女優ナタリー・ポートマン氏が、「ユダヤ人のノーベル賞」を辞退!タブーのイスラエル批判に果敢に挑む! 一方で女性差別発言が続くトランプ氏に対しても「ウィメンズ・マーチ」で抗議! 2018.4.26

記事公開日:2018.4.26 テキスト
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特集 中東

 エルサレム生まれのハリウッド女優ナタリー・ポートマン氏が、「ユダヤ人のノーベル賞」とも称されるジェネシス賞の授賞式への出席を拒否したことが伝えられている。

 強引な入植政策を進めるイスラエル、そしてトランプ大統領の女性差別的な言動に異議を唱えるポートマン氏は、イスラエルと米国の2つの国籍をもつ。2つの「祖国」における権力の横暴な行使に、彼女は「NO!」という声を上げ続けている。

▲ナタリー・ポートマン氏(Wikimedia Commonsより)

 メディアはもちろん、映画・音楽・舞台など米国のショービジネス界において、数多くのユダヤ人が活躍し、影響力をもっていることはよく知られた事実である。そのため、自ずと米国のショービジネス界は、親イスラエルへと傾きがちである。長年、ショービジネス界ではタブーとされてきたイスラエル批判に、ポートマン氏が果敢に挑み、波紋を呼んだ。

 ジェネシス賞は2013年に創設され、「次世代のユダヤ人に刺激を与える、卓越した個人」に授与されるもの。2014年、初代の受賞者はポーランド系ユダヤ人移民を両親に持つ、前ニューヨーク市長のマイケル・ブルームバーグ氏。

 2015年は父方の祖父母がベラルーシからのユダヤ系移民という俳優のマイケル・ダグラス氏、2016年はイスラエル第二の都市テルアビブ生まれのヴァイオリニスト イツァーク・パールマン氏、2017年はバグダードのユダヤ人共同体出身の母を持つ、インド最大の都市ムンバイ出身の現代彫刻家アニッシュ・カプーア氏がそれぞれ受賞している。

授賞式欠席の理由は「ネタニエフ首相の支持者と勘違いされるから」!ガザ地区での抗議デモの死者は4週間で38人に!!

 ナタリー・ポートマン氏は出席拒否の理由として、「イスラエルでの最近の出来事にひどく心を痛めている」とし、とくに「ベンヤミン・ネタニヤフ イスラエル首相が授賞式でスピーチをおこなうと聞いているので、そこに同席することで、自分が彼を支持しているように見えるから」だとしている。

▲ベンヤミン・ネタニヤフ イスラエル首相(Wikimedia Commonsより)

 ポートマン氏が言う「イスラエルでの最近の出来事」とは、2018年3月30日にパレスチナ自治区ガザで始まった大規模な抗議デモでの「出来事」を指している。この日はパレスチナ人にとって、1976年3月30日、イスラエルの土地収奪に抗議するデモで6人が射殺された「土地の日」に当たる。

 デモ隊はイスラエル軍と衝突し、パレスチナ人の少なくとも7人が殺害され、およそ500人が負傷したという。パレスチナ側は毎週金曜日のこの抗議デモを、「ナクバ(大災厄)の日」(5月14日)近くまで続けるとしている。

 「ナクバの日」とは1948年5月14日のイスラエル建国と同時に、70万人以上のパレスチナ難民が発生した日だ。この年、400以上の村が消滅し廃墟となった。故郷を追われたパレスチナ人は、難民キャンプでの生活を強いられた。イスラエルは今もヨルダン川西岸地区にアパルトヘイト・ウォール(分離壁)を建設し、パレスチナ人が暮らす場所を蹂躙し、パレスチナ人を排除する動きが続いている。

 4週連続となる4月20日のデモではパレスチナ人4人が殺害され、440人が銃撃で負傷した。ガザの保健省はイスラエル軍との衝突により3月30日以降、38人のパレスチナ人が殺害されたとしている。

 ミリ・レゲブ イスラエル文化・スポーツ相は早速、ポートマン氏がBDS運動に賛同しているとして非難した。「BDS(Boycott, Divestment and Sanctions ボイコット、投資撤収、制裁)運動」はイスラエルの国際法違反などに対抗する、ボイコットを中心としたグローバルなムーブメントである。しかし、ポートマン氏は「BDS運動」は支持しないと述べ、「国全体をボイコットせずとも、イスラエル上層部を批判することはできる」とのメッセージを発信している(前出のインスタグラム)。

BDS運動の支持者にロジャー・ウォーターズ氏やデズモンド・ツツ大主教!日本では、ホンダが入植地でのロードレースをボイコット!

 BDS運動の支持者にはスペイン バルセロナでのコンサート会場で、シリアでのホワイト・ヘルメットのプロパガンダを痛烈に批判した、ピンク・フロイドのヴォーカルでベーシストのロジャー・ウォーターズ氏がいる。

▲ロジャー・ウォーターズ氏(Wikimedia Commonsより)

 ホワイト・ヘルメットが瓦礫の下から子どもたちを救出する動画が投稿される一方で、同じホワイト・ヘルメットのメンバーが、「犠牲者」の顔にメイクを施すなどして「被害」を演出している動画も見られるようになった。

 ウォーターズ氏は、こうしたホワイト・ヘルメットなどのプロパガンダがシリア攻撃を正当化することに一役買っていると指摘する。

 ウォーターズ氏はまた、アーティストたちにイスラエルでの活動のボイコットを呼びかけるなど、舌鋒鋭いイスラエル批判でも知られる。昨年だけでも、レディオヘッドやニック・ケイヴ&ザ・バッド・シーズのイスラエル公演の中止を求めている。

 BDS運動の支持者としては、ほかに南アフリカの反アパルトヘイト・人権活動家として知られる聖公会のデズモンド・ツツ大主教や、アフリカ系アメリカ人の作家でフェミニストのアリス・ウォーカー氏が知られている。

 日本関連では2018年2月、ホンダがパレスチナのシオニスト入植地でのロードレースをボイコットしたケースが、BDS運動の一例として知られている。

村上春樹氏のエルサレム賞受賞スピーチ「壁と卵」に賛否!このスピーチでノーベル賞受賞は遠のいた!?

 イスラエルから日本人に贈られた賞としては、作家・村上春樹氏のエルサレム賞がすぐに思い浮かぶ。2009年2月15日の授賞式でのスピーチは、賛否が分かれた。

▲エルサレム賞授賞式でスピーチをおこなう村上春樹氏(Wikimedia Commonsより)

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  1. IDeals より:

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