「公認申請料」の名目で候補から500万円を徴収する「銭ゲバ・希望の党」! 民進党の「政党交付金」の希望の党への流用は背任行為!? 梓澤和幸弁護士と神戸学院大学・上脇博之教授にIWJが訊く 2017.10.18

記事公開日:2017.10.18 テキスト
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(取材・文:大下由美、城石エマ、記事構成:岩上安身)

 小池百合子都知事率いる「希望の党」は、小選挙区と比例単独をあわせて235人の候補者を擁立した。過半数の233議席をわずかに上回る数である。

 「寄せ集め」とも「掃き溜め」とも揶揄されてはいるものの、だろうと、希望の党の候補者全員が当選すれば過半数を獲得し、政権を取ることになる。その可能性は高いとは言えないが、万が一、この「希望の党」に政権を運営する能力や資格があるだろうか?

 いくつも気になるポイントがあるが、そのうちの一つが、資金の問題である。

 総務省の担当者によると、政党交付金は、政党助成法第8条(※)により、衆議院の場合、前回の衆議院議員総選挙の得票数と、所属国会議員の人数によって算出される。また、同法第6条(※)の規定により、総選挙がある年は、投開票日の翌日が算定基準日になり、全党が届け出を提出することになっている。そのため、今回の新党である「希望の党」と「立憲民主党」は、政党交付金がない状態で総選挙を行うことになる。2党は、10月23日以降、はじめて政党交付金の申請ができる。

※政党助成法:国が政党に対し政党交付金による助成を行うことを定めた日本の法律。

第6条:
政党交付金の交付を受けようとする政党は、その年において総選挙又は通常選挙が行われた場合には、当該選挙により選出された衆議院議員若しくは参議院議員の任期を起算する日(以下この項において「任期の初日」という。)又は当該選挙の期日の翌日(以下この項において「選挙の翌日」という。)のうちいずれか遅い日(当該選挙に係る公示の日から任期の初日又は選挙の翌日のうちいずれか遅い日までの間に他の総選挙又は通常選挙に係る公示の日から任期の初日又は選挙の翌日のうちいずれか遅い日までの期間がかかる場合には、これらの選挙に係る任期の初日又は選挙の翌日のうち最も遅い日とする。以下「選挙基準日」という。)現在における前条第一項各号に掲げる事項を、選挙基準日の翌日から起算して十五日以内に、総務大臣に届け出なければならない。

第8条:
毎年分として各政党(その年分について第五条第一項の届出(第六条第一項の規定の適用がある場合にあっては、同項の届出)をしたものに限る。以下この条において同じ)に対して交付すべき政党交付金の額は、次項に定める議員数割の額と第三項に定める得票数割の額とを合計した額とする。

2 各政党に対して交付すべき議員数割の額は、議員数割の総額に当該政党に所属する衆議院議員及び参議院議員の数を各政党に所属する衆議院議員及び参議院議員の数を合算した数で除して得た数を乗じて得た額とする。

3 各政党に対して交付すべき得票数割の額は、得票数割の総額の四分の一に相当する額に次に掲げる数をそれぞれ乗じて得た額を合計した額とする。

 「民進党」が「希望の党」へ合流する際に、多くの有権者が関心を抱き、また懸念もしたのは、政党交付金が「希望の党」の選挙活動に使われてしまうのではないか、ということである。政党交付金の源資は、国民の税金である。改憲にも安保法制にも反対の姿勢を示していた民進党に託された資金を持ち出し、正反対の理念の政党へ流用されることについて、当然の疑問の声が相次いだ。

 岩上安身はこれを受け10月5日、以下のようにツイートした。

 「前原氏がクーデターを画策したのはほぼ事実。それが政治家の離合集散にとどまらず、税金の私物化・不当使用となれば、背任どころですむか、という話だ。比喩的に『政治的詐欺』と評してきたが、文字通りの刑法上の『詐欺』の疑いすら浮上するのではないか」

