(8)訪米5日目(後編):アジア太平洋の島々に生まれた人々の共通の課題~米軍基地・性暴力・経済的徴兵・民意の否定~API-Resistance交流会での問い 2015.11.19

記事公開日:2016.1.25取材地: | | テキスト動画独自
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(山本愛穂)


 「経済的徴兵、警察の軍隊化、そしてTPP。沖縄のみならず、今後の日本を懸念する上で挙げられるキーワードが、他のアジア太平洋地域でも同様に共通の社会問題として存在している。日本、フィリピン、米国内のブラック・アメリカンとムスリム、これらの地域の人々にもたらされる被害を結ぶもの、それは米軍基地である――」

 米国首都ワシントンD.C.で現地時間11月19日19:00より、島ぐるみ会議と現地市民団体「API-Resistance」との交流会が行われました。冒頭のように述べたのは、API-Resistance 側のプレゼンターとしてマイクを握った3人の米国人女性です。スピーカーの1人、アフリカ系アメリカ人で若手運動家のドミニクさんは、沖縄の辺野古新基地建設問題についてこう述べます。

 「沖縄の人と私はすごく繋がっていると思います。お互い帝国主義の被害に遭い、住んでいるところを追われたりして、多数派から社会的、環境的に抑圧されている立場に立っています。警察から過剰警備を受けたり、そういう意味でとても通じるところがあると思います」――。

 APIとはAsia Pacific Islander、すなわち「アジア太平洋の島々にルーツを持つ人々」の連携を目指し活動する市民団体です。アフリカ系アメリカ人であるドミニクさんが、自分たちが抱えている問題と、沖縄が直面している問題との間には共通点があると指摘したとき、視野が太平洋全体に開けていきます。今日もキャンプ・シュワブ前で反対派住民を強制排除する、「本土」警視庁のから派遣された、機動隊による力の行使の問題を、単なる国内問題や、世界の片隅のローカルで特異な出来事としてではなく、より大きな視点でとらえることが可能なのではないかと感じます。

 若手活動家が主体の交流会であることを受けて、島ぐるみ会議からも学生メンバーが発言し、前編の交流会とは一味違った盛り上がりを見せたイベントの様子をお伝えします。

【島ぐるみ会議訪米取材⑧~滞在5日目:API市民団体との交流会】

■ハイライト動画

  • 収録日時 2015年11月19日(木)19:00~
  • 配信日時 2016年1月22日(金)17:00~
  • 場所 ワシントンD.C.(アメリカ)

雨の朝、「キャピトル・ヒル」へ出発~空港ゲートのような厳重警備を抜けて

▲国会議事堂(=キャピトルCapitol)を囲む一帯の地域は、キャピトル・ヒルCapitol Hillと呼ばれる。=写真1=<※写真はウィキコモンズより引用>

▲国会議事堂(=キャピトルCapitol)を囲む一帯の地域は、キャピトル・ヒルCapitol Hillと呼ばれる。=写真1=<※写真はウィキコモンズより引用>

 現地時間11月19日は、米国滞在中、訪米団にとって最もハードな1日であったと言っても過言ではありません。朝の7時、滞在先ホテルでの朝食後、訪米団は4チームに分かれ、各チームでスケジュールと会談する政府関係者の情報を確認し、休憩を取る時間もないまま、タクシーで「キャピトル・ヒル」へ出発。私は、呉屋守将団長(金秀グループ会長)らが所属するCチームに同行しました。

 ワシントンD.C.のキャピトル・ヒルは、日本でいえば永田町に相応する、政府関係機関や議員事務所が集結した場所です。四角く碁盤の目状に整備されたその一帯は、ひとつの広大な街のようでもあります。

 印刷したキャピトル・ヒル一帯の地図と小雨が降る車窓を見比べながら、タクシーの車内で、まず最初に向かう議員事務所のビルを調べました。目的のビルに到着すると待っていたのは、まるで空港さながらのゲートで、荷物やカメラ機器類、靴の中まですべて調べられる厳戒態勢でした。6日前に起きたパリ同時多発テロの影響もあったかもしれません。係員の表情も厳しく、どこも張り詰めた緊張感を感じました。

 残念ながら、ACHP歴史保存諮問委員会などの例外を除き、多くの政府関係機関で撮影許可が下りず、ほとんどの訪問先について、他3手に分かれた各チームから事後に話を聞くに留まりました。

