「『公明党議員が悪いことはしないだろう』という信頼感のようなものがありました」――。
安保関連法案の危険性に気づき、創価学会員としてひとり立ち上がった、愛知県在住の天野達志さん。
公明党に不信感を抱くたびに、周囲からは「自民党が暴走するところを公明党が引き止めている」「公明党がいなければもっと酷いことになっている」と諭され、納得してきた。しかし天野さんは今回、集団的自衛権の行使を含む安保法案に対して、多くの学者が「違憲」だと指摘したことで「洗脳」が解けたという。
天野さんはネットで呼びかけ、公明党に安保法案の撤回を求める署名集めを開始した。最終的に9177筆もの署名を集めた天野さんは上京し、信濃町にある公明党本部を訪問。署名を山口那津男代表に手渡したいと要請した。
しかし、そんな学会員に対する公明党の態度は極めて冷淡なもので、実際に公明党職員に署名を手渡すまで、なんと天野さんは、4日間も本部前に立ち尽くさなければならなかった。
「公明党をこんなふうにしてしまった学会員の責任にも気づきました」――。
署名を手渡した2015年9月11日の夜、天野さんはIWJ代表・岩上安身の緊急インタビューに答え、署名提出の舞台裏や、一般的には知られざる創価学会、公明党内部の現実を語った。
▲9月11日、岩上安身のインタビューに答える天野達志さん
署名提出を終えた天野さんは、「公明党だからと盲目的に応援していたことに気付かされたし、創価学会が持っている、本当に改革しなければならない問題点が炙りだされたと思います」と振り返り、「これを出発点として、安保法案や公明党との関係など、問題意識を持ってやっていかなければいけないと感じた」と胸中を明かした。
注:現在、天野さんは創価学会員ではありません。
- 日時 2015年9月11日(金)22:40~
- 場所 IWJ事務所(東京都港区)
9177筆の署名を集め、公明党の姿勢に疑問を呈したひとりの創価学会員
岩上「本日は、4日間も公明党本部前に立ち尽くし、9177筆の署名を提出した、現役の創価学会員・天野達志さんにお話をうかがいます。よろしくお願いします。
色んな人たちが『戦争法案』に反対の声を上げています。皆、立場が違っても手を繋いでいる。天野さんの行動も、そんなドラマの一つです」
天野「よろしくお願いします。署名は7月30日から、ネットで募集を始めました。発端は昨年の『7.1閣議決定』で、これは憲法の危機だと思いました。戦争にも関わるのではないかと不安がよぎりました。
私は物心つく前に入信した、創価学会員2世です。学会の歴史は古くありません。草創期は、戦後の焼け野原で強力に布教活動をしており、両親はそこで創価学会に入信しました。私は幼い頃、親の言われるまま信仰していました。しかし中学・高校くらいの時期は信心の認識もなく、大学ではもう信心とは離れていました。
私は全然勉強もできずに、敷居の低い信州大学に入りました。演劇部に演劇に熱を上げ、中途入学で東京に出てきました。そこで、バイト先の先輩が創価学会でして。『今後は自分で人生を切り開いていけ』と言われて、再び信仰と向き合ってみました」
“歯止め”だったはずの公明党…しかし学者はみんな「違憲」
岩上「創価学会、公明党、自民党、共産党、そして無関心の人…いろんな人がいます。その隔たりが安保法案によって、これまで閉じていた窓が吹きっさらしになった。創価学会の人が公明党に異議を突きつけるというのはどういうことなのでしょうか」
天野「集団的自衛権の行使の閣議決定は、平和憲法に接触する可能性のある内容だと感じました。私の周りにも、その疑問を投げかけてみました。すると、『自民党が暴走するところを公明党が引き止めている』『公明党がいなければもっと酷いことになっている』『歯止めになっているんだ』などと言われ、納得していました。
しかし、それから1年くらい経ち、今回、憲法学者がみんな、安保法案を『違憲だ』と言っていて、『あれ!?』ってなって…。本当にショックでした。『新3要件で公明党が歯止めをかけた』というこれまでの説明に『はてな?』が浮かびました。