 小池代表は9月29日の記者会見で、「『お金欲しさに』との批判はまったくの間違い。しがらみのない政治には、お金のしがらみをつくってはいけない」と答えているものの、実際には公認候補者との政策協定書で「党に資金提供をする」ことをしっかり求めているのだ。その不自然さに、民進党内の政党交付金分配や「希望の党」への流用に関する見解についての記事が日々報道されている。

▲希望の党 政策協定書

 複数の報道によると、「民進党は、国政選挙候補者に公認料を渡しており、9月22日には前職に約500万円が配られた」「10月2日に、民進党は衆院選への公認が内定していた前職に2000万円、元職や新人に1500万円を支給した」とあり、いずれにせよ元民進党議員に高額な金額が支給されていることは間違いない。

 また、IWJでは 、今月10月5日に民進党・桜井充参議院議員に岩上安身によるインタビューを行った。岩上は、「市民から、150億円と言われる民進党の資金の使途はどうなっているのかと思われているし、前原代表は説明をしていない」として、桜井議員に意見を求めた。

▲桜井充参議院議員(2017年10月5日 IWJ撮影)

 桜井議員は、参議院議員で衆院選候補者でないこともあり、幹部である常任幹事会のメンバーでありながら、今回の件は前原代表から一切説明を受けていないと明かした。

 岩上は「お金の管理は誰が行っているのか」と質問し、桜井議員は「それは代表と幹事長かと思われる」と答えた後、「各々の候補者が決まったので、候補者に対し、公認料を全部含めて振り込まれていると思う」と、旧民進党議員へ支払いが行われたことを明かした。岩上安身はすかさず確認したが、それはもちろん「希望の党」へ合流する議員も対象だった。

 岩上は、看板を掛け違えた党へ民進党の資金が流用されることについて、「常識的に、道義的にも問題がある」と桜井議員に投げかけたが、桜井議員は、「気持ちはわかるが」と前置きし、「候補者は、みんな喜んでいろんなところに散っているとは思わない。苦汁の決断だ。怒りもあれば、苦しみもあれば、憤りを感じながら現場で闘っている。きっと(前原代表の)解任の話を出したいと思っている人もいると思う」と複雑な心境を述べた。

 桜井議員へのインタビューの、以上記載した部分については、ピックアップ動画も別途作成してあるので、ぜひ御覧いただきたい。

 なおインタビューのハイライト動画、全編動画は、以下の記事から御覧いただける。

 この一連の、前原氏をはじめ民進党幹部の行為は背任行為にあたらないのだろうか? IWJは有識者に尋ねた。

梓澤和幸弁護士「もし民進党の政党交付金をそのまま希望の党へ持っていくことがあれば、法的に大問題になり、背任が問われる」

 弁護士の梓澤和幸氏は、「もし民進党の政党交付金をそのまま希望の党へ持っていくことがあれば、当然法的に大問題になり背任が問われる」と答えた。ただし、「民進党の中で議論し、政党交付金を元民進党議員一人ひとりに分配をした上であれば、法には触れない。その場合、枝野氏や無所属候補などにも、平等に分けなければならない」と述べた。

▲梓澤和幸弁護士(2017年2月9日 IWJ撮影)

 9月30日付のしんぶん赤旗によると、「希望の党」に公認を申請する元民進党議員は、「公認申請料」として300万円、党への寄付金200万円の計500万円を求められたという。

 梓澤弁護士はこれについて、「政党交付金を元民進党議員一人ひとりに分配をした上であれば、希望の党へ持っていっても法には触れない」と述べた。「法に触れない」とはもちろん、前記の通り、無所属や立憲民主党からの出馬組へも平等に配布した上での話である。

 しかし、仮に「法に触れない」配り方をしたとしても、「政策協定書」で他党からの持参金を義務づけ、政治理念や政策を180度変えるよう、「踏み絵」を踏ませるなど、「希望の党」は「銭ゲバ」としか言いようがない。

 前出のしんぶん赤旗の記事では、民進党関係者が明かしたこととして、「9月28日まで在籍していた衆議院選候補者は、党から『持参金』が支払われるが、それ以前に離党した者には、持参金は支払われない。いち早く離党した議員からは『希望の党からは寄付金を求められるし、古巣からは持参金をもらえない』とぼやいている」と報じられた。「希望の党」の「公認申請料」は、元民進党議員に重くのしかかっている。

政党助成法では政党交付金の使途の制限がない! ただし、「国民の信頼にもとる」ことがないように定められており、上脇博之・神戸学院大学教授は「正反対の政策の党にお金が渡ることはおかしい、返還すべき」と主張!