 目的の議員事務所につき、案内された部屋でカメラを構えると、議員事務所スタッフからの第一声を浴びました。「動画の撮影はできませんよ」――。

「東海岸の冷たい風」を感じた1日~議員事務所での一幕

▲メイジ―・ヒロノ上院議員=写真2=<※写真はウィキコモンズより引用>

▲メイジ―・ヒロノ上院議員=写真2=<※写真はウィキコモンズより引用>

 その日、現地時間午前11時より訪米団Cチームがアポイントを取っていたのは、メイジー・ヒロノ上院議員の政策補佐官です。

 ハワイ州選出のメイジ―・ヒロノ上院議員は、1947年福島県生まれの日系米国人であり、2013年に米国史上初のアジア系女性上院議員となったことで知られています。

 2015年5月、ヒロノ議員は、他1名の下院議員と共に、ハワイ州ホノルル市内で翁長知事と会談、その際に「ハワイにも基地はたくさんあるが、運用については米政府は沖縄の人たちともっと話し合うべき」との発言をしたことから(注1)、辺野古新基地建設に対し一定の理解がある議員と考えられています。

 「前編:サンフランシスコ編」の連載第2回でも取り上げたように、米国の侵略と重い米軍基地負担に苦しんできたハワイ州と沖縄との歴史は重なり合うものがあります。同州のホノルル市議会では、今月中に沖縄の新基地反対を支援する決議が審議される予定であり、メイジ―・ヒロノ上院議員のような日系議員の働きに期待がかけられています。

▲政策補佐官に現状説明を行う呉屋守将氏=写真3=

▲政策補佐官に現状説明を行う呉屋守将氏=写真3=

 30分という限られた時間の中で、呉屋守将氏が辺野古新基地建設をめぐる沖縄県の現状を説明し、(i)現在の沖縄県が民意や地方自治の否定という民主主義の危機にあること、(ii)基地返還後の民間開発による周辺地域への経済効果が大きいこと、そして(iii)沖縄県民が日本政府の強硬姿勢に強い不信感と怒りを覚えていることを説明しました。

 政策補佐官の男性は通訳を介し、呉屋氏の説明をメモに取っていました。しかし、途中で解せないといった表情で発言しました。

 「どういう目的でこういった話を、ここでされているのでしょうか。これは日本の領土の話ですよね。こうした討論は、まず、日本国内で行われるべきではないでしょうか。例えば、日本には沖縄を支持してくれる議員が何人いますか?北は北海道まで、国内で協力してくれる議員をまず増やしていくべきではないでしょうか」

 今回の島ぐるみ会議の訪米の目的は、「基地問題は日本の国内問題であるだけではなく、米国もその当事者である」と訴えるためです。そのために、女性への暴力、環境への影響など、米軍基地建設が沖縄県にもたらす数々の問題に対し、いかに米国側に責任があるかということを全日程を通じて訴えてきました。

 Cチームの呉屋氏と比嘉京子氏(沖縄県議)も、政策補佐官の切り返しに対し、回答しようとしましたが、通訳を介してのやりとりだったため、齟齬もあったと思います。政策補佐官が比嘉氏の説明を遮るような形で話し始めたため、普段は穏やかな呉屋氏が、「この問題は、日米両政府で決めている、だから米国も当事者ですよ。そんな風に関係のないという態度を取り続けるなら、いいですか、辺野古だけでは済みません、私たちは県内の全ての基地で座り込みを始めることになりますよ」と、感情を抑えながらも怒りを露わにする場面もありました。

 この政策補佐官が格別、冷淡な態度であったとは言えませんが、西海岸のサンフランシスコ市やバークレー市議会での好意的な対応とは異なるものであったと言わざるを得ません。呉屋氏の熱意のある言葉とは対照的に政策補佐官は終始ドライであり、会談の最後で「内容はヒロノ議員に伝える」と述べるに留まりました。

(注1)2015/5/28 沖縄タイムス

若手が主体となったAPI-Resistance交流会

▲冒頭で挨拶する高里鈴代氏=写真4=

▲冒頭で挨拶する高里鈴代氏=写真4=

 各議員事務所の訪問後、インフォーマル公聴会(注2)会場で合流したA,B,Dチームは付近のフードコートで夕食を食べた後、ワシントンD.C.のオール・ソウルズ・チャーチ・ユニタリアン(All Souls Church Unitarian)で現地時間19時から開催されたAPI-Resistance交流会に向かいました。

