「ガレキ処理は放射能巡回社会をつくり再稼働を目指す一環だ」――岩上安身によるインタビュー 第247回 ゲスト 阪南大准教授・下地真樹氏 2012.10.21

記事公開日:2012.10.21取材地: テキスト動画独自
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(IWJテキストスタッフ・関根)

特集 震災がれき問題
※2015年3月20日テキストを追加しました!

 大阪市による震災がれき受け入れに反対し、同志とともに市民運動を展開している阪南大学准教授の下地真樹氏に2012年10月21日(日)、大阪市内のホテルで岩上安身がインタビューを行い、研究対象から抗議行動をすることに至った理由、大阪市ガレキ処理受け入れの行政と反対者たちの状況、橋下徹大阪市長や、TPPとガレキ処理のつながりなどを聞いた。

 岩上安身が、ガレキ広域処理を行う理由がわからないと言うと、下地氏は、低レベル放射性汚染物質の出口政策だと応じる。

 「これをキッカケにして、関東の低レベル放射能汚染物質のゴミ処理なども、環境汚染にして原発企業ではなく、国民負担にする。経済的にゆるい基準で処理できる既成事実をつくること。ガレキ処理は放射能巡回社会をつくり、再稼働を目指す一環だ」

 さらに下地氏は、ガレキ広域処理の背景に、原発再稼働という国の目論見があることをこう話す。

 「近々の再稼働を目指す。20~30年先は考えていない。再稼働するためには311以前に戻すこと。だから避難させない、健康被害も認めない、危険をいっさい認めない」

 下地氏は、抗議行動の正当性について、「その場に警察がいる必要はない。転び行動で公務執行妨害と言うが、公務する理由がない」と警察側の矛盾をついた。

■ハイライト

  • 日時 2012年10月21日(日) 19:00~
  • 場所 大阪市内ホテル

「モジモジ先生」はハンドルネームで自ら命名

 冒頭、下地氏は自身の愛称である「モジモジ先生」は、ハンドルネームとして自らが命名したものだと前振りを語ると、岩上安身は、この8月、橋下徹市長との対決など、IWJには盛んに登場したと紹介。下地氏は「2011年12月20日、ガレキ処理問題が最初の中継だ。今では週に3回ほど中継してもらっている」と応じた。

 そして、「専門は公共経済学。メイワク施設を、地方に押しつけることを経済学的に分析したが、お金のやり取りだけで解決することに疑問をもった」と、原発に興味をもったキッカケを語った。

 「たとえば、放射能の危険性と原発の因果関係。その安全性を証明するとき、評価の結果ばかりを指摘して、その評価のやり方の方に欠陥があることを隠ぺいする」。また、難病認定も厳しい交渉があると説明し、研究のモチベーションとなった、人工呼吸器のタンの吸引行為での行為者認定での行政交渉についても言及した。

環境省は予算9億円で大キャンペーンをうつ

 ガレキ処理問題へコミットしたキッカケから、その後の1年間について、下地氏はこう振り返る。

 「2011年12月28日開催大阪市西区での住民集会から始まり、環境省は、2012年3月から予算9億円で大キャンペーンをうつ。朝日新聞には見開きで宣伝、ワイドショーで毎朝放映。環境省は受け入れ推進全国展開を始めた」

 さらに、「5月連休明け、環境省はガレキ総量を大幅に減らす。大阪市は6月、環境省から北港処分場に焼却灰の埋設処理の許可を受ける」と述べ、「利権よりも、橋下氏は自分の願望を達成するため、頼ってきている背後の人間関係に逆らえないのでは」と脱原発を主張していた橋下氏の方針転向を推察する。

 そして、2012年8月30日、中之島公会堂での大阪市ガレキ説明会に触れ、「6人目の質問者が、自分にマイクを譲ってくれて発言ができ、環境省の矛盾をついた。なぜならマスコミに取り上げられるように目立つためだ。しかし最初、発言できるとは考えていなかった」と、当時の心境に触れた。

 さらに、マスコミの報道方法について岩上安身が尋ねると、下地氏は、「3月は絆ばかり。春以降、巧妙になる。既成事実を仕組むニュース報道を流し、一方、反論も担保し掲載。それが大阪市と北九州市だけになったとき、無視する方針に変えた」と分析した。

 岩上安身は、小沢一郎氏の裁判のやり口と同じであることを指摘し、叩くときは徹底的に叩き、無罪になったとたんに黙殺することは、マスコミがお金で動いている証明だと主張した。

公共性がある抗議行動に権力は簡単に介入してはならない

 インタビューは、大阪市ガレキ説明会の閉会後のエピソードに移り、下地氏は騒然となった現場の様子に言及した。

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