 神戸学院大学教授の上脇博之氏は、「背任になるのかどうかは、弁護士または元検察官の見解を聞いたほうがいい」と前置きしつつも、政党助成法の見地から重大な指摘をした。

 上脇氏によると、現行の政党助成法第4条は、政党の政治活動の自由を尊重する観点から、国が政党助成金の使途の制限を禁止している。

 しかし、同法4条の2は「政党は、政党交付金が国民から徴収された税金その他の貴重な財源で賄われるものであることに特に留意し、(中略)国民の信頼にもとることのないように、政党交付金を適切に使用しなければならない」と定めている。

 上脇氏は、「民進党がどのような支出をするかは、法的には自由であっても、『国民の信頼にもとる』支出は政治的には許されない」と指摘した。

※政党助成法

第4条:
国は、政党の政治活動の自由を尊重し、政党交付金の交付に当たっては、条件を付し、又はその使途について制限してはならない。

2 政党は、政党交付金が国民から徴収された税金その他の貴重な財源で賄われるものであることに特に留意し、その責任を自覚し、その組織及び運営については民主的かつ公正なものとするとともに、国民の信頼にもとることのないように、政党交付金を適切に使用しなければならない。

 さらに上脇氏は、「本来新党で(政党交付金を)もらえないはずの『希望の党』、しかも(民進党とは)正反対の政策の党にお金が渡ることはおかしい。希望の党に移籍した民進党議員は、民進党から受け取った政党助成金を民進党に返還すべき」と主張した。

▲上脇博之・神戸学院大学教授(2017年7月23日 IWJ撮影)

 上脇氏は、2016年1月に出版された著書『追及!民主主義の蹂躙者たち 戦争法廃止と立憲主義復活のために』(日本機関紙出版センター)の中で、自身が共同代表を務める「安保関連法賛成議員の落選運動を支援する・弁護士・研究者の会」(略称 落選運動を支援する会)の落選運動について記述しており、IWJでは2016年の参院選の前に、記事で紹介した。

 「落選運動」とは、ある特定の候補を「落選させよう」と一般市民に呼びかけるもので、公職選挙法の制限を受ける「選挙運動」とは異なる。「選挙運動」は、特定の候補の「当選を目的とした」運動のことであり、選挙の公示・告示日から選挙期日の前日までしか行うことができない。

 一方で「落選運動」は、選挙の公示・告示日より前の期間から行うことができる。議員としてふさわしくないと思われる候補を、「落選させることを目的として」行う運動のことである。

 10月10日に衆院総選挙が公示され、選挙戦がスタートした。今回の選挙は、これからの日本にとって本当に重要な選挙になる。安倍政権打倒はもとより、立憲民主党・日本共産党・社民党の立憲3野党や無所属議員により、改憲発議を阻止できる3分の1の議席「156」を勝ち取れるかいなかの勝負がかかる。

 自民党・公明党に加え、憲法改正に賛成である維新、そして同じく改憲を掲げる「希望の党」が台頭した場合、連携して憲法改正に向かい、「緊急事態条項」を含む自民党改憲草案が行使され、日本が一気に戦争のできる体制になることが予想される。

 目前の北朝鮮を巡る情勢が緊迫していることから、米軍が武力行使に踏み切れば、集団的自衛権にもとづく安保法制によって日本の自衛隊も「参戦」する可能性が急浮上する。9条改憲も、緊急事態条項の導入も、机上の議論ではすまなくなる可能性があるのだ。

 「落選運動」は主権者である国民の権利行使のひとつである。(上)の記事では紹介編、(下)の記事では解説編として、落選運動を行ううえでの注意点をご紹介している。この衆院選に向けてぜひ、ご参考にしていただきたい。

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