2018年12月11日、東京都内であった「中曽根康弘世界平和研究所設立30周年記念式」において、安倍晋三総理は、「我が(自民)党において、しっかりと憲法改正に向けて具体的な(改憲)4項目のイメージをすでにお示ししている」とし、「憲法(改正)の論議が、本格的に始まりかけているというところまでは参りました」などと述べた。
- 安倍首相、改憲の論議が「本格的に始まりかけている」(朝日新聞、2018年12月11日)
そう言われても、改憲案の中身もつまびらかに説明されていないし、改憲論議が始まりかけている様子もない、と思う人が多いのではないだろうか。安倍総理の発言なのだから、意味がわからなくても仕方がない。しかし、現実に何が起きているのか、注意深く検証する必要がある。
2018年12月24日、新著『安倍「4項目」改憲の建前と本音』を上梓した神戸学院大学の上脇博之教授に、神戸市の同校ポートアイランドキャンパスで、IWJ関西中継市民の北野ゆりがインタビューを行った。
質問に答えて上脇教授は、「自民党の出して来た「改憲4項目」は、よく見ると実は論点が7項目もあり、しかもそのすべてが 『戦争ができるようにするため』という1点を目的としている」と、「改憲4項目」の正体をずばり、明らかにした。
IWJでもこれまで「米国の戦争に日本を巻き込むための、米国の傀儡としての独裁政治を行うための条文」として、「緊急事態条項」の危険性を訴え続けてきた。しかし、「緊急事態条項」こそが「安倍自民党改憲の本丸」だとして、他の条文に関しては「ダミー」とみなしていた。
しかし、上脇教授によると、「参議院合区解消」は戦争をする勢力が国会で常に多数を占めるようにすることを可能にし、さらに地方自治体を無力化させる危険性もある。
また、現在の9条を維持したままで新たに「9条の2」を加えることで、集団的自衛権を合憲化し、9条を骨抜きにするという。
そして「教育無償化」は、国家が学校教育への介入することが目的であると、上脇教授は改憲の魂胆を看破している。
さらに上脇教授は、改憲が発議された後の手続き法についても、重大な問題点を指摘した。
自民党本部や各支部の「政策活動費」や「文書通信交通滞在費」などの巨額の使途不明金、あるいは内閣官房報償費(機密費)などが、改憲のための広報活動や、改憲慎重派・反対派の買収に使われるのではないかというのだ。
上脇教授は、現在の国民投票法第109条では「組織により」「組織的多数人」に対する「買収・利害誘導」を禁止していることを指摘した。これはつまり、個人による少人数に対する「買収・利益誘導」は処罰の対象外としていると読めるのである。
ピンチヒッターインタビューをいくつかみました。インタビューに不慣れな点もあるようですが、いずれのインタビューも見てよかった!と思いました。これからもがんばってください。
緊急事態条項だけではなかった。その他の改憲案も『戦争ができるようにするため』の国づくりが目的だったのだ。これは冗談ごとではない。『安倍「4項目」改憲の建前と本音』著者・神戸学院大学 上脇博之教授にIWJ京都中継市民・北野ゆりがインタビュー
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/438145 … @iwakamiyasumiさんから
https://twitter.com/55kurosuke/status/1080416051022618624