 API-ResistanceはワシントンD.C.を拠点とする市民団体であり、アジア太平洋地域にルーツを持つ人々の連帯とアフリカ系アメリカ人の解放を目指して活動しているとのことで、20代の若いメンバーが目立ちました。会場には日米市民約70名が集まり、客席にはアジア系米国人労働団体=APALAの創始者でUCLA労働研究センター所長のケント・ウォン氏の姿もありました。
(※APALAについては、連載第3回AFL-CIO幹部会で取り上げます)

 API-Resistanceが若手主体の団体ということを受けて、島ぐるみ会議からも中堅メンバーの平良さとこ氏(那覇市議)、学生メンバーの玉城愛氏(たまきあい・島ぐるみ会議名護共同代表/SEALDs琉球代表)、新田築(にったきずく・合意していないプロジェクト)がプレゼンテーションを行いました。

(注2)インフォーマル公聴会:同日、現地時間15:00~17:00まで下院議員会議室Rayburn Room2226において開催された、島ぐるみ会議主催の米国上下院議員向けの非公式公聴会。参加議員は5名程。辺野古新基地建設問題について、高里鈴代氏、吉川秀樹氏よりプレゼンテーションが行われた。

平良さとこ氏~「『オール沖縄』として訴えている自己決定権というのは、まさに、辺野古に新しい基地は造らせないということ」

▲スピーチする平良さとこ氏=写真5=

▲スピーチする平良さとこ氏=写真5=

 まず1人目のプレゼンターとして立った平良さとこ氏(那覇市議)は、沖縄が琉球王国としてアジアで栄え、米国との間にも国際法上の琉米修好条約があることを説明し、沖縄に自己決定権があることを訴えました。平良氏は、この自己決定権については、2014年9月、翁長雄志県知事が国連の人権理事会においても主張したもので、新基地建設は人権侵害であると世界に訴えたスピーチだったと説明しました。

 「若い世代にとっても、これから沖縄をどう作っていくのかという時に、自己決定権がちゃんと日本政府に保障されなければならないし、何より、今、私たちが『オール沖縄』として訴えている自己決定権というのは、まさに、辺野古に新しい基地は造らせないということです」

 平良氏は、西海岸の市議会・市民団体による支援に触れ、「バークレー市議会が(沖縄を支援する)決議をあげ、サンフランシスコ市議からも、バークレー市と同じように取り組んでいくという発言がありました。米市民が立ち上がり始めているということを、非常に強く感じています」と謝辞を述べながら、現地市民とのさらなる連帯を求めました。

(注3) 名護市長選挙、沖縄県知事選挙、那覇市長選挙、衆議院議員選挙の4つの選挙を差す。

玉城愛氏~「戦争が奪うものは、人間の人格ー―戦争が終わっても、その人の人生に大きな影響を与えるということを祖父から学んだ」

▲会場から大きな拍手を浴びた玉城愛氏=写真6=

▲会場から大きな拍手を浴びた玉城愛氏=写真6=

 「戦争で祖父が大きく傷ついていることは、家族から聞いていました。だから『おじいちゃん、人を殺したの?』とは聞いていません。でも、『殺さないと自分も殺されていた』と祖父は話していた。私の祖父は米国人や中国人も、ロシア人も殺したかもしれないと思います」

 2人目のスピーカーの玉城愛氏(たまきあい・島ぐるみ会議名護共同代表/SEALDs琉球代表)は、伊江島・旧満州国で第二次世界大戦を経験したという、2人の祖父の戦争体験についてスピーチしました。

 玉城氏は、2人の祖父の体験を通じ、「戦争は勝ち負けではなく、戦争が奪うものは人間の人格であり、戦争が終わっても、その人の人生に大きな影響を与える」と学んだと言います。

 祖父からの影響も受け、「人の命を奪わない、人に命を奪われない、人の命を奪う手伝いをしないということを私の発言や行動の中心において、活動している」と話す玉城さんは現在21歳の現役の大学生。新基地建設の問題が大きくなる中で、指摘される学生の社会問題への無関心を変えていきたいと抱負を語り、さらに、「嫌われそうなことを言うかもしれません」と断りながら、こう続けました。