創価学会は創設のときから公明党を応援するという形でやっています。学会の会合や座談会に、公明党の政策の学習DVDとかが送られてくるんです。そこで公明党の主張があって、いかに戦争法案ではなく平和法案なのか、というDVDでした」
岩上「プロパガンダですね」
天野「そうです、プロパガンダです。特定秘密保護法などもありましたが、私たち平和を愛する、命を大事にする信者は『公明党議員が悪いことはしないだろう』という信頼感のようなものがありました」
先鋭化する学会員たち「公明党がそんな悪いことを考えるわけがない」
創価学会という組織のなかにあって本当に勇気ある行動だと思います。天野さんの話から創価学会のイメージが、僕の思っていた通りだったことが良く分かりました。学会の人から個人的には聞くことがありましたが天野さんは日ごろから積極的かつ熱心に活動されていたのでしょう。
今の公明党は自民党のひとつの派閥なのです。次の選挙では自公の選挙協力はもっと進むと思います。だから末端の党員や会員を無視するか騙すのです。平和・福祉・大衆とともには死語になりました。それよりももっと大切なものを護ることがあるのです。それは組織です。
なぜなら、宗教団体は税金がかからないので収支が明瞭でないのです。だから逆にこの事を調査されることを恐れて体制側にいたいのです。昔、北海道の墓地販売で税金を掛けられたことがありました。また、政教分離では池田会長を国会 証人として呼ぶとの殺し文句がありました。
マスコミによく思われていないとの話も与党になることで叩かれなくなりました。さらには創価学会のコマーシャルをすることも効果があるのでしょう。
昔、共産党と創共協定が結ばれたことがあります。それは1年ももちませんでした。戦後共産党はレッドパージで差別されてきました。アメリカの指示です。僕が所属していた組合と民社党と同様に、創価学会は共産党と対峙する組織として必要だったのです。それが共産党への盗聴事件ではなかったのでしょうか。
イラク戦争に日本が参加することに公明党が賛成したときに、疑問を感じて、創価学会を脱会しました。
天野さんは、公明党は間違っているが、その母体である創価学会や池田名誉会長は、正しいという前提で、行動されていますが、創価学会に政治部があり、そこで、公明党の政策が決定され、創価学会の指示で、動いているのが公明党です。これは、公明党議員であった家族の方から、直接、聞いた話です。実際に、今は、池田氏は、病気で、表だった指揮を取っていないようですが、以前は、池田氏が立候補者を決めていたのです。
毎年、池田氏は、平和提言を発表していますが、イラク戦争時の池田氏の提言では、イラク戦争を肯定している、文言があります。
また、当時、会合で、創価学会インターナショナル婦人部長に直接、疑問をぶつけた、勇気ある、男性がいましたが、その答えは、「政治の世界は、信仰の世界とは、違う。駆け引きなどもある。そんな中でも、公明党は頑張っている。」といった、失望させるものでした。
さらに、時間を遡れば、公明党は、細川政権の時、連立して、大臣を公明党から出しました。当時、自民党は、
「四月会」を結成して、公明党の政教一致を批判し、攻撃しました。そのとき、創価学会は、「自民党は、仏敵だ」と学会員に言いました。その後、自民党と仲間になって、保守党の地位を保ちました。
公明党の委員長を務めた竹入義勝氏は、福祉や中国外交に貢献した実績がありますが、竹入氏が、学会を脱会したとたん、聖教新聞に、竹入氏や家族を酷く批判中傷する記事が掲載されていました。竹入氏も仏敵扱いです。(百歩譲って)もし、それが事実なら、竹入氏を創価学会が推薦し、学会員に応援させたことに対する、自らの反省はあるのかと創価学会に問いたいです。
話のなかで、日蓮大聖人についても、触れていましたが、日蓮は、幕府から、お寺を建立してあげるという申し出を断って、身延の山に行かれたのです。最後まで、権力と妥協せず、自身の信念を貫かれたのです。
公明党は、その日蓮の教えと間逆なことをしています。しかも、公明党の支持者さえも裏切って、自民党と一緒になって、米国従属を貫く態度に、良心も捨てて権力側にいたいという野望が見えます。