政治を実現していきたいと思います」

▲演説に使ったビールケースを抱える玉木雄一郎・国民民主党代表(横田一氏提供)

日本テレビ「街宣を何回かされていますが、(自由党と)統一会派を組んでから何か反応に違いは感じましたか?」

玉木代表「やっぱり、いろいろな違いを乗り越えて、それでも共通点を見つけて大きくしていくということは、私は意味があるなと改めて感じました。

 ですから、小沢代表が言ったように『第一歩』です。これから野党の再編につながっていくような、大きな塊づくりということは、ずっと私は主張してきましたので、私はそのことにぶれずに突き進んでいきたいなと思っています」

原発政策の違いは山の登り方、たどり着き方の違い!原発ゼロにつながる道筋を描いていきたい

横田一「原発政策の食違いがあると思うのですが、自由党は原発ゼロに対して、国民民主党は条件付き再稼働容認と」

玉木代表「国民民主党は2030年代原発ゼロなので、自由党も原発ゼロ、我々も原発ゼロ、そういうことです」

横田「現時点の原発再稼働についてはスタンスの食違いがありますよね?」

玉木代表「各党それぞれ、いろいろな違いがあると思いますが、ただ明確にゼロを掲げているという意味では同じですので、後は山の登り方、たどり着き方の違いだと思いますので、具体的には廃炉をどうしていくのか。廃炉の費用を誰が出すのか。どうやって調達するのか。技術者をどうするのか。こういったことを一つ一つ具体的に詰めて、原発ゼロにつながる道筋をしっかりと描いていきたいと思います」

時事通信「今日、立憲民主党の枝野代表が社民党との会派について『参院選まで』という主旨の発言をしたのですけれども、社民党との会派について批判がある中で、期間限定の統一会派についてどう見ているのか?」

玉木代表「他党の方がされることなので、特段コメントはしませんが、我々、とにかくやっぱりまとまらないと。みんな、『安倍政権を倒さないといけない』と言っているので、51%を取らないと倒せないので、そのためにどうやって力を結集するのかということを我々なりに考えて、そのために一番の近道、ベストかなと思うことを追及していきたいと思っています」

橋下徹氏とすぐに何かすることはないと思うが、コミュニケーションはとっていきたい…!!!???

横田「橋下徹さんと組むことはありうるのですか?」

玉木代表「彼は今、政治家ではありませんから、すぐに何かすることはないと思いますが、まあ、いろいろな人とお話は、政治家、民間人関係なく、コミュニケーションはとっていきたいと思っています」

横田「橋下さんは、小沢一郎さんと前原さんと去年、会っていますが、政界復帰もありうるのではないですか?」

玉木代表「それは、わかりません」

横田「橋下さんに対する評価はどうなのですか?」

玉木代表「ツイッタ―で時々やりとりをしています」

横田「原発ゼロ政策について、電力総連(労組)は説得できるのですか?原発ゼロ法案の時もだいぶ反発をしてましたが」

玉木代表「すでに2030年代原発ゼロということで合意をいただいていますので、それをいかに具体化、精緻化していくことだと思います」

 自由党との統一会派は「第一章」、その後に「第二章」以降が続くと演説した玉木氏に、噂される橋下氏の立ち上げる新党とも合流が予定されているのでは?と質問したがはぐらかされた。

 しかし、『週刊現代』は、国民民主党の内実を次のような書き出しで伝えている。

 「国民民主党の議員たちは、いま取り憑かれたように一冊の本を読みこんでいる。ある幹部議員は4度読んだと言っていた。

 ある3回生議員は、何十という付箋を貼り、フレーズを暗唱していた。

 〈今は安倍一強が長く続いているが、現在の選挙制度はひとたび与党に信頼失墜が起きれば、いつでも政権交代の風を吹かせることができる〉『政権奪取論』という新書である。

 国民民主党は、結党半年にして政党支持率が0.8%だ。瀕死の党の議員たちが、バイブルとして崇めるのがこの本だ。

 彼らの救世主こそが、本の著者・橋下徹である」

 その後、1月31日、玉木氏と小沢氏は橋下氏がホスト役をつとめるAbemaTVの冠番組『NewsBAR橋下』に、ゲストとして出演した。

▲(AbemaTVホームページより)

 この後、玉木氏は記者たちを前に驚くべき「ぶっちゃけ」トークを展開した。そこには確かに、有権者がたまげるような「第二章」、「第三章」が予定されていた。

続く

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