 「でも、正義のために戦争をするいう名で、世界のどの国の中でも、人間の命を奪っているのはアメリカという国だと私は思っています」――。

 玉城さんがそう述べると、意外なことに、会場の現地市民から大きな拍手があがりました。

新田築氏~「『沖縄』というと、『あぁ、知ってる。基地がある島ね。悪魔の島ね』」と――

▲スピーチする新田築氏=写真7=

▲スピーチする新田築氏=写真7=

 3人目のスピーカーとして立った学生メンバー新田築氏(にったきずく・合意していないプロジェクト)は、「私が基地に反対する理由はいちばんに、どんな人も殺したくないという気持ちが一番強い。どんな人も死んではいけないと思っています」と話しました。

 「ある人からこう言う話を聞きました。米軍がイラク、ベトナムに行った時に”Where are you from?”と民間人から聞かれて、『沖縄』というと、『あぁ、知ってる。基地がある島ね。悪魔の島ね』と言われたと。それを聞いて私は大変驚きました。私たちは基地に反対しているのに、なんで加害者にならなきゃいけないんだという思いが強くあります」――。

 基地からは何も生まれない、自分たちは基地に抗っていく責任があるのだと話す新田氏は、玉城氏と同様に、沖縄県における若者の政治参加の重要性を説きながら、「今、若い人の間で、アジアとアメリカのリバランスにおける軍事主義に対抗するために、沖縄、韓国、台湾でピースキャンプを行っています」と述べ、米国市民とも連帯しながら、米軍事基地に抗っていくことを呼びかけ、スピ―チを結びました。

米国のスピーカー(1):9.11後のムスリムの迫害~「私が住んでいたブロンクスでも、イスラム系の70%が追放されたり、海外移住していなくなっていた」

▲パキスタン系ムスリム女性のガラキシャン・ラジャ氏(右)=写真8=

▲パキスタン系ムスリム女性のガラキシャン・ラジャ氏(右)=写真8=

 交流会冒頭で、API-Resistanceの司会者から、「3人のパワフルなスピーカー」と紹介された米国現地の活動家は、それぞれパキスタン系ムスリム女性、アフリカ系アメリカ人、フィリピン系アメリカ人というそれぞれ異なるルーツを持つ3人です。手がかりにしながら、米軍基地や米国帝国主義がもたらす問題点について語りました。

 最初のスピーカーのガラキシャン・ラジャ氏はパキスンタンにルーツを持つムスリム女性。ブロンクス出身ですが、米国の政策に影響を与える活動をするために、ワシントンD.C.に移住し、二つの平和市民運動の団体に所属しているそうです。

 「沖縄から来た訪米団に来たみなさんを歓迎したい。日本語ができないのが残念です。戦争や抑圧について話をする時、英語以外の言語の方がずっと気持ちを表現することができるからです」

 冒頭で、そう述べたラジャ氏は、2001年以降ムスリムの7つの国が爆撃を受け約200万人が亡くなったと述べ、「ムスリム系全体が懲罰を受けているという形のようになっている」と話しました。また、ラジャ氏が住んでいたブロンクスでは、イスラム系の70%が追放されたり、海外移住していなくなってしまったと言います。

 ラジャ氏は、「米国内でムスリム差別は増えています。特にジェンダーに関するステレオタイプによる決めつけの被害が多くある。私は今日、沖縄から来た皆さん、特にフェミニストの活動家と交流したいと思います」と連帯への抱負を語りました。

米国のスピーカー(2) :ブラック・アメリカンと沖縄を結ぶもの~「沖縄の人々も米軍の暴力の標的にされているということ」

▲アフリカ系アメリカ人のドミニク・ハザード氏(中央)、フィリピン系アメリカ人のキワンバーワ氏(左)=写真9=

▲アフリカ系アメリカ人のドミニク・ハザード氏(中央)、フィリピン系アメリカ人のキワンバーワ氏(左)=写真9=

 「沖縄からの訪米団、特に話をしてくれた若手メンバーの皆さん、沖縄の苦しみを共有してくれてありがとうございます。パネリストの話を聞いて思ったのは、沖縄の人々と私はすごくつながっているということです」――。

 冒頭でこう述べた2人目のスピーカー、ドミニク・ハザード氏は、アフリカ系アメリカ人=ブラック・アメリカンの1人として、沖縄の人々に対し、「非常に共鳴する」と共感と理解を示しました。

