早稲田大学は2015年11月2日、新宿区のリーガロイヤルホテル東京で記者会見を開き、STAP細胞論文の筆頭著者であった小保方晴子・元理化学研究所研究員に授与した博士学位の取り消しが確定したことを発表した。
会見に出席したのは鎌田薫・総長、橋本周司・副総長(学事統括)、佐藤正志・教務担当理事、古谷修一・教務部長。
大学によると、小保方氏の博士学位論文には不適切な引用などがあったため昨年10月6日付で学位を取り消したが、学位を授与した先進理工学研究科の指導・審査過程にも重大な不備・欠陥があったとして、1年間の論文訂正猶予期間を設けていた。
しかし教員が小保方氏のもとに出向いて指導や倫理教育なども行ったが、充分な論文の訂正が行われず、「博士学位論文として相応しいもの」が提出されないままであるため今回の決定にいたったという。
鎌田薫総長によると「博士論文のない状態で学位を授与したままにはできない」ため、小保方氏の博士学位は取り消されたという。また古谷教務部長によると、これにより小保方氏の経歴は「論文未提出による早稲田大学博士課程退学」となる。
この早稲田大学の決定に対し、小保方氏は11月2日、代理人の三木秀夫弁護士を通じて「今回の決定には失望しています」とするコメントを公表した。
小保方氏はコメントで、修正論文提出前から、早大の担当教官から「今回は合格する可能性はとても低い」と伝えられ、不合格の理由についても、審査教官から「博士として認めることのできないのは一連の業界の反応を見ても自明なのではないか」と言われたことを明かし、「学術的な理由とはかけ離れ、社会風潮を重視した結論を出されたことは明らかです」と批判した。
また今回の修正作業は、「入院中、加療中での修正作業となり、思考力・集中力などが低下しており博士論文に能力を発揮できる健康状態ではないとの診断書を大学に提出していた」にも関わらず、「厳しい時間制限等が課されるなど、心身への状況配慮などは一切なされず、むしろそれが不合格の理由にも採用された」と反論した。
今回の再提出した博士論文や関連するデータは、年度内をめどに随時公開していく予定だという。