岡山の地方紙・山陽新聞で加計問題の記事が小さいのは、新聞社の会長が加計学園の理事だから!?「前川喜平さんと考えるメディアのあり方 ~これでいいの?山陽新聞」 2019.2.8

記事公開日:2019.2.8取材地: テキスト動画
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(取材:萩崎茂 文:奥松由利子)

※2019年3月2日、テキストを追加しました。

 安倍政権の国家戦略特区制度を使って、2018年4月、国内で52年ぶりに新設された加計学園の岡山理科大学獣医学部。不自然なほどスムーズに開学できた背景には、安倍晋三総理と加計学園理事長・加計孝太郎氏の強い結びつきや、周囲の人間による思惑や忖度などが浮かび上がる。行政のあり方が強く問われる問題であり、国民の疑念はいまだに払拭されていない。

 その加計学園の拠点である岡山の地方新聞が山陽新聞だ。岡山県内でのシェアは約6割で影響力も大きいが、「加計問題での報道姿勢がおかしい」と指摘されている。他紙と比較して、加計問題の記事の扱いが小さく、報道を批判しようとする「圧力」あるいは自発的な何らかの「配慮」があるのではないか、というのだ。

 2019年2月8日、日本新聞労働組合連合(新聞労連)と山陽新聞労働組合(山陽労組)が主催するフォーラム「前川喜平さんと考えるメディアのあり方 ~これでいいの?山陽新聞」が、岡山市勤労者福祉センター(岡山市北区)で開催された。元文部科学省事務次官の前川喜平氏が、加計学園の獣医学部新設問題について講演し、後半は、山陽新聞の加計学園問題に対する報道姿勢などについて、ジャーナリストの三宅勝久氏らを加えたパネルディスカッションを行った。

 前川氏は一連の加計問題を、メディアとの関わりという視点で振り返り、「加計問題は忘れてはいけない。安倍政権は『国民は愚か者』だという認識で、問題を長期戦でうやむやにする。国民はいずれ忘れると思っているのだ。しかし、権力者が国民を裏切った大きな事件を、私たちは忘れちゃいけない」と呼びかけた。

 山陽新聞の記者であった三宅氏は、山陽新聞会長の越宗(こしむね)孝昌氏と同じ名前が、加計学園のホームページに理事として掲載されていることを発見した。山陽新聞に問い合わせたところ、「わかりかねる」と電話を切られたという。その後、労使交渉の場で「加計問題への報道姿勢が抑制的な理由は、越宗さんか?」と問うと、経営側が「会長が加計学園の理事を務めていることは関係ない」と答えたため、同一人物だと確信。「これは、日本のジャーナリズムの歴史の汚点になるのではないか」と口調を強めた。

 前川氏は、「越宗氏が加計学園の理事なら利益相反になる。加計を追及すべき人が、加計の内部の人間とは大問題。理事を辞めるべき。山陽新聞の公平性が問われる」と断じた。

 前川氏には岩上安身が3回にわたりインタビューを行っている。ぜひ、こちらもあわせてご覧いただきたい。

■ハイライト

  • 連帯挨拶 中富公一氏(全国大学高専教職員組合〔全大教〕委員長、岡山大学教授)
  • 主催挨拶 南彰氏(新聞労連中央執行委員長)
  • 講演 前川喜平氏(元文部科学事務次官)「県紙・山陽新聞が果たすべき役割」
  • パネルディスカッション「山陽労組争議を通じて見える山陽新聞の課題、処方箋」
    報告 南彰氏 山陽新聞の加計学園報道の特徴について
    パネリスト 前川喜平氏/三宅勝久氏(ジャーナリスト、元山陽新聞記者)/藤井正人氏(山陽新聞労働組合書記長)/コーディネーター 南彰氏
  • 山陽新聞労働組合から
  • タイトル 前川喜平さんと考える メディアのあり方 これでいいの?山陽新聞(岡山市)
  • 日時 2019年2月8日(金)18:30〜20:30
  • 場所 勤労者福祉センター(岡山市北区)
  • 主催 日本新聞労働組合連合(新聞労連)/山陽新聞労働組合(詳細、Facebook)

勇気ある告発者は私ではない。「総理のご意向」などの文書を世に出し、国民の知る権利に奉仕した文科省職員たちだ

 冒頭で、新聞労連中央執行委員長の南彰氏は、山陽新聞社の経営陣が、山陽新聞労組メンバーに不当労働行為を行っているとし、「山陽新聞は地元の加計学園に忖度するような報道姿勢で、それに対して彼らは疑問の声を上げていた。労働組合には、現場の記者がしっかりものを言える環境を作る役割がある」と話した。そして、市民と共に信頼されるメディアのあり方を考えたいと挨拶した。

 次に、前川氏の講演に移った。前川氏は、「山陽新聞は、加計学園の問題を十分に報道していないと聞く。そして、山陽新聞の越宗会長は、加計学園の理事を務めている、と。これは利益相反になる。権力と国民の間に立つのがメディア。新聞は社会の公器で、民主主義の大前提である国民の知る権利に奉仕する存在だ」と述べ、自身も一連の加計学園問題を通して、メディアのあり方を思い知らされたと続けた。

 「加計学園問題の本質は、安倍晋三という権力者による国政の私物化。本来、設置認可されるはずのない加計学園(岡山理科大学)の獣医学部が認可された。そのプロセスで行政が非常に歪められた。不公正、不公平、不透明の3つがある。

 不公正とは、きちんと審査をしていないこと。国家戦略特区制度で認められるためには『国際的競争力を持つ獣医学部』だと証明しなくてはいけない。

 不公平とは、後付けの条件でライバルの京都産業大学を排除したこと。広域的に獣医学部が存在せず、平成30年4月開設という条件を平成29年1月に追加し、加計学園だけが残った。

 不透明とは、『加計隠し』が行われたこと。今治市の公募後に決定という建前上、最初から加計ありきだったのに隠されていた」

 2017年の春、加計学園獣医学部について、「官邸の最高レベルが言っている」「総理のご意向」などと記載された文書が文科省から出てきた。前川氏は、自分を加計問題の勇気ある告発者と言う人もいるが、そうではないと話す。

 「私は、その文書を見たことがあるから、あると言っただけ。本当に勇気があったのは、今も文科省で仕事をしている、おそらく3人くらいの職員だ。その人たちは連携をとることなく、各自の判断で真実を国民に知らせた。国民の知る権利に奉仕したのだ」

加計問題を巡るメディアのせめぎ合い! 菅官房長官による前川氏への人格攻撃。出会い系バーのリーク元は官邸!?

 加計問題の渦中で接したさまざまなメディアについて、前川氏は振り返る。NHKの社会部は、早くから加計問題を熱心に追いかけており、文科省の文書も入手済みで、2017年5月の連休前には前川氏の独占インタビューまで撮っていたという。しかし今に至るまで、それらは一度も報道されていない。

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