 自らも米軍基地で育ったと話すハザード氏は、ブラック・アメリカンと沖縄の人々の共通点として、「多数派から社会的、環境的に抑圧されながら、米軍との関係において、沖縄の人々も、私たちブラックの人々も、暴力の標的にされている」と語りました。

 「多くの黒人にとって、軍に入ることが唯一、貧困から抜け出し、中流階級に入れる道です。だから、米国の軍隊の中で、黒人の比率は非常に高い。私たちの身体が米軍によって利用されているのです。黒人だけではなく他の有色人種にも当てはまるのではないでしょうか」と、ハザード氏は自らの経験を交えながら、人種差別が根底にひそんだ貧困による経済的徴兵が米軍基地によってもたらされていると指摘しました。

 また、ハザード氏には、もうひとつ、昨今非常に懸念していることがあると言います。

 「今、警察と軍隊の境目が最近なくなりつつあるのを感じます。警察がイスラエル軍といった外国の軍隊から訓練を受け反対派を抑圧、武器も軍隊から警察に渡っている。ファーガソンで起こった射殺事件のように、戦車など軍隊が使う車両を警察が使って活動することもあります」

 そう述べたハザード氏は、警察の軍隊化が人権侵害や集会の自由にも支障をきたすことを指摘し、「国家権力がブラックの人々を殺している。実際に街頭において、射殺されることも起きているが、そうした直接的なものではない、経済的・教育的な意味合いでの『殺害』もあるのです」と語り、「米国人が一番人を殺している」と話した玉城氏の発言に「私もその通りだと思います」と共感を示しました。

米国のスピーカー(3):否定される主権~「フィリピンでも、米国との防衛協力の強化について双方の政府は議会を通さず、秘密裏に行われている」

▲フィリピン系アメリカ人のジョー・キワンバーワ氏は、パワーポイントを用いながらフィリピンの現状を説明した。写真は、女性と性的マイノリティへの性被害と抗議運動について。=写真10=

▲フィリピン系アメリカ人のジョー・キワンバーワ氏は、パワーポイントを用いながらフィリピンの現状を説明した。写真は、女性と性的マイノリティへの性被害と抗議運動について。=写真10=

 最後のスピーカー、ジョー・キワンバーワ氏は、フィリピン系アメリカ人、ガブリエラD.C.という市民団体の代表として、フィリピンにおける米軍基地問題に取り組んでいます。

 キワンバーワ氏は、冒頭で「フィリンピンでは、最近トランスジェンダーの女性が米軍の海兵隊に殺されるという悲しい事件が起きました」と、米軍による暴力被害に触れ、まず、フィリピン社会の根本的な3つの問題について説明しました。

 キワンバーワ氏によれば、フィリピン社会には、封建主義、米国の帝国主義、官僚主義的資本主義という3つの特色があり、農業中心の経済で少数のエリート層が富を握り、米国と結託したような官僚組織に支配されることで、結局、多国籍企業や米国などの餌食になっていると指摘します。聞けば聞くほど、他国の話ではなく、日本の話ではないかと思えてくる指摘です。

 違いがあるとすればフィリピンの人の方が、日本より植民地化に自覚的であり、日本人は米国によって軍事的にも経済的にも植民地化され、収奪されていることに無自覚な点です。

 沖縄と同様に多くの米軍基地が駐留し、その負担に苦しむフィリピンについて、キワンバーワ氏はこう語ります。

 「フィリピンと米国の間には不平等な関係があります。フィリピンは1898年以来、50年間、米国の支配回にあり、唯一成功したのはスービック・ベイの基地閉鎖だけです。それまではずっと、基地はあらゆる場所に置かれ、米国軍事主義の犠牲になってきました。7100もの島々がフィリピンにはあり、かなり軍事化されています」

 また、シーレーンや港などが、地政学的にも、長年米国の軍事戦略に利用されてきたと語りました。

 こうした現状下にありながら、フィリピンにおいても市民の民意は反映されることなく、基地に関する取り決めは、政府間のやり取りで決められているとキワンバーワ氏は話し、「フィリピン政府と米国政府の間には『防衛協力協定』があります。防衛協力の強化について双方の政府は議会を通さず、秘密裏に行われており、どんどんエスカレートしている。これはフィリピンの主権に関わる問題です」と、まるで現在の辺野古新基地建設問題において、当事者である沖縄を蚊帳の外に、日米政府が基地建設を強行する現状をそのまま想起させる内容を語りました。

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