岩上安身によるインタビュー 第261回 「表現の自由がなければ生存権を守れない。表現の自由は権利の最上位にあるもの」――ゲスト 阪南大准教授・下地真樹氏 2012.12.30

記事公開日:2012.12.30取材地: テキスト動画独自
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(IWJテキストスタッフ・富田/澤邉)

 大阪市による震災がれき受け入れに反対し、同志とともに市民運動を行ってきた阪南大学准教授の下地真樹氏は、威力業務妨害などの容疑で2012年12月9日に逮捕されるも、28日には処分保留で釈放された。下地氏は、同年12月30日(日)に岩上安身のインタビューに応え、逮捕からその後の取調べ、留置場での経験や、一連の出来事を振り返った上での自身の胸の内を語った。

 下地氏は今回の逮捕を、「公共スペースでの演説やビラ配りは、威力業務妨害や不退去罪に相当しない」と言い、「警察が抱いている市民運動に対する貧しい見方が存在する」と指摘。「警察はすぐに過激派グループに重ねたがるのだ。誰か強力なリーダーがいて、そいつの命令には誰も逆らえないのが市民グループだと誤解している」と話す。

 留置場の中の様子については、「雑居房に3人が入っていて8畳ぐらいの広さ。和式のトイレは非常に清潔な作りで入浴は週2回。ご飯はいわゆる麦メシではないが、おかずは少ない。自費で野菜ジュースを追加していた」と答え、「留置場内でペンと紙を自分で買って状況を書き、接見に来た仲間に手渡し」、それをツイッター発信していたという。

 下地氏は、取調べでは、最初の数日間はかん黙に徹し、その後は、原発や放射能問題などについて、自分が話したいことを一方的に話すことを断続的に行った。なぜなら「重要なのは言葉のキャッチボールをしてはならないこと。取調官はちょっとした会話の糸口から聞きたいことをたぐり寄せる技術を持っている。だから雑談に応じるのも危険だ」と話した。

 下地氏らの不当逮捕に対し、「本件逮捕は、憲法21条1項が保障する表現の自由を不当に侵害する」と、複数の憲法研究者が共同声明文で断じていることを岩上安身が紹介すると、下地氏は、「表現の自由がなければ、生存権を守ることができなくなる。表現の自由は権利の最上位にあるものだ」と言葉をつないだ。

■ハイライト

  • 日時 2012年12月30日(日) 11:00~

起訴された者もいるので完全勝利ではない

 下地氏はまず、「一連の言論弾圧で、がれき受け入れに抗議した仲間の中から起訴された者が出ているので、これは完全勝利ではない」と今の心境を明かした。

 「下地氏ら市民グループは2012年10月17日、JR大阪駅構内で通路を40名の参加者とともにデモ行進した」との、大阪府警の発表をベースにした、メディアによる逮捕経緯の報道の誤りに対し、「私は主催者ではなく全体を見渡せてはいない」と断った上で、自身が見た範囲の報告を次のように述べた。

 「私は当日、同志の市民グループが、大阪駅北側の街宣が許される公的スペースで、震災がれき受け入れ反対の件で演説を行うということで、それに協力した。その後、大阪市役所までみんなで移動することになるのだが、駅構内へは三々五々入っていき、シュプレヒコールも上げていない。私が駅構内で駅員から警告を受けた事実もない」

市民運動を過激派グループに重ねたがる警察

 岩上安身が「メディアの取り上げ方はひどい」と憤ると、下地氏は「府警の発表をより膨らませて、自分が駅構内でデモを先導したという記事を書いた新聞がある」と語った。これに対し岩上安身は、「名誉毀損で訴えるべきだ。下地さんのイメージが誤った形で定着してしまう。ぜひその新聞社に抗議に出向いてほしい。IWJがその模様を中継する」と提案した。

 「公共スペースでの演説やビラ配りは、威力業務妨害や不退去罪に相当しない」と断言する下地氏は、今回の不当逮捕の、根っこの部分には、「警察が抱いている市民運動に対する貧しい見方が存在する」と分析。

 さらに、「彼らはすぐに過激派グループに重ねたがるのだ。誰か強力なリーダーがいて、そいつの命令には誰も逆らえないのが市民グループだと誤解している」とも話した。

 岩上安身が「10月5日の関西電力前の反原発の抗議行動に参加した市民が逮捕された一件で、下地さんたちが大阪府警に対し、行き過ぎとの批判の声を叫ぶことになったが、それを受けた同府警が逆に強行に出た印象がある」と述べると、下地氏は「われわれの市民運動がらみの逮捕は、今年(2012年)の2月の終わりに始まっている。住所の場所に暮らしていないといった微罪での逮捕だが、警察はずいぶん無茶なことをすると思い、自分はマークされているとの確信を抱くようになった」と応じた。

留置場での体験メモから仲間がツイッター発信

 逮捕当日については「朝、玄関を激しく叩く音がして目が覚めた。ドアを開けたら警察官が10人ほど立っていて、逮捕状を提示した。10月17日の件であることがわかったが、どうしたらあの件を犯罪にできるのかと不審に思いながら、文面に目を走らせると、書かれている内容には嘘が並んでいた。内心では動揺していたが、妻には大丈夫だからと告げて、連行されることにした」と語った。その後の家宅捜査では、パソコンやビデオカメラ、さらには街宣で使ったスピーカーなどが押収されるも、部屋が荒らされることはなかったという。

 下地氏は、曽根崎署で写真と指紋を取られ、弁明する機会が与えられたが、「担当官は、自分が話した内容と違うことを記録していた。それは被疑事実を認めたかのような書き方だった。私はそれに怒って破棄しろと迫った」。その後、大阪府警本部の留置場に移送された折は、「弁明録取の件もあり、これは慎重に対応しなければならないと肝に銘じていた。しかし、留置をする場所と取調べを行う場所は違うという雰囲気が伝わってきたため、看守とのコミュニケーションは丁寧に行うように決めた」という。

言葉のキャッチボールをしてはならない取調べ

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