「裁量労働制の拡大を電通が要請」安倍政権が進める「働き方改革」を立憲民主・長妻昭候補が厳しく批判! 「人々の力を潰す壁を厚く高くしている!」~立憲民主党・長妻昭候補 街頭演説 2017.10.15

記事公開日:2017.10.15取材地: テキスト動画
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(取材・文:谷口直哉 記事構成:岩上安身)

緊急特集 高度プロフェッショナル制度の異次元の危険性!
衆院選2017特集 東京7区
※10月20日、テキストを追加しました。

 公示日(10月10日)から6日目、選挙中盤の2017年10月15日、16時過ぎより東京都の東急東横線・中目黒駅前にて、東京7区から出馬している、立憲民主党代表代行の長妻昭候補の街頭演説が行われ、IWJが中継取材した。

 東京7区は有数の激戦区のひとつである。取材当日の10月15日付の朝日新聞には、長妻候補と自民党の松本文明候補が互角の戦いで、激しく競り合っていると、最新の情勢調査が掲載された。2012年と14年の衆議院選挙では、長妻候補が2期連続で、松本候補に2万票以上の差をつけて勝利しているが、松本候補も組織票を固めており、予断を許さない情勢が続いている。

■ハイライト

「今の政治や社会は、何か危うい匂いがしてしょうがない!」極端な方向に進む日本社会の「空気」を懸念!

 長妻候補は演説の冒頭、「立憲主義」と「民主主義」という、政治に最も必要な理念二つを党名に刻み込んだのが立憲民主党だと、できたばかりの党名の由来を説明した。

 続けて「日本という国は『空気』さえ作り上げれば、一気に極端な方向に持っていくことができる」と、先の大戦の苦い経験を振り返り、「この轍を踏んではならない。私は今の政治や社会の匂いを嗅いだとき、何か危うい匂いがしてしょうがないんです」と、日本の現状に危機感を示した。

▲中目黒駅前で街頭演説する長妻昭候補

ブラック企業の代名詞「電通」が「裁量労働制拡大を政府に要請していた! 違法残業で過労死を出した反省はなし!?

 その後、長妻候補は労働法制に関するテーマを語り、政府が労働基準法改正により拡大を検討している「裁量労働制」、いわゆる「残業代ゼロ法案」について、「この裁量労働制という働き方は、今まで営業マンには禁止されていました。ところが、あの電通が『裁量労働制を営業にも広げて欲しい』という要請を、広告業界の代表者として、政府に何度もしている」と述べ、長時間労働や過労死の原因になると危惧される「裁量労働制」を、営業職へも拡大することを、大手広告代理店「電通」が政府に要請していた事実を明らかにした。

 電通といえば、新入社員の高橋まつりさんが2015年12月に、過労自殺に追い込まれた事件で、高橋さんに違法残業を強いたとして、労働基準法違反で今年10月に東京簡易裁判所から有罪判決を受けたばかりである。電通は、高橋さんの自殺が労災認定された2016年には、ブラック企業大賞にも認定された。

 電通は過去にも、過労死問題を起こしている。1991年8月に、入社2年目の大嶋一郎さんが、3日に1度は徹夜という「常軌を逸した」(東京地裁判決の表現)長時間労働が原因で過労自殺した事件で、2000年に最高裁が電通側の責任を認める判決をくだした。その後2013年にも、30代の男性社員の病死が過労死と認められた。

 長妻氏は今年2月17日の衆院予算委員会で、大嶋さんの事件での係争中にあたる1997年に、電通の会長が理事長を務める日本広告業協会の裁量労働制研究会が、労働省に対し裁量労働制を営業職にまで拡大してほしいと要請していた事実を暴いている。

 さんざん社会的な非難を浴び、最高裁からも会社の責任を認められたのだから、働く人々の生命・健康に配慮し、過剰労働にならないように企業をあげて取り組んでいるかと思いきや、自社だけでなく、日本中の企業の労働強化を促進することになるさらなる裁量労働制の拡大を政府へ要請していたのだという。その挙句に、今回の高橋さんの自殺という、新たな悲劇を繰り返した。驚き、呆れ、そしてその身勝手さに戦慄さえ覚える。

 今後、大嶋さんや高橋さんたちのように、死に至るほどの長時間労働で身を削っても、その残業代を企業は支払わなくていいことになるのである。電通は、これまでの悲劇的な事件から、一体何を学んだのか。

 選挙演説といえば、有権者に向かって「清き一票を! どうか私を勝たせてください!」と懇願調に連呼するものとばかり思い込んでいた人には、長妻氏が「電通」という企業名をあげて指弾し、安倍政権下で着々と進んでゆく労働者への労働強化と搾取の深化の実態について街頭で「告発」していることに驚くのではないか。

 鳩山由紀夫内閣、菅直人内閣で厚生労働大臣を務めた長妻候補は、安倍政権が掲げる「働き方改革」の危険性について、「『働き方改革』というスローガンを見て、『なんかいいことなのかな』と思うかもしれませんが、とんでもない! ますます人々の力を潰す壁を、厚く高くしている」と述べ、ヨーロッパの先進国などと比べ、長時間労働のわりに生活の質が上がらない、日本の労働法制の問題点を指摘した。

▲小雨が降るなか街頭演説をする長妻昭候補

「国家権力が民主主義のプロセスを一時停止するということ」 自民党公約の「緊急事態対応」を批判!

 街頭演説を終えた長妻候補は、IWJ記者のインタビューに答え、東京7区の選挙情勢について、「反自民票が、希望の党(の荒木章博氏)と(長妻候補とで)割れて、自民党が浮かび上がるという現状に、非常に危機感を持っていますと述べた。

 たしかに東京7区は、立憲民主党、自民党、希望の党の「三つ巴」の構図となっている。しかし、マスコミ各社の情勢調査では、長妻候補と松本候補が互角、あるいは、長妻候補がリードしているという報道も一部されており、長妻氏自身の情勢判断は、自らに厳しく、気を引き締める狙いもあるものと思われる。

 もう一人の、希望の党の荒木章博候補は、9月11日に都民ファーストの会代表に就任した荒木千陽(ちはる)都議の父親であり、娘の選挙区である中野区を含む東京7区に立候補した、いわば「落下傘候補」である。しかも、荒木候補は1993年に女性トラブルを起こして、裁判所から慰謝料など300万円の支払いを命じられた過去が明らかになっており、苦しい戦いを強いられている。

 自民党が政権公約に掲げている、憲法への「緊急事態対応(※)の導入について、長妻候補の認識を尋ねたところ、「国民保護法制や有事法制も作りましたし、緊急時の手当についての法律ができ上がっています」と災害や緊急事態に対応する法律が、すでに十分整備されている事実を説明した。

 その上で、長妻候補は「国家権力が民主主義のプロセスを一時停止するということですから、私は非常に慎重な立場です」と、テロや災害を口実に緊急事態を宣言してしまえば、憲法を停止させ、総理大臣に強大な権限を集中し、国民の基本的人権をも制限できてしまう「緊急事態対応」の危険性を指摘し、慎重であるべきだ、という立場を示した。

(※)「緊急事態対応
2012年の自民党改憲草案では、「第九章 緊急事態」が新たに設けられた。この条項では、内閣総理大臣は、大規模災害や内乱時に、国会の事前同意なく「緊急事態の宣言を発することができるとされている。緊急事態においては、内閣は「法律と同一の効力を有する政令を制定することができるようになり、基本的人権も制限されうるなど、総理大臣への権力の集中が大きな問題とされている。自民党は今回の衆議院総選挙の選挙公約において、「緊急事態対応」と呼び方を変更したが、中身は変わりないものとみられる。12年草案の緊急事態条項について、東京大学の石田勇治教授は「ナチスの大統領緊急令と授権法の2つをあわせたようなもの」と述べ、早稲田大学の長谷部恭男教授は「戦前の国家総動員法を起動させるスイッチ」と表現し、その危険性を指摘している。

 長妻氏は民主党時代から、日本における社会保障の薄さや長時間労働問題、またGPIFリスク問題などで、政府の失策の失敗を最後には私達納税者、そして労働者にツケが回されることを追求し続けている。ぜひこれらもあわせてご覧いただきたい。

 また安倍政権下で日々悪化し続ける労働環境問題についても、3.11後、東京電力で賠償対応の過重労働の果てに、うつ状態となって退職に追い込まれ、現在労災認定を申請中の一井唯史氏へのインタビューなど、IWJではさまざまな角度から日本の労働問題を切り取っている。これらもぜひ、ご覧いただきたい。

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